第14話 二人の想い


 赤峰の運転する車が交差点を曲がった。もうすぐ、朱美のマンションに到着する。
 大倉たちの魔手から救出されてからの一週間は、あっと言う間に過ぎた。今日は警察からあらためて事情聴取を受
け、帰りは赤峰が車で朱美を送ることになったのである。マネージャーの焼津は渋ったが、赤峰が説得すると仕方なく
了解した。なにしろ、朱美が無事に帰って来ることができたのは赤峰のおかげであった。
 実は赤峰は、大倉のマンションにおしかける直前、警察に110番通報していた。ただ、赤峰が先に飛び込んだせい
で、警戒した大倉たちがラブホテルに移動し、警察が駆けつけた時にはスタジオは既にもぬけの殻だったために、捜査
に時間がかかったのだ。
 警察署の事情聴取で、赤峰は「なぜパトカーが来るまで待てなかったんですか?」と、きついお灸をすえられた。
「すみません…」
 そう言って頭を?きながら、心の中では「朱美の悲鳴が聞こえるのに、パトカーが来るまでじっと黙って待ってられるか」
と呟いていた。今回の一件を通して赤峰は、今まで「生意気な小娘」だと思っていた朱美に対して、本当は別の思いを
抱いていた自分に気がついた。
 事情聴取の中で二人は、大倉が撮影していたビデオを見せられた。一部始終が撮影されているビデオは、被害内容
の特定として、これ以上のものはない。対応にあたった、やや軽めの刑事などは、「これで現場検証の手間が省けます
わ」などと冗談を飛ばしていた。
 ビデオの中で、朱美はセーラー服をはじめ、メイド、婦人警官、振袖など、様々な衣装を着せられ、男たちに代わる代
わる犯されていた。プレイ内容も、基本は強姦なのだが、男たちの目の前でオナニーし、何本ものペニスをしゃぶり、鞭
や蝋燭を使ったSM、放尿、浣腸…と、考えられる限りの、あらゆる凌辱が繰り広げられていた。
 ビデオを見る朱美は真っ赤になって、涙ぐんでいた。
 セックスは全て中出しだった。男がペニスを抜くと、膣内から精液が溢れ出す様子が、画面にアップで映し出される。
(畜生、好き勝手やりやがって…)
 画面を睨みつけながら、体を震わせるほどの怒りを覚えて、赤峰は朱美への思いをはっきり自覚したのだった。
「…凄く、恥ずかしかった」
 思い出したように、朱美が言う。
「忘れちまえよ…」
 赤峰が答えた。
「うん…」
 朱美が小さく頷く。
「でも…、お前、気持ちよさそうな顔してたよな…」
 赤峰がそう呟いた瞬間、朱美のパンチが彼の顔面に炸裂した。




 車はマンションの前に到着した。しかし、朱美はなかなか降りようとしない。赤峰も、あえて降りるようにとは言わない。
「赤峰…さん。ありがとう…」
 助手席の窓から外を見たままで、朱美が言った。
「お前…、俺のこと、嫌っていたんじゃないのか?」
「それはそれで、これはこれ…。助けられたんだもん。感謝してる…」
「今まで俺も、仕事で朱美を辱めてきたからな。まあ、俺もあいつらと同じだな。お前の処女を奪ったのも俺だし…」
「そんなことないよ…」
 朱美がポツンと言った。朱美にしては珍しい、しっとりした女らしい声だった。
「赤峰さんの時は、わたしが拒否すれば断れた。わたし、自分の意志であなたに抱かれたの…」
 二人が共演した映画「分水嶺を越えて」の話が来た時、タイラー社長は最後の決断を朱美自身に委ねた。撮影で処
女を失うという条件を納得したのは、ライバル栗田真由に対する反発も大きかったが、今思えば、相手役が赤峰だとい
うことも大きな要素だった。
 驚いた表情を浮かべた赤峰は、小さく苦笑しながら言った。
「そうか…、じゃあ、俺も告白だ。今年のカレンダー撮影な…」
「あ…、あれ…」
 朱美の頬が赤くなった。
 今年の朱美のカレンダーは、写真界の鬼才、尾形大地が撮影したが、「ただの水着やヌードカレンダーでは平凡すぎ
て羞恥アイドルの名がすたる」との彼の企画で、朱美にヘルス嬢体験をさせ、カレンダーを見る人が客になった気分で
バーチャル風俗プレイを楽しむという趣向になった。
「自分で尾形先生を訪ねて、立候補したんだ」
 ハリウッド級の俳優がアイドルのエロカレンダーの相手役になったのは何故かと一部で騒がれたが、真相は、赤峰の
方から尾形に頼み込んだのである。
 朱美は今年のカレンダー撮影のことを思い出した。赤峰を相手に繰りひろげた恥ずかしい行為の数々に、思わず顔
が赤らんでくる。しかし、大倉たちに犯されるビデオを見た時のような嫌悪感はなかった。むしろ、なんとなく胸が温かく
なり、じわりと股間が潤ってくるのを感じた。



「ねえ」
 朱美が赤峰の方を向き直った。その頬が涙で濡れ、街灯の光を反射している。
「今までもずいぶん親に心配かけてきたけど、とうとう警察ザタになっちゃった。今度こそ、アイドルの仕事を辞めさせら
れるわ。だから、今夜は、赤嶺さんと過ごしたいの…」

「じゃあ、風呂入れてくるかな…、それともシャワーだけでいい?警察の取調室で、すっかり汗をかいちまったしな…」
「ううん…、このまま」
「えっ?」
「このまま、しよ…、それが好きなの…」
 尾形のカレンダー撮影では、常に即尺、即クンニ、即ベッドを指示された。最初は、自分の匂いを嗅がれ、洗っていな
い身体を舐められるのが恥ずかしくて、嫌でたまらなかった朱美も、次第に慣れてくると、むしろ、その恥ずかしさが興
奮を誘うことに気がついた。
「そうか…、うん」
 平静を装いながらも、赤峰は興奮が高まっていくのを感じていた。彼は、自分もパートナーも体を洗わずにセックスす
るのが好きだった。お互いの汗が混じりあい、お互いの体臭に包まれながら抱き合うと、セックスしているという実感が
湧き、一つに溶け合うような興奮を感じる。
「ここ、もう濡れてるぞ…、こんなに…」
 朱美のパンティの中に指を滑り込ませて、赤峰が言う。すでに陰部がヌルヌルになり、パンティまでじっとりと濡れてい
る。
「いやっ…、言わないで…」
朱美が恥ずかしそうに俯いた。見ると、下着のクロッチ部分にお漏らししたような染みが広がっている。
「ほら、ぐしょ濡れだ、お前、そんなに感じているのか」
 そう言いながら、赤峰は朱美の割れ目を指でなぞり、ぬめりを帯びた体液を拭い取る。右手を朱美の目の前にかざ
すと、指の間で糸を引いた。朱美の愛液は非常に粘度が高い。
「ちょっと…、見せないで、恥ずかしい…」
 赤峰は朱美をベッドに誘った。パンティ脱がし、太腿を持ち上げて脚を開かせた。赤峰の目の前で花弁が開き、中の
ヒダ肉を覗かせている。中は溢れ出す愛液でピンクに輝いていた。
 赤峰がM字に開かれた朱美の太股を両手で押え、鼻先を近づけて、しきりに性器の匂いを嗅いでいる。
「いやっ、そんなに匂いを嗅がないでっ…」
 朱美が顔を真っ赤にして、身体を揺する。望んだこととは言え、自分の匂いはやはり気になるし、恥ずかしいことに変
わりはない。
「あんっ…ああぁん」
 赤峰が股間に顔を埋め、性器にむしゃぶりついた。
「やっ、いやっ…、汚い…、やっぱり無理っ、シャワー浴びるっ…」
 朱美が羞恥に両手で頭をかきむしりながら、両足をバタつかせて声をあげた。赤峰の舌先が亀裂を割って入り、中の
襞肉を突付く。
(でも、気持ちいい…)
下半身から湧き起こる快感が背中をゾクゾクと走り抜ける。カレンダー撮影の時の、記憶と快感がよみがえる。
「シャワー?今さら、何を言ってるんだ!」
 朱美の言葉が本心ではないことを知り抜いている赤峰は、ニヤニヤ笑いながらそう言って、朱美の柔肉を指で押し広
げた。わずかに着色し、愛液に濡れた小陰唇が官能に蠢いている。赤峰は襞の一枚一枚を擦り上げるように唇で挟
み、舌で舐めていった。
「ひいい…ううあ!」
 朱美が声をあげて、身悶えした。中に溜まっていた愛蜜が流れ出す。
「朱美のオ××コ、いい匂いがするし、おいしいよ…」
 赤峰はそう言いながら、小陰唇の上部の合わせ目に目をやった。朱美のクリトリスは大きめで、勃起すると包皮から
完全に飛び出して、下着の上からでもわかるぐらいのサイズになる。敏感な芽はすでに充血し、大きく膨らんでいた。そ
こを赤峰が舌先で丁寧に舐めていく。
「そ、そこ、ひっ…ひいい…」
 朱美は、身体をベッドの上でバウンドするくらいに仰け反った。赤峰は、流れ出す愛液を舌で掬い取った。朱美が太
股をピクピクと痙攣させている。
「あっ…だめっ、アタシ、イクっ…、イクぅ!」
 あまりの快感に絶叫し、身悶えする朱美を、赤嶺は巧みな舌さばきでアクメへと導いていった。
「あ、あっ…ああぁぁっ!」
 もはや言葉にならない嬌声を上げて、朱美は絶頂に達した。性器がヒクヒクっと痙攣したかと思うと、おしっこのように
勢い良く体液が噴射し、赤峰の顔面をびしょ濡れにする。
「あっ、ごめんなさい…」
 うろたえた表情で、朱美が起き上がり、手のひらで赤峰の顔を拭う。
「いいや、許さない…、俺の顔に潮を塗りやがって」
 劇中のセリフのような言いまわしで、赤峰が言った。その目は優しく笑っている。
「お詫びに、今度は、私が赤嶺さんを気持ちしてあげる」
 絶頂の余韻に上気した妖艶な笑顔を見せて、朱美がにじり寄った。
「気持ち良くって、何をしてくれるんだ?」
 赤峰はわざと横柄な口の聞き方で朱美の嗜虐心を刺激する。
「オ×ン×ン、しゃぶらせて」
 可愛くおねだりする朱美を床に跪かせ、自分はベッドに腰掛けた赤峰は、命令口調で言った。
「しゃぶりたかったら、自分でファスナーを降ろして、俺のチ×ポを出せ!」
「はい。わかりました…」
 遊びだとわかっている朱美は素直にそう言うと、赤峰のズボンに手をやった。
 すっかり勃起した赤峰の男根が勢いよく飛び出した。亀頭部は大きく笠を開いた形だ。血管がくねくねと走り、それ自
体が、生き物のようにピクピクと動いている。先端の鈴口からは、透明な先走り汁が、今にも流れ落ちそうになってい
る。洗っていないその部分は、独特の臭いを放っていた。
 朱美は怒張を軽く握って、自らの口に入れた。指で軽く擦りながら、口の中で舌を絡ませる。汚れたままのペニスを口
に咥えるなど、少し前なら、考えただけで吐き気がする行為だった。ところが今は、鼻先に漂う強い体臭も、口腔に広が
る生臭さまでが愛おしく、朱美の気分を高めていく。
「すごくおいしいです、赤峰さんのオ×ン×ン…」
 上目遣いで献身的に、赤峰の男根を舐める朱美の表情は、愛する男に奉仕する女のそれだった。
(朱美、お前…、もしかして本当に俺のことを!?)
 朱美の一途な想いを感じ取った赤嶺は、朱美の口をペニスから抜き取り、そのまま勢いよく、彼女の唇を奪った。
「あ…、あかみねさん?」
 赤峰が急に見せた熱情に、朱美は一瞬、戸惑ったような表情を浮かべる。
「一緒に気持ちよくなろう…」
「赤峰さんっ!」
 言外の思いを受け取った朱美の表情が輝く。
 二人は全裸になって、ベッドの上で抱き合った。これまで、仕事では何度もセックスしていたが、プライベートでしたこ
とはなかった。そのことに思い至った赤峰が、朱美に優しく尋ねる。
「いいか?」
 朱美が無言で頷く。
 赤峰は、怒張を朱美に秘孔にあてがい、一気に腰を突き出した。グショッと音を立て、蜜壷に溜まっていた愛液が怒
張に押し出される。
「ああん、ああ…んっ」
 赤峰に胸を揉まれ、秘孔は怒張で押し広げられている。赤峰の腰の動きに、思わず声が漏れてしまう。赤峰が朱美
の唇に唇を重ねる。朱美も自分から舌を出し、赤峰の口に差し入れていく。
「ちゃんとコンドーム着けてるから、安心して気持ちよがっていていいからな…」
 耳元でささやく赤峰の声に、朱美の胸はキュンとなり、上気した顔に幸せの色が浮かんだ。赤嶺をもっと奥に感じたく
て、自然と腰が動く
「ああん、あん…、いいっ…、気持ちいいっ!」
 身も心も許せる相手とセックスする安心感と快感から、朱美は隣の部屋まで聞こえるような嬌声をあげ続けた。

「社長、工作は全て終了しました…」
「ご苦労様デシタ」
 報告に来た焼津に、タイラーは満足げな笑みを浮かべて頷いた。
 これで、朱美は「仕事のストレスから逃げるために、周囲に黙って、一人旅に出た」というだけの話になる。マスコミは
もちろん、警察からも、大倉の線からも真相が漏れることはないだろう。心配する朱美の両親にも、彼女が無事に帰っ
てきたと報告し、多額のお見舞金を送ってある。
「大倉の線からつながったので、ついでに、もう一つの案件も手を打っておきました。これで、西郷がヤクで逮捕されて
も、裏の筋からクレームが来ることはないでしょう」
 朱美のプロモートをしている時に見せている昼行灯ぶりからは信じられない有能さを感じさせる声で、焼津が報告し
た。トラブル対応こそが、彼の真価を発揮させる場面らしい。
「おや、お美津さんの尻拭いデスネ…」
「ついでに、あの別嬪さんの尻を実際に拭わせてもらえればいいんですがね」
「ドウゾ、この案件が片付いたら、許可しましょう」
 卑猥な笑みを浮かべる焼津に、タイラー社長が上機嫌で答えた。
「しかし、ここまでされるということは、やはり、社長は、朱美を手放すおつもりがないんですね」
 焼津が感心して見せると、タイラーは少し考えて答えた。
「焼津サン、それは、あの子自身が決めること、ワタシはどちらでもいいように、環境を整えただけ…」



 
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