第7話 ライブの夜


 テーブルに置いてあったスポーツ新聞を見て、清香はおもわず声を上げた。過密スケジュールの合間を縫って、今日
は陽介のアパートに手作りの料理を差し入れに来たのである。
 新聞は芸能欄が開かれていた。土本創児プロデュースのライブハウス「Stormy」のオープンを発表した記者会見の
記事が大きく載っており、刺激的な衣装で登場した清香の姿が紙面を飾っていた。
 写真の清香は、細いストラップで肩から吊られた黒のキャミソール・ワンピを着ている。胸は大きくV字に切れ込み、
白い胸の谷間をお臍近くまで見せていた。
 裾は膝上25cm以上だろう。すらりと長い脚が太腿の付け根近くまで見え、パンティもチラリと覗いている。
「セクシー衣装にドッキリ!」との見出しが目に入る。
 写真は全部で4カット載っていた。キャミソールの生地は薄く、ノーブラで着ているため、アップで撮られた胸の写真に
は、うっすらと乳輪の形が浮き出ていた。後姿からは、穿いているパンティのお尻が、単なる紐といっていいほどの細さ
であることがわかる。
(やだぁ、どうしよう…)
 この写真を陽介が見ていたと思うと、顔が火照るのが自分でもわかった。
「…いよいよオープンだね…」
 そう言いながら、陽介が慌てた様子で新聞を片付ける。気まずい雰囲気が二人の間を漂った。
 ライブハウス「Stormy」は、今夜がこけら落としである。オープニング公演のメインアクトは、もちろん清香だ。
 一方の陽介は、バックバンドのオーディションを棄権した後、BLOWとして受けた出演バンドのオーディションにも落
選していた。
「ライブは、夜7時からよ…」
 かいがいしく手料理を並べながら、清香が答えた。
「昨日は、リハだったんだって?」
 さりげない口調で言おうとした陽介の努力は、あまりうまくいかなかった。昨夜遅くにユウキから来たメールを思い出
す。

 リハで清香と2回もやっちゃいました。
 もう、サイコー!V(^^)V
 どうだ、うらやましいか?

 短いメッセージからは悪意のない優越感がにじんでいる。清香のバックバンドのメンバーとなり、BLOWを脱退したユ
ウキだったが、陽介とは喧嘩別れをしたわけではない。陽介と清香の関係を知らない彼は、いつもの猥談のノリで、ア
イドルとのセックスを親友に無邪気に自慢しているだけなのだ。
 しかし、陽介にとっては、これ以上ない残酷なメールだった。
 焦りと嫉妬を滲ませた陽介の言葉に、清香の表情がこわばった。ステージングの演出とは言え、恋人以外の男性、し
かも彼の親友と性交するのだ。昨日のリハーサルでは、なかなか土本のOKが出ず、何時間もユウキと肌を絡め合っ
た。その痴態を一部始終、陽介に見透かされているように感じて、今にも泣き出しそうな顔になる。
「ねえ、SDSから返事は?」
 なんとか話題を変えようと、清香は、先日デモCDを持ち込んだレコード会社の反応を尋ねる。規模は小さいが、新人
発掘に熱心な会社だ。
「うん…、今のところ無いよ…」
 できるだけ暗くならないように気をつけたつもりだったが、今度もうまくいったかどうかわからない。これまでアプローチ
したプロダクションやレコード会社は二桁にのぼろうとしている。
「大丈夫よ、ディレクターの本村さん、気に入ってくれてたもん!」
 陽介を元気づけようと、清香が努めて明るく言った。
 このところ、毎週末は必ず枕営業があった。放送局のプロデューサーやディレクター、スポンサーや広告代理店のお
偉方などを招いて、ディナーショーをした後、夜通しで複数人を相手にセックスするのだ。これまで、そうした枕営業をさ
せることを嫌っていた土本が、何故かこのところ積極的に認めるようになった。清香の方も、陽介以外の男に抱かれる
のは嫌だったが、なんとか陽介を売り込むチャンスを掴もうと思い、必死で我慢していた。もちろん、そのことは陽介に
は内緒である。
 しかし、二人の努力が実ることはなかった。実は、土本は陽介のデモCDを聴かずに廃棄しただけでなく、他の会社か
らもデビューできないように手を回していた。その事実を二人は知らなかったのである。
「…ねぇ、やっぱり私、交際宣言するわ…」
 しばしの沈黙の後、意を決したようにそう言って、清香は陽介の瞳をのぞき込む。
(それもいいかもしれない…)
 陽介はそう思った。プロのミュージシャンとして再デビューを果たして、それなりに名前が売れてから…、という思いは
変わらなかったが、メドが全くたたない中で、いつまでも清香を待たせるわけにはいかなかった。
(少なくともユウキからのメールには悩まされずに済むか…)
 陽介と清香との関係を知ったユウキの驚く表情を想像しながら、心の中で苦笑紛れに呟くと、陽介は優しく笑った。
「…そうだね、じゃあ今夜のライブが終わったら、いつ宣言するか決めよう…」
「ホントっ!」
 陽介の返事に、清香の顔がパッと明るくなった。テレビやグラビアで見るどんなものよりも可愛らしい表情が、陽介だ
けに向けられている。あまりの愛しさに、陽介は清香を抱き寄せた。

 ライブハウス「Stormy」のホールは、若い男たちの熱気でムンムンしていた。収容人数は300人のはずだが、立ち
見も含めて500人ぐらい入っている様子だ。
 5分押しで開演のベルが鳴り、ライトが消えた。一斉に立ち上がった観客の拍手と歓声に合わせるように、バックバン
ドがノリの良いビートを刻み始めた。観客の拍手が手拍子に変わる。
 小気味よいスネアドラムの連打に合わせて、ステージがパッと明るくなった。スポットライトを浴びた清香が、リズムに
乗って軽快にステップを踏んでいる。観客がどよめきに似た声援を送った。
 純白のレオタードにピンクのミニスカートを組み合わせた衣装がキュートだ。旬のトップ・アイドルが放つオーラのよう
な輝きが眩しい。
「おおっ!」
 一見可愛らしい衣装が、実はかなりセクシーであることに気づいて、観客がどよめいた。
 上半身は身体にピタッとフィットして、若々しい身体の線を強調している。小刻みなステップを踏み、上下に体を揺する
清香。ブラジャーはつけていないらしく、リズムに合わせて胸の膨らみが上下に、左右に大きく揺れる。
 オープニングから、ノリの良い曲を立て続けに5曲メドレーで歌った。ライトに照らされたステージはかなり暑く、歌い、
踊っていると汗が吹き出してくる。レオタードのような清香の衣装は汗を吸って身体に吸い付き、肌の色を透かして見せ
る。
「うおおぉ…、ビーチク、丸見え!」
 最前列のファンが騒ぐ声が聞こえて、清香は自分の胸に目をやった。
「えっ…」
 白い衣装が汗を含み、肌の色と同化している。乳首の形はもちろん、乳輪の色や形まで透かして見せている。スタッ
フからは説明されていなかった演出だ。
 前の方の席の観客が、目を輝かせて見入った。縦長のお臍が、白い生地に可愛らしく映っている。ミニスカートからチ
ラチラ見える下腹部も汗に濡れ、股間の翳りまで浮き出てしまっていた。
 思わず声をあげそうになるのを、すんでのところで堪えた清香は、何事もなかったかのように歌い、踊る。これでも今
夜の演出の中では、かなりソフトな部類だ。ここで、恥ずかしがっていては、とても最後までステージをこなすことはでき
ないだろう。

「オーライ、オーライ!」
 夜の工事現場で、陽介はクレーン車を誘導していた。
 バンドの仕事がない以上、アルバイトをして生活費を稼ぐしかない。しかも、いつバンドの仕事が入っても良いように、
時間に拘束されるような仕事はできない。
 単発でそれなりの収入が得られるものとなると、どうしても、きついアルバイトが中心になる。
 すぐ横で鼻歌が聞こえた。清香の曲だと気づいて振り返ると、先輩の作業員が鉄製の建築資材をワイヤーで束ねて
いた。ルーズな仕事ぶりで、いつも現場監督に叱られている作業員だ。
「Kiss Kiss KIss me more…」
 清香の曲を口ずさむ作業員。
 時計を見ると、ライブの開演から30分ほど経っている。陽介は自然とライブの様子を想像してしまう。
 今夜の過激な演出は,ユウキから逐一聞かされていた。
 ユウキと全裸で抱き合う清香の姿が脳裏に浮かぶ。大きく開いた清香の脚の間にユウキの身体が割り込み、濡れた
陰部にユウキの肉棒が挿入される。
 ジリジリと身を焼かれるような焦燥感を鎮めようと,陽介は大きくため息をついた。

 バンドメンバーによるインストゥルメンタルが終わって、ステージに登場した清香の衣装は、紺のブレザーにチェックの
スカートだった。先週から、高校の軽音楽部を舞台にした清香主演のドラマが始まっている。その主人公が着ている制
服だ。
 ユウキがギターを差し出す。レッドサンバーストのギブソン・レス・ポール。ドラマのヒロインがバイトで買った愛用のギ
ターだ。
「カナちゃーん!」
 ギターを抱えた清香に、観客からドラマの役名で声援が飛ぶ。
「カワイイーっ!」
 「明るく元気な女の子」という役柄そのままにガッツポーズを見せた清香が、ギターでイントロのリフを弾く。
 歓声とともに、ノリの良いロックナンバーが始まった。今週のヒットチャートで初登場1位をマークしているドラマの主題
歌…、ここからが、今夜のライブのクライマックスだ。ライブハウスでの演奏というシチュエーションが、ドラマの設定とダ
ブる。
 ドラマの挿入歌に交えて、清香自身のヒット曲が立て続けにメドレーで演奏される。スカートの裾が捲れ、パンティがチ
ラチラ見える。そんなことなど気にもせず、清香はステージ上で激しく歌い、踊った。
「暑いから脱ぎまーす!」
 MCでそう叫び、脱いだブレザーを客席に投げると、次の曲が始まった。リボンを外して投げ、ソックスを投げ、着てい
るものを一枚ずつ脱ぎながら歌う清香。1コーラスが終わった時には、ブラウスを脱ぎ捨て、間奏のギターソロが終わっ
た時にはブラジャーとパンティだけになっていた。下着姿でギターを抱えて歌う姿に、ホールは興奮のるつぼと化した。
「最後の曲です!KIss me more!」
 タイトルをコールしながら、清香がブラジャーを外す。初々しい乳房がこぼれ出る。ストラップで隠れない右の乳房を腕
で庇うようにしながら、マイクを手に歌う。
 曲がエンディングに入る。清香はパンティの両端に手をかけた。次の瞬間、客席に丸まった小さな布が投げ込まれ
る。
 下腹部はちょうどギターで隠れているが、剥き出しになった腰がなまめかしい。
 ユウキのギターが最後のフレーズを奏でる。ギターをかき鳴らしながら、清香がくるっと後ろを向いた。
「おおーっ!」
 ひときわ大きな歓声があがる。キュッと引き締まったお尻が剥き出しになり、観客の視線を引き付ける。ゆで卵のよう
な光沢を放つ白い双臀だ。
 清香がステージ上でジャンプし、舞台が暗転する。
「ありがとう、バイバイ!」
 手を振って楽屋に戻る清香。しかし、お楽しみはまだまだこれからなのだ。

(「アイドル」風見清香は、卒業になっちゃうかな…)
 休憩時間、清香の持たせてくれた弁当を食べながら、陽介は考えた。
 「交際宣言」をすれば、清香がトップ・アイドルとして活動する芽を摘んでしまうかもしれないと思うと、そう簡単に「宣
言」してしまって良いものかとの思いが頭をもたげてくる。
 しかし、清香の笑顔を思い出すと、それで良いのだとも思う。さっきから、その二つの思いの間で気持ちが揺れ動いて
いた。
 その時、携帯が鳴って、ユウキからのメールが着信した。
 メールを見ずに携帯の電源を切り、陽介の気持ちは決まった。これ以上、清香に「羞恥アイドル」を続けさせる必要は
ない。
(一緒にバンド活動をしよう、小さなホールでいいから、いい音楽を楽しみに来てくれるお客さんに聴かせるんだ…)
「休憩時間終了だ!仕事に戻れ!」
 現場監督の声が響く。陽介は晴れ晴れとした顔で立ち上がった。

 アンコールの拍手に迎えられて清香が登場した。全裸でギターを抱えた姿のままだ。ここからがシークレット・ライブと
なる。
「カウントダウンコンサートに来ていただいたお客さんは、どのぐらいいらっしゃいますか?」
「行ったよーっ!」
 歓声とともに、3分の2程度の観客が手を上げる。
「私…、そこで…、えーと、ロストバージンしました…」
 恥ずかしそうに言う清香に、客席から声援が飛ぶ。
「大勢の人の前でエッチするのはとっても恥ずかしかったし、…ちょっと痛かったですけど、これで大人になって、表現
の幅も広がるかなって思って、我慢しました…」
「可愛かったよーっ!」
 清香が俯き、ファンの声が飛ぶ。
「その時のことを歌にしました。聞いてください、『初めて…』」
 ミキサー席でMCを聞いていた土本の目に剣呑な色が映った。その時が「初めて」でなかったことは、もはや彼の中で
は確信になっていた。

 優しく抱いて、初めてなのよ…
 大人になる瞬間を、あなたにあげる

 ステージ脇のモニターにカウントダウンコンサートの時の映像が映る。
 「最初の男」を引き当てた幸運なファンが、清香の肉孔をさぐりあて、ゆっくりと腰を進める。狭いとば口を突破した肉
棒が、からみつく肉襞を押し広げて、柔らかい内部に潜り込む。
 ステージの清香を見つめて、土本は大きくため息をついた。
 土本の中で清香への思いは屈折したものになっていた。自分を裏切った清香と陽介が憎く、清香の身体を汚すため
に、ユウキやバンドのメンバーに抱かせ、枕営業でVIPたちに犯させているのだが、その度に自分が汚されているよう
な、苦しく切ない思いに身を焦がしているのだ。

 私の中にあなたがいるの
 動かないで抱いていて

 間奏に入ると、清香はギターをスタンドに置き、ステージの最前列に進み出た。そのまましばらくは、両手で胸と下腹
部を隠していたが、ついに両手を後ろに回して組んだ。汗びっしょりの清香の裸体が、ステージの照明を反射してキラ
キラと輝いている。
 清香の顔に羞恥の色が浮かび、全身がみるみるうちにピンクに染まっていく。
(ああ、見られてる…、恥ずかしい、恥ずかしいのに、でも…)
 ホールを埋め尽くした観客の視線を一身に集めて、湧き上がる羞恥心とともに、ゾクゾクする感覚があった。そもそも
「見られる快感」はアイドルを大成させる一種のエネルギーであり、麻薬のようなものでもある。
 清香はつんと胸を張ると、ぎこちなく両脚を肩幅より大きく開いた。淡い茂みの奥から桃色の花弁が顔をのぞかせ、
最前列の客席からは、硬く充血した花芯がニュッと上を向いて突き出しているのが見えた。
 観客たちは生唾を飲み込んで、清香の下腹をくいいるように見つめている。
(私の身体…、ヘンなの?)
 淫らな液が亀裂から溢れ出し、太腿を伝わっていく。認めたくはなかったが、それはある種の快感だった。
「ここで、バンドのメンバーを紹介します。ドラムス、空野光一…」
 紹介されると、得意のフレーズを聞かせるというのがよくある演出だが、今夜のステージは違った。
 空野は紹介されるとドラム台を降りて清香の背後に立ち、彼女の胸の膨らみを大きくゆっくり揉みしだいた。
「キーボード、五十嵐TOSHI…」
 空野と並んで立った五十嵐は、清香の腰から臀部に掌を這わせ、空野と二人で身体あらゆる所を撫で回す。
「ベース、諄クン…」
 陽介に勝ってメンバーになったベーシストは、清香の前に座り、ちょうど目の前にきた恥丘を掌で包むようにして愛撫
する。すでに愛液で十分潤っている秘孔に指を差し込まれ、思わず清香の口から喘ぎ声が漏れた。
「そして、バンドリーダー、ギターのユウキ…」
 近づいてきたユウキは、なだらかな清香の肩に手を置き、キスをした。陽介に対する罪悪感を感じて、清香は反射的
に拒むが、ユウキの舌はものともせず、清香の唇を割って、強引に口の中に入ってくる。
「ウ、フンンン…ウ、フンンンン」
 二人は、熱い吐息を漏らしながら、観客が見つめる中で濃厚なディープキスを交わす。
 他のメンバーが楽器の所に戻り、ロマンチックなバラードを奏で始めた。
 ユウキがスパッツを脱ぎ、下半身を剥き出しにする。清香は、陽介の前に跪くと、いきりたった硬直を握りしめ、おず
おずとしごきだす。指のなかで、反り返った肉棒がますます膨れあがり、清香は喘ぐような甘い息をこぼした。
 先端にキスをして、ヌルヌルした腺液を吸い、鈴口を舌先で小刻みに刺激する。
 ユウキは、フェラチオシーンが観客によく見えるようにと、清香の髪を掻き上げる。指の動きに調子を合わせ、頬をへ
こませ、ちょっと唇を突き出して肉棒を頬張る表情が、なんとも悩ましい。マイクを近づけると、ジュポジュポという、淫ら
な唾音がホールに響いた。
 ペニスが十分硬くなると、ユウキはステージに仰向けになった。
 清香は焦らすように、シーンと静まり返った客席を見渡す。
(なにしてるの、私…、みんなが見てる前で…)
 ふと、我に返って、顔から火が出そうな思いにかられる。これでは、コンサートではなく、ストリップの本番ショーだ。
 躊躇いの視線を向けた先に、これまでにない厳しい表情を浮かべた土本の姿があった。
 ここで逃げることは許されない。最近の土本はこれまで以上に、妥協のない恥ずかしい演出を清香に求めてくる。清
香の方も、陽介のこともあり、これまで以上に土本に従わざるを得なくなっていた。
 清香は覚悟を決めて、ユウキの腰のあたりを跨いで立った。そして、濡れた陰部を、仰向けで待ち構えるユウキの亀
頭に押し当てる。
「あっ、あぁん…」
 清香は目を閉じ、小さくわなないた。長い睫が震える。
 両脚をM字型に開き、ゆっくりと腰を降ろしていく。そそり立つユウキの肉棒が、ぐっしょり濡れた肉襞を押し分けて、
クレヴァスに侵入した。ピンクの秘唇の中に、生々しいユウキのペニスがずっぽりおさまっている姿が、観客の眼前に
迫った。



 ドラムがゆっくりしたリズムを刻み始め、それに合わせて清香が腰を上下させる。
「あんっ、くふぅ…」
 清香が身悶えた。形の良いバストがブルンと揺れ、汗を含んだ髪が頬に貼り着く。
「ああん、くぅう…」
 清香の甘い喘ぎが熱いため息とともに吐き出される。観客の視線を浴びながら、リズミカルに腰を動かし、クチャクチ
ャと淫らな音を股間から響かせる。
(こんな恥ずかしい姿…、いやっ、でも…、もっと見て…欲しい…)
 清香が見られる快感にとまどっていると、ユウキが交接部分をさぐり、肉棒で押しひしがれたクリトリスを弄り始めた。
「あうゥゥ!」
 清香の反応がいちだんと激しいものに変わった。可憐な少女がこんな声を出すのかと思うくらいの、悩殺的な喘ぎが
つづけざまにこぼれ出る。マイクを通してホールに響くその声は、それだけで観客たちを射精させるのに十分だった。
 こみあげてくる官能の波を全身に受け止め、清香は羞恥と快楽の嵐に身を委ねた。
「あぁん…、いい、いかせてっ…」
 悦楽に酔った清香の口から妖しい言葉が飛び出す。カリ高の亀頭がグリグリと膣の奥をえぐる。
「あはっ、ああ、あはぁ…」
 清香の息が荒くなってきた。
 清香が膣口を力いっぱい締めつけ、ユウキの男根をギュッギュッと責め上げる。
「い、いいの…いっ、イク…、清香、い、いきます…」

 その夜、関東地方を地震が襲った。規模はそれほど大きなものではなかった。熱いライブが繰り広げられていた「St
ormy」では、清香たちも観客も誰ひとり気づかない程度の揺れだった。
 しかし、その小さな揺れが、重大な被害を生み出した場所があった。
 グラッと小さな揺れがあった瞬間、クレーンが持ち上げた資材を括りつけているワイヤが緩んだ。バランスを崩した資
材がゆっくりとワイヤの間を滑っていく。
「危ないっ!」
 どこかで叫び声がした。
 それが、陽介がこの世で聞いた最後の声になった。



 
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