第8話 呪いはとけるか?


「あいつ、絶対に許さへんで!」
 ヒデが頭から湯気を出しそうな勢いで怒っている。
「でも、相手は大御所だよ」
 ポンが情けない声でそう言い、ヒデに睨まれる。
 レインドロップスの面々は、マスタード・ジャムから、西郷が汐理を性奴隷扱いしていることを聞き、憤慨するとともに、
なんとか汐理を救いたいと考えるようになったのだ。
「ほんなら、このままにしとけ言うんか!」
 そこに西郷がいるかのようにポンを睨みつけるヒデに、ポンは首を横に振って見せる。
「そりゃあ、僕だってなんとかしたいけど…、ヒデはどうしようと思ってるの」
 問い返されて、ヒデも言葉に詰まる。
「どうするて、それは…、そやからやなぁ…、とにかく許されへんのや!」
「でも、相手は…」
 漫才のネタのように、何度も同じ会話を繰り返す二人。
「だから、知恵を絞る必要があるんだ」
 リーダーのケンジが腕を組んでそう言った。

「犬塚さん、どこに行っちゃったんだろうね…」
 泡だらけの汐理の背中を手で撫で洗いしながら、共演者の井上紀之がしみじみと言った。四つん這いの汐理が顔を
あげて、何か言いたげに井上の顔を見つめる。
 もどかしげなその表情をカメラがアップでとらえた。ドラマ「ドッグライフ」最終回の撮影である。
 井上扮する敏哉は、行方不明になった同級生、犬塚杏奈を必死で探していた。杏奈は呪いで犬に変えられ、敏哉に
飼われることになったのだが、もちろん、敏哉はそんなことは知らない。
 一方、杏奈は、敏哉と一緒に生活するうちに、彼の強さや優しさに触れ、彼にひかれるようになっていた。
 最終回は、浴室で敏哉が犬になった杏奈の身体を洗いながら、これまでに得た杏奈失踪の手掛かりを思い返すシー
ンから撮影が始まった。
 芸能界を引退しようという汐理の決意は、ほぼ八割方固まっていた。それでも撮影にやってきたのは、どんな仕事で
も途中で投げ出してはいけないと思ったからだ。
 もちろん、ドラマを見てくれるファンを失望させ、スタッフや多くの関係者に迷惑をかけるのが申し訳ないとの思いもあ
る。しかし、それ以上に、たとえ、こんな恥ずかしいドラマでも、自分がやめてしまえば、永遠に物語は完結しない。それ
自身が、何故か罪深いことのような気がするのだ。
 背中を洗い終わった井上は、掌にボディーソープを足して、その手を汐理の胸に回した。汐理の顔がみるみるうちに
真っ赤になっていく。
 井上は汐理の胸の膨らみを撫で、僅かに圧力を加えて遠慮がちに乳房を揉む。石鹸でヌルヌルした手の動きに合わ
せて、汐理はくすぐったそうに首をすくめる。
 その様子を暫く眺めていた西郷がカメラを止めて、二人に近づいてきた。
「何をチンタラやってるんだ!」
 西郷がドスの聞いた声で言う。
 「ドッグライフ」は世間的には、俳優西郷公彦が初めてメガホンを取る作品だとの触れ込みになっている。しかし、実
際のところは、普通の演技の部分は専門の演出家に任せ、セクシャルな部分のみを西郷が演技指導しているのだ。
 ただ、西郷の演技指導は、むしろ撮影に名を借りて汐理の身体を弄ぶことに主眼があり、結局、過激すぎて放送では
カットされることが多い。NGテイクは、全て西郷のコレクションとなり、汐理を嬲る際の道具に使われる。
「よく見てろ、こうするんだ」
 西郷が乳房を揉みしだくようにして洗う。掌の中で柔肉が形を歪ませる。老練な西郷の愛撫はバラエティー豊かで、
少女の体に耐え切れない快感を与えた。
「あぁ…、あぁん…」
 思わず汐理の口から呻き声が洩れる。西郷の手は尖りだした乳首を摘み、コリコリと転がしては、砲弾型になった乳
房を強く揉む。
「わかったか、紀之?」
「はい!」
 井上が直立不動で返事をした。彼は西郷を親分と仰ぐ若手タレントの一人であり、それ故に、このドラマの共演に指
名されたのだ。
「よし、汐理、今度はお尻をこっちに向けろ」
 西郷の指示が飛ぶ。
「えっ…」
 汐理は躊躇った。全身を撫で洗いされたことで、少しずつ高められてきた官能の源泉は、すっかり濡れてしまってい
る。それを男たちに知られるのは、たまらなく恥ずかしい。
「ほら、早く!」
 叱りつける西郷の声に、汐理は四つん這いのまま、折り曲げた足の膝から下を使って身体の向きを変えた。
 井上と西郷の目の前に、泡にまみれた女陰が露わになった。小さめの膨らみの間から、ピンク色の花びらが顔を覗
かせている。
 西郷は汐理の花弁を指で軽く嬲る。中の粘膜を露出させると、汐理が身体をぴくっと反応させた。
「小さめのだけど、きれいなオ××コですね」
「そうだろう。ちょっと触ってみろ」
 西郷に促されて、井上が手を伸ばす。
「ヌルヌルしてますね、ここ…」
 人差し指を潜り込ませると、ねっとりした愛液が指に纏わりついてきた。指ですくうと、股間と指が粘り気のある糸を引
く。
「ああ、気持ち良くなって濡らしたんだろう」
 二人があれこれ品評しながら性器を弄っている間、顔を真っ赤にした汐理は、下を向いたままじっとしている。
 西郷が汐理の秘孔に指を深く潜らせた。
「…はあっ、んっ…」
 汐理が腰をくねらせた。西郷は肉土手をすっぽり掌で包み、指を2本に入れて蜜壷をこねまわす。
「どうだ?こうやって洗ってもらうと、気持ちいいだろ?」
「はぁ…、はぁ…、き…気持ち…いい…です…」
 クチャックチャッと音をたてながら、指の動きを早くすると、汐理がハアハアと息を弾ませた。
 撮影が再開された。
 これも役得とばかりに、井上の手の動きは遠慮がなくなり、もはや愛撫そのものであった。股間に忍び込んだ指は激
しく膣に出入りし、胸を触る手は乳首を摘み捻る。
(うう、うっ…。だ、ダメぇ…。そんなにされたら…、変になっちゃう…)
 声を押し殺して身悶えする汐理の呼吸が次第に荒くなり、身体は小刻みに震え続けている。
 井上の指先が、汐理のクリトリスに触った。
「あっ、いっ、いや…」
 思わず汐理は声を上げてしまった。身体の中を電気が流れたような気がした。井上は石鹸のついた指先で、敏感な
芽を容赦なくコリコリと転がした。
「はあぁぁっ…」
 汐理の身体が突っ張り、ビクンと大きく震える。どうやら、またNGテイクのようだと、スタッフたちが苦笑いした。


 敏哉は杏奈の足取りを追ううちに、呪いがかけられたパソコンにたどり着く。
 スイッチを入れ、パソコンを立ち上げると、画面に文字が表示された。
「何だこれ? レナニヌイグスマイ?」
 敏哉はうっかりその言葉を読み上げてしまう。
 敏哉の姿が消え、そこには、黒い犬の姿があった。


 その日の撮影が終わった。
 西郷は珍しく、一人で放送局を出て、近くのホテルのロビーにやってきた。
 ロビーに立っていた男が手を上げて、西郷を招く。待ち合わせの相手は、一見して堅気に見えない「その筋」の男だ。
「本当に、ヤバイ筋とつながってるんだな…」
 柱のかげでポンが呟いた。西郷の弱みを握ろうと、芸人仲間が協力しあって、彼の尾行を始めたのだ。今日は、ちょ
うどレインドロップスの当番だった。
「そやけど、ヤーさんとつるんでると言うても、そんな奴いっぱいおるから、インパクトがあれへんで…」
 ヒデが答える。
 暴力団とつきあいがあるというのは、確かに社会的には問題がある。ただ、興行と裏社会のつながりは歴史的なもの
でもある。近代化が進んだ今日でも、しがらみを断ち切れない業界人たちが存在するのも、また事実なのだ。そうした
芸能界の風土のもとで、西郷のような大物となれば、暴力団とのつながりだけでは大きなダメージにはならない。
 男がさりげない風を装って、西郷に小さな鞄を渡した時、男の携帯が鳴った。
「お前か…、わかってるやろな、次の期限には耳、揃えて返せよ…」
 借金の取り立てだろうか、男がドスの効いた声で喋る。相手の反応が芳しくなかったのだろう。その表情が見る見る
剣呑なものになっていく。
「なめとるんやないで、一回待ったったやろうが!」
 肉食獣そのものの怒声に、立ち聞きしているレインドロップスでさえ震え上がった。電話の主はさぞかし恐ろしい思い
をしているだろう。
「ごちゃごちゃ抜かすな!そうや、昔のコネで火山朱美でも攫ろてきたらどうや?いろいろ商売になるんちゃうか」
 脅し付けるようにそう言って、男が携帯を切った。
「火山朱美って、アイドルのか…」
 芸能人の名前に関心を示して、西郷が尋ねる。
「あんたには関係あらへん」
 男にピシリと言われて、さすがの西郷も口を閉ざした。 
「先生…」
 その時、若いミュージシャン風の男が、西郷に近づいて来た。
「これだ…」
 西郷は短くそう言って、若い男に鞄を手渡した。一緒にいる「その筋」の男から受け取った鞄である。鞄を受け取る
と、若い男は、そそくさとその場を去った。
「あれは?」
 男が顎をしゃくって尋ねる。
「ユウキってギタリストなんだがね、最近、ちょっと使ってるんだ」
「売人か?」
「まあ、そんなとこだな」
「ふーん…、まあ、足がつかんようにせいよ…」
 男が鋭い目付きで西郷を見た。
 その様子にピンときたケンジは、その場にポンを残して、ヒデと一緒にユウキを尾行することにした。
 人目につかない場所に来たユウキは、受け取った鞄の中身を確認し、そこから何かを取り出した。小さなビニル包み
に入った白い結晶である。
「おい、これは…」
 ヒデが驚いた表情でユウキを見つめている。
「うん、使えるな…」
 そう言うと、ケンジはニヤリと笑った。
 
 犬となった敏哉は、自分の飼い犬が杏奈であることを知った。二人は犬として一緒に生きる覚悟を決め、杏奈は敏哉
の愛を受け入れる。
 しかし、二人は結ばれた途端、人間に戻る。他人の愛を受け入れることが呪いを解くカギだったのだ。人間に戻った
二人の交際が始まり、ハッピーエンドで物語は終わる。
 翌日、杏奈と敏哉のラブシーンの撮影が行われた。犬になった二人が、夕暮れの草原でたわむれ、交尾するのであ
る。
 汐理と井上はふざけあいながら、全裸で草原を駆け回る。不思議といやらしい雰囲気はなく、青春ドラマのすがすが
しい映像に仕上がっていく。最後に修正をかければ、十分にテレビで放送できるだろう。職人気質の演出者は満足そう
だが、西郷はつまらなそうな表情で汐理を目で追っている。
 そして、いよいよ交尾のシーンだ。
 草むらで汐理が犬のように四つん這いになる。井上が後背位の態勢になり、目の前に掲げられたお尻を両手で左右
に割った。勃起した一物を彼女の陰部にあてがう。
 汐理の腰をしっかり押さえ、井上は腰をクイッと前に出す。そそり立つ肉棒の先が、ヌルッと汐理の割れ目を滑りなが
ら、少しだけ入った。
「あぁん…」
 汐理の秘孔を井上の怒張が押し開いていく。
 根元まで埋め込んだ井上は、汐理の腰を掴み、怒張の抜き差しを始める。
「ああっ!」
 汐理が喘いだ。グチョッ、グチョッと音を立て、肉棒が蜜壷を出入りする。3台のテレビカメラがそれを撮影していく。
 井上は腰の動きを早めて、一気に責め立てた。井上の下腹が汐理の恥丘にぶつかる。
「あン…あン…あンっ…」
 井上の腰の動きに、汐理の口から声が漏れる。
 汐理も井上の動きに合わせ、左右に前後にとクネクネ腰を振っている。演技に入り込もうという意識で性交をしている
うちに、どうやら役になりきって、本当の恋人とのセックスを演じているようだ。
「あはん…、いい…、もっと強く…、もっと奥に…」
 汐理の夢中で漏らす声が聞こえた。途端に、西郷はムッとした表情で立ち上がる。
「よし、紀之、そこまでだ。後は、俺がやる」
「えーっ、そんな…」
 これからというところで、中断させられた井上が、さすがに非難がましい目で西郷を見上げ、情けない声をあげる。
「汐理の中に入れられただけで、ありがたいと思え」
 吐き捨てるようにそう言うと、西郷は素早く着ているものを脱いだ。
 再びカメラが回り、名残惜しそうに肉棒を抜いた井上に代わって、西郷の怒張が汐理の亀裂を割り裂いていた。
「ああ、いっ、いい…、ああ…」
 汐理が腰を揺すり怒張を飲み込んでいく。
 西郷はニヤっと薄笑いを浮かべ、一気に怒張を押し込むと、規則的に腰を振り立て、シャフトを繰り出していく。汐理
の柔らかな尻肉がパンパンと音を立てる。
 カメラマンが、当惑した表情でディレクターを見る。どう見ても西郷の身体は、若者の身体には見えない。仕方なく、カ
メラは汐理の姿を中心に、なるべく西郷の身体が映らないよう撮影を続けた。



「ここが感じるんだ、汐理はな…」
 腰を捻って、膣奥の性感帯を擦るようにしながら、自分の女だとアピールするかのように西郷が言った。
「あん、あんっ、あああん…」
 汐理が頭を仰け反らし、歓喜の声を上げた。ゾクゾクするような艶めかしさだ。二人の性交を見ながら、仕方なく右手
で肉棒を擦っていた井上が、草むらに精液を飛ばした。
「い、いいっ、ああ…」
 汐理の爪先が曲がり、腰がピクピクと痙攣し始めた。膣は西郷の怒張をギュッ、ギュッと締め上げている。身体中が、
絶頂が近いことを告げていた。
「…いっ…いい…、いくぅ…」
 汐理が無意識にアクメの声をあげ、背中がガクガクッと震えた。スタッフの一人がため息を漏らした。これも放送され
ないテイクになりそうな気配が濃厚だ。
 汐理の「呪い」はとけるのだろうか?



 
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