国防省附属「星園・癒しの館」
 
第7章 遥かなる思い 5

 
「今から後夜祭を始めます、参加者は校庭に集まってください。」
 秋の日がつるべ落としに暮れると、校内放送が流れ、女生徒も訪問客も校庭に出た。
 校庭の中央に組まれたキャンプファイアーが点火され、火が大きく燃え上がる。朝礼台に生徒会長の亜弓が上り、閉
会のあいさつを始めた。来賓や招待客にお礼の言葉を述べたあと、彼女は言葉を続けた。
「この機会に、文化祭においでいただいた皆さんに知っていただきたいことがあります。それは、この『癒しの館』は崇
高な愛国思想に基づいた大和撫子たちの学び舎だということです。」
 よく通る凜とした声は、知らず知らずのうちに聞く者の背筋を伸ばさせる。
「私たちは普通の女の子です。人に裸を見られるのは死ぬほど恥ずかしいし、セックスは自分の好きな人とだけしたい
です。でも、世の中には、自分の命や身体よりも大切なものがあり、そのためには全てを投げ打たなければならないこ
とがあります。」
 校庭が静まり返って、亜弓の演説に聞き入った。弁論大会で優勝したことのある説得力のある口調は変わらない。し
かし、語る内容は180度変わってしまっている。そのことを一番理解し、痛みを感じているのは、何より亜弓自身だっ
た。
「それは、国家であり、公の利益です。改正教育法は、それを教えていますが、私たちは日々の慰安業務の中で、身を
持ってそれを学んでいるのです。」
 校庭に拍手とバンザイの声が響き渡った。朝礼台の下で、諸藤館長が満足そうに頷く。亜弓の喋っている内容は、全
て彼の作文である。自分の書いた原稿で亜弓に演説させること、それは、精神的なレイプの一種であり、諸藤にとって
は快感であった。
「それでは、恒例のフォークダンスを行います。」
 それまでの演説口調から、ぐっと柔らかい口調になって、亜弓が説明を続けた。
「私たちは、お国のために働いていらっしゃる皆さんに身も心も捧げる慰安嬢になりました。そこで、フォークダンスの振
り付けも、私たちにふさわしいものに変えることにしました。」
 亜弓の合図で、由香が朝礼台に上った。
 多くの招待客が、何が始まるのだろうと見つめている前で、由香はパンティを脱ぎ捨てた。
「皆さんにお送りした招待状の番号をご覧ください。番号28番の方、前に出て来て、朝礼台に上ってください。」
 亜弓に呼ばれて、照れ臭そうにニヤニヤ笑いながら前に出て来たのは、港特別区自治会の広山だ。由香の表情が
強ばる。模擬店で女体盛になった時の恥辱が、まざまざとよみがえってくる。
「由香ちゃん、昼間は楽しませてもらったよ…」
 朝礼台に上がってくるなり、卑猥な笑みを浮かべて広山が言った。由香は聞こえないふりをして、うつむいていた。
「まず、準備をしてください。」
 亜弓が指示をする。由香は広山の前に跪くと、ズボンのチャックを下げ、ペニスを取り出した。そして、柔らかな手で
それをしごき始めた。気持ち良さそうな表情を浮かべる広山。肉棒がみるみる勃起していく。
「それでは始めます。」
 亜弓がそう言うと、スピーカーから音楽が流れた。フォークソングの定番、オクラホマミキサーだ。
 由香は四つん這いになって尻を高く上げた。そこに広山が膝立ちになる。
 4拍分、そのまま曲を聞き、次の一拍で由香は広山の物を自分の性器に導いて挿入させた。そして、曲に合わせて
腰を振る。
「いち…、に…、さん…、し…、いち…、に…、さん…、し…」
 亜弓が号令をかける。それに合わせて広山も腰を動かした。しばらくそれが続いた後、由香は男の陰茎を抜いて少し
横に動き、最初と同じように四つん這いで尻を上げる。
「ここで、パートナーを交替します。」
「えーっ、もう終わりかぁ!」
 広山が不満そうな声をあげ、校庭が爆笑に包まれた。

 かつて生活指導部が、生徒と面談する時に使っていた小部屋。「反省室」と呼ばれていたその部屋で、一人の男が椅
子に縛り付けられていた。激しい暴力を受けたらしく、ぐったりした男の顔は腫れ上り、目尻や口元から血が流れてい
る。
 ドアが開き、二人の男が入ってきた。一人は背広を着た痩せた男、もう一人は通報を受けてやってきた防衛隊の憲
兵だ。
「岩田先生、ご気分はいかがですかな?」
 顔を上げた岩田は、冷笑を浮かべる背広姿の男を見て、怒りの表情を露わにした。
「前川先生…、あなたという人は!」
「元教師たちの中で、反逆に加担したのが誰かは、ほぼ特定ができました。私が直接知っている人たちの他に、ファイ
ルを手にいれてからも、先生たちの動向を徹底的に調べさせていただきましたからね。」
 得意げな表情で言う前川の顔を、岩田は無言のまま睨みつけた。
「しかし、一つだけわからないのです。生徒たちの中に協力者がいますね。」
「いるもんか…、あの子たちは…、それどころじゃない…」
 生徒達の地獄のような生活が脳裏をよぎるのか、とぎれとぎれにそう言う岩田の声は、悲痛な響きを帯びている。
「嘘をついても駄目です。あの報告書は、慰安嬢の協力者がいないと書けない内容を含んでいる。」
「………。」
「我々が真っ先に疑ったのは生徒会長の森脇ですが、どうも彼女ではなさそうだ。どうです、教えてくれませんか?」
「生徒を売れと言うのか、前川、あんた、それでも教育者か?」
 岩田は前川を激しく詰ったが、前川はひるまなかった。
 生徒から慕われ、保護者や同僚の信望が厚く、校長や教頭からも一目置かれる「教師の中の教師」。正反対の前川
にとって、そんな岩田は、妬ましく、疎ましい存在でしかなかった。それが、時代が変って、立場が逆転したのだ。前川
は、初めて岩田の目を正面から見て、まくしたてた。
「教育者だからこそ、こう申し上げているんです!いいですか、今の教育法は『愛国者を育てる』ことが教育の目的にな
っているのです。国の政策に逆らうような反愛国的な生徒は、厳しく処罰しなければなりません。それが教育です!」
「違う!教育とは、教師の努力で、生徒の学ぶ力を引き出すことだ。主権者として、社会の中で主人公として生きて行く
力を身につけさせることだ!」
「それは、改正される前の教育法だ。そんな教育法だったから、個人主義がはびこり、生徒が教師を馬鹿にし、いじめ
や非行、少年犯罪や自殺が増えたんだ。今は、教育の内容を国が細かく定め、国のために命を投げ出す国民を育て
ることが、教育なのだ。」
「違う!」
 激しいやりとりの末、前川はポツリと呟いた。
「…では、あなたは、あなたの教育観に殉じればいい…」

「…オチ×チ×が勃起していない時は、大きくなるまでフェラチオします。その時も音楽にあわせてリズミカルに…」
 亜弓が説明を続けている。那須信彦は、吹奏楽部の演奏を見たショックを引きずったまま、なすすべもなくその様子
を見ていた。
「では、男性の参加者を選びます。ブルーのリボンをつけていらっしゃる来賓のみなさんは、希望者全員が参加してい
ただけます。その他の方を抽選で選びますので、招待券の番号をご覧ください…」
 亜弓がくじを引きながら番号を読み上げ、その都度、拍手や歓声があがる。
 茉莉もこれから、淫らなフォークダンスをし、次々に男たちに犯されるのだ、そう考えただけで、信彦の胸に怒りとも悲
しみともつかない激情が込み上げてくる。
「あのファイルは、いろいろ役に立つよ。」
 いきなり耳元でそう言われて、信彦は後ろを振り返った。そこには、滝川が立っていた。
「おかげで、反愛国者を一網打尽にするきっかけができた。」
「………。」
 信彦は無言のままだった。自分は、とんでもない間違いをしたのかもしれない、そんな考えが鎌首をもたげようとする
のを、必死で抑え込んでいるのだ。
「ご褒美に、これをあげることにしよう。」
 にこやかな顔でそう言うと、滝川は信彦の胸にブルーのリボンをつけた。
「おーい、ここにも参加者がいるぞ!」
 滝川が声をあげると、一人の慰安嬢が近づいて来た。
「さあ、こっちへおいでください…」
 そう言って、信彦の腕を掴んだのは、3年生の浜本明日菜だ。
「ちょ、ちょっと、待って…」
 淫らなフォークダンスに参加することなど、考えもしなかった信彦は、うろたえた声をあげる。
「ふふふ…、あなた、まだ若そうね。国防士官学校の学生かしら?さあ、おいでください。」
 明日菜がいたずらっぽく笑った。慰安嬢としての生活を受け入れようと腹を決めた明日菜だが、同じ相手にするなら、
エロ親父よりは、若い士官候補生の方が良い。
 抵抗を示しながらも、明日菜に引っ張られるようにして、信彦はファイヤーの方へ歩いていった。

 60人の女生徒がキャンプファイヤーの回りに輪を作り、その外側に、選ばれた60人の男たちが輪を作る。
「では、準備をしてください。」
 亜弓が言うと、女生徒たちは一斉にパンティを脱いで、火の中へ投げ入れた。そして、ペアになった男の前に跪き、ペ
ニスを取り出して、しごき始める。
「さあ、気持ち良くなってくださいね…」
 明日菜がそう言いながら、細っそりした指を信彦の肉棒に絡ませた。
「ウッ!」
 思わず漏らした呻き声と同時に、陰茎がピクリと跳ね上がる。他人にペニスを触れられたのは初めてだった。次の瞬
間、先端から白い液がほとばしった。
「あら、もう出ちゃったんですか…?」
 そう言うなり、明日菜はパクッと信彦の物をくわえた。ビクンビクンと痙攣を繰り返し、信彦の肉棒は明日菜の口に精
液を吐き出し続けた。
 オクラホマミキサーが始まる。明日菜は手慣れた様子で信彦をリードし、陰茎を局部に導いた。濡れてテラテラと光る
肉棒がスルリと膣に飲み込まれる。
 明日菜はその体勢のままで、ゆっくりと腰を動かし始めた。
「うっ…」
 溶けてしまいそうな快感だった。信彦は呻き声をあげ、ガクガクと震えながら、ありったけのザーメンを噴出させた。文
字どおり、あっと言う間に果ててしまったのだ。
 それでも明日菜はパートナーチェンジまで曲に合わせて自ら腰を振り続け、信彦にウインクして見せると、次の男の
前で四つん這いになった。
 替わって、目の前でお尻を突き出している少女を見て、信彦はハッと息を飲んだ。3年生の樫村美里だった。入学し
た当初、茉莉と知り合う前に、信彦は一学年上の彼女にほのかな憧れを抱いていたことがあった。
 清楚でしっとりと落ち着いた美人の美里が、今は陰部を露出して、男の挿入を待っている。明日菜に精液を搾り取ら
れた観のあった信彦の肉棒が、再び元気を取り戻した。
 信彦は勃起した陰茎を美里の体内に挿入していく。膣口が丸く押し広がり、亀頭がくわえ込まれるような感触が伝わ
ってきた。
「あう…!」
 美里が背中をくねらせて喘ぐ。信彦は快感に突き動かされるように、徐々に腰を前後させはじめた。
「あ、あん…、ああん…!」
 美里のよがり声を聞きながら、信彦は股間をぶつけるように動き続けた。
 信彦が身体をびくっびくっと痙攣させて美里の中で達すると、美里の秘部はペニスをぎゅぎゅっときつく締め付けて、
信彦の精を搾り取った。
 数人の3年生を相手にした後、パートナーになったのは由香だった。隣に琴美がいるところをみると、このあたりに2
年生が固まっているのかもしれない。
 由香が四つん這いになる。亀頭の先に愛液のぬめりを感じて、信彦はたまらずに腰を突き出した。屹立した肉棒が、
ずぶずぶと由香の中にもぐり込んでいく。
「あっ、あっ、ああン…」
 由香の口から甘い喘ぎ声が漏れ始めた。クラスメートとのセックス。それは、罪悪感とともに異常な興奮をもたらし
た。また射精しそうになるのを、信彦は歯を食いしばって耐えた。こうしていれば、そのうち、茉莉の相手が回ってくる。
 信彦はふと、去年の後夜祭を思い出した。去年のフォークダンス、茉莉の相手が回ってくるのを、今か今かと待って
いた。手をつなぎ、一緒にフォークダンスを踊る、それを想像するだけで胸がときめいた。ところが、次に茉莉が回って
くるというところで、ダンスが終わってしまった。それがむしろ、信彦の勇気をかきたて、彼女に告白するきっかけになっ
たのだった。
 パートナーが琴美に替わった。
 信彦は仲が良かった野球部のバッテリーのことを思い出した。二人から、それぞれに琴美のことが好きだと打ち明け
られて困惑した日のことが、はるか昔のことのように思われる。
 友達に対する罪悪感からか、何度も精を吐き出したためか、信彦の男根は元気をなくして垂れ下がっている。
「じゃあ、こっちでしますね…」
 琴美は、はにかみながらそう言うと、信彦のペニスを捧げ持ち、音楽に合わせて優しく撫でながら、舌を這わせた。
「ううっ…」
 とろけるような肉感に、信彦は膝と腰をわななかせた。
 信彦の肉棒が再びムクムクと大きくなった時、パートナーが吉崎佳奈に替わった。後ろに立つと、肉の割れ目がすべ
て見える。愛液と男の精液でグチョグチョに濡れた花弁が、そして、その上にある菊座までもが、彼の目の前にさらけ
出されている。陰部から溢れた体液がキャンプファイヤーの火に照らされて光り、太股を伝っているのがわかった。
 信彦が佳奈の膣に肉棒を挿入した時、横の少女の喘ぎ声が耳に届いた。
(茉莉…)
 防衛隊の制服を着た男が犯しているのは、まぎれもなく茉莉だった。
「いっ、いい…、あっ、ああ…」
 男がリズミカルに腰を振りたてる。それに合わせて茉莉も腰を振っている。もはや信彦の目も耳も茉莉に釘付けにな
り、佳奈とつながっていることすら忘れてしまっていた。
 そして、ついにその時がやってきた。
 軽くお辞儀をした茉莉が、後ろ向きで四つん這いになり、信彦の前につるんとした剥き出しのお尻を突き出す。開い
た太股の間から、楚々とした繊毛がのぞき、ぷっくりした大陰唇が見えている。
 信彦は目の前に突き付けられた現実に愕然とした。彼が愛した純情可憐な恥ずかしがり屋の少女は、いつでもどこ
でも男に身体を差し出すよう調教された慰安嬢になってしまったのだ。
 なかなか挿入して来ない相手を不審そうに見る茉莉。すでに4小節流れている。
 信彦は決意の表情で茉莉のお尻を掴み、その陰部を貫いた。
「あっ…、ううっ…」
 茉莉が小さな呻き声を漏らした。より深い結合を求めて信彦は腰を突き上げた。肉棒が奥まで入ってゆく。キスさえし
たことのない二人が今、性器と性器でつながっている。信彦は、茉莉の温もりと感触を感じて、グッと胸が詰まりそうに
なった。
「あんっ、あんっ…」
 音楽に合わせて出し入れすると、茉莉は可愛いい声で喘ぎ始める。哀しいことに、茉莉は相手が誰だかわかっていな
い。慰安のためにあてがわれた客の一人だと思っているのだ。
「あっ…、あぁっ…、あぁぁ…」
 茉莉の喘ぎ声が裏返って掠れ、膣が肉棒をキュッキュと締め付けた。信彦は我を忘れて腰を振った。茉莉の声のトー
ンが1オクターブ上がる。
「うっ、うっ、うっ…」
「あんっ…、あんっ…、あんっ…」
 信彦と茉莉の声が重なり、身体の動きが一体化する。茉莉の肉襞に包まれたペニスが急に膨らんだような感じがし
た。信彦はもはや爆発寸前だった。もう一突きすれば…。
 そう思った瞬間、茉莉がスッと前に動き、スルッと信彦のペニスが抜けた。
「あっ、待って…!」
 思わずそう言い、追いかけようとした信彦だったが、その時、茉莉は既に他の男の前で四つん這いになり、高々と尻
を上げていた。
 白髪まじりの信彦の父親ほどの年格好の男が、茉莉のお尻を広げ、怒張を押し当てた。
「あ…、あんっ…」
 茉莉の喘ぎ声が漏れる。信彦の横で男が腰を突き上げた。男のペニスが茉莉の性器に深々と突き刺さっているのが
はっきりと見えた。
 いくら待っても挿入してこない信彦を見て、パートナーの女生徒が勃起した肉棒をくわえた。小便を漏らすように、信
彦はその口の中にほとばしる精液を噴射した。その間も、信彦の視線は隣のペアに注がれている。
「おおぅ、締め付けてくるぞ。いやらしいオ××コだな…」
 男が嬲るように言う。茉莉を犯している男の腰の動きが、だんだん大きくなっていく。それに合わせるように茉莉の喘
ぎ声もだんだんと大きくなる。
「い、いくっ、ううう…」
 茉莉が絶頂のうめき声を上げた。
「ハアハア、いく…、いくぞっ!」
 声と同時に、浅い突きを繰り返していた男根が子宮にぶち当たるほどの深い一突き放つ。男がブルッと腰を震わせ
てペニスを抜いた。ぽっかり空いた秘孔から、とろりと精液が流れ落ちた。



 男たちが交替して、あと二回りダンスが続いた後、キャンプファイヤーの周りに数台の軽トラックが止まった。例年、文
化祭の出し物で使った物を豪快に壊して積み上げてあるトラックだ。そこに無造作に積まれた物を見た時、女生徒たち
は声を失った。
 各クラブが獲得した賞状やトロフィー、野球部やサッカー部など男子が部活で使っていた用具、遠足や林間学校、修
学旅行の時のクラスの写真、みんなで作った詩集や文集…、星園高校時代の思い出の品々がガラクタでもあるかのよ
うに、トラックいっぱいに乗せられているのだ。
「…さあ、トラックに積まれた物を…」
 そこまで言って、亜弓は喉を詰まらせた。涙があふれ出し、後は言葉にならない。
「キャンプファイヤーに投げ入れなさい!」
 亜弓に替わって、そう命じたのは館長諸藤宗光だった。
「自らの手で星園高校にピリオドを打ち、国のために身も心も捧げる決意を示すのだ。諸君たちは、慰安嬢である!」
「みんな…、我慢して…」
 悲痛な亜弓の声が響く。軍で上官の命令が絶対であるように、館で館長の指示に従わないと、国家反逆罪に問われ
るかもしれないのだ。
 亜弓の心情を一番よく理解している由香が、陸上部が県大会で優勝した時のトロフィーを、燃え盛る炎の中に投げ入
れた。それは、由香が大活躍した大会だった。
 それを見て、他の女生徒たちも、泣きながら、思い出が詰まった物をキャンプファイヤーに投げ込んでいく。そこに訪
問客たちも加わり、一緒になって星園高校の思い出を燃やし始めた。
(星園高校が、燃えていく…)
 信彦は、高々と燃え上がる炎が暗闇に踊り狂うのを、ただ呆然と見つめていた。それは、本当の星園高校の終わり
だった。
 代わって今、そこにあるのは「国防省附属星園癒しの館」という異形の施設であった。

(第1部 完)
 


 
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