国防省附属「星園・癒しの館」第2部
 
第3章 砂漠の国で 1

 フサイン首都近郊の町アル=ファディルで掃討作戦が始まった。空爆に続いて、アルメイア・日本連合軍の陸上部隊
が住宅地域を駆け抜け、テロリストを捜すために散らばっていく。
 兵士たちが遺体や負傷者、車の残骸が散らばる道路を駆け抜ける。家々の窓ガラスは割れ、窓枠まで爆風でひん曲
がっている。所々、黒い煙や炎を上げている建物もあった。
 アルメイアの部隊は3人一組で掃討作戦を実施していた。「ナンバー13」と呼ばれるチームがなだれ込むように押し
入った民家では、ティーンエイジャーの娘が一人、避難のために荷物をまとめているところだった。
"私は、何もしていません…"
 少女は震える声でそう言った。長い睫毛とクッキリした大きな目の可愛い娘だ。小柄で華奢な身体と、ふっくらした頬
のラインが、まだまだ幼さを残している。
"何もしてない?"
 そう言いながら一人の兵士がニヤニヤ笑って彼女に近づき、腕を掴んで床に投げつけるように押し倒した。
"ううっ…"
 床のタイルで頭を打った少女が痛さで声を失っているうちに、兵士は彼女の体に馬乗りになった。
"いやあっ!やめてぇー…"
 少女は首を左右に振りながら必死に懇願した。その間も、兵士は彼女の服をむしり取るようにして脱がしていく。
"キャアッ!やめてっ!"
 男の手で揉みしだかれ、無残に形を変える双乳。涙で光る頬に髪が張りついている。
"ファーティマ?ファーティマ、どうしたんだ?大丈夫か…"
 少女の名前を呼ぶ父親の声、銃声、そしてドサリと何かが床に倒れる音がした。その意味するところを悟って少女が
悲痛な声をあげる。
"パパ…、パパ…、パパぁっ!"
 叫ぶ少女に馬乗りになった男がズボンとパンツを脱ぎ捨てた。ファーティマと呼ばれた少女の太腿を両手で抱え込
み、大きく広げさせる。関節がきしむ痛みに少女が顔をしかめるが、男はそんな様子など気にもとめていない。
 男は黒ずんだ男根を握り、無垢な雌蕊に狙いをつける。
"ああっ!"
 硬い先端部が入口に押し当てられた。ファーティマは恐怖に目を見開き、何とか逃れようと細い腰を浮き立たせる。
そうはさせまいと男は太腿を引き戻し、腰を突き出す。
"いや!"
 少女が叫び、長い黒髪をひるがえらせて顔を左右に振る。
"く…、きゃぁぁぁっ!!"
 決して大げさな表現でなく、本当に周囲の建物一体に響くのではないかと思われるほどの悲鳴が響き渡った。ついに
肉棒が入ってきたのだ。ファーティマは恥辱と裂けるような痛みに顔を歪め、泣き叫ぶ。男はへらへら笑い、少女の苦
悶の様子を楽しみながら、ゆっくりと腰を沈めていく。
"おい、さっさとしろよ。"
 他の兵士にせかされて、男は力強く一突き、二突きと腰を送り込んだ。
"ひっ…!いたっ…、痛っ…ひいぃっ!"
 ファーティマが脳天まで貫く激痛にのた打つ。受け入れ準備の整っていない肉襞を強引に引き裂き、傷つけながら、
アルメイア兵の巨根がずんずん埋め込まれていくのだ。
"だめ、だめえ…、だめえぇぇ…"
 ファーティマは、自分の遭っている仕打ちが信じられないという風に、首を左右に振った。今まで味わったことの無い、
秘所を内側から押し広げられる感覚に鳥肌が立つ。
"ううっ、もうやめて…"
 男の腰がゆっくり反復運動に入る。ファーティマの顔は涙と汗でグショグショだ。汚れを知らない身体に、ケダモノのよ
うに、優しさのかけらも無い怒張を出し入れされているのだ。
"ひ…くっ…、い…た…"
 痛みのあまり呼吸も止まりそうになりながら、ファーティマが消え入りそうな声を上げる。
"気持ちよすぎて声も出ねえか?"
 男は、まったく自分勝手なペースで乱暴に上下動を繰り返す。小柄な少女の身体はその度に大きく上下に動く。
"…ック…、けて…"
 ファーティマは仰け反って喉を伸ばし、虚ろな瞳を天井に這わせていた。消え入りそうだった声は消えてしまい、唇だ
けが何か言おうと動いている。
"うっ…"
 男が短い呻き声を漏らし、腰を震わせた。
"ああっ…"
 体内に精液を放たれ、ファーティマが絶望の声をあげる。
 男が立ち上がった。ファーティマの身体から抜き取られた怒張が、彼自身が吐き出した白濁液にまみれていた。処女
の証である鮮血が混じっている。
 休む間もなく、二人目の怒張がファーティマの亀裂を割り裂いていた。二人目が終わると三人目の男が来て、彼女を
レイプした。その様子を、兵士たちは交互に手にしたビデオカメラで撮影する。
"やめて、やめてえっ!"
 ビデオに気が付いたファーティマが泣き叫ぶ。その口を一人の兵士が覆った。
"誰かくるぞっ!"
 兵士の一人がそう言った時、ドアが開いて、別の3人組が入ってきた。最初の3人が緊張した表情を見せると、後か
らやってきた一人がニヤリと笑った。
"終わったか?じゃあ、次は俺たちの番だな。"

 富田は銃を片手に民家のドアを蹴破った。渋々であっても、掃討作戦部隊に配置されている以上、サボタージュなど
考えることすら不可能である。
「誰かいるかーっ!」
 いるならさっさと逃げてくれと思いながら一軒一軒、家をあたっていく。いくつ目かのドアを開けた時、部屋の中に白い
民族衣装を着た少女が一人、恐怖に目を見開いて立っていた。四角く切り取られた床板が開いている。富田は、少女
が今まさに避難しようとしていた所に、行き会わせたらしい。
(俺と同じくらいの年かな…)
 きれいな娘だった。少し太めの眉に切れ長の二重の目、すっと通った鼻筋が清楚な美しさを印象づけていた。薄く形
の良い唇がキリッと固く結ばれ、勝ち気な性格を窺わせる。富田はなんとなく、クラスメートの柴崎由香の姿を思い浮か
べた。
 部屋の中には、武器らしいものは全く見あたらない。
「さあ、早く隠れろよ!」
 富田は銃を置いて害意がないことを示すと、床の穴を指さして頷いた。言葉は通じなかったが、富田の意思は伝わっ
たらしい。少女はコクンと頷いて床の穴に潜り込んだ。
「富田っ、誰かいたのか?」
 そう叫んで駆け込んできた立花に続いて、正規の防衛隊員の一団が油断なく銃を構えて入ってくる。
「誰もいませんでした!」
 慌てて銃を拾った富田が、隊員を率いる下士官に報告する。他の隊員たちが部屋に踏み込むのを見て、心臓がドキ
ドキと脈打っていた。
「よし、次の家だ!」
 下士官が言い、立花と富田も出て行く隊員たちの後に従った。ドアを閉める間際、富田はチラリと床を見た。
(無事に逃げなよ…)
 心の中でそう呟いて、富田はその家を後にした。
 隊員たちの足音が遠ざかるのを確認して、床下から出てきた少女、サーブリーンはぽつりと呟いた。
"トミタ…"
 それが少年兵の名前らしかった。

 作戦終了が宣言された。アルメイア兵たちが捕らえた者を連れて集まってくる。
 町の中央にある広場に集められているのは若い娘ばかりだ。生き残った住民たちが不安げな様子で、建物の陰から
様子を窺っている。
"司令部に連行する。武器を隠し持ったりできないよう、全員服を脱がせて、素っ裸にしろ。"
 責任者らしき将校が命令する。広場のあちこちで悲鳴や泣き声が起こった。
 兵士に銃でこづかれ、少女が民族衣装を脱いだ。白い布がはらりと地面に落ちる。兵士はそれを軍靴で踏みつけ、
目を細めて少女を眺めていた。ほとんどの少女は民族衣装の下に西洋風の下着を着けている。ブラジャーとパンティと
いう格好になった少女に、兵士はこれまで以上に劣情をそそられた。
"グズグズするなっ!"
 兵士が銃口を突き付ける。少女がすすり泣きながら。ブラジャーを外した。ホックを外されたブラジャーが、張りのある
双乳に弾かれてはらりと地面に落ちる。
 少女は両手で胸を隠して、その場に蹲った。小さく丸まった肩が、ガクガクと震えている。
"うっ、ううっ…。も、もう許して…。だめ、わたし…、できない、脱げない…"
 震える唇から声を絞り、少女は涙を流した。
"どうした!脱がないのか!"
 兵士が強い口調でいうが、少女は蹲って泣くばかりだ。
"じゃあ、俺が脱がしてやるしかないな…"
 兵士が近づき、お尻を包むパンティに手を掛けた。
"いやあ!だめっ!"
 つるりとした双臀が剥き出しになり、少女は丸まった身体をさらに小さくした。
 人前に出る時には、女性は髪や顔までスカーフで隠さないと恥ずかしいとされる国である。そんな風習で生活している
年頃の娘が、屋外、衆人監視のもとで、一糸まとわぬ姿にされるのだ。その恥ずかしさは、想像を絶するものだろう。
 蹲って体を丸め、両手で必死に体を隠そうとする少女たちを、屈強な男達が引きずるようにして立ち上がらせ、容赦
なく後ろ手に手錠をかけていく。
 ファーティマも全裸で広場に連行されて来た。結局、十人以上の男に犯された彼女は内股で、歩きそうにフラフラして
いる。胎内に注ぎ込まれた精液が今もあふれ出して太腿を汚していたが、それを拭うことすら許されず、後ろ手に手錠
をかけられた。
「彼女たちは?」
 富田は上官にあたる吉川という防衛隊員に尋ねた。帰国した坂巻たちと違って責任感も強く、気さくな青年で、ボラン
ティア隊員たちのことをいろいろと庇ってくれている。
「アルメイアの連中は『テロリスト容疑者』だとか『暴徒』だと言っている。」
「そんなバカな、彼女たちのどこが…」
 富田は怒気を含んだ声で呟いた。どう見ても一般市民、しかも、日本で言えば女学生という年代の少女ばかりではな
いか。
「アルメイアはそう言って何千人もの人々を拘束している。今日もアル=ファディルで、治安部隊が暴徒を30人ばかり
拘束したというニュースが、さっきANCで流れていた。まあ、そういうことだ…」
 少女たちは全裸のまま、足首を鎖で一列につながれていく。手錠のせいで身体を隠すことができず、乳房もお尻も、
陰毛に覆われた下腹部も真昼の明るい陽光のもとに晒されていた。アルメイア兵たちが遠慮なく、なめ回すような視線
を浴びせている。
"さあ、行くぞ!"
 アルメイア将校の声がした。
乾燥地帯の強い日差しが照りつける中、少女たちがゆっくりと歩き出した。恥ずかしさに顔を上げることもできず、すす
り泣きながら道路を歩いていく。
 富田は、拘束された「暴徒」の中に、さっきの少女の姿がないことを確認した。
「しかし、捕虜にしても、あの扱いは酷い。」
 富田が憤慨した口調で言うのを聞いて、吉川がポツリと言った。
「これは、噂だがな…。あの娘たちは魔王の生贄だと言うんだ。」
「魔王?生贄?」
 いきなり出てきたおどろおどろしい言葉に、富田が怪訝な顔をする。吉川は声をひそめて答えた。
「アルメイア司令部に最近赴任してきた司令官がいてな。軍事的な才能は天才的だが、一種の性格破綻者で、現地人
の少女を捕らえては、自分のキャンプに連れて来させていると言う噂がある。アルメイア兵たちは、そこを『魔王の宮
殿』と呼んでいるらしい…」
 そこまで言うと、吉川は余計なことを喋ってしまったといった様子で口を噤み、哀れむような目で少女たちを見た。

 その頃、アルメイア駐屯地では、兵士たちも従軍記者たちも慌ただしい動きを見せていた。アンドリュー・グローバー
大将が司令官として赴任し、彼の指揮のもと首都攻略戦を間近に控えている。
「君がやる気を取り戻してくれて、俺もうれしいよ。」
 ジャーナリスト仲間に声をかけられ、森脇は笑顔で答えた。
「やりたいことが見つかったからね。」
 しかし、彼が今やろうとしていることは、ジャーナリストとしての仕事ではなかった。
 カメラを向ける森脇の目の前で、出撃準備をしているアルメイア兵たちの姿があった。そこにいるのは、「荒くれ部隊」
として名高いアルメイア揚陸隊第2大隊K中隊第2小隊、隊長はジョージ・ウッド少尉だ。
 忙しげに動き回る隊員たちの中に、子どものような、ひときわ小柄な姿が見える。髪を切って少年のように見せている
が、ウッド隊が連れている。「麻衣」と呼ばれる少女であることは間違いなかった。
 森脇は少女の顔を確認し、カメラに収めると、出発準備のためにプレスセンター内の宿舎に戻ることにした。アルコー
ルを断ったその足取りは、これまでになくしっかりしたものだった。

 その日の夜、星園ボランティア隊員キャンプは、お通夜のようにシーンと静まり返っていた。考えないようにしようと何
度思っても、少年たちの脳裏に、掃討作戦で殺された住民たちの死体や、泣きながら連行されていった少女たちの姿
が浮かんでくる。
 戦場では人の命も、尊厳も、ささやかな幸福も顧みられることはない。真っ先に、そして、もっとも深刻な被害を受ける
のは、老人や女性や子供といった弱い立場の人たちだ。
 そんなことを思いながら、立花は左腕をまくりあげ、肉のへこんだ部分を撫でる。今ではそれが癖になっていた。弾丸
が貫通した痕だった。もし、日本に帰れても二度とマウンドに立つことはないだろう。「黄金の左腕」と称えられたのが、
遠い昔のようだ。
「………。」
 その肩に無言で手を置いたのは、少年野球の頃からずっとバッテリーを組んできた遠山だ。
 富田が手帳のようなものを取り出し、祈りのような言葉を唱え始めた。
「…恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の
公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した…」
「何だ、それ?お経か?」
 立花が尋ねた。
「違うよ。昔の日本の憲法なんだ。弁護士をやってる叔母にもらったんだ。」
 美人で凛々しく、曲がったことが大嫌いな叔母、家族の反対を押し切って政治の世界に身を投じた叔母、志村瑞樹の
ことを、富田はずっと憧れの眼差しで見ていた。叔母からもらった「憲法前文」は、今の彼の心の支えになっている。
「結構カッコイイんだぜ、聴いてろよ、…われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存
する権利を有することを確認する。」
「確かにいいな…」
 ポツリと呟いたのは、となりのベッドで寝そべっていた西崎だった。失った両脚を庇うかのように置かれた毛布に膨ら
みはなく、狭いベッドの四角い形だけを浮き立たせていた。
「どうして、変えちまったんだろうな…」
 西崎が再び呟いた。眩しい光に熱狂したかのように吸い寄られた蛾の群が、電球の熱に灼かれてポトリと毛布に落
ちた。



 
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