国防省附属「星園・癒しの館」第2部
 
第4章 慰安嬢たち 1

 朝8時50分、制服を着た若い男女が、いくつかのグループになって歩道を歩いて行く。一見、どこででも見られる高
校生の通学風景である。
 時折、楽しそうな笑い声も響く。しかし、注意深く見ていると、楽しそうに話をし、笑っているのは男子だけだ。女子は、
小声であいづちを打ったり、頷いているだけ、中には哀しげな表情を浮かべている者さえいた。
「早抜きの実技テスト、確か今の最高記録は安藤の6人だよな」
 北上が一緒に歩いていた茉莉に声をかけ、馴れ馴れしく肩を抱いた。反射的に浮かべた嫌悪の表情を一瞬で消し
て、茉莉は恥ずかしそうに答えた。
「…うん、一昨日の授業で…」
 それは、30分のセックスで何人射精させることができるかを慰安嬢たちに競わせるもので、訪問客に見せるために
行われる公開授業の中でも、人気のプログラムである。
「安藤のオ××コは、挿入しただけで勝手に男の精液を搾り取るからな」
 北上がそう言って、茉莉の腰に手を回した。華奢な体がぐいと引き寄せられる。その手が茉莉のお尻にまわり、スカ
ートの上から丸い膨らみを撫で回す。
「今日もあるだろ、早抜き。もちろん、記録更新するよな」
 北上がそう言って、茉莉の顔を覗き込む。可憐な美少女の顔が強ばり、涙をこらえるような表情を浮かべた。男子た
ちはそんな彼女の反応を楽しんでいる。
「夢の10人抜きを目指すんだよな!」
「…はい…」
 押しつけるように同意を促され、茉莉は仕方なく頷いた。それを聞いて男子たちは大喜びで囃し立てる。
「安藤のオ××コなら余裕だよな」
「さすが我が校の誇る名器!」
「ルックスも身体も最高、性欲処理にもますます磨きがかかって、不動の慰安嬢ナンバーワンだ」
 茉莉は下を向き、顔を真っ赤にしながら首を横に振っている。通行人や付近の住人も、彼らの会話に耳をそばだて、
茉莉をジロジロと見ていた。
「それに続くのは芦辺、柴崎あたりか?」
 そう言いながら北上は、茉莉の隣を歩く由香を見た。その視線は、彼女の体を舐め回すようだ。由香は思わず北上
の顔を睨みつけた。
「おっ、いいねぇ、その目つき」
 気の強い娘が好みの北上がニヤニヤ笑う。男子たちのはしゃぎぶりも、当然と言えば当然であった。
 好むと好まざるとにかかわらず、常に人の視線に晒される生活は、女のルックスを磨いていく。それでなくても、日に
日にきれいになっていく年頃の娘だ。しかも、館には金に糸目をつけずに集めた美容の専門家がスタッフとして配置さ
れている。星園の女子は今や、並のアイドルやモデルでは太刀打ちできないぐらいの美少女揃いになっていた。
「柴崎は昨日、グラウンドで男たちに次々に犯されてたよな」
 大谷に指摘されて、由香は昨日の屈辱を思い出した。陸上部のユニフォームを着て、クラウチング・スタートの姿勢を
とった彼女。その後ろに並んだ男たちが、順番に彼女の中に押し入った。
「でも、みんな2年じゃん」
「2年はレベル高いよ、慰安嬢が天職みたいな子ばっかりだ。なあ?」
 ニヤニヤ笑う北上にそう言われ、茉莉と由香は明らかな作り笑いを浮かべる。心の中で怒っていても、泣いていて
も、それを男子にぶつけることは許されない。
 女性に意に添わないセックスをさせるためには、女性を縛り付けるための様々な強制の仕組みが必要であり、かなり
の労力がかかる。フサインから帰国して約一週間、男子たちが館に配置されたのも、館での雑用を担わせるとともに、
女子たちを監視する狙いがあった。そこで、女子は男子に逆らうことができないよう、新たな規則が決められたのだ。
「3年生だって、樫村先輩とか、いるじゃないですか」
 1年生の宮下が、少し後ろを歩く美里を振り返って言った。
「そうそう、情が深いって言うかさ、奥ゆかしくて。何でもしてくれるし、じっくり楽しむなら、美里先輩が最高ですよ」
 もう一人の1年生、優等生の菊地が相槌を打つ。
「お客に誰がいいか聞かれたら、俺、いつも美里先輩をいつも薦めてるんですよ」
「…ありがとう…」
 宮下と菊地にそう言いながら、美里は悲しげな表情を浮かべる。1年生たちはそんな美里に抱きつき、胸に顔を埋め
た。
「1年だって侮れないだろ。昨夜の安藤を指名し損ねてチョー不機嫌だった客いたろ」
 北上が思わせ振りに言った。教師の前川に取り入って、男子のリーダー的な役割を手に入れた彼は、慰安嬢や客の
裏話を仕入れ、それを得意げに話すようになっていた。
「ああ、あの威張りくさって気難しい上に、いつも変態プレーばかり要求する客か?」
「確か、どこかの省庁のお偉いさんだよな。昨日も取り巻きを何人もつれて来てたよ」
「今朝になったら、ニコニコしながら帰って行ったけど、昨日は誰が相手したんだ?」
「誰だと思う?」
 北上が男子たちの顔を見渡して言った。尋ねられた男子が首を捻る。その様子を見て、北上が得意げに言った。
「1年の工藤真澄だ」
「おおっ!」
「へーえ…」
 数人の男子が驚きの声をあげた。勝気で、男子など歯牙にもかけなかった少女の姿が目に浮かぶ。
「なんでも、昨日は一晩中、取り巻きの相手もさせられたらしい」
 北上が今朝仕入れたネタをさっそく披露する。
「男にハメられながら、学校の周りを散歩させられてたんだぜ」
「足りないのは従順さだけで、もともと素材は良かったですからね」
 そう言ったのは、彼女のクラスメートだった宮下である。同級生の男子からは、「ルックスは最高だけど、性格がきつ
過ぎて、つきあうのは勘弁」と言うのが、かつての評価だった。
 家は古くからある合気道の道場で、本人も有段者だという。そのイメージはまさに「武家のお嬢様」だ。
 帰還祝いの人気投票で7位にランクされていたのも、そういう彼女を屈服させたいという征服欲が反映したものだっ
た。
「あっ、だめっ…」
 茉莉の哀しげな声が漏れる。男子たちが、彼女の身体のあちこちにタッチを始めたのだ。館のスタッフになった彼ら
は、勝手に女子とセックスすることは許されなくなった。ただ、着衣の上からのタッチや愛撫は、女子の服装を着崩れさ
せない限り自由である。
「みんな、今や立派な慰安嬢だな!」
 由香の胸を撫でながら北上がそう言うと、男子たちは一斉に卑猥な笑い声をあげた。

「はあ、はあ、はあ…」
 登校する生徒たちの列が途切れてしばらく経った頃、二人の女生徒が息を切らせて通学路を走ってきた。
「ごめんなさい、つきあわせちゃって…」
「気にしない、気にしない」
 申し訳なさそうに言う平良ミキに、工藤真澄はにっこり笑って答えた。背中に流れる長い髪がふわっと翻る。その横で
ミキが、ショートヘアを風になびかせて駈ける。



 泊まり客とモーニングセックスをした後、ミキが客と一緒に朝風呂に行くと、すでに慰安嬢と別れた男が数人、先に入
っていた。ミキの客と男たちは顔見知りだったようで、ミキはその場で全員とのソーププレイを要求された。拒否すること
など許されるはずもなく、ボディソープを塗った肌を男たちに絡ませ、口と膣で男たちを満足させたが、それでもまだ解
放してもらえなかった。
 客は調子に乗って、風呂に入ってくる男に次々に声をかけて、ミキに体を洗わせる。登校時間ギリギリになり、相手に
した人数が10人を越えて、ミキが泣きべそをかいているのを、シャワーを浴びに来た真澄が見つけたのだ。
 最近ここにやってきたミキとは、さほど面識があったわけではない。しかし、元来が男っぽい性格の真澄は、女の子ら
しい可憐な女の子が困っているのを放っておけなかった。行方不明になってしまった親友の麻衣もまた、そんなタイプ
だった。
 真澄は自ら名乗り出て客の半分を引き受け、客たちにどうにか満足してもらった。そして、二人は急いで支度をして寮
を飛び出してきたのだ。
 泊まり客の滞在のために遅刻する場合、寮から理由と到着予定時刻が館に連絡される。しかし、その予定時刻をさ
らに遅れると、遅刻となり、厳しい尋問が待っていた。脱走や情報漏洩を招かないよう、慰安嬢の厳格な管理は館の至
上命題なのだ。
 真澄は腕時計をちらりと見た。急いだ甲斐があって、なんとか時間ギリギリにたどり着きそうだ。ホッとした表情を浮
かべたのも束の間、校門に向かう橋のたもとに立っている教師の姿を見て、真澄の表情が曇った。
「…あっ、ついてないなぁ…」
 慰安嬢たちは毎朝、通学時に持ち物、服装、下着の検査を受けなければならない。教師が当番で検査をするのだ
が、今日の当番は3年担任の安達だった。
 カマキリのような体に爬虫類の目をした安達は、慰安嬢を苛めるのが生き甲斐のような男で、彼女たちから恐れられ
ている。
「遅いぞ、もうちょっとで遅刻だ」
 そう言う安達の表情に残念そうな色が浮かんでいる。本音では遅刻しなかったのを惜しんでいるようだ。彼が慰安嬢
の屈辱と苦痛に満ちた表情を見ることで、性的な興奮を覚えるというのは、本当らしい。
「よし、スカートを捲れ」
 真澄とミキが並んでスカートを捲り上げた。通りに背を向けた安達に見せるため、二人は通りに向かって立つ格好に
なる。行き交う人々が、彼女たちに好奇の視線を投げかける。
「パンティにシミなんか作ってないだろうな…」
 安達は真澄とミキの周りを回って下着検査をした後、クンクンと鼻を鳴らした。
「お前ら精子臭いぞ、膣内の洗浄はしっかりしたのか?」
「…はい。シャワーも浴びました」
「朝から中にさんざん射精されたんだろ、まだ残ってるだろ、見せてみろ」
 真澄の答えなど無視して、安達が言った。もちろん、臭いがすると言うのは、単なる言いがかりである。
 安達に命じられるまま、真澄は、白いパンティを膝のあたりまでずり降ろした。ミキも大きく息を一つ吐き、パンティに
指を掛ける。ふと見ると、通行人が数人、足を止めて彼女たちを見ている。
(脱がなくちゃ…)
 自分に言い聞かせて、ミキはお尻からパンティーを下ろしていった。染み一つ無い臀部が現れる。そこでミキの手が
止まった。さっきより見物人が増えている。
 ミキは目を瞑り、一気にパンティーを引き下げた。股間を風が直接撫でていく。屋外でパンティを下ろし、陰毛を露出
させている自分が恥ずかしく、しゃがみ込みそうになるのを、なんとか堪えた。
(いい表情をする…)
 安達は思わずほくそ笑んだ。館に来た当初はさほどでもなかったが、いつの間にかミキは、ふとした仕草や表情にコ
ケティッシュな魅力を感じさせる、男好きのする美少女に脱皮していた。
「中をしっかり見せるんだ」
 安達の指示で、少女たちは自らの両手を股間にあて、陰裂を押し開く。安達はミキの割れ目の中を覗き込んだ。
「あッ…、やめてください…」
 安達の指が亀裂に触れ、ミキが思わず声をあげる。
「じっとしていろ!」
 鋭く叱責して安達は割れ目の中に指を埋め、ゆっくりと割れ目に沿って動かしていく。
 ミキは目を閉じ、信彦のことを思い浮かべた。辛い慰安の間も、せめて相手が彼だと空想することで、汚辱感を和ら
げることを覚えたのだ。しかし、この場面ではそれが裏目に出た。
「なんだ、感じてきたのか?」
 安達はミキのクリトリスを弄りながら言う。
「ちょっと触られたぐらいで、こんなに感じるなんて、イヤらしい奴だな」
 そう言いながら、安達は秘部に指を挿入して荒々しく掻き回す。
「慰安嬢は淫乱であってはならないと、いつも言われているだろう。これは、教育が必要だな…」
 安達が心から楽しそうに言う。
「う、あううっ…」
 ミキが喘ぎ声をあげる。グショッと音を立て、蜜壷に溜まっていた愛液が押し出される。
 堪り兼ねた真澄が自らの不利益も顧みず、抗議する姿勢を見せた。彼女自身も通行人に陰部を露出したまま、晒し
者になっている。その時、救いの手が差し伸べられた。
「安達先生、もういいでしょう…」
 そう言ったのは、安達とペアで検査をしていた篠原美咲だった。
「先生…」
 真澄が縋るような声で呼びかけた。美人で優しい美咲は、星園高校当時から生徒たちの憧れだったが、今も身を呈
して女生徒たちを守ってくれる姉のような存在だ。
「何かご意見がおありですか、篠原先生」
「そんなにしたら、それこそ下着が汚れてしまいます。そんな状態で登校させるのは、館長の方針に反するのではあり
ませんか」
 ただミキたちを弁護するのではなく、館の方針もふまえたうえでの美咲の指摘を、安達も不承不承受け入れざるを得
なかった。
「いいだろう、汚れたオ××コを拭いて、さっさと授業に行け」
「ありがとうございました…」
 名残惜しそうな安達の横をすり抜け、美咲の横を通り過ぎる時、真澄は小さな声でそう言って、軽く頭を下げた。美咲
は無言で頷いて、早く行くよう目顔で彼女たちを促す。
 安達は不服そうな表情で美咲を見たが、何も口にしなかった。先週、館長から特に指示があったからである。「篠原
美咲に行動の自由を与えるように」と…。

「何かわかったかね?」
 椅子の背もたれに体を預けて、滝川が尋ねた。かつて視聴覚教室として使っていた部屋に、今は機能的なオフィスデ
スクと最新鋭の情報機器が並べられている。ここは館における滝川の執務室であり、政・官・財の動きを探る防衛隊情
報部の一つの拠点でもある。
「いえ…」
 那須信彦は、できるだけ表情を殺して、言葉少なに答えた。旧星園高校の生徒たちの目を避ける彼にとっても、ここ
が生活と活動の本拠となっている。
「忘れたのかね。私は、使える人間が好きだと言っただろう?」
 あくまで穏やかな口調を崩さずに言う滝川。しかし、その穏やかさを真に受ける危険性を信彦は十分に知っていた。
できれば伝えたくない調査結果だが、黙っているのは難しいとあきらめ、信彦は口を開いた。
「篠原先生の調査によると、…協力者は、たぶん2年生だろうと…」
「ほう、お前の同級生か…」
 おもしろそうな表情を浮かべる滝川に、信彦は意を決して尋ねた。
「どうして、協力者の女子にそんなにこだわるんですか。岩田先生たちの計画は、とっくに潰れたはずでしょう?」
 信彦の口調には、同級生を窮地に陥れる調査を任せられた苦汁が滲んでいる。
「自分の把握していない情報があるのが、気に入らないのだよ」
 そんな信彦の悩みをあざ笑うかのように、滝川はこともなげに答えた。
「それに蟻の一穴から堤防が瓦解することも、なしとしないからね。来年は選挙もあるしな…」
 滝川の口から「選挙」という言葉を聞いて、信彦は意外そうな視線を向けた。
「何だ?意外か?有事宣言はしたが、選挙制度は停止されていないぞ」
「政治家でもないのに、選挙が気になるんですか?」
「今は『有事』を理由に国民を押さえ込んでいる。だが、そのエネルギーを無視するのは愚者のふるまいだ。現政権へ
の国民の不満が募り、政権交替でもあれば、できあがった政権が革命的なものでなくても、国民の不満のエネルギー
に押されて、支配層にとって不都合な事がいろいろ起きてくるものだ。情報屋としては、最も押さえておくべき情報の一
つだよ」
 国民を監視し、管理する最前線にいる男の言葉だけに、その言葉は、信彦の心に強く残った。

 「性実技」の授業が行われる教室には、医務室や病院の診察室に置いてあるような飾り気のないベッドがずらりと並
んでいる。次の時限は2年生の授業だ。
「あっ!」
 ドアを開けた由香が思わず声をあげる。ベッドには一人ずつ、帰還した男子が腰掛けていたのだ。
「今日から、テーマによって、帰還した男子に授業を手伝ってもらうことにしました」
 副担任として先に教室に来ていた篠原美咲が、女子たちに向かって説明する。
「さあ、早く準備しないと、授業が始まってしまいますよ」
 由香は自分の「席」になっているベッドに向かった。そこには、大谷が座っている。
「やあ!」
 大谷がニヤニヤ笑いながら声をかけてきた。
「…よろしく…」
 素っ気ない口調でそう言うと、由香は胸のリボンを外した。
 性実技では、授業時間を有効に使うために、休み時間中に全裸になっておかなければならない。
 できるだけ平気なふりを装って、由香は、ばっとブレザーを脱ぎ捨てた。ブラウスも、スカートも、もちろん下着もまだ
身に着けたままだ。靴や靴下すらもまだ履いている。それでも、由香は大谷の好色な視線を痛いほど感じていた。
 由香は、俯いたままブラウスを脱ぎ、スカートを脱ぐ。心臓がドキドキと鼓動を打っている。教室でクラスメートの前で
服を脱ぐのが、これだけ恥ずかしいとは思わなかった。大谷の視線に耐え切れなくなった由香は、くるりと彼に背を向
け、ブラジャーの肩紐を外した。大谷の方を見なくても、彼がどんな顔で自分を見ているのか想像がついた。
 大谷はゴクリと生唾を飲み込んだ。目の前の小さな白い背中がまぶしい。細い腰からヒップへとパンティが下ろされ
る。形の良いお尻が現れた。由香は片手で股間を隠しながら、片足づつパンティを抜いていく。大谷の股間は、既に痛
いほど膨らんでいた。
「さあ、男子も裸になって」
 美咲がそう声を架けた。大谷は急いで服を脱ぎ、俯いてベッドに腰掛けている由香の隣に座った。
(柴崎って、結構かわいいな。スタイルもいいし…)
 大谷は、由香の足の先から頭まで視線を這わせた。手で胸と股間を隠しているのが、かえって彼の興奮をかきたて
る。こんなふうにジロジロ見たら、以前なら平手打ちの一発ぐらいくらわされるところだなと、ふとそう思った。
 由香は思わず眉をひそめた。大谷の体から汗の臭いが漂ってくるのだ。
(臭い…、お風呂に入ってるのかしら…)
 相手に気づかれないよう、嫌悪を込めた視線をそっと投げつける。強い体臭のする男子の身体に、これから素肌を
重ね合わせることを考えると、由香は思わず鳥肌が立った。
 チャイムと同時に教科担任の柳本朋子が教室に入ってきた。「エリカ」の源氏名でソープ嬢として人気を博し、館の
「教師」にスカウトされた彼女は、男を喜ばせるテクニックを慰安嬢たちに伝授するのが役割だ。
「慰安のテクニックでもっとも大切なのは、男性の身体をなめるテクニックです。今日は、帰還した男子の全身を優しく
なめて、戦地での疲れを癒してあげましょう」
 由香が険しい表情になった。エリカから授業内容を聞かされて、大谷の汗の臭いが一層強くなったような気がした。ム
ッとただよう男の体臭に息苦しささえ感じる。この体を舐めるのだろうか。
「男子には昨日、入浴を控えてもらいました」
 由香たちの戸惑いを察したかのように、エリカが言葉を続けた。
「えーっ…」
 数人が思わず抗議の声をあげ、エリカが厳しい声で叱りつける。
「即ナメと言って、男性は洗っていない身体をなめさせることで、女を支配したような気持ちになってうれしいものです。
汚れた身体をなめる練習ですから、あなたたちの舌できれいにしてあげなさい」
 そして、演習が始まった。
「益本クン、よろしくね…」
 羞じらいに頬を染めた琴美は、小さな声でそう言うと、ベッドに仰向けになった益本の上に乗ってくる。
「ああ、琴美ちゃん…」
 ずっと好きだった琴美とペアになった益本は、陶然とつぶやき、彼女の裸身を抱きしめた。滑らかな肌と、豊かな胸の
弾力が生々しく伝わってくる。既に勃起した肉茎が琴美のお腹に当たり、早鐘を打つように熱い脈動を刻み始める。
 小さくて丸い童顔が益本の間近に迫り、目を閉じた琴美は長い睫毛を震わせて唇を合わせた。最初は抱き合ってキ
スをし、お互いの興奮を高め合うのだ。益本は夢中で舌を絡ませた。
 大谷とディープキスをしていた由香は、首筋に、肩に、胸にと唇を押し当てたあと、舌を使い始めた。首から鎖骨の窪
みへ、筋肉質の胸板へと丁寧に舐めていき、舌腹で男の汗を拭う。
 しょっぱい汗の味が口内に広がる気持ち悪さに耐えながら、由香は脇腹のほうに舌を移動させる。
「うん…んんっ…」
 舌先を蠢動させると、大谷は思わず体をビクンと震わせて喘いだ。
 琴美は益本の両手をバンザイさせ、腋臭に耐えながら、脇毛のびっしり生えた腋窩に顔を埋めるようにして、舌を伸
ばしている。エリカに腋の下を舐めるように言われたのだ。
「んんっ…くうぅっ…」
 益本が顔を真っ赤にして、左右に首を振った。
「くすぐったい?」
「くすぐったいっていうか…、気持ちいい…」
 ハアハアと息を弾ませながら、益本が答えた。
「おうっ!」
 大谷が呻き声をあげた。由香が褐色の乳輪に沿って舌先を這わせ、乳首を吸っているのだ。
「柴崎さん、もっとリズミカルに舌を動かして!乳首は女だけでなく、男にとっても性感帯なのよ」
 二人の横に立ったエリカが声をかける。
「ちゅ…ぴちゅ、ちゅ…」
 教室のあちこちで卑猥な音が響いている。女子はエリカの指導を受けながら、ペアになった男子の首筋や腋の下を
舐め、乳首をしゃぶっていた。
 館の拡張政策により、2年生は旧星園高校の女子と、新たに連れて来られた慰安嬢が半々の構成になっている。新
人たちのぎごちなさは一見してわかった。
「一旦やめて、注目!」
 教室を一回りしたエリカが声をかけた。
「まだ慣れてない娘もいるようね。創立当時からいるベテランの何人かに、お手本を示してもらいましょう」
 そう言うと、エリカは由香の方を向いた。
「柴崎さん、大谷君の足を舐めてあげなさい」
 突然の指名に戸惑う由香の目に、心配そうにみつめる美咲の表情が飛び込んできた。それに励まされるように、由
香は「はい…」と返事をして、床に跪いた。
 ベッドに腰掛けた大谷の右足を捧げ持ち、由香が足の裏を舐め始めた。あまりに屈辱的なその姿に、新人たちが目
を見張り、息を飲む。
 大谷は少し照れたような表情を浮かべて、由香を見ていた。クラスメートの女子に足を舐めさせているのだという思い
が、濡れた舌の感触とあいまって、これまでにない興奮を感じさせた。
「いやっ…あんなのできない!」
 先日連れて来られたばかりの少女が思わず声をあげる。由香が大谷の足の指を1本1本を口にくわえて,しゃぶって
いるのだ。
(お願い、そんな目で見ないで…)
 由香の頬がカーッと熱くなる。汚い物でも見るような少女の視線は、かつて由香自身が性風俗で働く女性に投げつけ
た視線そのままだった。
「次は森脇さん、汚れたお尻の穴を舐めて、きれいにしてあげなさい。優等生のあなたなら、やり方はわかってるでし
ょ」
 意地の悪い笑みを浮かべて、エリカが言った。男子は学年に関係なく授業に出るため、亜弓の相手をしているのは1
年生の菊地だった。かつて彼は、亜弓のことを女神のように崇めていた。
「わかりました…」
 菊地が四つん這いになると、自分も四つん這いになって、尻の割れ目に顔を埋めた。
「おうっ、おうっ、おうっ…」
 菊地はオットセイのような声をあげた。亜弓はドリルのように尖らせた舌でアナルの窄まりをほじり、襞の一本一本を
確かめるように舐めていく。
 獣のように男の尻を舐めるのが、知的で教養のある亜弓だけに、その姿は衝撃的で、新人の慰安嬢だけでなく、星
園の女子たちにもショックを与えた。
「オチ×チ×が大好きな安藤さんには、玉ナメを見せてもらおうかしら…」
 エリカに指示された茉莉は、無言のまま、仰向けになった男子の左側の玉袋を舐め上げる。肉棒がぴくぴくと反応し
て、半勃ち状態だった陰茎はすぐさま完全に勃起した。
「今度は右っ!」
 エリカがそう言うと、茉莉は右の玉袋を口に含んで、あめ玉のようにしゃぶってみせた。行為に没頭することで恥辱か
ら逃避しようとする茉莉。美少女が一心不乱に男の睾丸を舐め、吸い立てる姿に、見ている男たちの股間も熱く、硬く
なっていく。
「うっ…」
 男子の呻き声とともに、突然、肉棒の先端から白濁液が飛び出して、茉莉の顔に飛び散った。
「あらあら、安藤さん、上手すぎたわね…」
 エリカがそう言って、笑い声を立てた。
「さあ、他の人も始めなさい。でも、フェラチオになっちゃダメよ。舐めていいのは、タマタマまで。オチ×チ×をしゃぶら
なくても、男の人を気持ち良くする技を身につけるのよ」
 エリカがそう言うと、再び女子が男子の体を舐め始めた。
 美咲もエリカに指示されて、教室を回りながら、とりわけ新人の指導にあたる。
「さあ、辛いでしょうけど、頑張って…」
 美咲はそう声をかけながら、抵抗する女子を諭し、泣きじゃくる少女を導いて、男子の肛門や睾丸を舐めさせた。
「ううぅ…、もう、やばいよ…」
「ああ…、我慢できないっ!」
 身体の隅々まで舐められ、しゃぶられながら、快感の根源には触れられないという「生殺し」の状態に、男子の切羽
詰まった声が教室のあちこちで聞こえる。エリカはニッコリ笑って言った。
「男子がもう限界のようね。じゃあ、最後にオチ×チ×をしゃぶってあげなさい」
 そこかしこで男子が歓喜の声をあげ、女子の顔を夢中で股間に押し付けた。



 
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