国防省附属「星園・癒しの館」第2部
 
第4章 慰安嬢たち 5

 学校からの帰り道、琴美は、いつものコンビニエンス・ストアに立ち寄った。館の慰安嬢たちは、生活に必要なほとん
どの物を正門前のこのコンビニで買っている。
 雑誌のコーナーは、立ち読みをする男たちで込み合っていた。彼らの多くが手にしているのは、『星の園』の最新号
だ。
「おいっ、見ろよ…」
 琴美が横を通ると、そんな声が聞こえてきた。ちらっと視線をやると、二、三人の若い男が彼女の方を見ながら、『星
の園』のページをめくっている。
 琴美は頬が熱くなるのを感じた。
 そこには、チアリーダーの衣装でY字開脚のポーズをとり、秘所を露わにした写真や、男に跨りながら口にもペニスを
咥え、さらに両手でしごく5Pフォーメーションなど、琴美の恥ずかしいグラビアが数ページにわたって掲載されている。
「すげえよな。丸見えじゃん」
「巨乳にロリ顔、オレ、ずばりタイプだぜ」
 そんな会話が嫌でも耳に入る。他の男たちも、露骨な視線を琴美に投げかけてきた。ニヤニヤと卑猥な笑いを浮か
べ、口に出さなくても、何を考えているか明らかだ。
 そんな視線を浴びながら、琴美は医薬品が並ぶ棚の前に立った。店のいちばん目立つ所に、避妊具や生理用品が
並べられている。慰安嬢たちは、衆人監視の中でそれを買っていかなければならない。
 琴美は、思い切ってコンドームを手にすると、レジに向かった。レジにいたのは、20歳代の若い店員だ。色白なせい
で黒縁メガネが際立って見える。それを見た琴美の表情が強ばる。
(げっ、黒メガネ…、どうして?)
 慰安嬢たちは、できるだけ火曜日と木曜日の放課後にコンビニに行くようにしている。年配の店員が一人きりで店番
をしており、身分証もあっさりと確認されるだけだからだ。
 逆に、月曜日と金曜日にローテーションに入る若い男は、身分証と見比べるようにして彼女たちをじろじろ眺め回し、
卑猥な言葉をかけてくるので、女生徒たちから「黒メガネ」と呼ばれて警戒されていた。どうやら、基地幹部の息子だと
いう噂である。
 今日は火曜日なのに、何故かその「黒メガネ」がレジにいるのだ。
「琴美ちゃん、このあいだコンドーム買ったのに、もう使っちゃったの?」
 さっそく黒メガネが、わざと他の客にも聞こえるように、声をかけてきた。
(そんな大きな声で言わないで…。みんな見てるわ…)
 周囲の客の視線が集まる中、琴美は無言のまま身分証を差し出した。その頬が紅く染まっている。
「琴美ちゃんのオッパイ、大きいねぇ、証明書の写真を見てるだけで、興奮してくるよ」
 恥かしさに俯く琴美の前で、黒メガネは目を輝かせて証明写真を見つめている。豊かな乳房を剥き出しにしたバスト
ショット、見開きには性器のアップが貼られている。
 バーコードをスキャンして、彼女の画像データにアクセスしている黒メガネから目を逸らした琴美は、レジ横の棚にお
気に入りのチョコーレートの小さなパッケージを見つけた。
「これも…」
 黒メガネから目を逸らしたまま、琴美はチョコレートをレジに置いた。今日も1日、恥ずかしさや屈辱に耐えた、自分へ
のご褒美だ。
 精算を終え、琴美が店を後にしようとした時、背後で黒メガネの陰険な声が聞こえた。
「ホントに、竹下里紗ちゃん?この写真、あんまり似てないね」
 振り返ると、レジには、最近館にやってきた1年生が困惑した表情で立ちすくんでいた。短く揃えられ、わずかに茶髪
がかったショートカットの髪、パッチリした大きな目、鼻筋が通り、顎のラインはややふっくらしている。一見して大人し
い、清純そうな少女だった。
「ちょっと確認するから、オッパイを見せて」
「えっ?ここで…」
 里紗が驚いた表情を見せる。
「本人確認ができないと、商品は渡せないんだよ」
 里紗周囲を気にしながら、震える指でブラウスのボタンを外していった。胸の谷間と白いブラジャーが黒メガネの目に
晒された。
 里紗がブラジャーを外した。サイズは小さめだが、張りのある初々しい乳房が露わになる。乳輪も小さく、淡い色だ。
その中央にピンクの乳頭が埋まっている。店にいた客たちも、レジの周りに集まってきて、好奇の視線を注いでいる。
「どれどれ、よく見せて…」
 片手に持った身分証と見比べながら、黒メガネがわざとらしく首を捻る。
「おかしいな、君は陥没乳頭だけど、写真のはちゃんと飛び出てるよ」
「…そ、それは…」
 里紗が頬を朱に染めて口ごもった。黒メガネがニヤニヤ笑いながら、その顔を覗き込む。
「そうか、わかったぞ。写真を撮った時は、感じて乳首が立ってたんだね。じゃあ、こうしてみれば…」
 黒メガネはそう言うと、里紗の胸を強く掴んだ。里紗が「あっ!」と叫んで身じろぎする。
「じっとしてて…」
 脅すようにそう言いながら、黒メガネは乳首を摘み、指先でこねるようにした。目を閉じた里紗の乳首が、次第に硬く
大きくなってくる。
「うーん、まだ確信が持てないなぁ、やっぱり、アソコを見て確認するしかないかな」
「えっ…、無理です、そんな…」
 里紗が激しく首を振った。胸を見せるだけでも必死の思いだったのに、陰部を見せるなど、到底できないと思った。こ
こはコンビニで、しかも、多くの男たちが彼女を見ているのだ。
「どう思います、お客さん?」
 黒メガネが周りの客に尋ねる。
「そうだな」
「そりゃあそうだ、オ××コを見ないとわからないよ」
「見せろ、見せろ、見せろ!」
 客たちが口々に囃し立てる。里紗は涙ぐんで、小さく嗚咽を漏らしている。とうとう黙っていられなくなった琴美が、里
紗の隣に駆け寄る。
「それ、私が買うわ、それでいいでしょ?」
 しかし、琴美が差し伸べた救いの手をはねのけたのは、意外にも里紗自身だった。琴美を見る彼女の目には、怒り
の色さえ浮かんでいる。
「放っておいて!」
 思いがけない強い口調に琴美が呆然としている間に、里紗はパンティを脱ぎ捨てた。
 里紗はためらいがちに、スカートの裾を捲り上げた。黒メガネや周りに集まってきた客たちの視線が太股に向けられ
ている。
 太股が開かれ、付け根まで露わになった。
「さあ、確認させてもらうよ」
 そう言うと、黒メガネが床にしゃがんで里紗の股間を見上げる。なだらかな恥丘から谷間に向かって、柔らかな恥毛
が渦を巻いて生えている。ふっくらした舟形の間から桜色の花びらが顔を出していた。
「うーん、よくわからないなぁ…」
 そう言いながら黒メガネが手を伸ばした。里紗がビクッと全身を震わせ、思わずレジに手をついて体を支える。
「あっ…」
 黒メガネは手のひらで里紗の恥丘を包み込むようにし、上下に動かして撫でさすった。
「…んっ。あぁっ…」
 里紗の唇から吐息が漏れ始めた。黒メガネは恥丘を撫でるだけにとどまらず、人差し指と中指を媚肉に這わせ、肉
ビラを広げたり、膣内に挿入している。
「あっ、ああっ、ああ…」
 里紗は、小さく開いた口をパクパクさせ、喘ぎ声をあげる。黒メガネの指が、里紗の秘孔の中を掻き乱す。
「見ないで…見ないでよ…、お願いだから…」
 今にも泣き出しそうな声を聞いて、琴美は、それが自分に向けられた言葉であることを悟った。里紗は、陵辱されて
感じている姿を、同性である琴美に見られたくないのだ。
「あっ、ごめんなさい…」
 思わず謝罪の言葉を口にし、琴美は逃げるようにしてコンビニを後にした。
「琴美!」
 店の外に出たところで声をかけられ、振り返ると、同じ学年の植田陽子がいた。クラブを終えて、寮に帰るところらし
い。
「時間ぎりぎりまで、…舐めさせられて、顎が痛いし、口の中が気持ち悪いわ」
 そう言いながら、陽子が顔をしかめた。何人もの男を相手にフェラチオさせられ、まだ口の中にはザーメンの臭いが
残っている。
「そう、たいへんだったね」
 他に言葉を思いつかないまま、琴美はカバンの中からガムを取り出し、一つを陽子に渡した。そして、自分も一つ口
に入れる。彼女自身も「クラブ見学」の客に、いきなり肛門を舐めさせられ、その後も延々と口で奉仕させられた。
「ねえ、琴美も編入試験を受けるよう言われてるんでしょ?」
「うん。陽子も?」
「そうよ」
 星園「癒しの館」に来年から体育科が設置されることになり、各クラブの中心選手、エース級の選手に編入試験を受
けるよう命令があった。チアリーディング部のアイドル琴美も、抜群の実力と面倒見の良さでテニス部の次期キャプテン
と目されている陽子も、当然、対象になっていた。
「体育科って、何するんだろうね」
「どうせ、また酷いことを考えてるんだわ」
 陽子が眉をひそめて言ったその時、背の高いアルメイア兵に連れられて、星園の女生徒が向こうからやってくるのが
見えた。
 横木にはアルメイアの基地も置かれており、慰安嬢の増員に伴って、アルメイア兵にも施設が開放されることになっ
た。血気盛んなアルメイアの若者に街に出て事件を起こされるよりも、館で発散してくれた方が良いという国防省上層
部の考えに、館側が妥協した形だ。何しろ、アルメイア兵の犯罪については、日本は原則として裁判権を放棄するとの
「密約」がある。
「あっ、梶原さん…」
 声を掛けた陽子に、ちらっと堅い表情を向けただけで、少女は二人の横をすりぬけて行った。
「…ふー」
 陽子がため息をついた。
「あの子、先月入ってきたテニス部の後輩なんだけど、私のこと敵を見るみたいな顔で見るのよ。新しく来た子って、ど
うして、ああなのかしら…」
 そう言いながら、陽子はその理由がわかっていた。最初から星園にいる女生徒たちは、新しく来た子の指導をさせら
れている。転入生からすると、最初からいる陽子たちが、館の管理態勢の末端にいるかのように映るのだ。琴美は、コ
ンビニでの出来事を思い出した。
「私たちだって、好きでいやらしいことをやってるんじゃないのに…」
 不満げにぶつぶつぼやく陽子に、琴美が気負いのないふわりとした声で言う。
「ダメだよ、陽子」
「えっ?」
「女の子同士、仲良くしなきゃ。女の子たちの仲が悪ければ悪いほど、館の人たちには都合がいいのよ。だから、仲良
くしないように、わざといろいろなことをやっているの。それに負けちゃ、ダメなんだから」
「…琴美」
 陽子は驚いたような表情を琴美に向ける。その表情に感動の色が広がり、目には薄っすら涙が滲んでいた。
「あんた…、そんなに頭、良かったっけ?」
 冗談めかして言う陽子の言葉に、琴美が怒った表情を作って右手を挙げる。
「失礼ね!」
 そう言って、陽子を叩くふりをしながら、琴美が言葉を続けた。
「…って、実は亜弓ちゃんがいつもそう言ってるの」
「森脇さん?」
 陽子の脳裏に浮かんだ亜弓はきりっとした優等生で、正直言って、これまで少し苦手意識を持っていた。特に理由は
なく、文化系と体育系の肌合いの違いなのかもしれない。
「そう。それに、辛いからこそ、せめて、支えあって励ましあっていかなきゃいけないって。絶望しちゃうのが一番、怖い
ことなんだって…」
「…うん、そうだね。きっと、そうだ…」
 琴美が伝える亜弓の言葉に、陽子は心から頷いた。

 濃厚なセックスの余韻を楽しむかのように、挿入されていた肉棒が、やっと膣から引き抜かれた。
 股間を軽くティッシュで拭っただけで、由香はベッドに座った。仰向けになった坂巻の下半身に目をやると、愛液とザ
ーメンに汚れた男根が、さっきまでの勢いを失って、ダランと垂れている。
 赤黒い陰茎にグネグネと走る青筋が、テラテラと濡れていた。顔を近づけると、精液の臭いが鼻をつく。眉を歪め、込
み上げる吐き気に耐えながら、由香は目をつぶって、汚れたペニスを口に押し込んだ。
「いいぞ…、そうだ。ちゃんと、きれいにするんだ、お前の愛液で汚れたチ×ポをな…」
 射精後の気だるさを滲ませながら、坂巻が言う。
 欠かさず検査を受けている「フサインの英雄」は、当然のことのように、由香の胎内に精液を注ぎ込む。膣から溢れた
男の体液が股間を汚しても、それを洗い流すより先に、男の物を舐めてきれいにするのが、慰安の際の、決められた
ルールだった。
「由香、俺のチ×ポは、おいしいか?」
「お…、おいしい…です」
 由香は先端の鈴口を舌でつつき、尿道に残った精液を吸い出した。
「そんなにチ×ポが好きか」
「はい…」
 そう返事をすると、勢いを取り戻しつつある肉棒を、舌腹で丁寧に拭うようにして、舐めあげていく。坂巻の肉棒が再
び大きく膨張し、硬くなってくる。
「お前、本当に淫乱だな」
 屈辱的な言葉を浴びながら、由香は「お掃除フェラ」を続けた。
「そうだ、お前は、昔からそうだ。嫌がるフリをして、俺を誘惑してたんだろ。いやらしいオ××コに、俺のチ×ポを入れ
て欲しくて、しかたなかったんだよな」
 坂巻の声の響きに、由香は身の毛がよだつほどの恐怖を感じた。その言葉は、由香を嬲るためのものではなく、心
からそう思っているのだ。
「慰安嬢になって、やっと本性を現わしたな、この淫乱娘が!」
 坂巻は由香の髪を掴んで、顔を上げさせた。常軌を逸した光をたたえて、坂巻の目が彼女の瞳をのぞき込む。
「そうか、わかったぞ。お前、俺とセックスしたくて、慰安嬢になったんだな。よし、これから、望みどおりに愛してやる」
 欲しいものは何としても手に入れる。そのためなら何でもするし、何でも自分の都合のいいように考える。坂巻という
男は、そういうふうに頭のつくりができているのだ。
「チ×ポを入れてやるよ。尻を上げろ」
 ベッドに手をついた由香が、お尻をクネクネとくねらせながら、坂巻の目の前に差し出すように、ゆっくりと上げていく。
淫らな腰の動きに、坂巻は男根を熱くする。
「いいか、入れるぞ!」
 下半身で反り返っている怒張が、由香のお尻に押し当てられる。次の瞬間、勃起した肉棒が由香の秘孔を貫いた。
「うっ…」
「へへへ、なんど犯っても、初めてみたいに締め付けてくるぜ。由香のオ××コ。最高だな…」
 膣肉がヌメヌメと肉棒に吸いついて、たまらない快美楽で包んでいく。坂巻は、怒張の抜き差しを始めた。さっき注ぎ
込んだ精液が潤滑剤の役割を果たしている。
「あん、ああん…、あっ、ああっ…、あんっ…」
「お前の中に入ってるのは、何だ?」
「ううっ、お…、オチ×チ×です…」
 坂巻は由香の腰を掴み、前後に揺すりながら、自らの腰を激しく動かしだした。
「誰のだ?」
「坂巻さんのです…」
「俺のチ×ポを入れられて、どんな気持ちだ?」
 坂巻はそう言いながら、興奮に太々とみなぎった全長を使い、渾身のストロークで貫いていく。
「き…、気持ちいい…です…」
「由香,俺のこと,好きだよな」
 身体ばかりでなく、心までも犯すような声に、由香は一瞬、言葉を失った。
「好きだよなぁ!」
 坂巻の声が大きくなった。坂巻の抽送はたちまちフルピッチに高まり、由香の身体が前のめりに倒れそうなぐらい突
き上げていた。
「好きです、坂巻さんが…、ああっ…」
 由香の身体が、ガクガクと痙攣しはじめる。膣内の収縮感が格段に増し、男の欲望器官をきつく締め上げた。
「出すぞっ!」
 腰がフィニッシュの連打を開始し、坂巻が叫ぶ。どこに残っていたのかと思われる精液が、尿道を駆け抜け、由香の
中で噴射する。「はあっ、はぁう、はあぁんーっ!」
 由香の背中が大きく仰け反り、しなやかな身体を壊れた人形のようにゆすり立てる。
 その動きが止まった時、由香の中で、ある決意が頭をもたげていた。

 日本人には見られない長大な肉棒を体内に入れたまま、琴美は男の膝に座った。男は、背面座位で繋がった琴美の
ユニフォームを捲り上げ、砲弾型になった双乳をギュッと強く揉んだ。男の指が、柔肉に食い込み、乳房が歪む。
「ううっ、あああ…」
"いい揉み心地だ、このオッパイ、サイコーだぜ!"
 豊かな乳房がなんとも言えず心地よい弾力を掌に伝えてきた。有頂天になった白人の男は、柔肉に強く指を食い込
ませ、牛の乳を搾るように強く揉む。その夜、琴美をリザーブしていたのは、アルメイア揚陸隊の兵士だった。
 揚陸隊の任務は、進攻作戦における先兵であり、日本の防衛や抑止力とは全く関係がない。本国に置いておくより安
上がりだという、アルメイアの国益のために配備された部隊だ。事実、横木基地に配備された揚陸隊の、現在の主要
な任務は、フサイン攻略作戦であった。
 砂漠の国に旅立つ名前も知らない兵士の一夜の慰みに、琴美はその身を捧げている。アルメイア国旗をあしらった
チアリーダーのユニフォームを着てのセックスは、そんな兵士たちに大人気だった。国旗を神のように信奉する日本の
「愛国者」たちとは、メンタリティが随分違う。
「…ううっ、う…」
 琴美は腰をクネクネと揺すりながら、男の怒張を秘孔の奥深くに導こうとする。館の「授業」でたたき込まれた習性
だ。
「あっ、あ、ああっ…」
 男は尖りだした乳首を摘み、コリコリと転がした。それに合わせて膣が収縮し、男の怒張を絞り上げた。キュッ、キュ
ウー、キュッと強く弱く締め上げる。
"おおっ、チョー気持ちいいぜ、お前のオ××コ!"
 琴美にはまったく理解できないスラングでまくし立てながら、男は腰を突き上げた。怒張が秘孔の奥に突き当たる。
「はあっ、はあっ、ああぁ…」
 男の太腿に腰掛けた琴美が、後ろ手にベッドに手をついて腰を振る。それに合わせて男が腰を突き上げる。あまりに
大きな白人の怒張が、琴美の秘孔を押し広げている。
 グチュッ、グチュッ、グチュッ…。
 溢れだした愛液をかき混ぜる音が、部屋にこだまする。
「だっ、だめえ…、ああ…」
 兵士の屈強な腕が、抱きしめた琴美の身体をたてつづけに揺さぶった。琴美の身体が弓なりにのけ反り、喘ぎ声が
ひときわ大きくなる。
"いくっ、イクぜっ!"
「い、いい、イクうう…」
 かみ合わない二つの言語が、同時に絶頂を告げる。
 ゴムを外し、精液まみれの陰茎を口できれいにした後、琴美はシャワーでアルメイア兵の体を隅々まで丁寧に洗っ
た。
"BYE‐BYE,Baby!"
「バイバイ、またね!」
 制服に着替えた琴美は、アルメイア兵と一緒に廊下に出て、夫を送り出す新妻のように優しく見送る。その唇にキス
をすると、アルメイア兵は上機嫌で帰って行った。
 目を伏せ、長いため息をついて、琴美はドアに設置された郵便受けのような箱を開けた。中には、使用済みのコンド
ームを入れておく回収ボックスが入っている。性病検査を初めとした健康チェックのため、ここに入れて置くよう指示さ
れているのだ。
 部屋から持ってきたゴムを入れようとしていると、背後に視線を感じた。振り返ると、そこには益本が立っていた。
「…あっ!」
 琴美は思わず、手にしたゴムを隠す。益本の視線が精液を溜めたコンドームにじっと注がれるのを感じて、琴美の頬
が熱くなった。それは、さっきまで彼女の膣内に入っていたものであり、セックスしていたことの証しでもある。
「益本クン、なに?」
 気まずさをごまかして笑顔を向ける琴美に、益本がポツリと言った。
「…この後、空いてるんだろ…」
 アルメイア兵の場合、やるだけやって、さっさと帰る者も少なくない。彼はそれを狙って、部屋の前で待っていたらし
い。
(また、寝てないんだ…)
 目の下に隈を作り、幽霊のように憔悴した表情を見て、琴美はピンときた。帰国後、少し経った頃から、益本は極度
の不眠症に罹っていた。「殺し、殺される」戦場での緊張がフラッシュバックし、夜毎の不安となって彼に襲いかかってい
るのだ。
「…いいよ、来る?」
 そう言って、琴美は益本を部屋に招き入れた。ドアを閉めた途端、益本が琴美に抱きつく。
「だめ…、だめぇ…」
 琴美は身体を離そうと益本の胸を両手で押す。「不純異性交遊禁止」が館の規則だ。授業等で、教師の指導のもとに
セックスするのとは別で、男子が自由に慰安嬢と関係を持つことは許されていない。もし見つかったら、二人ともきつい
お仕置きを受ける。
 しかし、益本の力は緩まない。逃れようとする琴美の首に腕を廻し、彼女の唇に唇を強く押し当てる。
「うン…、う、ううん…ううん…」
 益本はブラウスの上から琴美の乳房を強く揉み、もう一方の手で、彼女の太股からお尻にかけて撫で回す。その行
為には、いやらしさというより、しがみつくような必死さがあった。
(益本クン…)
 それを感じ取った琴美の体から力が抜けていく。益本の舌が口の中に差し込まれ、琴美の舌と絡み合う。二人は、キ
スを交わしたままベッドに倒れこんだ。
 益本の手が、胸のリボンを引っ張った。するっとリボンが解かれる。胸のボタンが一つ、二つと外された。二つの胸の
膨らみと、それを包むブラジャーがブラウスの奥に覗く。
「だ、だめ…だめだよ…」
 琴美が首を振る。しかし、その抵抗は弱々しいものだった。益本は琴美の背中に手を伸ばし、ブラジャーのホックを
外した。
 益本は、ゆっくりとブラジャーを抜き取った。仰向けになっても、潰れることなく隆起する双乳が吐息にあわせて波打
ち、さくらんぼのような乳頭が尖りを見せている。益本は琴美の胸の膨らみをグッと掴み、乳首を口に含んだ。
 二人は抱き合いながら、着ている物を一枚、また一枚と脱ぎ捨てていく。
「琴美ちゃん…」
 益本は、左右の乳首を舌で転がしながら、手を琴美の股間に忍ばせた。指が太ももの付け根を這い、繊毛を弄る。
そして、割れ目をなぞった。
 益本は勃起した一物を陰裂にあてがい、亀頭でなぞる。琴美の愛液と益本の先走り汁が混ざり合う。
 益本が腰をクイッと前に出すと、十分に濡れた秘孔は、難なくそれを受け入れていく。
「あ、ああっ…だ、だめっ!」
 我に返った琴美が腰を揺すって逃れようとするが、益本は彼女の肩を押さえて、グイッ、グイッと腰を押し出し、怒張
を押し込んでいく。
「あっ…あん…、ああん…」
 琴美の頭が、白い喉を伸ばし、仰け反って喘ぐ。秘孔が益本の肉棒を締め上げた。
「琴美ちゃん、琴美ちゃん、琴美ちゃん…」
 益本はうわ言のように琴美の名を呼び、腰の動きを早めて、一気に攻めたてた。グチュッ、グチュッと音を立て、愛液
が秘孔を溢れ出る。
「うおおぉぉぉ!」
 益本は、獣のような雄叫びを上げながら、ありったけの精液を琴美の中に放った。
「ああっ、いくっ、いくぅ…」
 同時に琴美が喉を伸ばし、頭を仰け反らせながら、痙攣するように震えた。白い膝小僧がピクピクと震え、爪先がピ
ンと伸びる。
 それから、どれくらいたっただろう。琴美がうとうとしかけた時、益本がいきなり、ガバッとベッドに起きあがった。
「どうしたの?」
 驚いた琴美が尋ねる。
「何でもないよ…」
 そう答えたものの、益本の顔は恐怖に歪み、青ざめていた。額には脂汗が浮いている。
「………」
 琴美は黙って益本の唇にキスをした。その唇は、マシュマロのように柔らかい。
 再び横になると、琴美は益本の手を取って自らの乳房にあて、肌と肌をぴったり密着させた。温かさがお互いに伝わ
る。
 やがて、益本の寝息が聞こえてきた。
 琴美は理解した。彼女と肌を合わせている時だけ、益本は安らいで眠ることができるのだ。
 戻って来た男子たちも、それぞれに傷ついている。



 
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