国防省附属「星園・癒しの館」第2部
 
第5章 明日へ…  2

 冬の早い夕日がプラットホームに落ちかかる時刻、オフホワイトのスーツを着こなした背の高い女が、横木駅に降り
立った。
 特別区に編入されてから、この駅にラッシュはなくなったが、それでもこの時間帯は乗降客が多い。その中にあってな
お、女の存在感は際だっていた。人目を引きつけると同時に、ある種の威厳をすら感じさせる。
 年齢は30歳ぐらいだろうか。キリッとした目鼻立ちの、知的な女だ。端正な顔立ちだが、美人と形容するには少し雰
囲気がきつ過ぎるきらいがあった。
 背中までの長い黒髪を風になびかせ、ヒールの音を高く響かせて、女が駅前広場にやってきた。ちょうどその時、トリ
コロールのユニフォームに白いスコートを穿いたチアリーダーの一団が二列になって駆けてきた。
「ファイト、ファイト!」
 かけ声からすると、学校のクラブ活動でランニングをしているらしい。
 人通りの多い街を、体の線を強調するユニフォームにピチピチした肢体を包んで走る少女たちの姿は、なんとも言え
ず艶めかしかった。しかも、ユニフォームの下には何も身につけていないらしく、乳房の形がクッキリ浮き出た胸の頂点
には、乳輪の丸い形が白い生地に浮かびあがっている。
「あなたたち、星園のチアリーディング部ね。こちらにいらっしゃい!」
 広場に立った女が、良く通る声で少女たちを招き寄せた。
 怪訝そうな表情を浮かべる少女たちに、女がスーツの襟を裏返して見せる。銀色の桜のバッジ、館の教職員だけに
与えられるバッジだ。
「はい!」
 それに気づいた先頭の少女が、大きな声で返事をすると、他の少女たちも一斉に返事をし、緊張した面もちで駅前広
場に整列する。
 何が始まるのだろうと、期待に満ちた表情で通行人たちが足を止め、遠巻きに見ている。なにしろ、ここは「あの星
園」なのだ。
「そんなに遠慮されなくても、近くで見学していただいて構いませんよ。どうぞ」
 女の言葉で、駅前広場はあっと言う間に見物客でいっぱいになった。
「お客様も集まったことだし、ここで少し演技を見せてもらおうかしら」
 女に促されて、部員たちは芝生の上でポーズをとり、倒立や転回、フォーメーションを披露した。演技もさることなが
ら、体の動きに合わせて波打つ胸や、開脚したアンスコにうっすら浮かぶ陰部に、見つめる男たちの視線が注がれる。
「この中で、体育科への編入試験を受けるのは誰?」
 二人の少女が手を挙げた。琴美と紺野希だ。
「じゃあ、あなたたち、一歩前に出て」
 きびきびした動きで、琴美と希が石堂の前に立った。
「筋肉の状態を見てあげるわ。ユニフォームを脱いで」
「えっ!」
 広場を取り囲む野次馬の視線を感じて、琴美は思わずためらいを見せる。すでに百人近くが集まっているのではない
か。
 パァン!!
 突然、耳元で乾いた音がして、徐々に右頬が熱くヒリヒリとする。
「教職員の指示には、速やかに従うのが館の規則でしょ!さあ、すべて脱いで全裸になりなさい」
 女が厳しい口調で叱責する。
「返事はどうしたのっ!」
 いきなり殴られたショックで呆然としている琴美を見つめながら、女が言った。
「は、はい!」
「よろしい、では、さっさと脱ぎなさい」
 琴美と希は慌てて、ユニフォームを脱いだ。風は冷たかったが、ランニングをしてきた余熱で、まだそれ程の寒さは感
じなかった。
「気をつけ!」
 女の号令で、二人は起立の姿勢をとる。生まれたままの姿で駅前広場に立つ少女たちに、集まった野次馬が固唾を
飲む。
 とりわけ、呼吸にあわせて揺れる琴美の胸の豊かさは、男たちの目を惹いた。圧倒的な量感に満ちた乳房が美しい
円錐形を見せている。乳首は可憐なピンク色だ。
「まず、上半身からね…」
 琴美の前に立った女はそう言うと、両手を伸ばし、琴美の肩から腕を撫でた。
 筋肉を一筋づつ確かめるような動きに、琴美の背中がゾクゾクした。
 女が指先で琴美の背中をスウッとなぞる。
「あっ、あうぅ!」
 琴美の体が、まるで電気が走ったようにビクビクっと震えた。
(…な、なんなの? この感じは…)
 戸惑う琴美から離れ、女が希に向かった。ホッとする反面、少し物足りない思いが頭をもたげ、琴美は慌ててそれを
否定した。
「あ、ああっ、…やめて、やめてくださいっ…」
 希の声が響いた。見物客に見せつけるように、女が背後から胸の膨らみを撫でさすり、乳首を摘んでしごいている。
「あっ、あうっ…、あうっ、ううっ…」
 女に全身を撫で回され、希が喘ぎ声を漏らす。可愛らしい少女が体をいじられ、羞恥にのた打つ様子を、広場に集ま
った男たちが興味津々の様子で見ている。
 その間、琴美はその場に放置された。濡れた股間を冷たい風が撫でて通る。次第に体が冷えてきて、肌が粟立っ
た。歯がガチガチと鳴り始める。
「お待たせ。あなた、もっと触って欲しかったんでしょ」
 再び琴美の前に帰ってきた女が笑いながらそう言い、琴美は耳まで真っ赤になる。
「じゃあ、たっぷり触ってあげるわ」
 女の手が乳房をユサユサと揉みほぐし、指先が乳首を刺激する。快美感が琴美の身内にジーンとせり上がり、体温
も徐々に上がってきた。
 乱暴な男のそれではなく、女体を知り尽くした、同性ならではの愛撫だ。琴美は睫毛を閉ざしたまま、目もとから頬ま
でを紅潮させ、情感の溶けた鼻息を漏らす。
「ううっ、う……」
 琴美の双乳を蹂躙した女の手が、脇腹から腰を何度もねっとりと撫でる。琴美がもじもじと全身をくねらせる。
 脹ら脛から膝、太腿へと撫で上げてきた両手が、いきなりお尻を強く掴んだ。女の指が柔肉に食い込む。琴美は思わ
ず声を出してしまった。
「ふふっ、なかなかいい感じね…」
 そう言いながら、女は琴美の後ろに回った。見物客に見せつけるように、右手が乳房を責め、左手が下腹部を撫でな
がら、股間に潜り込んだ。
「あっ、そ、そこ…いや、だめっ…」
 濡れた茂みが指に触れた。
「すごく濡れてるわよ…」
「あ、ああ…、恥ずかしいっ」
 女に指摘され、琴美の顔が熱く火照る。指の腹で擦られるたびに、クチュクチュと愛汁が跳ねる。
 指先が、薄い莢をめくってピンクの肉芽を剥き出しにした。
「ダメよっ!」
 ブルブル震えて閉ざそうとする太腿に、ピシャリと平手打ちを食らわせて、女が叱りつける。
「あっ、ああっ、くくぅっ…」
 敏感な芽を、女の指先が何度もこすりあげる。目を硬く閉じたまま、琴美が左右に首を振った。抑えようとしても、喘ぎ
声が漏れてしまう。
「う、うう…あううん…」
 女が膣内に指を押し込んだ。琴美は声を漏らして、喉をのけ反らせる。
「感じてるのね。どこが感じるの?」
 中に溜まっていた愛蜜が、女の指を伝って滴り落ちる。女は、愛液を掻き出すように指を抜き差しする。
「お…、オ××コです。オ××コが気持ちいいです…」
「フフフ、いやらしい子…」
 女は満足そうに笑うと、琴美の蜜壷をかき回した。得体の知れない感触が、脊髄を駆け上がる。膣内で広がる甘美な
刺激が、ゾクゾクと背骨を揺るがした。
「あん、あぁぁ、あんっ…」
 指の動きが激しくなった。琴美の声が高くなる。あまりの快感に全身に汗をかき、細い肩先をハアハア上下させてい
る。腰もフラフラで、立っているのがやっとの様子だ。
「だっ、だめえっ!」
 臨界点に達した琴美が、全身をピクピク痙攣させた。膣がヒクヒクと女の指を締めつける。
「あらあら、こんなところでイっちゃったの?」
 女が嘲笑混じりにそう言い、見物客のざわめきが聞こえる。あまりの屈辱に、閉じた琴美の目尻から涙がこぼれた。
「そうね。編入テストまでに、もう少し筋力をつけた方がいいわね」
 その場にしゃがみ込んだ琴美を見下ろして、石堂が冷たい笑いを浮かべた。
「それと、乳首の感度をあげて、アソコの締まりもしっかり鍛えておきなさい」
「はい!」
 琴美に駆け寄った希が返事をする。
「じゃあ、あなたたちは、周りで見てくださったお客様にユニフォームをプレゼントして、裸でランニングを続けなさい」
「…はい!」
 従順に返事をした後、琴美は唇をかんで、うつむいた。
「あっ、自己紹介が遅れたわね。私は石堂しおり、館の教員として赴任したの。来年度から新設される体育科の主任教
諭になるから、よろしくね」

「国立体育大学で体育理論の講師をしていた女性です。彼女、とても優秀ですよ…」
 館長室に着任の挨拶に訪れた石堂を前にして、諸藤は富士審議官の話を思い出していた。
 体育科の責任者となる教師について、文部教育省の富士が推薦してきたのは、以外にも女教師だった。
 学生時代はテニス選手として活躍し、学部を卒業してからは、体育理論の博士課程に進み、将来を嘱望される教育
者、研究者になった。ところが、ある事件がきっかけで大学を追放されることになる。
「理由は、セクハラですよ。女学生に対する…」
 富士はニヤニヤ笑いながら、そう言っていた。石堂は男女ともにセックスの相手とする「両刀使い」だと言う。それも、
どうやら女性を相手にする時には、相当Sの気が強くなるらしく、研究だと称して教え子に拷問に近いことをやったの
が、問題にされたらしい。
 ただ、事情聴取を受けた石堂自身は、平然として「人間の体の限界を知らなければ、体育の研究は進みません」と答
えたと言う。
(おもしろい人材が手に入った…)
 諸藤に強い視線を返し、ピンと背筋を伸ばして立つ石堂を見て、諸藤は心の中で深く頷いていた。
「では、明日から編入テストの打ち合わせをさせてもらうとして、今日はゆっくりしてくれたまえ」
 彼にしては珍しく上機嫌の様子で、諸藤が石堂を退出させたところへ、南原事務長がやってきた。
「館長、生徒会長の森脇亜弓が面会を申し出ております。いかがいたしますか?」
 そう言われて、諸藤はすぐに亜弓の目的を察した。そして、彼女との会話を楽しむことに決めた。実のところ、女生徒
の中で諸藤が最も気に入っているのは、真面目で責任感が強く、頭の良い亜弓であった。
「いいだろう、会おう」
 しばらくして、硬い表情の亜弓が館長室に現れた。
 慰安嬢が館長室で面会する場合には、全裸で訪問しなけばならない。武器などを持ち込めないようにするための、セ
キュリティ上の措置だと言われているが、実際のところはよくわからない。
 直立した亜弓の肢体はスリムで、少女らしい清楚なものだった。瑞々しい体を、じろじろと見つめる諸藤の視線に耐え
ながら、亜弓が切り出した。
「…3年生が卒業後、海外派遣されると聞きましたが、本当でしょうか?」
 静かな口調だが、その瞳には抗議と、堅い決意の色が浮かんでいる。
「そのとおりだ」
 諸藤が答えると、亜弓が沈痛な表情になる。
「女子はここで、女の子としては死ぬより辛い生活を送っています。なんとか耐えているのは、卒業すれば、家に帰して
もらえると信じているからです。それなのに、海外派遣なんて…」
 亜弓の声が震える。そして、必死の表情で訴えた。
「お願いです。館でのことは誰にも言いません。海外派遣は中止してください。せめて卒業後は、私たちを自由にしてく
ださい」
「日々、性欲処理の慰安ボランティアに精励して、受験勉強も就職活動もできない君たちに、国が進路を準備してやろ
うという親心なのだがね…」
 諸藤が冷たい笑いを浮かべて言う。しかし、亜弓はひるまなかった。堅い表情のまま、潤んだ瞳でまっすぐに諸藤を
見つめている。
「…と、君を相手に誤魔化してみてもしかたないようだな。ただ、海外派遣は防衛隊上層部が決めたことだ。私の一存
ではどうにもならんよ」
「でも、館長なら、上層部に対して条件をつけることは可能なはずです。せめて…、せめて期限を切ってください」
 二人は無言のまま見つめあっていた。しばらく間を置いて、諸藤が話を切り出した。
「当館では、来年度から体育科を新設する。在校生の中からも、スポーツが得意な生徒を選抜して、体育科に編入させ
る予定だ」
 その話は亜弓も聞いていた。近々、編入テストが実施される。
「編入テストは館の教職員やスタッフ、訪問客はもちろん、横木基地の隊員たちや地域住民にも公開される。したがっ
て、テストを受ける者には、手を抜かず、真剣に参加してもらいたい」
 亜弓は顔をしかめた。要は、女生徒たちの恥ずかしい姿を見せ物にして楽しもうというイベントらしい。
「そこで、君に頼みだが、生徒たちに、体育科編入を目指して真剣にテストを受けるよう話しておいてもらいたい」
「私からですか…」
 亜弓の表情が曇った。また、仲間に恥ずかしいことを指示する役回りをさせようというのだ。諸藤が意地悪い笑みを
浮かべている。
「体育科に編入した生徒には、家族との手紙のやりとりについて、現在の月1回という制限を外すことにしようと考えて
いる。館の電話で連絡を取ることも認めよう。それに、体育科の生徒は、対外試合などで横木から出る機会も増えるは
ずだ」
 もちろん手紙は全て検閲され、電話の内容は館のスタッフに聞かれている。外出というのも、何か裏があるに違いな
い。それでも、軟禁状態にある彼女たちには、うれしい特典である。
「さらに、受験者の過半数が合格すれば、卒業後の海外派遣期間は2年とし、2年後には除隊も認めよう。合格者だけ
ではなく、今年卒業する3年生も含めて、全員だ」
 亜弓がハッと顔をあげる。その反応に、諸藤が満足そうに笑った。
「加えて、半年ごとの人事評価で特に優秀だった者は、内地勤務に配置転換して、残った期間を、この館のスタッフとし
て働いてもらう…、というあたりだな」
 これで話は終わりとばかりに、諸藤は椅子から立ち上がった。
「…わかりました」
 そう言うと、亜弓は深く頭を下げた。もちろん、とうてい満足できる内容ではない。それでも、今はここで納得しておくべ
きだろう。

「お帰り、亜弓。どうだった?」
 心配そうな表情で茉莉が駆け寄った。卒業後の進路は、3年生だけでなく、それに続く1、2年生も強い関心を持って
いる。慰安に従事していない女子の多くが、亜弓と館長との話し合いの結果を、生徒会室で今か今かと待っていた。
「…何よぉ、それ?信じられない。偉そうに館長に直談判に行って、それだけなの?」
 亜弓が説明し終わるや否や、明日菜が亜弓に詰め寄った。
「あたしたち、戦地に送られるのよ。どうしてくれるのよ!」
「あなたが代わりに行きなさいよ!」
 明日菜の取り巻きたちも声を揃えて、亜弓を詰る。
「ちょっと、そんな言い方ないでしょ!亜弓、がんばってくれたじゃない!」
 由香が明日菜にくってかかった。お互いににらみ合い、今にもつかみ合いの喧嘩が始まりそうな空気が流れる。
「ダメ、ケンカしちゃ、だめだよ!」
 琴美が慌てて、二人の間に割って入る。
「…ごめんなさい、力が足りなくて」
 亜弓はそう言うと、その場に正座して頭を下げた。
「でも、今はできることを一つずつやって、少しでも処遇を良くしていくしかないの。お願い、みんな、わかって…」
 涙まじりの亜弓の言葉に、その場の女子が全員、言葉を失った。
「うん、わかってるよ、私がんばる。テストを受けるみんなも、がんばってくれるよ」
 亜弓の腕を掴んで立ち上がらせながら、琴美がそう言った。その脳裏には、夕暮れの駅で会った石堂の冷たい笑い
が浮かんでいた。

「よう!」
 上機嫌で部屋に入ってきた男を見て、由香の表情が強ばった。現れたのは坂巻だった。
 寮での慰安は、客が来る時間は通知されるが、どういう男が来るかはわからない。由香にとって、最悪の時間が始ま
る。
「今夜は、俺で何人目だ?」
 全裸になり、ベッドに腰掛けた由香に、坂巻が尋ねた。
「…3人目です…」
「そうか、俺という彼氏がいながら、他の男とセックスしたんだな」
 そう言う坂巻の目が据わっていた。帰国した当初はそうでもなかったが、最近、由香への執着がいっそうひどくなって
いるようだ。
 ストーカーになる男は、本質的には相手に対する愛情より、はるかに自己愛が強い。坂巻の場合、今の生活に対す
る不満が、由香への歪んだ執着に転化しているのだ。
「そんな女は、お仕置きが必要だな」
 そう言いながら、坂巻は棚に手を伸ばし、裁縫セットの中から針箱を取り出した。
「朝から順番に、どんな男のチ×ポをしゃぶったり、オ××コに入れたりしたのか報告しろ」
 箱の中からまち針を一本取り出し、ニヤニヤ笑いながら、坂巻が言った。
「セックスした男の数だけ、オ××コにこいつを刺してやるよ。フェラの場合は、オッパイだ」
「えっ…」
 由香の顔色が変わった。
 慰安嬢は、客がリクエストすれば、SMプレイにも応じなければならない。寮の部屋には、そのための道具も揃えられ
ている。しかし、由香は痛みを伴うプレイが苦手で、他のテクニックを磨くことで客を満足させる努力をしてきた。乳房や
陰部に針を刺されるなど、聞くだけで恐怖を感じる。だが、坂巻にそんな話が通じるとは思えなかった。
「じゃあ、聞いていくぞ。嘘を言ってもすぐにわかるんだからな。最初はいつ、どこで、誰としたか言ってみろ」
 坂巻は一度言い出したら、けっして後に引くことはない。由香は屈辱的な一日を思い起こし、理不尽な「罰」を受けるし
かなかった。
「性技の授業で、同級生の豊川君を相手に、フェラチオの練習をしました」
「なんだ?チ×ポ好きのお前が、今さらフェラチオを練習する必要はないだろう?」
「後ろ手に手錠をした状態で、口を使ってズボンからオチ×チ×を取り出し、そのまま手を使わずにフェラチオする練習
です…」
「そうか、そこまでして男のチ×ポをしゃぶりたかったんだな。お仕置きだ、胸を突き出せ!」
 坂巻の命令するままに、由香はベッドに手をつき、胸を前に突き出した。
 坂巻が近づいてきて、手に持った針を由香の目の前で、見せつけるようにした。
「こら、良く見るんだ!」
 思わず針から視線を逸らした由香を叱りつけ、指で顎を摘んで針の方を向かせる。
 針による責めは、実際の痛み以上に、身体に針を刺されることに対する恐怖が大きい。フサインで現地の娘を数多く
拷問してきた坂巻は、その機微を十分過ぎるほど知っていた。
「痛っ!」
 チクッとする痛みを右の胸に感じた。柔らかく白い肌に針が突き立っている。
「そいつとは、フェラだけか?」
「せ…、セックスもしました」
 かすれた声で由香が答える。
「そんな上品な言い方、ダメだって教わってるんだろ?それに、体位、回数、中出しかどうかもきっちり言うんだ」
「手錠をしたまま、騎乗位で豊川君に跨って、勃起したオチ×チ×を私のオ××コの中に入れました。授業なので、中
出しされました」
「この淫乱め。よーし、股を開け!」
 由香は哀願するような表情で、首を左右に振った。針を刺されるために自ら股を開くなど、とてもできないと思った。
「開け!」
 完全に正気を失った目で坂巻が迫ってくる。由香はおずおずと脚を開いた。
「1人目!」
 そう言うと、坂巻は手にした待ち針を柔らかな舟形に勢いよく突き刺した。あまりの痛みと、性器に針を刺されたショッ
クで、由香は声も出せず、息を飲み込んだ。
「次は?」
「午後の音楽の授業で、40歳ぐらいの隊員の方のオチ×チ×をバックで、オ××コに入れながら歌いました。コンドー
ム付きでした」
「よーし、2人目だな」
 そう言うと坂巻は、今度は針の先端を大陰唇の膨らみにあてがい、ゆっくりと力をくわえていく。
「刺されるところを、ちゃんと見ろよ!」
「う、ううっ…くうっ!」
 じわじわと肌を傷つけ、肉に刺さっていく感触は、一気に刺される時の何倍もの苦痛をもたらした。痛みと屈辱で涙が
ボロボロこぼれてくる。

 寮の玄関で、一組の男女が抱き合っていた。
 慰安を終えた茉莉が、訪問客を見送っているのだ。恋人同士のように、二人は唇を重ね合い、舌を絡め合う。男の手
は、制服の上から茉莉の胸をまさぐった。
「ありがとうございました。また、来てくださいね」
 濃厚なキスのあと、彼女の体をやっと離した男に、天使のような笑顔を浮かべて茉莉がそう言った。男の表情がみる
みるうちに弛んでくる。
「うん、帰国したら真っ先にここに来るよ」
 出征を明日に控えた男は、名残惜しそうに何度も振り返って茉莉に手を振った。
「ふう…」
 男の姿が見えなくなると、茉莉の表情に深い哀しみの色が浮かんだ。あの男も、自分も、この時代に翻弄される犠牲
者なのだ。
 その時、背後でガサッという物音がした。何だろうと思って振り返えると、ロビーを転がる黒い筒を慌てて追いかける
植田陽子の姿が目に入った。
 筒は茉莉の足元に転がってきた。何気なく拾い上げると、賞状を入れる紙の筒で「準優勝 星園高校テニス部」と金
文字で書いてあった。
「陽子、これは…」
 駆け寄って来た陽子に紙筒を渡しながら、茉莉は低い声で訪ねた。
「これだけは、どうしても捨てられなくて…」
 手にした紙袋に筒をしまいながら、陽子も声をひそめて答えた。各クラブが獲得した賞状やトロフィーなど、星園高校
の思い出につながる物はすべて廃棄するよう命じられ、秋の文化祭でキャンプファイアーの焚き付けにされたはずだ。
「3年生が卒業して、1年生の私が初めて出場した地区大会の時の賞状なの…」
 それまでベスト8がやっとだったテニス部を、準優勝に導いた原動力になったのが、新たにレギュラーになった陽子だ
ったことを茉莉は思い出した。
「…、でもあれが最後の試合になっちゃった…」
 そんな思い出の品だったから、他の賞状やトロフィーと一緒にキャンプファイアーの火にくべられるところを、陽子が必
死で隠したのだ。
「これまで、部室に隠してたんだけどね。ほら、体育科を作るとかって、工事が始まるから隠しておけなくなって…。で
も、寮の部屋に置いておくわけにもいかないし…」
 困ったような表情で、陽子がため息をつく。
「そうね。みつからない所に隠さなきゃね…」
 茉莉がポツリとそう言った。

「もう、許して…許してください」
 由香が涙でぐしゃぐしゃになった顔で哀願する。
 すでに右の乳房に5本、左に4本、股間には6本の針が刺さっている。中には乳首を串刺しに貫いたり、膣前庭の粘
膜に突き立てられ、割れ目からまち針の頭を覗かせている物もあった。
「あと一人で終わりだろう?さあ、俺の前に来たのは、どんな男だった?」
 興奮状態で頬を紅潮させた坂巻は、新たな針を取り出して、容赦なく迫ってくる。
「アルメイア軍の黒人兵です。黒い大きなチ×ポを、バックと正常位でオ××コに入れました。検査済み証を持っておら
れたので、中出しです」
「何ぃ、アルメイア野郎か!それは、ますます許せんなぁ…」
 前線でアルメイア兵に侮辱的な言葉を投げつけられたり、顎でこき使われた記憶がよみがえる。そもそも、基地も駐
留経費も、家族の滞在費や余暇の費用、海外基地の建設費まで、むしり取れるだけむしり取ろうとする「目上の同盟
国」を、本音で言えば、坂巻は好きではなかった。
「アルメイア野郎に抱かれるような女は、クリトリスにお仕置きしてやる。自分で皮を剥いて、針を刺す準備をするんだ」
 由香は震える指先でデリケートな莢を開いた。ピンク色の小さな突起が顔を出す。
「小さいな、ちょっと弄って勃起させろ」
「…はい…」
 指先で擦っていると、敏感な芽が少し赤みを帯びて膨らんだ。そこに針先があてがわれる。
「よし、刺すぞ…」
 坂巻が指先にゆっくりと力を込めた。
「ぎゃあっ!」
 由香は、痛みに顔を歪め、悲鳴をあげた。
「うっ…、うくうっ…」
 じわじわと肉芽を貫く鋼の感触に、由香は歯を食いしばった。
「アルメイア野郎のデカチンは気持ちよかったか?」
「いいえ…」
「俺のとどっちが気持ちよかった?」
「さ…、坂巻さんのオチ×チ×です」
「俺とセックスするのは、好きか?」
「はい、坂巻さんとのセックスが好きです…」
 返事をしながら、由香は坂巻の表情が微妙に歪むのを見た。
「どうだ?オ××コに針を刺されるのと、俺のチ×ポを刺されるのと、どっちが好きだ?」
「坂巻さんのオチ×チ×が好きです」
「よし、じゃあ、お願いしてみろ」
「針じゃなくて、坂巻様のチ×ポを私のオ××コに刺してください」
 絶望的なおねだりをしながら、由香の脳裏に一つの計画が像を結ぼうとしていた。

 堅くなった肉棒がミキの中に入ってきた。
「あっ、うぅん…」
 ベッドに腰掛ける信彦の膝の上で、ミキの裸身が弓なりに仰け反った。白い乳房が前に突き出され、信彦がそれにむ
しゃぶりつく。
 最近、母から来た手紙には、高級住宅街にある官舎を住居として与えられたと書かれていた。仕事も、アルメイア基
地の食堂で働くようになり、生活が相当楽になったという。「飴と鞭」という言葉がミキの脳裏に浮かんだ。
「あんっ…」
 信彦が乳首を口に含んで、舌先で転がす。彼が防衛隊情報部の仕事をしていることは、はっきりと聞かなくてもわか
った。そして、自分を由香に近づかせた意味も理解できた。
 由香を陥れることなどできないと思いながら、この仕事をやめるわけにはいかなかった。
 母のこともあったが、今やそれ以上に大きいのは、信彦の存在だった。信彦に抱かれながら、ミキはむさぼるように
腰を振った。
「ああん…」
 膣が収縮し、熱を持った襞肉が肉棒に絡みつく。信彦は膝を振動させ、ミキの体を上下に揺さぶった。
 由香は「協力者」ではないと、ミキは繰り返し言う。しかし、由香と急速に親しくなっていくミキの言葉を素直に信じても
いいものだろうか。
 信彦の目をまっすぐに見て、明るく笑う由香の表情が脳裏に浮かぶ。異性と言うよりは、仲のいい友だちとして、一緒
にいると心地よい少女だった。
 しかし、彼女が「協力者」でなければ、茉莉が「協力者」だということになる。それは、今でも心の底から愛している茉
莉を窮地に追いやることに他ならない。
「はあぁっ、はあぁっ…」
 ミキが喘ぎ声をあげながら、ヒップを前後に揺すり、肉棒を味わうように擦りたてる。濡れた粘膜で擦られ、信彦のペ
ニスにとろけるような快感が伝わる。
 滝川が、この件で信彦の「忠誠心」を測ろうとしているのは、一向に彼自身が動こうとしないことから見てもあきらか
だ。
 そして、信彦には滝川から逃れる選択肢はなかった。情報部の恐ろしさだけが理由ではない。今の彼の立場は、戦
地へ送られた者よりも、戻ってきて館で仕事をしている者よりも、遙かに優遇されている。たとえ正当に手に入れたもの
ではないとわかっていても、有利な立場を自ら放棄するのは難しいものだ。信彦はつくづく人間の弱さを思い知らされて
いた。
 信彦は両手でミキの双臀を抱え込み、連結した彼女の肉体を揺さぶり、規則的に腰を突き上げる。
「あっ、ああ…、気持ちいい…」
 ミキは身をくねらせ、啜り泣くような声をあげた。
 この時間、寮では多くの慰安嬢が男と肌を重ねている。その中で、自分ほど幸福な女の子はいないだろう。
「すごく気持ちいい…、もっと…、もっと動いて…」
 そう言うと、ミキは信彦にしがみついた。膣内の収縮が増し、男の肉棒をきつく締めあげてきた。
「うっ…、むうっ…」
 信彦はたまらなくなり、ついに己の欲望を解放した。抽送はたちまちフルピッチに高まり、ミキの体が浮きあがるくらい
に突き上げていた。
「はっ、はああぁ…」
 信彦の腕の中で、ミキがのけぞった。スタイルの良い体を壊れた人形のように揺すり、信彦の背中に爪を立てて、とう
とう絶頂を迎えた。
(茉莉、茉莉っ!)
 女陰をペニスでガンガン突きまくり、ミキの胎内に射精する信彦の脳裏には、別の少女の面影が浮かんでいた。

 早朝、茉莉が陽子を連れてきたのは、吹奏楽部がいつも練習で使っている音楽室だ。
「ちょっと、ピアノを押して」
 二人がかりで重いグランドピアノを動かす、少し動いたところで、茉莉が靴の踵で床を蹴った。
 どういう仕掛けになっているのか、ピアノを置くために補強している床板が動き、人が一人入れるぐらいの穴が開い
た。
「茉莉、これって?」
「ここなら誰にもみつからないわ」
「これ、あなたが作ったの?」
「まさか」
 茉莉は手をヒラヒラと振ると、声をひそめるようにして言った。
「岩田先生に教えてもらったの」



 
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