国防省附属「星園・癒しの館」第3部
 
第1章 第二世代  1

 少女のすすり泣く声が聞こえた。
 優里が視線を向けた先で、三角座りをした少女が、抱えた膝に顔を埋めて嗚咽を漏らしている。カーキ色の幌で覆わ
れた薄暗い空間に、震える白い肌がぼうっと浮かんで見える。少女は全裸なのだ。彼女だけではない、優里自身も含
め、軍用トラックの荷台に荷物か家畜のように放り込まれた十数人の少女たち全員が、下着すら身につけることを許さ
れず、いずれも一糸まとわぬ姿にされている。
「きゃっ、ごめんなさい…」
 身体が大きく右に揺すられ、隣の少女に倒れ掛かるようになった優里が、慌てて相手に謝罪する。柔らかな肌の感触
が優里の肌に伝わり、思わず狼狽してしまう。
 人が乗るように作られていない荷台は不安定で、カーブを曲がるたびに態勢が崩れ、肌と肌がぶつかりあう、その都
度、自分も相手も互いに裸なのだと否応なく意識させられた。
 すると、優里の隣で、さっきまで呆然と視線をさまよわせていた少女が、しくしくと泣き始めた。丸めた背中が心細げに
震えている。一人、また一人…、まるで伝染したかのように、すすり泣きが広がっていく。
「ちょっとぉ、気が滅入るけん、泣かんでよ!」
 凛とした声が響いた。優里は顔を上げて声の主を探したが、最初は人違いかと思って、さらに周りをキョロキョロ見渡
した。
 再び、真正面に座っている少女を見る。切れ長の目が美しく、鼻筋の通った整った顔立ち、ミルクのような白い肌に
背中まであるストレートの黒髪がとてもよく似合っていた。横木駅に到着した時の点呼で、確か窪井沙希と呼ばれてい
た。
 日本人形のような容姿と、幼さの残る表情、華奢な体格があいまって、同性の優里から見ても抱きしめたくなるぐらい
可憐な美少女だ。とても他人を叱りつけるようなタイプには見えない。
「メソメソ泣いとっても、しょうがないっちゃろ。なんでこんなことになったか考えて、きちんと対処せんといかんとやな
い!」
 博多弁の厳しい声が響く。人違いではなかった。その気丈さに優里は思わず舌を巻く。
 しかし、「どうしてこんなことになったか」というのは、なかなか難しい質問かもしれないと、優里は思った。

 公立高校への進学が決まっていた武口優里の元に、自治体からの「通知書」が送られてきたのは、卒業式の一週間
前だった。
 きわめて事務的に作られたピンク色の紙に印刷されていたのは、「有事における徴兵法第69条にもとづき、高校進
学にかえて、別紙国防省付属施設での3年間のボランティア活動を命ずる」との簡単な文章であった。
 両親が慌てて役所に問い合わせたが、既に決まったことであり、変更はあり得ないと突っぱねられた。窓口で、けん
もほろろの対応をされたらしく、「公務員は『市民の奉仕者』なのに『市民を指導する立場にある』と主張する市長が選
挙に勝ってから、おかしくなってきたんだ!」と父が憤慨していたのを覚えている。
 泣く泣く両親と別れて、指定された列車に乗り込んだ優里が到着したのは、横木駅。不安な思いを抱えたまま連れて
来られた宿泊施設で、ホッと一息ついているところに、いきなり数人の男が乱入し、彼女の手首と足首をベッドに四隅
に縛りつけた。
 しばらくして、入ってきたのは、彼女の父親よりも年上だと思われる、恰幅の良い五十歳前後の男だった。白髪混じり
の髪をオールバックに固め、ニヤニヤ笑いながら舌なめずりするように、ベッドに拘束された優里を見下ろしていた。
「武口優里ちゃんだね。ふふふ、今夜はゆっくり楽しませてもらうよ…」
 卑猥な笑い声を漏らしながら、男は手にした鋏で、じっくりと時間をかけて、彼女の着ているものを一枚一枚切り裂い
た。
 優里はベッドの上でもがき、泣き、叫んだ。そんな彼女の全身を、男は思う存分、玩具のように弄り回し、体の隅々ま
で執拗に嘗め回し、そして、何度も犯した。優里の大切な処女は、見ず知らずの男にいきなり、乱暴に散らされてしまっ
たのだった。
 朝になって男が姿を消した後、優里はそのまま何も身につけることなく、茫然自失の状態でこのトラックに乗せられた
のだ。他の少女たちも、おそらく同様の経験をして、今ここにいるのだろう。泣き出すのも無理はない。
「とにかく、しっかりせんと…、しっかりせんといかんけん…」
 沙希の言葉の語尾が震える。彼女の言葉は自分に言い聞かせているのだと気づいた優里は、彼女に向かって深く
頷いてみせた。それに気づいた沙希の表情が、今にも泣き出しそうな切羽詰ったものから、柔らかな笑みに変わった。
(可愛い…)
 思わず優里は、心の中でそう呟いた。

 トラックが停止した。荷台のルーフに掛けられているカンバス地の幌が割れて、春の日差しが忍び込む。
「さあ、降りろ!」
 男が顔を覗かせて、少女たちを怒鳴りつける。荷台の少女たちは、丸くした身体を抱くようにして硬直している。業を
煮やした男が、荷台に乗り込んできて、強制的に彼女たちを降ろしていった。
「きゃあっ!」
 荷台から降ろされた優里は、思わず悲鳴をあげて、その場にしゃがみこんだ。
 そこは病院を思わせる建物の、正面広場といったスペースであった。トラックの周りには幾重にも人垣ができて、全裸
で降りてくる少女たちに好奇の視線を注いでいる。数十人、もしかすると百人近い男女が彼女たちを見詰めているの
だ。
「ほらほら、立って、そこに並べ!」
 人垣の先頭にいたカマキリのように痩せてヒョロリとした男が、近づいて来て、少女たちに命令した。
 それでも恥ずかしさから、少女たちがその場に蹲っていると、男が人垣に向かって顎をしゃくった。
 彼女たちとそう変わらない年齢の、お揃いのジャンパーを着た若い男たちが十人ばかり近づいてきて、少女たちの腕
を掴み、無理やり立ち上がらせ、一列に並ばせていく。
「身体を隠すな」
 若者たちが叱り付けるが、そんなことを言われても、恥ずかしくて無理というものだ。少女たちは皆一様に胸と股間を
手で隠していた。
「仕方がないな」
 カマキリ男がそう言って、頷いて見せると、若者たちはポケットから手錠を取り出した。
「あっ!」
「いやっ!」
 若者たちは慣れた様子で、抵抗する少女たちの腕をやすやすと背中にまわし、後ろ手に手錠をはめていく。玩具では
ない、警察が使うような、しっかりした鉄製の手錠だ。
 もはや少女たちは、乳房も下腹部の茂みすら隠すことを許されず、恥辱に震えながら、その場に立たされていた。
「それじゃあ、一人ずつ自己紹介してもらおう」
 カマキリ男の爬虫類のような目で睨まれ、一番端から自己紹介が始まった。
「…武口優里です…」
 15人少女たちの丁度真ん中、8番目が優里の順番だった。一斉に視線が集まるのを感じて、みるみる顔一面に朱
色がひろがり、もじもじと裸身をくねらせる。
「ほーっ…」
 人垣の中から感嘆の声があがった。実のところ、タイプこそ異なるものの、優里も沙希に負けず劣らずの美少女なの
だ。
 くっきりした眉の下にある、パッチリした目には人を惹きつける力があった。口は小さめだが、唇は肉感的でふっくらし
ている。容姿に華があり、今はまだ、可愛いという印象が強いが、大人になるにつれて驚くほどの美人になりそうだ。シ
ョートカットの髪と引き締まったアスリート体形が、活発そうな印象を与える。
 そんな美少女が全裸になり、瑞々しく張りつめた形の良い乳房に、魅惑的な腰のくびれから引き締まったヒップ、下腹
部を彩る小判型の陰毛まで人前に晒して立っているのだ。
「千葉県から来ました。誕生日は10月14日です…」
 羞恥と緊張に震える声でそう言うと、優里はそのまま、恥ずかしそうにうつむいた。そんな初々しい姿に、施設のスタ
ッフたちがギラつく視線を絡みつかせる。
 横に立っていた若者が皮製の犬の首輪のような物を取り出した。優里の名前と108という番号が焼印された首輪
が、彼女の首にはめられた。
「おめでとう!君たちは選考の結果、国防省付属・星園癒しの館の慰安嬢に選ばれた。多くの候補者の中から選ばれ
た、お国に貢献できる名誉ある仕事だ。みんなでがんばっていこう!」
 全員の自己紹介が終ると、カマキリ男が少女たちの前に立ち、姿勢を改めて話し始めた。
「私は、普通科新1年生の学年主任の安達だ。これから、君たちの指導に責任を持つ立場になるので、よろしく」
 優里は思わず身震いした。教師らしい口調で話しているものの、粘着質な、何かゾッとさせる響きを含んだしゃべり方
だ。
「…慰安嬢の任務は、防衛隊員をはじめ、政界や経済界の方々、官僚のみなさんなど、国のために尽くしている方々に
身体を捧げ、その性欲を満たし、そうした方々に活力を与えることにある」
 安達の言葉に、少女たちは思わず耳を疑った。
「慰安嬢になれば、だいたい毎日、10人以上とセックスしなければならない。それに、慰安嬢はどんなプレイにも応えら
れなくてはならない。口、性器、アナル、すべてで性欲を処理出来て、はじめて一人前だ。だが、心配は要らんぞ。セッ
クスの仕方については担当の教官が十分に指導するので、すぐに上達する」
 あまりにも非常識なことを、当たり前のように言われて、少女たちの多くは思考停止に陥っていた。ただ、自分たちの
身に相当まずいことが起きていることだけは、文字通り肌身で感じる。
「さて、入館式は4月1日だ。君たちには、今日から入館式までの一週間、この研修所で、入館前教育を受けてもらう。
入学式までに基本的なプレイは、すべて身につけ、入学式の後、来賓の方々に見ていただくからな。しっかり練習する
ように。いいな?」
「………」
 少女たちはどう反応していいのかわからず、お互いに顔を見合わせて、黙っていた。
「勝手にこんな所に連れて来られて、裸にされて、そんなこと言われても、何のことかようわからんけん、なんも答えられ
ません!」
 声をあげたのは窪井沙希だった。可憐な博多人形の辛辣な口調に、館のスタッフたちは目を白黒させている。
「ほお、見かけによらず、向こうっ気の強い娘だな」
 それまで、爬虫類のように表情がなかった安達の顔に、うれしそうな表情が浮かんだ。
「これは、躾がいがあるというもの…」
 そう言って安達が手を伸ばすと、若者の一人が細長い棒のようなものを彼に渡した。それが、黒い一本鞭だと気づい
て優里は思わず息を飲む。
「えっ、なに…?ちょっと…、何しよぉの…」
 急に不安そうな表情を浮かべた沙希に、鞭を手にした安達が近づく。パシッと音を立てて、沙希のお尻に鞭が飛ん
だ。
「イタいっ!」
 白いお尻に一筋の赤い筋が浮きあがる。
「教師の命令は国家の命令だ。口答えしたり、反抗することは一切認められない。質問する必要もない。君たちに許さ
れた返事は『はい、わかりました』しかない…、わかったか?」
 肌に直接、鞭を当てられたショックで呆然としながら、沙希が思わず呟いた。
「そんな…」
 ひゅんっ!
 ピシィッ!
 新たな一撃が沙希を見舞う。
「あうううッ!」
 太腿に走る痛みとショックで、沙希の身体がブルブル震える。
「わかったか?」
「…はい、わかりました…」
 屈辱のせいだろう、沙希は喉の奥から振り絞るようにして、やっとそう答えた。
「入館式が終ったら、君たちの肌は国有財産になり、教師といえども傷つけることは許されない。しかし、研修中は躾が
優先されるため、傷跡が残りさえしなければ、体罰も認められている。私は、遠慮なく鞭をふるうからな。覚悟するよう
に。わかったか?」
「はい、わかりましたっ!」
 少女たちは声を揃え、慌ててそう答えた。
「いいだろう。それでは、身体の点検に入る」
 安達が言うと、少女たちを取り囲んでいた人垣が崩れ、一斉に彼女たちに近づいてきた。
 中には女性もいるが、男が圧倒的に多い。彼らは、身を固くする少女たちに近寄ると、思い思いに彼女たちの身体を
触り、手にしたバインダーに記録をつけていく。
「バスト、78.5!」
 メジャーを持った男の手が乳首の上で交差し、大きな声で数字が読み上げられる。優里は耳が熱くなるのを感じた。
メジャーを持ったスタッフは二人組で、少女たちの身体のいたる所を採寸し、記録していく。
 白衣を着て、指先で目を開かせたり、首筋を撫でて様子を見るのは、医者らしい。しかし、検査はそれだけでは終ら
ない。
 数人の男が優里のヒップに手を伸ばし、太腿からヒップにかけて何度も何度も撫で摩る。
「引き締まって、プリプリした張りがあるぞ」
「意外に肉づきのいい手ごたえだな」
 にんまり笑ってそう言いながら、男は円を描いてお尻を愛撫する手にぐっと力を込め、中指を肉丘の谷間に入れて、
アヌスのあたりをまさぐる。
「キャアッ、イヤッ!」
 優里が悲鳴をあげると、周りにいた男たちが楽しそうな笑い声を立てた。
「きれいな顔立ちね。頬の線をあと少し引き締めたら、うっすらとメイクさせても映えそうね。男という男を虜にしそうだわ
…」
 沙希の前に立った女性が、彼女の頬を撫でながら、そう言った。ここには美容専門のスタッフも数多く配置されてい
る。横にいる男が、彼女の乳房を鷲掴みにした。
「意外にたっぷりした量感だな…」
 沙希の白い肌が羞恥にポウッと桜色に染まり、長い睫毛がギュっと閉じあわされる。
 男の両手が双乳を揉みしだく。沙希の身体がブルッと震えた。
「手で2分揉むと、乳首が勃起…」
 男がそう呟いて、バインダーに記録する。沙希が眼差しに嫌悪感を漂わせて、男を睨んだ。
「次は、下だな…」
 平然とそう言うと、男は固く閉じた太腿の間に手をねじ込み、スベスベした絹のような感触を確かめる。
「ああっ、いやっ!」
 男の手がじわじわと上がってきて、股間に触れた。沙希が思わず腰を引き、逃れようとするが、別の男に背後から押
さえられる。
 禁断の部分に触れられ、沙希は「アッ」と小さく叫びをもらした。指先が割れ目をなぞっていく。
「昨日の夜、たっぷりオ××コを弄られただろう」
 男にそう言われて、細く流れるように美しい眉が悲しげに歪み、真っ白な前歯で小さな唇をギュッと噛み締める。
「表情の初々しさがいいな、それを忘れないようにしろよ」
 男は指をクレヴァスの部分に突き立て、ある時は強くある時は優しく、亀裂に沿って往復させた。
「あっ…、あっ…、ああん…」
 沙希の口から喘ぎ声が漏れ、しなやかな腰が微妙に動き始めていた。男は亀裂の上端に指を置き、小刻みに震わ
せ始めた。
「あっ、あぁぁ…」
 思わず沙希が首を仰け反らせる。男の指が膣内に侵入してきた。濡れた粘膜に包まれ、指は滑らかに中に潜り込ん
でいく。
「ああぁ…」
 性的反応を記録することが目的の一つらしい。少女たちは皆、無理やり性感を刺激された。思春期の肉体が反応し
て、乳首が勃起し、陰部が十分に潤うまで身体を弄られ、その状態で放置される。それは、たまらなく恥ずかしい検査
だった。
「さあ、到着時の点検はもういいだろう。どうせ明日以降毎日、じっくり時間をかけて身体の隅々まで調べるんだから」
 そんな安達の声で、最初の検査が終了した。

 建物の中に入った少女たちが一列に並んで廊下を歩き、階段を上っていく。依然として全裸、後ろ手錠のままで、す
れ違うスタッフたちの視線を浴びながらの道行きである。
「これから1週間の研修期間中、お前たちが寝泊りするのは、ここだ」
 少女たちが連れてこられたのは、鉄格子の嵌った檻の前だった。外国映画に出てくる牢獄か、動物園の大型動物の
檻のようだ。
 やっと手錠が外され、順番に檻の中に入れられる。中はコンクリート打ちっぱなしで、ガランとした空間には、椅子や
ベッドといった調度品も一切ない。
 しばらく呆然と立っていた優里に、沙希が声をかけた。
「ねえ、こっち、来より」
 二人、並んで腰を下ろす。剥きだしのお尻がコンクリートにあたって冷たい。
「やっぱり私ら、癒しの館に連れてこられたんやね…」
「癒しの館…?」
「知らんの?」
「ええ…」
「国防省が、有事態勢で海外派兵される防衛隊員たちの士気を高め、傷ついた帰還兵のケアをするために作った施設
で、全国から女子高校生が集められボランティア活動をしている。活動内容は、隊員たちとの交流と医療的なボランテ
ィア…」
 そこまで言った後、沙希は声をひそめた。
「でも、それは政府の公式発表。ネットで注意深く検索していくと、隠された別の情報が出てくると。癒しの館の実態は、
性的なサービスを提供する国防省付属の慰安所…」
「それって…」
「つまり、ボランティアとして集めてきた女の子に、隊員たちとエッチさせてる施設っていうことやろ…、もちろん当局は否
定しとっちゃけど、どっちが正しかったかは、私らの今の状態から、はっきりしとぉけん」
 パソコン・ヲタを自称する沙希は、なかなかの事情通であった。優里は彼女の口から「星園癒しの館」について、ネット
で流れている「噂」を聞き、自分のもとに送られてきた「通知書」の正体を知った。
 中高教育助成金は当初、子どもの学力強化と教育権の保障を目的に「学費の無償化」を謳い文句に導入された。そ
の理念は良かったものの、財源の確保をおろそかにしたために、そのままの形で維持するのが難しくなり、評価の高い
学校には助成金を多く出す制度に変質していった。そして、どうやら最近では、文教省が出した新しい方針のもと、慰
安嬢を送り込んだ数が出身中学、在籍高校の評価を上げる要素になっているらしい。
「それじゃあ、私たち、助成金獲得のために売られたようなものじゃない!」
 優里は思わず、怒りの声をあげた。
「それだけやなかよ。失業者、母子家庭、障害者…、そんな厳しい状況にある人が、家族の中から慰安嬢を出したら、
行政からいろんな優遇措置を受けることができるけん、家族に可愛い女の子がおったら、すすんで慰安嬢にする家も
あるらしいと。もちろん、慰安の実態がよお知られとらんからやけどね」
「何それ!それって、時代劇に出てくる『身売り』と同じじゃない!」
 そんな会話をするうちに、しばらくして、食事が運び込まれた。運んできたのは、さっきの若いスタッフ達だった。
 サラダを食べようとして、口に近づけた途端、優里は怪訝な表情を浮かべた。野菜にかけられた白いドレッシングか
ら、草を磨り潰したような、嫌な臭いがした。昨夜の悪夢がよみがえり、その臭いの正体に思い当たった優里の手が止
まる。
「おい、ちゃんと食えよ!」
 食事を運んできた男たちがニヤニヤ笑いながら言った。
「さっき搾ったばかりだから、新鮮だぜ!」
「それは、たぶん、北上が出したやつだよな」
 少年じみたやりとりに、優里がハッと顔をあげる。北上と呼ばれた若者が、じっと彼女の方を見ていた。改めて見る
と、若いスタッフはいずれも、優里たちとそれほど年齢が変わらない少年であることに気づく。
 少女たちは全身に鳥肌が立つ思いで少年たちをみた。サラダにかけられているのは、彼らの精液なのだ。
「イヤよ、なんでそんなもん食べないかんと!」
 さっそく、沙希が柳眉を逆立てて、少年たちにくってかかる。
「…なんだよ…」
 先頭にいた眼鏡をかけた少年が、思わず後ずさる。一瞬、怯んだ少年たちは、なんとか形勢を逆転させようと、沙希
の周りに集まった。優里が慌てて、沙希を庇うようにして立つ。
「今日は初日だから、サラダだけで許してやってるんだ」
「今のうちに慣れておかないと、そのうち、ザーメンだらけのメシが出てくるぜ」
 少年たちが二人の少女を相手に言い募る。
「あんまり生意気を言ってると、また、先生にお仕置きされるぞ!」
 眼鏡の少年がそう言った時、ピシャリとコンクリートの地面を打つ鞭の音が聞こえた。安達がやってきたのだ。
「四の五の言わずに、食べなさい」
 安達が爬虫類の笑いを浮かべ、押し殺した声でそう言った。その威圧感に、少女たちが震え上がる。
「町田もしっかりしないと、研修係から外すぞ」
 安達に叱られた眼鏡の少年が、しゅんとして頭を垂れる。男子の様子になど興味ないとばかりに、安達が再び少女た
ちに向き直った。
「慰安嬢になれば、男の精液を口に含むことなど日常茶飯事だ。訪問客の要望によっては、小便だって笑顔で飲まな
ければならない。研修中に慣れておかないと、後が辛いぞ。それに、研修はハードだから、ちゃんと食べないと、明日か
ら、とても体力が持たないぞ」
 泣きそうな顔で俯く少女たちの耳に、床を叩く鞭の音が響く。全員がビクッと身体を震わせた。
「さあ、食べなさい!」
「はい、わかりました…」
 安達の言葉に、少女たちは泣きそうな顔をしながら、サラダを口に入れた。
 口の中にしょっぱい味と、青臭い臭いが広がる。優里は吐き気を抑えながら、慌ててそれを呑み込んだ。

 食事の時間が終って数時間後、若いスタッフを引き連れて、再び安達が入ってきた。
 身体を見られないように、背中を丸めて三角座りをしていた優里の背後に少年の一人が座り、両手を掴んで羽交い
絞めにした。乳房を鷲づかみにされ、首筋に口づけを受ける。
「おまえ、ショートカットが似合うよな…」
 そう言って優里の前で胡坐をかいたのは、あの北上という少年だ。
「オ××コ、見てやるよ…」
 北上はそう言いながら両膝に手をかけ、ニヤっと笑った。
「い…、いやっ…!」
 必死で膝に力を入れる優里だったが、北上の力は予想以上に強く、ジリジリと両脚が広がっていく。
「だめっ、いやぁ…」
 とうとう膝が完全に割られ、優里はM字開脚の姿勢をとらされた。ビロードのように滑らかで光沢のある陰毛の下に、
ぷっくりした大陰唇と、短めで形の整ったクレヴァスがあった。わずかにはみ出した肉襞はサーモンピンクで、既に愛液
に輝いて見える。
「い、…いや…、見ないで…」
 優里が太腿を閉じようとすると、背後の男が両手でそれを押さえ込んだ。
 北上が手を伸ばして、ヴィーナスの丘を撫でさする。恥骨の上にほどよくついた肉の弾力、陰毛が醸し出すザラつき、
それらの感触が掌に心地よく感じられる。
「だめっ、そこは…」
 北上の指先が花びらを開いた。サーモンピンクの秘口から愛液がヌラリと光る。優里は横に顔を向け、真っ赤になっ
ている。
「キャアッ、いやぁ…」
「お願い、やめてっ!」
 檻の中で少女たちの悲鳴が響く、若いスタッフが二人一組で少女を捕らえて、その身体を愛撫し始めたのだ。
「やめて、やめてよぉ!」
 怒りを含んだ沙希の声が聞こえた。背後から彼女を抱きすくめた少年が、胸に食い込んだ指をムニュッ、ムニュッと
動かしている。食事の時に、精液がかかったサラダの件で、彼女にくってかかられていた、町田という眼鏡の少年だ。さ
っきの仕返しとばかりに掴まれた双乳が、彼の手にあわせて押しつぶされ、形を変えていく。
「ああ、いやぁ…」
 もう一人の少年が沙希の股間に顔をうずめ、花弁を舌で舐め始めた。花唇の内側にも舌を入れ、肉襞の一枚一枚を
舐めていく。
「あっ、あっ、ああぁ…っ」
 敏感な部分を他人に舐められた沙希は、恥ずかしさのあまり身悶えする。その意思とは裏腹に、快感の魔の手が襲
い掛かってきた。
「さあ、身体がほぐれてきたら、薬を塗ってやれ」
 安達がそう言って、少年たちに歯磨きほどの大きさのチューブを配っていく。
 優里の背後の少年が、軟膏のようなチューブの中身を手に取ると、乳房を揉みしだきながら、ヌルヌルとそれを塗り
つけていく。
「ほら、そっちも…」
 音を立てて優里の秘肉をしゃぶっていた北上は、相方からチューブを受け取ると、指先に薬をとって優里の膣内に挿
入した。
「うっ、くうっ…」
 沙希は思わず声を漏らして、身悶えした。チューブの軟膏を塗られた乳首と股間にむず痒い刺激が走る。やがて、乳
房と下腹部の全体が熱を持ったように熱くなってきた。
「はあぁん!」
 少年たちの愛撫は続く。親指と人差し指でしこった乳首を摘み、コリコリと転がす町田の指の動きに、沙希はとうとう
耐え切れなくなって、悩ましげな喘ぎ声を漏らす。薬を塗られる前と比べて、性感が何倍にも膨れ上がったような気がす
る。
「おっ、薬が効いてきたのかな」
「この薬、よく効くからなぁ、この女、すぐに感じまくって、アヘアヘになっちゃうぜ」
 町田がうれしそうな声で言った。股間にもたっぷり薬を塗られた沙希は、もじもじと前後左右にお尻を振っている。恥
ずかしかったが、そうしないと、いても立ってもいられないのだ。そのうえ、胸や陰部に少年たちの指が触れると、刺激
が甘い肉の疼きとなって身体中を駆け巡った。
「あっ…ああん」
 沙希が身体を仰け反らせた。喘ぎ声が大きく、切羽詰ったものになっている。
「すっげぇ、濡れてきたぜ…、おもらししたみたいだ」
 ここぞとばかりに、町田が沙希の身体の反応を指摘する。
「じゃあ、そろそろいくか」
 そう言って、少年たちが取り出したのは、少女たちが生まれて初めて見る卑猥な淫具だった。黒い生ゴム製のそれ
は、いくらか本物より太いが、勃起した男根そのままの形をしている。
「これ、何かわかるか?」
「………」
「男のチ×ポそっくりだろう。これから、お前たちのオ××コにこれを入れてやるんだ」
 少女たちの表情に、いっせいに恐怖の色が浮かんだ。
 いずれも昨夜、処女を失ったばかりの少女たちだ。自分の大事な部分に、異物を挿入することなど、考えたこともな
く、恥ずかしさと恐さだけが頭の中をぐるぐる回る。
 北上がバイブを優里の秘孔にあてがった。
「いや…、だめぇ、入れちゃあ、そんなもの入れちゃあ…」
 泣き叫ぶ優里のことなどお構いなしに、ヌルヌルになった秘肉がゆるゆると押し広げられ、弓なりに反った擬似男根
が膣内に入っていく。媚薬の効果で十分に潤っているせいか、痛みはほとんど感じず、バイブはするっと胎内に入る。
「い、いやっ、いやぁー。い、入れんといてぇ…」
 優里の隣で沙希が悲鳴をあげる。縛られ、自由のきかない身体を必死でくねらせ逃れようとする。そんな沙希を嘲笑
うかのように微笑みながら、股間を覗き込んだ町田が、バイブを持つ手に力を入れた。ヌルヌルした肉襞の中に淫具
がズブズブと埋め込まれていく。
「どうだ、昼の点検で、おまえのオ××コにぴったり合うように作られたオーダーメイドだよ。これから大事に愛用するん
だぞ」
 そう言いながら最後に根元まで押し込むと、バイブに取り付けられたベルトを腰に巻き、鍵をかけた。これで、少女た
ちは自分で淫具を抜くことができなくなる。
 少年たちが少女たちから離れ、全員の装着を確認すると、安達は四角い箱を取り出してスイッチを入れた、少女たち
の身体に埋め込まれたバイブが一斉に、ブーンという音を発して蠢き始めた。
「イヤーッ!」
 優里が激しい声をあげた。薬を塗られ、少年たちに弄られ、すっかり敏感になった粘膜が擬似男根で擦られて、背筋
に電流が走るような感覚がある。
「いやあ!ああっ」
 優里の眉根の皺が深くなる。愛液がほとばしり、クチュクチュという淫らな音がする。
「うぅっ…やめて…」
「だめっ、だめっ、あぁ…」
 少女たちが一斉に呻き声を漏らして床に崩折れ、そのまま転がるようにして身悶えし始めた。
「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ……」
 荒い吐息を吐いて横たわる優里の身体を、バイブレーターが容赦なく責めたてる。そうしている間にも乳首がむず痒
くなり、ついつい指で揉んだり、抓ったりしてしまい、それが一層性感を高めていく。まさに、快感地獄だった。
「ううっ、酷い…。くっ、悔しい…」
 優里の横で、沙希が呻き声を漏らしながら、乳房を揉みしだいている。全身がぐっしょり汗まみれになっていた。淫具
が間断なく敏感な花肉をいたぶり続けているのだ。
「見ろよ、あの格好!よがりながら、腰振ってやがる」
「あんなに激しくオッパイ揉み揉みしちゃって…」
「マン汁で水溜りができてるぞ」
 そんな少女たちの様子を少年たちが卑猥な品評をくわえながら、楽しそうに眺めている。
「い、イきたくない…、お、おもちゃなんかで…」
 何度も喘ぎ声をあげ、そう言いながらも、既に身体がピクピクと痙攣している。沙希は人一倍敏感な性感帯を持って
いるようで、媚薬の効果もあって、もはや果てる寸前だった。
「ああ…、ダメ、どうかなりそう、もう許して…」
 四つん這いになった優里が、前後左右に激しく腰を振った。その様子があまりに艶かしく、見詰める少年たちの股間
が痛いほど勃起してくる。
「イッちゃう〜っ!」
 優里の目の前で、沙希の秘部から勢いよく体液が吹き出した。
「見ろよ、こいつ、潮噴いたぜ!」
 嘲笑混じりの町田の声が響く中、優里の身体も激しく痙攣し、頭の中が真っ白になった。
「ああ…、ああっ、あぁ…」
「いやっ、いやっ、いやあーっ!」
 檻のあちこちで、少女が喘ぎ声をあげ、身悶えしている。愛液を垂れ流すだけでなく、とうとう失禁してしまった少女も
少なくない。そんな中、優里も沙希も、早くも二度目の絶頂が迎えようとしていた。
「いいか、これから就寝時間までの3時間、何度も昇り詰めて、イクという感覚を身体に覚え込ませるんだ」
 安達の冷酷な指示が出され、そして、少女たちはそのままに放置された。



 
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