国防省附属「星園・癒しの館」第3部
 
第1章 第二世代  3

 防衛官宿舎から特別区循環バスで約15分、「星園癒しの館」は旧市街地の中心にあった。バス停を降りると、道路
の向こうに、木々の緑に飾られた石垣が見える。
「本当にお城なんだな」
 川部茂がポツリと呟いた。
「そう、もとは星園城と呼ばれていた。城と言っても、天守閣があったりするような大規模なものじゃなくて、まあ、この地
を治めていた殿様の屋敷だな。しかし、第八代の城主がなかなかの趣味人で、彼が作った二の丸庭園は今も残ってい
るが、隠れた名園と呼ばれているらしい」
 山村義久がスラスラと答えた。着任してまだ一週間ほどしか経っていないが、すでにこの地域のことは、ひととおり調
査済みらしい。
「たいしたもんだ、貴様、情報部の方が向いてたんじゃないか」
 いつものように、橋口がまぜっかえす。
「そんなことより、さっさと行こうぜ!」
 気の短い渡瀬が、同僚たちを促した。
 彼らはこの4月に士官学校を卒業して、横木基地司令部に配属になった面々である。着任後、最初の休暇を得た彼
らは、迷わず「癒しの館」利用を福利厚生部に申し込んだ。これも、士官特権の一つだ。
 堀に架かる橋を渡ると、立派な正門が見える。「国防省附属慰安施設星園癒しの館」と書かれたブロンズ製の看板が
見えた。そこから先は、校舎にグラウンド、体育館といった学校そのものの施設が広がっている。
 川部は自分が卒業した高校を思い出していた。目の前の風景は、伝統のある名門校といった佇まいで、彼の母校に
よく似ている。川部は時折、自分が士官学校に進むと言った時の、担任の驚く顔を思い出す。
「君の成績なら、どこの大学でも行けるのに…」
 担任は残念そうにそう言ったが、川部は自分の選択を後悔していなかった。
 経済界の要望で実施された労働分野の「規制緩和」は、この国を徐々に蝕んでいた。たとえ有名大学を卒業しても、
安定した職業につける保障はどこにもない。
 就職先がないか、あっても派遣かパートで、必死で働いても生活できる賃金を得ることができない状況が続くなかで、
防衛隊に志願入隊する若者の数は、年々増加していった。有事体制が宣言され、防衛隊が戦場に出て行くようになっ
ても、入隊者は減少しなかった。命のリスクをかけても、「生活する道」を選ぶしかないのだ。
 その傾向は徴兵法によって、さらに拍車がかかった。同じ入隊しなければならないなら、一平卒でこき使われるより、
士官になる道を選んだ方が良いと考えるのは当然だ。体力に自信があり、それなりに優秀な若者たちは、むしろ士官
学校を目指すようになり、最近では「東大に入るより難しい」と言われる状況が生まれている。
 そんな後輩たちを見て、川部は自ら、先見の明があったと感じていた。
 門をくぐった川部たちのもとに、一人の女子高生が駆け寄ってきた。
「こんにちは、よくいらっしゃいました」
 目鼻立ちのくっきりした、彫りの深い顔立ちが魅力的な美少女だ。ショートボブの髪型と小麦色の肌が、健康で活発
な感じを与える。胸につけた名札には「平良ミキ」とあった。
「恐れ入ります、チケットと身分証を拝見させていただけますか?」
 川部たちが渡したチケットと身分証を、ミキは一つひとつ確認していく。
「なかなか、厳重なんだね」
 冷やかすような口調で橋口が言うと、ミキはニッコリ笑って答えた。
「申し訳ございません、一般の入場者はもう少し簡単なのですが、お客様方は特別許可枠ですので…」
「特別許可…?司令部だから?」
 山村が尋ねると、ミキが首を横に振り、恥ずかしそうな表情を浮かべて答えた。
「いいえ…、あの…、健康診断を受けていただいているので…」
 そう言いながら、ミキはポケットからバッジを取り出し、軽く背伸びをして川部の胸に着ける。風に揺れる髪から甘いリ
ンスの香りがした。見ると、正門にも描かれていた桜のマークを象った金色のバッジだ。
(ああ、そういうことか…)
 川部は理解した。福利厚生部でサービス内容を登録した時、川部らは性病検査を受けることを義務付けられた。そ
れによって、彼らは訪問期間中、コンドームを着けずにナマで慰安嬢と性交し、彼女たちの体内で射精することが許可
されたのだ。
「これが、中出しOKの金バッジか!」
 ミキにバッジを着けてもらいながら、橋口がにやけた顔でそう言った。
「…そうですか、司令部配置なんて、すごいですね」
 川部たち4人は、ミキに案内されて構内を進んでいく。
 山村の長口上に相槌をうちながらニコニコ笑って耳を傾け、毒を含んだ橋口の軽口をさらりと受ける。その間も、他
の2人が飽きないように会話をまわす。時折見せる仕草が、コケティッシュでドキリとさせる。ミキは、男が一緒にいて心
地よくなる女の子だった。
「ミキちゃんも、慰安嬢なの?」
「はい…、そうです」
 唐突に橋口が尋ねると、ミキは頬を染めて答えた。
「じゃあ、やらせてくれるのか?」
 あまりに直接的な渡瀬の質問に、さすがの川部たちは鼻白んだが、ミキは目を伏せ、恥ずかしそうに答えた。
「…はい…、よかったら、またご一緒させてください…」
 途端に、川部はズボンの股間が窮屈になるのを感じた。控えめに「ご一緒する」という表現を使ったが、それは肌と肌
を重ねあい、性器と性器で結びつくということなのだ。小麦色の肌をまさぐる想像とともに、ミキの存在が急に生々しい
ものに感じられた。
 そんなミキとの会話を楽しみながら、川部たちが案内されたのは、ホテルのロビーのような、ゆったりくつろげる場所
だった。そこが、上位ランクの訪問客の待合室らしい。
 ウエルカム・ドリンクとともに渡されたタブレット型端末を開くと、次々に女生徒の顔とプロフィールが表示される。川部
たちに向かって、ミキが言った。
「みなさんに参加していただく『授業』で、どの女子の隣に座わりたいか、選んで入力してください」

「起立!」
 川部の隣に座っている武口優里が号令をかけ、訪問客も含めた全員が立ち上がった。彼女はこのクラスの委員長だ
と言う。
 「授業」が始まる10分前に教室にやってきて、川部は思わずガッツポーズをした。隣に座った優里は、タブレットで見
た画像の何倍も可愛いかった。お互いに自己紹介をした時の印象も、素直で優しい感じがして好感が持てた。ミキのよ
うに洗練されておらず、少しぎごちないところがあったが、それがかえって初々しく、高校時代に戻って、新しく同じクラ
スになった、本当の同級生のように感じた。
 教室に入ってきた安達という教師は、カマキリのように痩せた男だった。いかにも陰険そうな顔立ちで教室を見渡す
様子は、安村たち訪問客にとっては、カリカチュアライズされた悪役といった感じで笑えるキャラクターだが、優里の表
情に緊張が走ったところを見ると、慰安嬢たちにとっては、恐ろしい管理者なのかもしれない。
 生徒たちが着席すると、安達は出席簿を開き、ひとりずつ名前を読みあげていった。
「飯野玲奈」
「はい」
「奥村睦美」
「はい」
 慰安嬢の女子の隣には、男子生徒を装って訪問客が一人ずつ座っている。女子20人、男子20人の40人学級とい
う設定だ。
 女生徒が返事をすると、前の席にいる男たちは振り返り、視線が届くところにいる男たちは値踏みをするように彼女
たちを見る。後ろの席にいる男たちは、後姿と声でその容姿に想像を膨らませていた。こうして、最初に訪問客に女生
徒の名前と顔を覚えさせるのは、「授業」の重要な演出なのだ。
「窪井沙希」
「はい!」
 沙希が返事をすると、男たちの注目が集まる。視線を感じた沙希の色白の頬が薄いピンクに染まる。
ルックスのレベルが高い女生徒たちの中にあって、沙希はひときわ目を引く美少女だ。透明感のある、可憐で儚げな
様子が、男の保護本能をくすぐる。得意げな顔で隣に座っているのは、渡瀬だった。誰の隣の席に座るか、待合室でタ
ブレットを使って指名した時に、人気が高い女の子は抽選になる。川部のグループでも、橋口と渡瀬が沙希を指名し、
結果、渡瀬が彼女の隣を引き当てたのだ、
 沙希を見た後、川部は改めて隣の優里を見て頷いた。タブレットを見た時に、川部は迷わなかった。彼の好みにぴっ
たりなのは、妖精のような沙希よりも健康美を感じさせる優里の方だ。しかも、彼女は、沙希に次ぐ二番人気の美少女
だった。
「よし、全員いるな。今日は、お前たち1年生にとっては、最初の授業になる」
 安達が言った。川部たちが選んだのは、この4月に館に入ってきた新入生の授業に参加するコースだった。実際に、
ここにいる少女たちが客を招いての授業を受けるのは、今日が初めてらしい。
「そこで、今日は、3年生の一人に授業を手伝ってもらうことにした」
 安達は、そう言って教壇に出席簿を置き、入り口のドアに向かった。
「さあ、入りなさい」
 中央に嵌められた磨りガラスに浮かんでいた人影が、ドアを開けて入ってくる。青いリボンを胸につけた3年生だ。
「ほおぉ…」
 教室にいる訪問客の男たちから、ため息のような声が漏れる。女生徒たちでさえ、思わず目を見張った。
 背中まであるストレートのロングヘア、色白、二重のつぶらな瞳、通った鼻筋、形のよい唇…、甘い顔立ちの、誰もが
見惚れてしまいそうな美少女だ。
「こんにちは、3年1組の安藤茉莉です」
 名前を聞いて訪問客の男たちが目を輝かせた。茉莉は今や、この館を代表する「伝説の慰安嬢」となっているのだ。
沙希の隣を引き当てた橋口も、優里の隣で上機嫌の川部も、この時ばかりは、茉莉の美貌に見入っていた。
「今日の授業は安藤に手伝ってもらうことにした。この館でナンバーワンの慰安嬢と呼ばれている安藤をお手本に、お
前たちもがんばるんだぞ」
 そう言うと、安達は教壇に中央に茉莉を立たせ、自分はその隣に椅子を置いて腰掛けた。
「さて、今日は、お客様に女の子の身体をよく知ってもらうための授業です」
 茉莉が説明を始めた。たおやかな容姿にふさわしい透き通った声だが、喋り方はしっかりして、さりげない知性を感じ
させる。
「私たちは慰安嬢ですから、お客様の望むままに、どんなセックスでも受け入れます。裸になれと言われれば、人通り
の多い街の真ん中でも、恥ずかしさを我慢して服を脱ぎますし、アソコと口とお尻の穴を使って一度に何人もの男性に
身体を楽しんでいただくこともあります…」
 茉莉の言葉を聞き、男たちの表情が妄想に緩んだ。彼らの脳裏で、茉莉が全裸で繁華街に立たされ、男たちに寄っ
てたかって犯される。対照的に、女生徒の顔は一様に不安と緊張で強張っていた。
「でも、やっぱり女の子なので、優しいお客様に気持ち良くしていただけたら、とてもうれしくて、ホントの恋人みたいなセ
ックスができます。そこで、この授業では、お客様に、女の子がどうしたら気持ち良くなるかを知っていただきます」
 つまりは、上手なセックスを訪問客に教える授業なのだ。館ならではの男の獣欲を充たすイベントも需要があるが、
一方で、この授業もなかなか人気がある。「セックス巧者」になりたいという男は、けっこう多い。しかも、制服姿の可愛
い女の子の身体を、実際に弄りながら、テクニックを学べるのだ。初心者向けのプログラムとあって、初めて館を訪れ
る川部らは、迷わずこのコースを選んだ。
「このクラスの女生徒は、先日入学したばかりの1年生です。つい最近まで中学生だった女の子たちですから、優しくし
てあげてください」
 茉莉に言われて、男たちはそれぞれに、隣に座っている女生徒の様子を盗み見た。まだまだ幼さが残る顔立ちの少
女たちが、不安に身を硬くしている。
「緊張してるのがわかるでしょう?では、最初にキスをして緊張を解してあげてください…」
 茉莉の説明もそこそこに、渡瀬が沙希の肩を抱き、いきなり唇を奪った。キスの経験もない渡瀬は、両手で沙希の頬
を押さえ、何度か歯と歯をぶつけあわせたすえに、唇を押し当てると舌先で唇を割ろうとする。
「む…、むうぅ…」
 驚いた沙希は、反射的に舌の進入を防ぐかのように固く歯を合わせ、キスから逃れようと、両手で男の胸を押した。
「ちょっとぉ、なんしよっとぉ!」
 威勢のよい博多弁が飛び出し、一瞬、教室の空気が凍る。渡瀬が驚いた表情で目をパチパチさせた。彼の腕の中
で、沙希がキッとした顔で睨んでいる。この娘、見かけと中身は随分違うようだ。
「待ってください、私が説明してから…」
 茉莉が慌てて声をあげる。訪問客に失礼があると、慰安嬢はきついペナルティを受けることになりかねない。
「おいおい、渡瀬、がっつき過ぎ!」
 微妙な空気を感じた川部は、わざと大きな声で渡瀬を冷やかした。渡瀬が沙希の身体を離して照れくさそうに頭を掻
き、客の中から笑いが起こる。
 隣の席の優里が感謝の視線を向けているのを感じて、川部は軽く頷いた。
「女の子にとって、キスはとても大切なものです…、いきなり唇にキスせずに、最初は唇の周りに軽くキスしてあげてくだ
さい」
 茉莉の説明を受けて、男たちは隣の女生徒にキスをした。渡瀬も、あらためて沙希の肩を抱いて、チュッチュッと音
が出るよう頬や鼻などに唇を押し当ててている。
 川部は優里をギュッと抱きしめ、頬や顎にキスの雨を降らせる。
「面倒がらずにやってくださいね。キスの上手い男性に、女の子はついカラダを許してしまうものです。キスはセックスの
一部なのです…」
 茉莉の言葉に男たちは俄然張り切り、女生徒を相手にキスを続ける。
 目の前には、薄くピンク色に色づいた柔らかな唇がある。川部は軽く半開きになった優里の唇に自分の唇を重ねた。
それは、マシュマロのように柔らかだった。
「…上下の唇で女の子の唇をはさんでみましょう。そのまま、軽く吸ってみたり、横にスライドさせたり優しく愛撫していき
ます…、雰囲気が出てきたら、ディープキスに進みましょう。女子は力を抜いて、男子の舌を受け入れて…」
 優里がおずおずと口を開いた。川部が舌を差し込むと、優里は抵抗もせずに受け入れた。川部は、差し込んだ舌を
優里の舌に絡めていく。優里が背中に回した手に力を入れ、強く抱きついた。
「ウ、フンンン…ウ、フンンンン」
 二人は、熱い吐息を漏らしながら、くちづけを交わす。舌と舌が絡まりあい、唾液と唾液が混じりあう。
 キスをしながら、川部は優里の胸に手を当てた。制服を通してブラジャーのカップが指に触れる。軽く力を入れると、
フワッと膨らみがつぶれ、羽根布団を思わせる感触がある。
(おおっ、いい感触、直接触りたいぜ…)
 そんな衝動にかられたが、なんとか思いとどまった。あまりガツガツしたところを見せると、渡瀬にさっきの仕返しをさ
れそうだ。
「口の中は性感帯がいくつもあるんです。上手にしてあげると、女の子はキスだけでいっちゃいますよ」
 茉莉の説明に、疑わしそうな声をあげたのは、山村だ。
「ホントかぁ…」
「試してみますか?」
 そう言うと、茉莉は教壇を下りて、山村の席に近づき、スカートを捲くり上げた。白い太腿と薄い布地に包まれた下腹
部が露わになる。
「今は、下着…、濡れてませんよね」
 茉莉は山村の手を取って、股間に導く。山村が頷いた。
「じゃあ、次に…」
 そう言うと、茉莉は一年生に替わって、彼の首に両手をまわし、美しい唇を男の唇に押し当てた。自分から口の中に
舌を入れ、舌を絡めていく。
「…う、うう…、うふん…」
 茉莉の頬が紅潮し、鼻にかかった甘い声がこぼれ出す。周囲の男たちも、動きを止めて茉莉と山村のキスを見つめ
ていた。
「ううん…」
 茉莉の華奢な身体が山村の胸の中で震えた。ビクッビクッという短い痙攣のような動きは、確かにアクメを迎えたよう
に見える。
「見てください…」
 夢見心地の山村の腕からするりと抜けた茉莉は、再びスカートを捲り上げた。真っ白なパンティの股間に、まるでお
漏らしをしたかのような染みができている。
「へえ、すごい敏感なんだな…」
 ぐっしょり濡れた布地を指で擦るようにして確かめながら、山村が感心したように呟いた。
「慰安嬢はみんな、こうしたエッチな身体になるように訓練されます。この子たちも、そうなりますから、半年ぐらいした
ら、またおいでになって、試してみてください」
 男たちが興味深げな顔でペアの少女を見つめた。今はまだ子供っぽさを残した少女たちが、連日、性の手ほどきを
受けて、女の身体に開発されていく、それは背徳的な耽美を感じさせた。
「さあ、次はオッパイを愛撫しましょう…」
 茉莉が頬を染めてそう言うと、男たちはペアの女生徒の制服のボタンを外し、胸をはだけさせていく。
「おおっ、この子、おっぱい、デカイぞ!」
 うれしそうに声をあげたのは橋口だ。彼の相手をしている少女は、豊かな胸の膨らみに一斉に注目を浴びて、耳まで
真っ赤になった。
 周囲の視線が集まる中で、ブラジャーが外される。たわわに実った双乳が弾けるように現われ、呼吸のたびにプルン
プルンと震えている。
「88ぐらいはあるよね、Cカップ、まさかDかな…」
 乳房をいやらしい手つきで撫でながら、橋口がそう言った。胸板は薄いのに、膨らみは見事に隆起して飛び出てい
る。
「西原芽衣の両親は北海道で牧場を経営していましたからね。飼っていた乳牛に似てきたんでしょうか?」
 近くにいた安達が、嬲るように言う。
「へえー、ミルクが出るかな」
 芽衣の胸をもみほぐすようにこねあげて、橋口が軽口を叩く。親指と人差し指で左右の乳首を摘み、キュッキュッと扱
くように引っ張って見せる。
「………」
 芽衣はじっと黙ったまま、唇を噛んで俯いていた。
 芽衣の父親は努力と工夫の人で、地元の仲間とともに乳製品のブランドを立ち上げ、マスコミでも取り上げられたこと
がある。
 大自然の中で両親の仕事を手伝いながら、芽衣は、成功した牧場主の娘として何不自由のない幸せな生活を送って
いた。
 しかし、アルメイアと輸出大企業の圧力で日本がTGP(地球規模経済連携協定)に参加したことで、事態は一変した。
安いアルメイアの乳製品が大量に輸入され、北海道の酪農業は大きな打撃を受けた。両親の牧場も父親のブランドも
潰れ、地域の工場も運搬業者も倒産、仕事を失った人たちが町から出て行き、彼女の生まれ育った町はゴーストタウ
ンになった。
 芽衣に召集状が届いたのは、数名の在校生、一人きりの卒業生という寂しい卒業式を終えた3月のことだった。遠い
町の高校に進学するお金もなく、地域に就職先もない中で、地元で奉仕活動をするのと比較して格段の優遇策がつけ
られた館での奉仕活動は、希望を失った彼女や家族にとって輝いて見えた。支度金と奨学金で、家族の生活が成り立
ち、弟の進学の芽も出てくるのだ。芽衣は一にも二にもなく、館での奉仕活動を選んだ。
「うーん、なかなか、ミルクが出ないぞ…」
 そう言いながら、橋口の両手が思うままに乳房を揉みしだく。
 芽衣は必死で恥辱に耐えていた。想像もしなかった生活に投げ込まれてしまったが、帰りたくても帰ることはできな
い。館に来た地方出身の女生徒たちの多くが、実は、彼女と似たような事情を抱えているのだ。
「い、痛いっ…」
 芽衣が小さな悲鳴をあげた。芽衣の真っ白いマシュマロには、橋口が強くもみしだいた跡が、赤くあちこちに残ってい
た。
そこに茉莉が近づいてくる。
「ちょっと強すぎます。男の人はオッパイを見ると、揉みしだきたくなると思いますが、今日はちょっと我慢して、女の子
が気持ち良くなる愛撫方法を試してみてください」
 そう言うと、茉莉はブラウスの胸を開き、ブラジャーを押し上げる。そして、橋口の手を取って、美しく盛り上がった胸
にあてがった。絹のような肌触りと、暖かな体温が掌に伝わってくる。どこまでも男を有頂天にさせる身体だ。
「お椀を持つような感じで、中指、薬指、小指で掬う様に手をつくり、おっぱいの外側から手を当てていきます。親指も、
おっぱいの下から当てて…」
 橋口は茉莉の指示どおり、中指、薬指、小指をゆっくりと揉みあげるように動かしていく。
「もっと優しく…、ゆっくりと…、あん…、おっぱいの付け根は乳腺が集中してるので、とても気持ちいいんです。あ…うん
…、そう、上手ですよ…」
 二人をお手本に、男たちはペアになった少女の乳房を愛撫し始めた。
「あ…、ああぁ…」
「あんっ、あんっ、あんっ…」
 やわやわと胸を揉まれ、乳首を擦られて、少女たちの甘い声が教室に響く。
川部は、優里の胸を揉みながら、乳首を唇に含んだ。
「んっ…あっ」
 優里の口からため息が漏れた。
(すっかり感じてるぞ…)
 興奮した川部は乳輪をなぞるように舌を這わせ、乳首を転がす。
「ああん…、そこ…、やめて…」
 優里の身体が小刻みに震え、切なげな声で哀願する。
「いやっ、だめっ…」
「あっ、ああん…」
 他の席でも、女生徒たちの喘ぎ声が高まっていた。男の指や舌の動きに合わせて、快感のウェーブが襲ってくる。す
でにほとんどの少女たちが、さっきの茉莉のように下着をぐっしょりと濡らしていることだろう。
 ゆっくり手順を追って進んでいった愛撫も、いよいよ女性器の愛撫だ。すると、それまで、授業の進行を茉莉に任せて
いた安達が動いた。
「よし、ここから、私が教えることにしよう」
 安達はそう言うと、机と机の間を通って、沙希のところまでやって来た。
「そうだな…、ここは窪井に、手伝ってもらおう」
 安達が沙希の肩に手を置いた。沙希がビクッと身体を震わせ、その表情が凍りつく。さっき、愛撫から逃れようとして
訪問客を睨んだことを、やはり不問に付すつもりはないのだ。
「机の上で仰向きになりなさい」
「はい…」
 安達に命じられて、沙希は怪訝な表情で机に背中を乗せた。
「もっと上の方に…、そうだ」
 沙希が完全に机の上に寝そべる格好になると、安達はポケットの中から手錠を取り出し、両方の手首をそれぞれ机
の足に固定させた。
「えっ、ちょっと…、待ってください、ちょっと…、そんな…」
 いきなり両手の自由を奪われ、沙希が激しく狼狽した。思いがけない展開に、他の男たちも女生徒を愛撫する手を止
めて、沙希の様子を見ている。
 安達の手が沙希のブラウスを跳ね除けた。
「きゃっ!」
 沙希が悲鳴をあげた。仰向けになっているため、胸の膨らみはなだらかになっているが、頂上で尖るピンク色の乳首
が可愛らしい。
 安達の手が沙希の足首を掴んだ。もう片方の手には、またしても手錠が握られている。
「…ちょっと、…いや、いやですっ!」
 沙希がもがくのも構わず、安達は残る机の二つの脚に、左右の足首を固定する。机の角を使い、大きく脚を開いた
格好で、沙希の身体が机に磔にされた。
 机の上でブリッジをするような格好で、沙希の身体が固定された。スカートが、開かれた股間を頼りなく隠している。
 安達の手がスカートにかかる。沙希が激しくイヤイヤをするように顔を振った。
 ゆっくり捲り上げると、パンティに包まれ、ぷっくりと膨らんだ恥丘が露わになっていく。ちょうどお尻が机の角にあた
り、腰を突き出すような格好になっているため、覗き込む男たちの視線がちょうど集まるところに、クロッチの部分があ
った。渡瀬の愛撫を受けていたため、白い布地がぐっしょりと濡れ、陰毛の翳りが透けて見える。
安達の手が沙希の股間に伸びる。
「パンティが濡れてるぞ、窪井…、はしたない娘だな…」
 湿り気を確かめるように撫でていた安達の手が、腰のあたりの布地を掴む。もう一方の手には鋏が握られていた。
「そのいやらしいオ××コを、みんなに見てもらいなさい」
 チョキンという音とともに、陰毛に彩られた下腹部が露わになる。
「ああっ!」
 沙希が哀しげな声をあげた。いつの間にか、教室中の男たちが机に縛り付けられた沙希の周りに集まってきていた。
「いやっ…、見ないでぇ…」
 沙希は最も恥ずかしい部分を露わにしたまま、身動きが取れない状態を晒していた。身を捩り逃れようとするが、机
の脚に繋がれた手錠がガチャガチャと音を立てるだけだ。
「ちょっと待ってください…、今日の授業は、女の子に優しく…」
 茉莉が割って入る。しかし、安達は全く取り合おうとしない。
「口出し無用。教師は私だ…」
 ピシャリとそう言われてしまっては、茉莉は引き下がるしかなかった。
「さあ、オ××コを触ってやってください。きっと、ヒイヒイ言ってよがりますよ」
 安達が男たちに向かってそう言った。残酷な言葉を聞きながら、机の上の沙希は目を閉じ、唇を噛んでじっとしてい
る。
「ふっくらしてるな、ここ…」
 渡瀬が大陰唇のあたりを指でなぞり、フカフカした感触を楽しみながら言った。
「俺も触りたいなあ…」
 橋口がうらやましそうに言う。断ろうとした渡瀬の切先を制して、安達が言った。
「他のみなさんにも触らせてあげてください、窪井は今日の一番人気でしたからね。指名して当選しなかったお客様が
たくさんおられますから」
「…仕方ないですね」
 やや不満げな顔をしながらも、渡瀬は了解した。これも企画であれば、断るのも野暮というものだ。
「こういうのを福マンって言うんだよなぁ…」
 柔らかな膨らみを突きながら、橋口が上機嫌で言った。その指先が敏感な肉の合わせ目に触れる。フカフカした大陰
唇が、二本の指でぐいと押し広げられた。折りたたまれ、少しだけ顔を覗かせていた小陰唇が剥き出しになる。
「ヒダヒダをひっぱり出してみよう」
 山村が肉ビラを摘んでムニュッと引っ張った。
 ひっぱり出された小陰唇は、小ぶりで生き生きしたピンク色をしていた。膣前庭の奥のほうは、滲み出した沙希の体
液に濡れて光っている。
「きれいな色だな」
 そう言って、ハート形に開いた肉ビラを指でなぞっているのは、別グループの中年男だ。
「どれどれ、俺にも触らせろ」
20人程いる男たちが、女の子の大事な部分を好き勝手に弄り回している。ギュっと閉じた沙希の睫毛に、涙の滴が溜
まっていた。時折、哀しげなため息を漏らしている。
 川部は珍しく、その中に加わらなかった。今日の彼は優里が相手であることに満足していたし、沙希が縛られて以
来、優里が泣き出しそうな表情を浮かべているのも気になった。川部は優里の肩を抱き寄せた。
 一方、沙希の陰部に対する凌辱はエスカレートする一方だった。
「ここらへんに、クリトリスが埋まっているはず」
「おっ、これだこれだ」
 男の指先が小陰唇の上のあたりをいじると、ピンク色した小さな突起が柔らかい皮に大事そうに包まれている。別の
男がその皮を剥くように、クリクリと指先を動かした。
「うっ…、くうっ!」
 ガタガタと机を揺らして、沙希が反応した。男たちのうれしそうな笑いが起こる。
 他の男たちがクリトリスを嬲っている間、渡瀬は、ここは自分のものだとばかりに、人差し指を膣内に挿入していく。
 奥まで挿入すると、キュッとリング状の筋肉が中指の第二関節あたりを締め付ける。二、三回出したり入れたりする
と、締めつけはなおさら強くなってくる。
「くうっ…」
 くいくいと指の関節を曲げて、肉襞をひっかいてみると、沙希は声を押し殺して、机の上で腰を上下に揺すった。さっ
きから、できるだけ反応しないように我慢している様子だった。それを見た安達が、茉莉に声をかける。
「安藤、女の子が感じるところを教えてやりなさい」
 茉莉はためらった。男たちの玩具にされ、感じる姿を見られないよう必死で我慢しているのは、沙希の女の子として
のプライドだろう。茉莉に下された指示は、それを打ち砕くことなのだ。
「はい…」
 逆らっても仕方がないことを身に沁みて知っている茉莉は、そう返事をすると、机に拘束された沙希の股間に顔を近
づけていく。
「だ、だめっ…」
 沙希は抵抗するが、四肢を縛りつける手錠がガチャガチャと音をさせるだけだった。
 茉莉の呼吸が股間にかかり、唇が沙希の花唇に触れた。
「ああんっ…、だめぇ!」
 茉莉の指が、沙希の秘裂を左右に割った。
「綺麗な色よ…」
 茉莉はそう言って、亀裂の中の真珠色に輝く蕾をペロリと舐めた。
「うっ、くうぅ…」
 沙希は、白い首を伸ばし仰け反った。茉莉の舌が沙希の亀裂をなぞっていく。溢れ始めた愛液と唾液を混ぜながら、
縦裂の周りの膨らみに塗っていく。
「くっ、くうっ…んっ…」
 沙希は必死でこみあげてくる快感をこらえていた。
 茉莉の指が、沙希の柔肉を割り開く。湿り気を帯びた粘膜が外気に晒され、ひんやりとする。すぐさま茉莉の唇が覆
い、暖かい舌が媚肉をなぞった。
「ああっ…」
 沙希は、激しく顔を振りながら仰け反る。茉莉が、すっかり尖った敏感な芽を吸い上げたのだ。
「あうっ、はっ、はうっ…」
 今まで感じたことの無い気持ち良さに、堪えていた喘ぎ声が漏れてしまう。得体の知れない甘い感触が、電流のよう
に背筋を駆け抜けていく。
「ううっ、はうっ…。だ、だめ、だめえ…」
 茉莉はチュッチュッと音をたてて、クリトリスを包皮ごと吸い上げていた。そして、吸い上げた肉芽の先を舌でざらっと
舐め上げる。その度に、沙希はせつなげな喘ぎ声を漏らし、イヤイヤするように首を左右に激しく振った。
「ああぁ…、…変になっちゃう…」
 茉莉は、クリトリスの包皮を剥くように舌で転がした。そして、小陰唇の裏側にまで丹念に舌を這わせ、沙希の愛蜜を
なめとっては口に運んだ。
「あんっ、んんん…。はあ、ああん…、あああ…」
 茉莉の舌の動きに耐え切れず、沙希が吐息まじりの喘ぎ声を漏らした。色白の肌が、全身桜色に染まって、うねって
いる。
「見ろよ、あれ、色っぽいぞ」
 橋口が渡瀬に言った。
「ああ…」
 無愛想に答えながらも、渡瀬の視線は美少女たちの痴態に釘付けになっていた。
「あっ、あぁ…ああん…」
 眉根を寄せた苦しげな表情も、沙希の美しさを損なうことはなく、むしろそれを引き立てている。渡瀬はふいに、沙希
を無茶苦茶に凌辱して、泣き叫ぶ姿を見てみたいと思った。可憐な容姿は、男の保護本能と同時に、嗜虐心をもかき
立てるものらしい。
「ああっ…」
 ピクン、と沙希の腰が浮いた。茉莉は下をとがらせて膣の入り口をつるつると出入りさせてみる。机に縛り付けられた
沙希の長い脚が、不規則にブルブルと震える痙攣を見せた。茉莉は、秘孔の中で舌をぐるぐると廻すように動かした。
舌が秘孔の壁を舐めまわす。
 固唾をのんで見守っていた渡瀬は、ピクン、ピクンと快感に反応する沙希の肢体を目の当たりにして、彼女がイク姿
をじっくりと見たいと思った。
「そろそろいくぜ…」
「ああ、いよいよだな」
「すげぇ」
 周りを取り囲んだ男たちの声が、沙希の耳に届く。
(いや、イクところを見られるのは、イヤ…)
 そう思ったのも束の間、目の前が真っ白になり、沙希はとうとう押し寄せる官能の波に飲み込まれていった。
「んああぁっ、いっ、イっちゃう…。いっ、い、いい…イくう、ううっ…」
 沙希は男たちが見つめる中、机の上でガクガクと身体を痙攣させ、絶頂を迎えた。
 しばらくして、観客たちの拍手と歓声が教室に響いた。



 
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