国防省附属「星園・癒しの館」第3部
 
第2章 「愛おしい国へ」  3
 
「さあ、着いたわ」
 先頭を歩いていた三年生の芦辺琴美が振り返って、レンガ風のタイルを張った五階建ての建物を指さした。
「見るからに病院っぽいね、当たり前だけど…」
 バリアフリーにしているのだろう。幅の広いなだらかなスロープがついた入口を見て、優里が沙希に声をかけた。基地
内に作られている星園治療センターは、海外派遣で負傷を負った隊員たちを入院させて治療している防衛隊の附属医
療機関だ。
 外からは中が覗けないようにしている大きなミラーガラスの自動扉が開いて、車椅子に乗った若い男が出て来た。中
身のないジャージのズボンが車椅子からダランと垂れ下がり、風にヒラヒラ揺れているのに気がついて、優里は思わず
息を呑んだ。スポーツ選手を思わせる体格の良い青年だけに、その姿は哀しさを感じさせる。
「こんにちは、中迫さん!」
 琴美がニッコリ笑って挨拶をすると、若者の表情がパッと明るくなり、笑顔で手を振った。
「そうか、今日はボランティアの日だったか!」
 中迫はそう言うと、車椅子を操作して、女生徒たちに近づいて来た。癒しの館の生徒たちは当番制でこの治療センタ
ーに、ボランティアに来ることになっている。
「あれっ、その子たちのリボンの色!」
 中迫は赤いリボンを目に止めた。制服のリボンの色は学年ごとに違っており、この春に卒業した昨年の3年生が着け
ていた赤色が、今年入学した優里たちの学年のカラーになっていた。これは、かつての星園高校時代からの仕組みを
踏襲している。
「新1年生です」
 琴美が答える。今月から1年生も治療センターのボランティア当番に入ることになっており、今日がその初日だった。
全体で20名いる今日の当番には1年生が10名おり、1年A組から選ばれたメンバーの中には優里と沙希も入ってい
る。中迫の視線が二人を目ざとく見つけ、それぞれを見比べた後、優里の顔をまじまりと見つめた。優里が思わず視線
を逸らす。
「可愛い子が多くて、楽しみだなぁ…」
 そう言う中迫の視線が、制服越しに優里の身体を舐め回す。ニヤニヤ笑う表情もいやらしくて、鳥肌が立つような感じ
がした。ボランティアの具体的な内容は教えられていないが、ここでも恥ずかしいことをさせられるのは、まず間違いな
さそうだ。
「じゃあ、散歩は後にしよう」
 そう言いながら、治療センターに戻っていく中迫の後を追うようにして、女生徒たちは建物の中に入って行った。
 自動ドアを入ってすぐのロビーは、病院の待合スペースそのままだ。長椅子に腰かけた通院治療者が美少女たちの
訪問を眩しそうに眺める中、生徒たちは奥に進んでいく。
 そこは、体育館のようなだだっ広いスペースで、学校の保健室で見るような簡易ベッドがずらりと並んでいた。本格的
な医療機関に搬送するまでの間、負傷して帰国したばかりの隊員たちを大量に受け入れられるように作られた、野戦
病院さながらの大病室だ。この場所が女生徒たちのボランティア活動の主な舞台である。
 大病室の奥の壁沿いに女生徒たちが一列に並んだ。傷の状態が比較的軽く、ベッドから起き上がって動ける隊員た
ちが。彼女たちの周りに集まって来る。
「こんにちは、今日は私たちが、みなさんの身の回りのお世話をさせていただきます」
 琴美が代表してあいさつすると、隊員たちの顔がうれしそうにほころぶ。一緒にいる人を安心させ、包み込む、優しい
雰囲気が琴美の魅力だ。
「よろしくお願いします」
 琴美と声を揃えて、20名の女生徒が深く頭を下げる。拍手が起きる中で2年生、3年生が制服を脱ぎ始めた。初め
てボランティアに来た一年生たちは、何が起きたのかと戸惑い、お互いに顔を見合わせている。
「さあ、1年生もさっさと着替えなさい」
 厳しい声で指示した白衣の男は、「館」の健康管理医の大島賢一だ。慰安嬢たちの体調管理が主な仕事であるた
め、普段は「館」の医務室にいるのだが、1年生がボランティアに参加する初日とあって、その監督のために今日は治
療センターに来ているのだった。彼は医師だが、あくまで「館」の医療責任者であり、医療センターを訪問しても、隊員
たちを治療することはない。
「えっ?」
「ここで…」
 1年生たちの間にざわめきが走る。気づくと、周りに集まった隊員たちが期待に目を輝かせて彼女たちを見ていた。
「そうだ、さっさと服を脱げ!」
 なおも1年生たちが躊躇うのを見て、大島が叱責するような声をあげた。どうやら隊員たちが見ている前で、着替えな
ければならないらしい。
 上級生たちを見ると、制服から白衣に着替えるだけなのにブラジャーを外し、パンティも脱いで全裸になっている。し
かも、誰一人白衣を着ることなく、直立して見物する隊員たちの視線に全裸姿を晒していた。
「早くしないと、先輩たちがみんな服を着られないだろう!」
 上級生が自分たちを待っているのだと気づいて、1年生たちは仕方なく服を脱ぎ始めた。隊員たちがニヤニヤしなが
ら彼女たちを見つめ、時折、指さして卑猥な笑い声を漏らすのが聞こえる。初々しい新入生の生着替えは、彼等にとっ
て絶好の見世物なのである。
 隊員たちの視線を感じながら、優里も胸のリボンを引いた。緊張しているせいで指が滑り、赤いリボンがはらりと床に
落ちる。慌てて拾おうとして、周りにいる隊員たちの多くが、自分の着替えを見ているのに気づいた。一番前にいるの
は、さっき入口で出会った中迫だ。1年生の中でも、優里と沙希は抜群の美少女なので、どうしても注目を集めてしま
う。
(恥ずかしい…)
 じろじろ見られながら人前で脱ぐのは、やっぱり恥ずかしかった。彼女がブラウスを脱ぐと、双乳を包むブラジャーが
隊員たちの目に晒された。優里は、胸に視線が集まるのを感じ、頬を朱に染めた。
 スカートも脱ぎ、下着とソックスだけの姿になった優里は、細い腕を背中に廻した。ブラジャーのホックを外し、肩ひも
を外すと、今まで、ブラジャーに押し込まれていた双乳が解放される。形の良い膨らみの頂点で、天を向いた乳頭がち
ょこんと飛び出している。中迫が小さく口笛を吹き、こちらを向いてウインクした。
 「ふーっ…」と大きく息を吐き出すと、優里はパンティに手をかけ、片足づつ抜いていく。反射的に下腹部を手で隠す
と、大島に叱られた。行き場を失った右手を前髪にやり、しきりに指先で整えるのは、恥ずかしさを誤魔化す時に見せ
る彼女の癖だ。
 全員が全裸になり、直立不動の姿勢になって、ようやく大島が白衣を着る許可を出した。ノーブラの胸を強調するデ
ザインの白衣はワンピースタイプで生地が薄く、裾も股下ギリギリの長さしかない。それをノーパンで着るのだから、少
し屈んだり、背伸びをすれば、陰毛に彩られた女陰やまろやかな肉づきの臀部が見えてしまう。
 最初は掃除や消耗品の補給などの簡単な作業を分担して行うのだが、隊員たちはそんな彼女たちに物色するような
視線を注いでいた。
 作業が終わると、女生徒たちはそれぞれ負傷者が横たわるベッドに向かった。入浴できない彼らの身体を清潔にす
るのが、ここでのボランティアの中心的な作業だが、それには決められた手順があった。
「身体、舐めてもいいですか?」
 女生徒が隊員に尋ねる。そう質問して、隊員たちが望むと、入浴したりタオルで身体を拭く前に、その全身を舐めてき
れいにしなければならないのだ。
「えっ…、あ…」
 琴美に尋ねられた隊員がドギマギしながら、返答に困っている。頭に血の滲んだ包帯を巻き、ギブスで固めた足を吊
っている彼は、最近、アフリカの南ダーンス国際警備活動で派遣されていた部隊から帰還したばかりで、女生徒たちの
ボランティアも初めて経験するのだ。
「いや…、その…」
 隊員は目を白黒させながら言葉を詰まらせている。何しろ目の前にいるのは、アイドルグループのセンターに立って
も結構人気が出そうな程の、可愛い美少女なのだ。
「遠慮しなくても、いいんですよ…」
 優しい笑顔を浮かべて、琴美が身体を近づけた。柔らかな胸の膨らみが腕に押し当てられる。それは、白衣を着てい
てもわかるぐらいの豊かな盛り上がりを見せていた。
 星園の慰安嬢は「国有のセックス奴隷」「防衛隊員の性欲処理の道具」という説明から想像するものとは全く異なる、
見るからに上品で清純な美少女たちだ。最初は、そんな少女たちに汚れた身体を舐めてもらうことに躊躇いを感じる隊
員も少なくない。そうした隊員たちには優しく声をかけながら、遠慮しないでと声をかける。
「あなたの身体、舐めさせてください…」
 隊員の頬に手を当てて、琴美が甘えるような声で言った。もちろん隊員に無理強いすることはない。しかし、相手の反
応を見ていると、本当に嫌なのか、単に気後れや遠慮から尻込みしているのかは容易にわかる。
「…じゃあ…、お願いします…」
 隊員が照れたような笑顔を浮かべて答えた。こうして、結果的にほとんどの隊員たちが、女生徒たちに身体を舐めて
もらうことを希望する。
「ありがとうございます…」
 そう言いながら、琴美は隊員の唇にキスをしながら、彼が着ていたパジャマのボタンを外していった。
「うっ…」
 パジャマを脱いだ隊員の身体に顔を近づけた沙希は、相手に気づかれないよう注意しながら、思わず顔を顰めた。
南ダーンス派遣部隊からの帰還者は、まだ症状が固定していないため入浴が制限されている隊員が多い。沙希の相
手もまだ入浴が許可されておらず、週に二度、こうして女生徒たちがボランティアで来た時に身体を拭くぐらいだ。どうし
ても体が汚れ、体臭もきつくなる。
「舐め…ます…」
 息を止め、自分を励ますようにそう言うと、沙希は隊員の胸に舌を這わせた。舌に感じるのはしょっぱさだけだが、汚
れた身体を舐めていると思うと、どうしても気持ち悪く感じてしまう。止めた息がもたず、呼吸をした途端に饐えたような
強い体臭が襲いかかり、口の中に広がる汗の味と相俟って吐き気を感じた。
「うっ…」
 沙希は再び息を止め、舐めている間はできるだけ呼吸をしないように気をつけながら、胸から腹へと舌を這わせてい
く。
 沙希だけではない。慣れない一年生たちは嘔吐を堪えるのに必死だったが、それでも嫌な顔をせずに、汚れた隊員
たちの身体を隅々まで丁寧に舐めなければならない。
 優里は両手両足を無くした隊員の肩を舐めていた。ふと周りを見渡すと、手足を失っている隊員が多いことに気がつ
く。思わず、二の腕から先を失った隊員の縫合痕を、指先でなぞってみる。
「ほほう、気づいたか…、やっぱり武口は聡いな…」
 一年生たちを指導して回っていた大島が、そう言いながら近寄って来た。クラス委員をやっている関係で接点ができ
たこの健康管理医は、彼女に興味を持っているらしい。
「ここ最近の紛争地帯で、兵士の生命を脅かしているものの一つは、IEDと呼ばれる即席爆破装置だが、25平方メート
ルの範囲に二万個の金属片が飛び散る破壊力はすさまじい。しかも、ヘルメットや防弾チョッキで守られていない部位
は甚大な被害を受ける。結果、両手足をなくす兵士が大量に発生するというわけだ」
 話を聞いて、優里は目を見開き、思わず口を押えた。隊員たちの姿と合わせてみると、凄惨な戦場の様子がリアルな
実感として伝わってくる。ギュッと唇を噛んだ隊員の姿を見て、優里の胸が痛んだ。まだ20歳代と思われる青年は、こ
れから先の長い人生をどう生きて行くのだろう。
 ふと見ると、ベッドの上で仰向けになった隊員の陰茎が大きくなって、パジャマの股間を押し上げていた。テントを張っ
たその頂点は、先走り汁で大きな染みができている。
「若くて精力に満ちた男たちなのに、両手がないから、自分で性欲を処理することも難しい。そこで、お前たちの出番と
いうわけだ」
 大島の言葉に、優里は心の底から怒りがこみ上げてくるのを感じた。国益のために異国の地に若者を送り出して、こ
んな姿にする一方で、自分たちの身体を使って後始末をさせる。この国の権力者たちは、国民のことを同じ人間だとは
思っておらず、自由に使い捨てできる道具か何かのように考えているのだろう。
「隊員たちが憐れだと思うなら、せいぜいサービスしてやることだ」
 嘲笑うでもなく、同情するでもなく、淡々とした口調でそう言いながら、大島は他の女生徒の所に移動していった。まる
で国の権力者の姿勢を象徴するかのように感じて、その背中を睨む優里の目に、悔し涙がじわりと滲む。
「オ×ン×ンも、きれいにしますね…」
 心を決めた優里は、ベッドの上の隊員に視線を落として、優しく声をかけると、ズボンとブリーフを脱がせた。上半身
を舐めてもらっているうちに、既に半ば勃起した肉棒が剥き出しになる。
(うっ…、臭い…)
 顔を近づけると干物に似た異臭とともに、ツーンとしたアンモニア臭が漂ってくる。思わず鼻を押さえたくなるのを堪え
ながら、優里はほっそりした指で肉棒を握りしめた。大島の話を聞いたことで、隊員に対する同情とともに、嫌悪感は少
し薄れたものの。何日も洗っていないペニスをフェラチオするのは、やはりきついものがある。
 優里はなるべく呼吸をしないように、先走り液を滲ませた先端に舌を這わせた。指の中で、反り返った男根がますま
す膨れ上がり、ますます臭いが強くなってくる。息を吸い込んだ一瞬の隙に、鼻孔の奥に異臭が絡みつく。
 むしろ早く口に入れてしまった方がよいと考えた優里は、赤く充血した亀頭をパックリと口に咥えた。
 喉の力を抜き、肉棒を喉奥におさめていく。今度はゆっくりと唇を先の方までスライドさせ、大きく息をついて、また根
元までおさめていく。館に来た頃は、先端で喉を突かれて何度も咽かえり、嘔吐しそうになり、涙を流しながら覚え込ま
されたディープスロートのテクニックだ。いずれ、入院している隊員たちの汚れた全身を舐め回すことにも慣れて、その
うち苦も無くできるようになるのだろうか、優里はふとそんなことを考えた。
 スロートが次第に本格的になり、淫らに肉茎を啜る音が高まる。時折、動きを止めて、クチュクチュと唇と舌で男の性
感帯を刺激するもの怠らない。
「ああ…、スゴイ気持ちいい…」
 優里とそれほど年齢が変わらない、青年を感じさせる若い声で隊員が喘いだ。温かく甘美な唾液にヌルヌルに包まれ
て、彼は下半身がジンジンと痺れるような感覚を覚えていた。亀頭や裏筋に擦るように押し付けられる舌の感触がたま
らない。
「ううっ、ああ…、いいっ!」
 青年の声が昂り、すっかり上ずっている。そろそろ射精が近づいているのだ。優里は、柔らかな唇をぴっちり巻きつ
かせて、とどめのストロークに入った。指先は根元に絡めてキュッキュッと強くしごき、片手では玉袋の底をすっぽり包
んで巧みにマッサージする。
「うっ!ううっ、出るっ…」
 四肢を失った体がベッドの上で仰け反った。優里は頬をすぼませ、怒張を吸いたてる。肉棒が優里の口の中でビクン
ビクンと跳ねた。入院生活で溜まった濃厚な精液が彼女の口の中に大量に放出される。
「うぐっ…、うぅ…」
 強烈な性臭に咽かえりながらも、ドロリとした男の精液を、優里は喉音をたてて飲んでいく。口の中に注がれた男の
体液は必ず飲み干すように厳しく躾けられたため、今ではすっかり身体が覚え込んでいた。精液はもちろん、もし注が
れたものが小便であろうと、吐き出すことは許されない。
 2、3年生はかなり慣れたもので、琴美などは相手に優しい言葉をかけながら、笑顔でペニスを舐めていく。ヌルヌル
した腺液を吸い、鈴口を小刻みに刺激すると、琴美の絶妙な舌使いに、隊員の声が漏れる。
「ううっ、ううう……」
 官能の波に呻き声を漏らす隊員にニッコリ微笑みながら、琴美が言った。
「大きくなっちゃいましたね、このまま抜いていいですか?それとも、オ××コで抜きましょうか?」
 垂らした唾液をローションがわりに肉棒をしごきながら、琴美が優しく尋ねる。
「えっ、いいの?」
 嬉しさを隠しきれない様子で隊員が尋ねる。そのリアクションだけで、彼の望みは明らかだった。ギブスや包帯に当た
らないよう気をつけながら、琴美がベッドに上がって来た。
 白衣の裾が短いために琴美が隊員の身体を跨ぐと、仰向けになった彼の視線の先に彼女の陰部が露わになる。
「入れる前に、…君のアソコ、舐めてもいいかな?」
「ありがとうございます…、気持よくしてくださいね…」
 琴美が隊員の顔を跨いで、ベッドの上で膝立ちになった。隊員の顔の前で、琴美の腰が誘うようにクネクネと揺れて
いる。目の前に黒い翳りに縁取られた秘裂があった。肉の割れ目から、その奥の媚肉が覗く。
 隊員が女陰に手を伸ばし、割れ目を指で左右に開いた。つやつやとしたピンク色の粘膜が男の興奮をそそる。
 琴美がゆっくりと腰を下ろすと、男は彼女の太腿を掴み、顔を埋めるようにして股間に舌を這わせる。陰毛に縁どら
れたビーナスの丘の裾を舌が這い回り、ふっくらした大陰唇の膨らみをしゃぶり、舌は徐々に中央の亀裂へと近づいて
いく。
「あはっ、はぁ…、はぁ、はぁ…」
 目を閉じた琴美の口が半開きになり、吐息とも喘ぎ声ともつかない、悩ましげな声が漏れる。男の舌が女陰の亀裂を
何度も何度も舐めあげている。
「ああ…ああン、ああん…」
 琴美が腰をくねらせて喘いだ。舌はやがて割れ目の中に入り込んだ。唇が襞肉をついばみ、舌は中の粘膜をかき回
す。やがて舌先は小陰唇の上部をさぐり、敏感な突起を転がすように舐め始めた。
「あっ…ああっ、だめっ…」
 琴美が思わず声をあげた。強い刺激に口から漏れる吐息も荒くなっていく。中に溜まっていた愛液がみるみる流れ出
し、男は卑猥な音を立ててそれを吸いあげた。
 両腕を失った隊員がベッドの端に座っている。その腰に手を回した姿勢で、沙希はゆっくりと顔を上下させている。黒
髪がサラサラと揺れ、柔らかな唇が、青筋の立った肉茎を行き来する。股間のものが下腹を打たんばかりに持ち上が
ってくる。
「大きくなったオ×ン×ン、うちのアソコに入れて、抜いてちゃ…」
 可愛い博多弁でそう言うと、沙希は隊員のベッドに上がった。美少女の積極的なアプローチに、相手の隊員は嬉しそ
うなニヤニヤ笑いを抑えきれない。
 1年生たちは3か月で1000人の訪問客とセックスするという例のノルマが課せられている。ボランティアに当てられ
た3時間のうちでも、できるだけ多くの隊員とセックスしなければ、期限までにノルマは達成できない。あくまで性器と性
器の結合が対象であって、フェラチオで抜いたのではカウントしてもらえないのだ。
 ベッドの上で仰向けになった隊員の下半身に、沙希が跨る。
 好きでもない男とのセックスに対する羞恥や嫌悪感をまだまだ強く感じている新入生に、自ら進んで性交させて慣れ
させ、男を誘惑する術を教え込むことが目的で、このノルマが課せられているのだと、沙希は気がついていた。彼女自
身、館に来てから、見ず知らずの男たちとのセックスを日々強要されるストレスで、ずっと体調の悪さを感じている。
「失礼します…」
 そう声をかけながら、沙希は腰を浮かして前へと移動し、大きく膨らんだ肉棒に手を添え、角度を調整して股間へと誘
う。勃起した先端が柔らかな肉の割れ目に触れた。お尻を前後に振って、馴染ませるようにペニスを陰部に擦りつけ
る。隊員が気持ちよさそうに吐息をついた。
「入れますね…」
 沙希がゆっくりと腰を沈めていく。エラの張った先端がヌプッと内部に潜り込んできた。
「ふううっ…」
 隊員が吐息交じりの声を漏らした。沙希の体内にヌルりと?み込まれた彼の分身は、濡れた粘膜に熱く包まれて、そ
のまま溶けてしまいそうだ。
「ああ、ああ…、ああぁ…」
 可愛い喘ぎ声とともに、沙希は腰から下を前後に揺すりはじめた。人形のように愛らしい美少女が自分の股間に馬
乗りになって性器と性器でつながり、淫らに腰を揺すっている。あまりの興奮に暴発しそうになるのを、隊員は必死に堪
えた。
「あんっ、あん…」
 沙希の声が高まっていく。頬にかかる後れ毛がと上気した顔にハラリ、ハラリと垂れかかる。隊員の視線の先では、
静脈が浮き出るほどの白い双球がたわわに揺れ、その頂きには透きとおるようなピンクの乳首がせり出していた。髪
をかきあげ、乳首を転がし、柔らかな膨らみを激しく揉みしだきたい衝動に駆られた彼は、そのための両腕がないこと
に思い至り、心に痛切な痛みを感じた。
「気持ちいい…、気持ちいいよ…」
 自分のモノが沙希の薄い繁みに出入りするのを見つめながら、何かにすがりつくように、隊員はそう声を上げ続け
た。

 入浴できない隊員たちの相手に一区切りつけると、次は入浴の介助だ。
「さあ、お風呂に入りましょう」
 自分たちの順番を今か今かと待っている隊員たちのもとに、女生徒たちがやってくる。
「お待たせしました…」
 優里の相手は、さっき入口で出会った中迫だった。
「やったね、へへっ、ビンゴ!」
「えっ?」
「さっき会った時から、君と一緒にお風呂に入りたいと思ってたんだ」
 中迫がニヤニヤ笑いながら優里の身体を舐めるように見つめる。その視線の気味悪さに、優里は全身に鳥肌が立
つように感じた。
 左右の大腿部から下を切断された中迫が車椅子に乗るのを手助けする。中迫の手が優里の身体を抱くように伸びて
きて、胸の膨らみを鷲掴みにした。
「あっ!」
 思わず逃れようとした優里はバランスを崩して、中迫の身体ごとベッドに尻もちをついた。ドスンという音に、周りの隊
員や女生徒が一斉に振り返る。
「こら、武口、しっかりしろ!」
 途端に大島の叱責が飛んだ。
「申し訳ありません…、申し訳…ありません…」
 大島に謝罪した後、ニヤニヤ笑っている中迫にも口ごもりながら謝罪する。
「しっかり介助してくれよ」
 冷やかすような口調でそう言いながら、中迫が再び優里の身体に手を回した。いやらしい手つきで胸を揉まれたり、
お尻を撫でられたりしながら、やっと中迫を車椅子に乗せる。
 浴室に到着すると、最初に優里が白衣を脱いで全裸になり、つづいて中迫のジャージを脱がせる。大腿部から下が
なく、絞ったような縫合痕も痛々しい。腹や背中にもいくつもの傷が残っており、その姿に優里は改めてショックを覚え
た。
「骨盤射撃ってやつだよ」
 急に真面目な表情になって、中迫がそう言った。
「昔は頭なんかを狙ったらしいが、長射程の狙撃銃ができてから、骨盤を狙った射撃が多くなったんだな。その方が狙
いやすいし、外れても大腿部が破壊されるからね。大腿動脈に当たると、わずか数十秒で失血死さ」
 先ほどの大島の説明に続いて、図らずも今度は帰還隊員自身の証言を聞くことになった優里は、口にすべき言葉を
失った。
「ちょっと当たった位置がズレてたおかげで、俺は死に損なったけど…、まあ…、それが幸運だったかどうかはわからな
いけどな…」
 自嘲するような笑いを漏らした中迫を見つめた優里だったが、次の瞬間、思わず「キャッ!」と悲鳴をあげて腰を引い
た。中迫の右手が彼女の股間に伸びてきて、陰部を弄り始めたのだ。
「まあ、幸運だな。こうして両手もチ×ポも残ったから、マスはかけるし、女の子の身体に触ったり、セックスしたりできる
んだからな!」
 乾いた中迫の笑い声を耳にして、優里はまたさっきと同じように、悔しさで目頭が熱くなるのを感じた。
 中迫が身体のあちこちに触ってくるのを適当にあしらいながら、介護用リフトを使って彼を入浴させると、優里は自分
も浴槽に入った。
「やっぱり、風呂に入れてもらうなら、こんな可愛い子がいいよな」
 上機嫌でそういう中迫の背中に、優里の胸が密着している。滑らかな素肌の肌触りとともに、押し当てられた乳房の
感触が柔らかくて心地よい。胸を擦りつけて背中を洗うと、小豆大に丸く膨らんだ乳首が、中迫の背中で転がる。
 態勢を変えて中迫の前に回ると、優里は正面から抱くようにしてキスをし、両手で愛撫するように彼の身体を洗ってい
く。中迫の手も彼女の身体をしきりに撫でていた。
 キスをしていた優里の唇が首筋から肩、胸と下りていき。柔らかな舌先が男の肌を這う。乳首を転がしていた中迫の
手が優里の股間に侵入し、膣の中に指を入れてきた。
「ああっ…」
 身体の中をかき回された優里が、ビクビクと全身を震わせるのを素肌で感じて、中迫は満足の笑みを浮かべる。
「そんな…いたずらしちゃあ、ダメです…」
 ちょっと叱るようにしてそう言うと、優里は浴槽に張ったお湯の浮力を生かして、両脚を失った中迫の腰を持ち上げ
る。筋肉質の肉体にふさわしい、逞しい肉棹が水面からそそり立った。
「失礼します…」
 優里が屹立に顔を近づけ、赤銅色に輝く亀頭をすっぽりと唇でおおった。太い肉棹に指をからませ、扱きながら、そ
のリズムに合わせて、唇と舌で擦っていく。
 フェラチオする顔がよく見えるように、中迫が優里の髪をかき上げた。指の動きに調子を合わせ、頬をすぼませて、ち
ょっと唇を突き出した表情が興奮をかきたてる。
「最後は、私のオ××コに入れてください…」
 そう言うと、優里は中迫の身体を浴槽から出して、床に敷いたマットの上に横たえた。浴槽は手すりやリフトなどの設
備が設置されているものの、洗い場にはスケベ椅子なども置いてあり、備品はまるでソープランドのようだ。
 仰向けになった中迫に跨ると、優里は肉棒を股間に当て、ゆっくりと腰を落としていく。狭いとば口を突破した怒張
が、からみつく肉襞を押しひろげて、柔らかい内部に潜り込む。
「あはぁん…」
 可愛い喘ぎ声とともに、中迫の腰の上で優里の背中が反り返った。
「もっと…、奥まで…」
 優里は、腰をクネクネと揺すりながら、隊員の怒張を秘孔の奥深くに導いていく。
 グチュッ、グチュッ、グチュッ…、腰の動きに合わせて、粘膜が擦れ合う音が浴室に響く。
「ああ、あああん…、いい、いい…」
 優里が四つん這いになった。円錐形に張りつめた双乳が目の前で揺れている。中迫は顔を近づけ、せり出した乳首
をしゃぶった。乳暈を舐め回しておいてから、突起を舌先で転がす。
「ああっ、ああん…」
 優里が切なそうに胸をよじった。充血した乳首に加えられた刺激は、一瞬にして胸の膨らみいっぱいに広がった。狭
い肉路がピクピクッと痙攣して、ギュっ、ギュっと肉棒を締め付けてくる。

「ほら、先っぽがオ××コの中に入ったわ…、そのまま…、もっと奥まで入れて…」
 琴美は腰をくねらせ、恥丘を擦りつけるようにしながら、肉棒を自分の身体の奥に引き込んでいく。マットに仰向けに
なっている相手は、やはり四肢を失った若い隊員だ。開いたその目に光はなく、彼が視力も失っていることを示してい
る。ここでは、五体満足な者の方が圧倒的に少数だ。
 ただし、彼の手足を奪ったものは、地雷や弾丸などではない。野戦で負傷した隊員たちを襲うさらなる恐怖、野生の
肉食動物によってである。血の臭いに引き寄せられた動物たちは戦闘終了とともに姿を現し、傷ついた兵士たちを獲
物だと認識して襲いかかる。南ダーンスのサバンナ地帯はまさに、そうした肉食動物たちの棲み処なのだ。彼から聞い
た身の毛がよだつような体験談に、琴美は心の底から震え上がった。
「怖がらせてゴメンね、こんな話、しなければよかったね…」
 さっき、浴槽の中でそう言った青年の声は、とても優しく労りに満ちていた。その声に、琴美は自らの身体で答えるこ
とにした。
「あはん…、気持ちいいよ…、あなたもいっぱい気持ちよくなってね…」
 隊員の怒張を根元まで挿入した琴美が、甘い声を漏らしながら、ゆっくりと腰を動かす。肉棒が琴美の秘孔いっぱい
に膨らみ、挿し込まれてくる。グチョッ、グチョッと音を立て肉棒が蜜壷を出入りする。
 防衛隊が世界中に派遣され、当たり前に武力行使を行うようになった時代。「殺し、殺される」修羅の世界から、なん
とか命を拾って帰ってきたとしても、視力や手足を失った彼らにとっては、帰国後の生活もまた困難を極めるだろう。
 彼女たちとの肉の交わりによる快楽は、そんな彼らに対する償いなのか報酬なのか…、「癒しの館」の命名どおり、
隊員たちの心身を癒す効果があるのか、それとも、むしろ彼らのさらに心を蝕むものなのか…、いずれにしても琴美に
は判断がつかなかった。
「ああん、ああん、ああん…」
 琴美の膣の収縮が強くなり、襞肉が怒張に絡み付いてくる。琴美の腰が男の怒張を膣壁の全体で味わおうとするか
のように、左右に前後にとクネクネと揺れ、しだいに激しさを増していく。
「いいよ…、すごい締めつけだよ…」
 男が歓喜の声をあげた。琴美が頭を激しく振る。汗ばんだ額に、頬に黒髪が張り付いた。
「もっと強く…、もっと奥に…、奥まで挿して…」
 琴美が激しく腰を動かしている。その動きに合わせ男も腰を振った。何かにとりつかれたかのように、もっと激しく、も
っと奥まで怒張を挿入しようと、腰を突き上げていく。死を身近に体験した彼らは、生きることにしがみつくかのように慰
安嬢たちにしがみつき、追いかけてくる記憶から逃れるように彼女たちの肉体を貪ろうとする。
「ああ…、い、いいの、いっ、いい…」
 琴美は、髪が頬に張り付いた顔を揺すりながら喘ぎ声をあげる。激しく腰を上下させる度に、双臀が男の腰に当たっ
てプルプルと揺れる。肉棒が出入りする度に、濡れた粘膜が擦れ合う音がし、ヌメヌメした膣が怒張を絞り上げる。
「う…、イキそうだ…」
「い、一緒に…い、いきましょう…」
 一緒に…、地獄に落ちてあげるという意味だろうか、そんな思いが琴美の脳裏をかすめた。彼女たち慰安嬢も、隊員
たちと同じだった。望んだわけでもないのに、国の都合で集められ、人間ではないものにされて、心を空っぽにし、本当
なら死んでもやりたくないことを毎日させられる。そうしているうちに、心や体がじわじわと壊されていく。
 隊員の腹上で琴美が激しく腰を動かす。クチュッ、クチュッと、濡れた粘膜の淫らな音が浴室に響き渡る。腰がピクピ
クと痙攣し始め、肉棒をギュッ、ギュッと締め上げる。身体中が、絶頂が近いことを告げている。
「い、いいの…いっ、イク…い、いきます…」
「う、うっ…出るっ!」
 再度、琴美が根元まで肉棒を咥えこんだ瞬間、隊員は彼女の中で果てた。それと同時に琴美は絶頂を迎えた。
「ああっ、わたしも…。あうっ、あうっ、あああ…。いい、イくううう…」
 絶頂を告げる声が噴きこぼれた。背中が反り返り、首がカクカクッと揺れ、琴美はエクスタシーの波に呑まれた。
 快感の大波が小波に変わると、琴美は崩れるようにマットに手をつき、絶頂の後に訪れる虚脱感に身を預けていた。
「はぁ、はぁ、はぁ…、イっちゃった、はぁ、はぁ…」
 半ば独り言のように、しどけない声で琴美が漏らす。慰安嬢のセックスは常に本気で、演技は許されない。今回の交
合は、それでよかったと思う。
 傍らを見ると、国家によって肉塊のようにされた青年がマットの上に横たわり、彼女との性交の名残りの中で呼吸をし
ていた。その身体を抱きしめると、琴美は久しぶりに声をあげて泣いた。




 
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