国防省附属「星園・癒しの館」
 
外伝13 テニス少女・計画

「ハーイ、冴子ちゃん、こっち向いて!」
 スタジオにカメラマンの声が響いた。テニスウェア姿で新製品のラケットを手にした冴子が、カメラの前でぎごちなくポ
ーズをとる。今日は、彼女のスポンサーになっているスポーツ用品メーカーの販促用ポスターの撮影なのだ。
「笑ってみて…」
 言われて、冴子が無理に笑おうとする。本人はニッコリ笑ったつもりが、引きつったような笑顔になってしまう。
「もうちょっと自然な笑顔ができないかな…」
 カメラマンの声に、冴子は表情を曇らせ、うんざりしたようなため息をついた。途端に、場の空気が凍りつく。
「マネージャー、頼むよ…」
「はーい」
 ディレクターの声に応えて、冴子の所に駆け寄ったのは、一学年後輩の鳥居仁美だ。彼女自身も、北高校テニス部
の有力選手だが、以前、練習帰りにたまたま冴子について撮影に来た時に、社交的な彼女がスタッフと冴子の間をとり
なして、撮影を成功させたことがあり、それ以後、「マネージャー」と呼ばれて、みんなから頼りにされている。
「面白くもないのに笑えないわよ…」
 冴子がぶっきらぼうに言う。それでも、撮影に協力しなければならないという自覚はあるらしく、申し訳なさそうな視線
をチラリと仁美に向けた。
「また、そんなことを言って…。でも、那珂さん、美人だから、笑うと素敵ですよ」
「そんなお世辞を言ってもダメ、私は美奈とは違うわ」
 ライバル有岡美奈は、スポーツ用品はもとより、電気製品やお菓子、清涼飲料水などのCMにも出て、アイドル的な
人気を博しているが、冴子は、自分にはそんな活動はまったく向いていないと考えていた。そんな時間があれば、筋ト
レをしたり、過去の試合を解析して戦略を練る時間に当てたいと思っている。
 しかし、スポーツ選手は一流であろうとすれば、莫大な費用が必要になる。この国はスポーツにかける予算が他の国
に比べて極端に少ないうえに、最近の「行政改革」では社会保障とともに文化・スポーツ振興予算が削減の的になって
いる。結局、選手たちは、自分で費用を確保するしかない。実家がきわめて裕福で、お金の心配がない中西朋美のよ
うな場合は例外であり、一流のスポーツ選手の多くが、練習の時間を削って、必死でスポンサーを探さなければならな
いのだ。
 しかも、不景気だから、企業が宣伝にかける経費も少ない。実力がありながら、金銭的理由で引退する選手も増えて
いる中、プロのテニスプレイヤーだった父の人脈で、スポンサーについてくれる企業があるだけでも、感謝しなければな
らない。
「わかったわよ…」
 そう言って、冴子は不器用な笑顔を作って見せる。その手を軽く握ると、仁美はディレクターの所に行った。
「どうでしょう?那珂冴子の魅力を出すのは、キリッとした表情のクールビューティ路線だと思うんですけど…」

(うそっ、うそよ…。こんなこと…)
 想像するだけでもおぞましい現実が、目の前で繰り広げられていた。
 冴子が見詰める中、仁美は男たちに蹂躙されていた。シャワーの水滴がついた双乳が男たちの手で形が歪むほど
揉みしだかれ、濡れた髪を掴まれて、無理やりキスをさせられている。練習後、二人でシャワーを浴びているところに、
数人の男たちが乱入してきたのだ。顔を見ると、いずれも、さっきまでテニス部の練習を見学していた訪問客である。
「い…いや、やめて…!」
 男の一人が仁美の背中を壁に押しつけ、太腿をぐっと引き上げた。そして、立ったままの格好で肉棒を思い切り挿入
する。
「いやっ、いやぁ…、いやあああぁ!!」
 仁美の叫び声が、シャワー室に虚しく響いた。
 テニス連盟の理事の赤坂が北高校を訪ねてきたのは5月のことだった。全国の高校から優秀なスポーツ選手を集
め、国の予算で強化育成する計画だと聞かされ、冴子はその話に乗った。最初は迷っていたものの、父が渋るのも説
得して、夏休みから合流することを決めたのは、これで資金集めの苦労から解放されると思ったからだった。冴子自身
もさることながら、彼女のスポンサー獲得のために、昔の伝手を頼って四苦八苦する父の姿を見ていたことが、決断の
決め手となった。
 しかし、この話には裏があった。彼女が連れて来られたのは、国防省附属慰安施設であり、これは国の予算で「性奴
隷」を育成する計画だったのだ。
(私が、仁美の名前をあげなければ…)
 「推薦」対象の選手を選んでいるという赤坂が「この学校で、那珂さんの次に実力がある選手は誰かな?」と質問した
のに対して、冴子は迷わず仁美の名前をあげた。その一言で自分が仁美を巻き込んでしまったという後悔が、冴子の
胸にずっしりと重くのしかかっている。
「ううっ、ううう…」
 仁美は床に四つん這いになり、後ろから獣のように犯されていた。
「どうだ、気持ちいいか?」
「う、ううぅ…」
 双乳の揉み心地を堪能しながら、男は背後からズブリズブリと突きまくる。
 グチュッ、グチュッ、グチュッ…。
 粘膜が擦れあい、体液が交じり合う淫らな音がシャワー室に響く。
「ううっ…いくぞっ…」
 男の呻き声とともに、体内に埋め込まれた怒張がビクンッビクンッと暴れ、仁美の膣内にザーメンをぶちまけた。
「ほら、汚れたチ×ポを綺麗にするんだ」
 そう言うと、男は仁美の頭を掴み、二人の体液でヌルヌルになった陰茎を彼女の口に突っ込んだ。喉の奥まで突っ込
まれた仁美は、何度もえづきそうになって背中を痙攣させ、苦しげな呻き声をもらす。
「…ウウ、うぐぐッ…」
 男が再び射精して、やっとイマラチオから解放された仁美の目に、仲間から「隊長」と呼ばれていたリーダー格の男に
犯される冴子の姿が飛び込んできた。
 冴子は、隊長の膝の上に座るような格好になっている。冴子の陰部を割り裂いて、赤黒い肉棒がゆっくり出入りして
いる様子が丸見えになっており、その結合部を他の男たちが覗き込んでいた。冴子は虚ろな瞳を、天井にさまよわせ
ている。
 隊長が背後から手を伸ばし、冴子の双乳をギュッと強く揉んだ。
「ううっ…」
 快感というよりは、痛みで冴子が声を漏らす。
「へへっ、いいじゃないか…」
 調子に乗った隊長は、腰を突き上げながら、思うままに乳房を揉みしだき、指先で乳首を転がす。さらには、冴子の
股間に手をやって割れ目を開き、クリトリスを擦り上げた。
「ああん…」
 敏感な部分を弄られて、冴子が淫らに腰をくねらせ始めた。
「やっ、やめて…、那珂さんに…、そんなこと…」
 尊敬する先輩に加えられる凌辱。仁美が目にしているものは、見てはいけない背徳の行為に思え、思わず視線を逸
らした。
(私が、「行きましょう」と言わなければ…)
 冴子は最初、「推薦」を受けるかどうか迷っていた。そんな冴子に、仁美は「一緒に行きましょう。もう、スポンサー探し
で悩まなくていいんですから」と言ったのだ。仁美は、自分が冴子をこんな目に遭わせる原因を作ってしまったと後悔し
ていた。その思いが、常に棘となって仁美の胸を突き刺している。
 二人への責めは、休みなく続けられた。
 男たちが冴子の身体に群がり、上下の口を犯しながら、肌という肌をこねまわす。乳房が、腹部が、背中が、内腿
が、ねちっこい愛撫を受けてピンクに染まっている。さすがに冴子は悲鳴一つあげることなく、その凌辱に耐えていた。
 仁美は壁に手をつき、後ろへお尻を突き出す姿勢をとらされていた。男がその腰を抱え、クレバスに肉茎をこじ入れ
る。
「ああん、だめ、だめえ…、これ以上されたら、壊れちゃう…」
 仁美の泣き声がシャワー室に響く。
 既に性欲を満たした他の男たちの前で、冴子は隊長との何度目かのセックスをしていた。対面座位で男の怒張に秘
孔を貫かれている。
「すごいな、何回やったんだろ?」
「さすが、星園の慰安嬢だぜ、あれだけやっても、まだいやらしく腰をふってやがる」
「でも、この二人は、最近来たらしいぜ」
「へぇー、もともと淫乱の素質があったんだな」
 嫌でも聞こえる屈辱の言葉を聞きながら、男たちに犯し抜かれる屈辱に、冴子は唇をかみ締めた。
「ほら、最後だっ!いっぱい出してやるぞっ!」
 隊長が腰を突き上げた。冴子の肩がガクンと跳ねる。冴子の中で肉棒が脈を打ち、精嚢に残った粘液を搾り出す勢
いで射精した。
「あっ、あ、ああぁ…」
 喘ぎ声をあげて、冴子は仰け反り、そのままゆっくり後ろに倒れていく。
 やがて満足した様子で、男たちがシャワー室を去っていき、冴子と仁美が残された。
「はあ、はあ、はあ…」
 冴子は仰向けに倒れこんだまま、荒い息を吐いていた。その横で、仁美が蹲って啜り泣いている。
「やっぱり、世の中、そんなにうまい話はないってことね…」
 コンクリートの天井を見上げて、冴子が自嘲気味に言った。両目からポロポロと涙がこぼれるのを仁美に見られたく
なくて、冴子は慌てて手の甲で拭った。

「その後、那珂冴子は、どんな様子だね?」
 癒しの館館長、諸藤宗光が、体育科主任教諭の石堂を館長室に呼び出し、そう尋ねた。
「反抗的な態度に終始し、お客からの苦情も受けています。週に二度、三度と反省室でお仕置きをしても、一向にこた
えていない様子で、ほとほと手を焼いています」
 スパルタ教育の父のもとで、幼児期から厳しい訓練を積んできた冴子にとって、お仕置きに耐えるのは容易であるら
しい。困った様子で、石堂が言葉を続けた。
「どうでしょう、館長、お仕置きレベルを5以上にする許可をいただけませんでしょうか?」
 慰安嬢は重要な国有財産である。それを管理する教師たちには、彼女たちを肉体的、精神的に破損してはならない
注意義務がある。お仕置きの内容も、レベルを決めて管理されており、体育科責任者の石堂と言えども、好き勝手に
女生徒たちをいたぶるわけにはいかない。特に、レベル5以上のお仕置きは危険度が高く、館長の許可がないと執行
できないのだ。
「ダメだ。那珂冴子は、私の計画にとって無くてはならないコマだからな」
 サディストの石堂の嗜好を知り尽くしている諸藤は、にべもなく却下し、彼女に向き直った。
「厳しいお仕置きをしなくても、従わせる方法を考えるのが、君の仕事じゃないのかね」
「わかりました…」
 諸藤の言葉に、石堂は一瞬残念そうな表情を浮かべたものの、すぐに素直に頷いた。この時代、権力者に逆らうの
は得策ではないことを、石堂はよく知っている。

「鳥居さん、今日も反省室ね」
 仁美が青ざめ、ガクガクと震える。今週に入ってから、反省室送りは、これで三度目だ。
仁美もけっして弱くはないが、それでも、反省室でお仕置きを受けると、肉体的にも精神的にも相当なダメージがある。
そうしたダメージが重なったせいか、仁美は、今朝から体調不良を訴えており、冴子の目から見ても辛そうであった。
「昨日は100人ヌキ、その前は三角木馬責めだったわね。今日は何にしようかしら…?」
 石堂がそう言いながら、冴子をチラチラと見る。彼女を屈服させる手段として、石堂は、仁美を標的にすることにした
のだ。
「ちょっと待ってください。それは、私に対するペナルティでしょう。反省室なら、私が行きます」
 男性器を模した卑猥なラケットのグリップで、オナニーまがいの体操を訪問客に見せることを拒否したのは、仁美で
はなく冴子だった。不穏な空気が流れる中、冴子を説得しようと仁美が動いたところを、石堂に見咎められたのであ
る。
「ダメよ、連帯責任だから、どちらにお仕置きを受けてもらうかは、私が決める。それに、あなたをお仕置きしてもつまら
ないものね」
「そんな、卑怯な…」
 怒りに燃えて石堂を見つめる冴子の目に、ふらついて倒れそうな仁美の姿が目に入った。慌てて駆け寄って抱きとめ
ると、その身体は汗をかき、体温が高い。どうやら熱があるようだ。
「反抗的な態度を改め、慰安嬢らしく振舞うなら、連帯責任は解除してあげてもいいわよ。そうでなければ、鳥居さんに
きっちりお仕置きを受けてもらうわ。熱がある身体で、全裸になって、たくさんの男に責められるのは、相当辛いと思う
わよ。どう、那珂さん、以後は、私に絶対服従することを誓えるかしら?」
 冷酷な石堂の言葉に、冴子は決意を固めた。何があっても、仁美を守るのが、自分の役割だ。
「…誓います。今後は二度と、反抗的な態度はとりません」
 そう言って唇を噛む冴子に、石堂は勝利の笑みを浮かべる。
「口で言うだけじゃ、信じられないわね。一つ、ミッションを果たして示してもらおうかしら。鳥居さんに代わって、お仕置
きを受ける意味も含めてね…」
「…わかりました」
 冴子が押し殺した声で言う。石堂の顔が満面の笑顔になる。サディストの彼女は冴子の苦悩を心から楽しんでいるの
だ。
「これから、街に出て、精液を集めてきなさい」
 石堂が肩から下げるポシェットを手渡した。中には、血液検査で使うような小さなガラス容器が10本入っていた。
「今が4時だから、夜の慰安が始まる8時まで4時間あるわ。それまでに、10人分の精液をこれに集めてくるのよ」
 10人という人数を聞いて、冴子はやや安堵した。男の陰茎をしごき、射精させる方法は、ここに連れて来られてか
ら、無理やり覚えさせられた。そのテクニックを使えば、10人程度なら、なんとか集まるだろう。
「ただし、条件があるわ」
 冴子の考えを読むように、石堂が残忍な笑みを浮かべて、言葉を続けた。
「精液は、手で搾ったり、フェラチオで出させることは認めません。セックスして、あなたの膣内に出されたものを採集し
てくること」
「えっ…」
 さすがに冴子の顔色が変わった。
「そうよ。街を歩いて、自分で男を見つけて声をかけ、セックスしてくれるようお願いするのよ。そして、中出しされた精液
を10人分、集めていらっしゃい」
 意地悪い口調で言う石堂に、冴子の表情が見る見る強張っていく。それは、プライドの高い彼女にとって、拷問を受
ける以上に辛いミッションだ。
「もし不正をしても、医療チームに渡せば、すぐにバレるわよ。ちゃんと10人の男とセックスして、中出しされた精液を
集めてきなさい」
 屈辱に震える冴子に、石堂は微笑みながら追い討ちをかけた。

「すみません」
 冴子は、公園のベンチで本を読んでいる若い男に声をかけた。顔をあげた男の表情が緩む。相手は白いテニスウエ
アを着た、端正な顔立ちの美少女だ。
「すみませんが、私とセックスしてください」
 冴子は、頬を真っ赤に染めながら言う。気丈に相手を見つめているものの、恥辱と戦いながら発せられる声がわず
かに震えている。
「えっ…?」
 絶句した男がみるみる引いていくのがわかる。その反応に、冴子はいたたまれなくなり、たちまち顔中が燃えるように
熱くなってくる。
「いや、ちょっと…、それは、ねぇ…」
 口ごもりながら、男の目が泳ぎはじめる。しかし、冴子も引くわけにはいかない。既に1時間が経過したが、まだ、まっ
たく精液を集められていないのだ。
「実は、今、男性の精液を集めていて…」
「いや、僕はいいよ…」
 冴子に最後まで言わせることなく、男はそそくさと立ち上がり、逃げるようにして去っていった。途中、何度か振り返っ
て冴子を見た目が、完全に異常者か汚いものを見るような色を帯びており、冴子の心を深く傷つける。これで、何度目
の失敗だろうか。
「君、星園の慰安嬢かい?」
 中年の男が近づいてきて、冴子に声をかけた。
「はい…」
 自分が慰安嬢であることを認めるのは、冴子には強い抵抗があったが、この場面で嘘をついてもしかたがない。
「セックスする相手を探してるの?」
「はい、8時までに10人の精液を集めて帰らなければいけないんです」
 初めて相手に事情が説明できて、冴子の気持ちが少しだけ楽になる。
「そうか、じゃあ、相手をしてあげるよ」
「…ありがとうございます」
 心の中にいる冴子が「馬鹿げてるわ、男にセックスしてやると言われて、お礼を言うなんて」と憤慨して呟くのを押さえ
込んで、冴子は中年男に笑いかけた。
 雑木林の中、木立に手をかけた冴子は、前傾姿勢になってお尻を突き出す。短いスコートからアンダースコートが丸
見えになる。
 後ろに立った中年男がアンダースコートをずり下ろした。染み一つない真っ白な双臀が露わになる。よく鍛えられ、引
き締まった臀部は、理想的な形をしていた。
「お尻をあげて、脚を開いて…、そんなに太股を閉じてたら、セックスできないよ」
「…は、はい」
 冴子は唇をギュッと噛み締めると、肩幅より広く脚を開き、お尻を高く掲げた。
 中年男が、冴子のお尻を両手で掴み左右に割った。太腿の間から覗く亀裂が、男を迎え入れるようにわずかに開く。
「さあ、入れるぞ」
 男が先端を挿入した。
「うっ、うぅ…」
 男根が体内に入ってくる。冴子も自ら腰を揺すり、ゆっくり肉棒を飲み込んでいく。
 男が冴子の胸に手を廻した。ごつごつした指が柔肉に食い込み、双乳が歪む。冴子が腰をクネクネと揺すりながら、
粘膜で肉棒を擦る。男は、結合部に手を忍ばせ、クリトリスのあたりを嬲りながら、腰をローリングさせる。
「あ…あ、ああぁ…」
 冴子は、汗で髪が頬に張り付いた顔を揺すりながら喘ぎ声をあげる。館で教え込まれるのは、テクニックだけではな
い。性的刺激を敏感に受け止め、反応するよう、徹底的に調教される。自分が望もうが望むまいが、男に弄ばれて快
楽に悶え狂う、淫らな身体に作り変えられてしまうのだ。
 バコッ、バコッ、バコッ…
 男が本格的なピストン運動を始めた。冴子の双尻を男の腹が叩く音が響く。
「ああ、だ、だめえ…」
 冴子の背中がガクガクッと震えた、秘孔が陰茎を繰り返し締めつけた。その脈動に委ねるように、肉棒が体内で精液
を吐き出していく。
 男の精液をたっぷりと注がれた冴子は、股間に採集瓶をあてがい、下腹に力を込めた。ドロッとした白濁液がガラス
面に沿って流れ込むのを、男が興味津々の様子で見つめている。
「これで何人目?」
 男が尋ねる。
「まだ…、一人です…」
 道のりの遠さに、冴子の声が沈む。既に1時間半近くが経過している。
「君は、クールな印象を与えるからな。美人なだけに、男にとっては近寄りがたい雰囲気になるんだろうね。それにね、
こういうことをする時には…」
 そう言って、男は冴子にいくつかのアドバイスをした。

 冴子は、地味なスーツ姿の中年男を見つけると、近寄って声をかけた。いきなり、目を見張るような美少女に声をか
けられ、驚く男に向かって、冴子はにっこり微笑みながら言う。
「私は星園の慰安嬢で、那珂冴子といいます」

「すみません、私のために…。これまで、那珂さんは、屈服しないでがんばってきたのに…」
 医務室のベッドの中で、仁美がそう言って泣いた。冴子が石堂に服従を誓い、時間内に10人の精液を集めきったお
かげで、仁美は休養が与えられ、今夜の慰安も免除された。これで体調も回復するだろう。
「私は、屈服したわけじゃないわよ」
「えっ?」
 仁美がパッと顔をあげて、冴子を見た。気負った風でなく、冷静で、そして力強さを秘めた声。久しぶりに冴子らしい
声だった。
「昔からこの館にいる子に聞いたんだけど、これまでに一人だけ、館から脱走するのに成功した子がいたらしいの。誰
かにできたことなら、データさえ揃えば、私にもきっとできるはず」
「はい!」
 返事をする仁美の顔が輝いた。冴子は、誇りも強さも、冷静さも失ってはいない。
「脱出する時は一人じゃないわ、仁美、あなたも一緒に…。いいえ、その時には脱出するだけじゃなくて、この館自体を
つぶしてみせるわ。そのためには、今は大人しくして、まず、あらゆる情報を収集するの。館の仕組み、それが作られ
た背景、そして、集められた女の子たち…」
 決意に満ちた表情で冴子がそう言うのを、仁美は眩しそうに見た。それは、徹底したデータ収集と解析で、準備を尽く
して試合に臨み、「始まる前に勝つ」と評されてきた彼女のテニスと全く同じだ。
これは、クールビューティ・那珂冴子の新しい戦いなのだ。そうであれば、自分がしっかりサポートしていこう。
(いつものように…)
 仁美はそう心に決めた。


 
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