最下位のペナルティ
 


 産隆商事営業部では、月曜の朝恒例の朝礼が行われていた。
 升本営業部長の訓辞、その週の予定や連絡事項の伝達に続いて、営業員たちのノルマの達成状況が報告された。
「最後に、新入社員諸君の達成状況について報告する。全員、前へ出るように」
 課長の柴田がそう言うと、営業部に配属された10人の新入社員が彼の横に一列に並ぶ。男性7人と女性3人、みん
な一様に緊張した面持ちで発表を待っている。他の社員たちも固唾を呑んで報告を待った。
 柴田は上位の者から順に発表していった。最下位には、今週から罰則があるのだ。
「今週の最下位は…」
 そう言って、柴田が新入社員を見渡した。残る名前は一つしかない。
「仲尾由依!」
 強張った表情の由依ががっくりとうなだれ、男性社員たちが密かにガッツポーズをした。
「約束どおり、仲尾には今週一週間、全裸で勤務してもらう」
 ノルマが達成できなかった新入社員は、出勤してから会社にいる間ずっと、一糸まとわぬ姿でいなければならない。
それが、営業部の新入社員教育として、毎年恒例になっていた。
 今年採用された女子の中で最も美人で可愛いと噂の由依が、その最下位の罰則を受けることになったのだ。男性社
員たちは興奮を隠せない様子で、彼女を見つめている。
「さあ、服を脱いで」
「…できません…」
 サラサラした長めのボブヘアを揺らして、由依が首を小さく振る。うつむいたままのその表情は、今にも泣き出しそう
だ。嗜虐心をかきたてられた柴田は、そんな由依をせきたてるように語調を荒げた。
「そういう決まりだと言っておいたはずだぞ。」
「で…、でも…、無理です…」
 眉をひそめ、哀願するような表情を浮かべた由依が、柴田の顔を見て首を左右に振る。
「決められたことができないというのは、社会人として失格だぞ!さあ、脱ぎなさい!」
 柴田が厳しい顔で命令する。その表情に妥協の余地はなかった。
「わかりました…」
 会社で勤める以上、どんな理不尽な命令であっても、上司の命令には、結局のところ従わざるを得ない。就職難とい
われる昨今、やっと入った会社を簡単に辞めたくないという気持ちも強い。そう思った由依は、仕方なくスーツの上着を
脱いだ。
「そうだ、それでいい。いいか、下着も全部脱ぐんだぞ」
 柴田は満足げにそう言った。由依をいたぶって楽しんでいる様子が、誰の目にも明らかだ。
 少女の面影を残した頬をピンクに染めながら、由依はブラウスのボタンを外し始めた。胸の鼓動が早くなり、恥ずかし
さのあまり何度も手が止まってしまう。やがて胸元からベージュのブラジャーが覗いた。
「なんだ、ブラはベージュか…、下着はやっぱり白だよな。明日は白にしてくれよ」
「何を着てきても、出社したらすぐに脱いじまうんだ。どっちでも一緒だろう」
 そんなことを言いながら、男性社員たちがはしゃいだ様子を見せる。セクハラじみた台詞に、由依は耳まで赤くなって
ブラウスを脱いだ。
 なだらかな肩の線が男たちの目を惹いた。引き締まったお腹の中央にある、縦形のおへそが可愛らしい。
「おおっ…胸、結構あるなぁ…」
 目の前にいた男が、うれしそうに声をあげた。ブラジャーに包まれた胸の膨らみが、くっきりと深い谷間を作っている。
幼さを残した顔立ちや小柄な体格から想像するより、ずっとボリュームがあった。
 由依はスカートに手をかけた。震える手でフックを外し、ファスナーを下ろすと、ハラリとスカートが床に落ちる。かがみ
込むようにしてパンストを脱ぐと、彼女の体を隠すものは、いよいよ下着だけになった。
「ひょーっ!」
 若い社員たちの中から声が上がった。ウエストはセクシーにくびれ、お尻はキュッとしまったふくよかさが、薄い布地
から伝わってくる。そのスタイルは絶品ともいえるものだ。
「ほら、手が止まってるぞ!」
 さすがに、もじもじして、なかなかブラジャーを外すことができずにいると、升本部長の叱責が飛んだ。由依はしばらく
躊躇ったあげく、両手を背中に回してホックに手をかけ、ブラジャーを外した。ストラップを器用に肩から抜きながら、両
手で抱くようにして胸を隠す。
 ついに由依は、パンティ一枚だけになった。上品なベージュ色のシンプルなデザインで、ブラジャーとお揃いになって
いる。
「お願いです…、これで…、許してください…」
 由依は勇気を振り絞り、上司たちに向かって必死に懇願する。最後の一枚だけは何とか守りたかった。しかし、柴田
の反応はにべもない。
「約束を守るのが社会人だ。さあ、早く脱げ」
 両手で胸を隠しながら恥ずかしそうにうつむいたままの由依に、男性社員たちが熱い視線を浴びせる。可憐な美女
がいよいよ、一糸まとわぬ姿になるのだ。
「何をしてるんだ!」
 柴田が厳しい声で言った。もう逃げることも、じっとしていることもできない。由依はギュっと目を閉じて観念し、片手を
パンティにかけた。
 脱ごうとする由依の手が震えていたせいもあって、パンティがめくれてパチンと音がなった。男性社員の中からゴクン
と生唾を呑み込む音がする。
 由依は顔を真っ赤に染めながら、少しでも男たちの視線から逃れようと、半身になってパンティを下ろした。
 パンティを足首から抜き取り、全裸になった由依は、片手で胸を抱くようにし、もう一方の手で股間を隠したまま立ち
竦んでいた。露わになった素肌に、営業部の数十人の視線が集中する。頬から火が出るような恥ずかしさに、全身が
カアッと熱くなった。
「恥ずかしいか?」
「はい…、恥ずかしいです…」 
 柴田の問いに由依は、消え入りそうな涙声で答えた。ボブヘアからのぞく耳たぶを薔薇色に染めてうつむいている。
「ノルマを達成できないのが、どれだけ恥ずかしいことか、これで身をもって知ることになるだろう」
 もっともらしくお説教をするが、その顔には卑猥な笑いが浮かび上がっている。
「よし、それじゃあ、仕事を始めよう」
 柴田の掛け声で、全員が持ち場についた。

 仕事が始まった。パソコンのキーを叩く音や、電話を架ける声が事務所のあちこちで一斉に聞こえてくる。
 新入社員の由依は、自分の仕事を始める前に、お盆にコップや湯飲みを乗せて、社員たちに配って行く。お茶やコー
ヒーがいっぱい乗ったお盆を抱えた状態では、体を隠すことさえ出来ない。男性社員のギラつく視線が、その柔肌に注
がれる。
「おっ、ありがとう…」
 コーヒーを机に置くと、書類に書き込みをしていた主任の大河内が顔を上げた。その視線が、胸の膨らみをとらえる。
「仲尾君は顔も可愛いけど、おっぱいも可愛いねぇ。」
 人の良さそうな大河内が、好色そうな笑顔を浮かべた。
 ブラジャーによる支えを失っても、透き通るように白いミルク色の双乳はきれいな円錐形を保っている。その先端にピ
ンク色の乳輪と小指の先ほどの大きさの乳頭が乗っている。
「…いえ、そんな…」
 どう反応してよいかわからないまま、由依はあいまいな返事をした。表情は硬く、顔は羞恥に染まっている。
「花ならまだ蕾って感じだなぁ」
 会話に加わった安西の視線が、由依の乳房をなめる。上司の顔色ばかりうかがって、若手に人気のない安西は、女
子社員にいやらしい視線を向けるセクハラ親父としても有名だ。
「色白だから、ピンク色の乳首がとって可愛らしいよ」
「スタイルもいいしね」
 お茶を持っていくと、必ずといっていいほど、男性社員に乳房や下腹部を見られ、色や形を評価される。由依は、ぽっ
ちゃりした唇を噛みながら、それに耐えていた。
「アソコの毛は少し濃い方だな?」
 そう声をかけてきたのは、営業部のムードメーカー、谷口だ。よく通る声にひかれて、他の男性社員の視線も由依の
下半身に集中する。
 すらりとした引き締まった脚の膝から上は徐々にむっちりした肉づきを示し、色香を感じさせる太腿の間に、恥毛が逆
三角形の翳りを作っていた。
「遊んでない子の方が、アソコや陰毛の手入れに無頓着なところがあるからね」
 安西がしたり顔で他の社員に自説を披露する。
「仲尾さん、真面目そうだからね。もしかして、処女じゃないの?」
 谷口が由依の顔を覗き込むようにして尋ねてくる。
「そんな…」
 何か返事をしようとして、由依は言葉を失った。女子高から名門大学に進んだ優等生の彼女は、事実、まだ男性経
験がなかったのである。

(ああ、また見られてる…)
 書類をコピーしたり、FAXを送る時も、男性社員たちの視線を背中やお尻に感じた。実際、仕事をしている間も、男た
ちの視線は由依に吸い寄せられる。
 つい先日まで女学生だった、若く可愛らしい娘が、衣服をすべて剥ぎ取られ、全裸でさらし者にされているのだ。由依
が感じているであろう恥辱を想像するだけで、男たちの性的興奮は増幅され、自然に股間が堅くなった。
 男性社員たちは、ことあるごとに由依を呼び付け、仕事上の指示やアドバイスをする。
 それが、どうでも良いようなものであっても、上司や先輩から言われている以上、体を丸めて隠すわけにはいかない。
両手を前に組んで、さりげなく下腹部の繁みを隠すのが精一杯だった。
「…というわけだ、わかったかね?」
 そう言いながら、柴田の視線は由依の柔肌を、上から下までなめ回すように鑑賞した。
「はい…、わかりました」
 やっと解放されて自分の机に戻ろうとした由依の足下を、谷口の落とした封筒が滑っていく。
「由依ちゃーん、拾って」
 由依は一瞬、躊躇った。机の下に入った封筒を拾うには前かがみになるしかないが、そうすれば、後ろの男性社員た
ちの方にお尻を突き出す格好になる。しかし、だからと言って、先輩の頼みを無視するわけにはいかない。
 由依は意を決して、前かがみになった。女らしい丸みを帯びたお尻が強調される。
「うーん、惜しかったな…」
 封筒を谷口に渡した途端、後ろの席の社員が呟いた。お尻の間からチラリと一瞬、大陰唇の膨らみが覗いたもの
の、由依の陰部をじっくり見ようという狙いはうまくいかなかったのだ。
「あなたが裸でいるせいで、男性は仕事に手がつかない様子ね」
 席に戻ると、隣のデスクに座っているハイ・ミスが聞こえよがしにそう言って、嫌みな視線を由依に投げ付けてきた。
「あなたも、そんな格好で恥ずかしくないの?」
「…いえ、…」
 由依が好きでやっているのではないことを知りながら、軽蔑した表情を彼女に向ける。惨めさに自然と溢れ出そうに
なる涙を必死にこらえながら、由依は黙々と自分の仕事をこなしていた。
「おい、仲尾」
 手元の資料に目を通していた部長の升本がふいに顔を上げて、由依を呼んだ。
「はい」
「これ、総務部に持って行ってくれ。」
「え…?は、はい…」
 意地悪そうな升本の表情を見て、由依は上司の狙いを理解した。営業部は3階、総務部は5階にある。全裸のまま
会社の中を歩き回らせようということなのだ。
「総務部に行くなら、これも頼むよ」
「こっちは経理部だけど、ついでにお願い」
「企画部宛のもいいかな」
 営業部員たちが次々に積み上げた資料は、一抱えほどの山になった。これでは、部屋の外に出ても身体を隠すこと
などできない。
「裸をよく見てもらえるように、社内を一回りしてくるんだ」
 泣きべそをかいている由依に、柴田が追い討ちをかける。
 両手に資料の山を抱えて営業部の部屋を出た由依は、廊下を急ぎ足で総務部の方に向かった。3階の廊下は結
構、人通りが多い。部屋を出るとすぐ、由依は行き交う社員たちの注目を浴びた。
(お願いだから見ないで…)
 祈るような気持ちで廊下を小走りに進んでいく。由依の双乳がプルンプルンと揺れ、むき出しのお尻がクリクリと揺れ
る。他の部署の社員たちが、驚いた表情で彼女を見る。
「おい、見たか。あの子、裸だったぜ」
「可愛い顔して、やるねぇ!」
 そんな会話がすれ違いざまに聞こえてきた。背中からもねちっこい視線が突き刺さってくる。
(ああ、恥ずかしい…、みんな私を見てる…、変な子だって思ってるんだわ…)
 見られているという羞恥のあまり、由依は何度もつまづいて倒れそうになった。
「なに?あの娘、会社の中で」
「露出狂かしらね」
 女性社員の会話が聞こえてくる。由依は悔しさに唇を強く噛み締め、廊下を駆け抜けた。
 やっとたどり着いたエレベーターのドアが開く。乗っていた大勢の社員や来客が、全裸の由依を見て一斉に驚いた顔
を見せる。ほぼ満員の箱の中に、由依は目をつぶって飛び込んだ。

「失礼します…」
 そう声をかけて総務部に入ったが、声が小さかったせいか。みんな気がつかない様子でデスクワークに没頭してい
る。
 大きな声で声をかけると、部屋中の注目を集めてしまいそうで躊躇っていたが、そうやっておろおろしていても仕事に
ならない。
 由依は意を決して、声をかけた。
「すみません、営業部です!」
 案の定、部屋にいた十数名が一斉に由依を見た。その視線が素肌に突き刺さってくる。頭に血が昇り、耳たぶが激し
い鼓動を打っている。
「仲尾さん、その格好…」
 入口のすぐ近くに座っていた若い男性社員が目を丸くして、突然の全裸美女の来訪に呆然としている。今年一緒に採
用された新入社員の玉置純一だ。
「あっ、玉置君…」
 会社説明会の頃から面識がある同期に裸体を見られるのは、他の男に見られるのとは質の違った恥ずかしさだっ
た。
 玉置は呆然としながら、目の前の女体を見つめていた。形の良い胸の隆起、引き締まった腰、縦長の臍、そして下腹
部の茂みまでが目の前に晒されている。できるだけ人に見られないように駆けてきたためだろう。瑞々しさと張りに満ち
た乳房が、呼吸に合わせて大きく波打っていた。
「営業部の年中行事さ。新入社員は最初の一月、契約数を競い、最下位の者は全裸で仕事をさせられるんだ」
 部屋の奥でどっかりと椅子に腰を降ろし、好色そうな目つきで由依の身体を眺めていた初老の男が玉置に説明す
る。入社式で進行役をしていたので、由依にも総務部長の板脇だということがわかった。
「でも、女の子は初めてじゃないですか?」
 別の社員が言った。
「ああ、いつもは野郎が情けないフリチン姿でやってくるんだがな…」
 由依の裸身を鑑賞しながら、総務部の面々が集まり、会話に加わってきた。
「男女雇用機会均等ってやつだよ」
「しかも、こんな可愛い子がねぇ…」
 周りをとり囲まれるような形になり、由依がいたたまれない様子で、社員たちの会話を聞いていた。しばらくして、年配
の社員がようやく玉置に声をかけた。
「おい玉置、彼女の書類を受け取ってやれ」
「あっ、はいっ!」
 ゾクゾクする思いで由依を眺めていた玉置は、急に名前を呼ばれて慌てて立ち上がった。
「じゃあ、仲尾さん…」
 玉置が手を伸ばした。その目は由依の乳房に釘付けになっている。総務部あての書類を渡したが、他の部署に渡す
物も多く、まだ両手は自由にならない。
「また来て、目の保養をさせてくれよ」
 板脇がニヤニヤ笑いながら言った。
「し、失礼します。」
 由依はお辞儀をすると、ドアを開け、逃げるように駆けだした。
「それにしても、あんな可愛い女の子が最下位とは、今週は会社に来るのが楽しみだよな」
 総務部の男性社員たちが口々にそう言い、卑猥な笑い声をたてるのが背中で聞こえる。身体の底から炎が噴きあが
るような感じがし、赤く染まった由依の頬を一筋の涙が流れた。




 
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