アイドル人気投票 第1章

「それでは、これから、アプリコット・ビューティ・クラブ、早川杏奈ちゃんのスペシャル・イベントを開催
します」
 普段MVを撮影しているスタジオに、お洒落な女の子の寝室をイメージしたセットが組まれている。CDを
買って抽選で選ばれ、集まった200名のファンを前に、前説に立った事務所のスタッフがイベントの諸注意
をしていた。
「すでにご承知のとおり、このイベントの模様は写真集、ブルーレイとDVDで発売されます」
 拍手が湧き起るものの、いつもと違って、ファン達の表情は少し複雑であった。リリースを待ちわびるとい
うよりは、見たいようでもあり、見たくないようでもあり…、そんな微妙な空気が漂う。それを感じたのか、
スタッフは軽く咳払いをして表情を改めると、あえて場を盛り上げるようなテンションで声を張り上げた。
「それでは、拍手でお迎えください。杏奈ちゃん、どうぞ!」
 スタジオに杏奈が登場し、ファンが杏奈コールと拍手で迎えた。
 女子高生の制服のようなアプリコットのステージ衣装に身を包み、いつものように笑顔で手を振った杏奈だ
が、すぐに憂いを含んだ顔になった。天性のアイドルと呼ばれてきた杏奈の表情が、今日はいつもと違って硬
い。ファンの声援に応える様子も、どこかぎごちなかった。
「杏奈ちゃん、ガンバって!」
 コンサートで、いつも大声で声援を送るファンの一人が今日も来ている。しかし、その表情はいつもとは違
っていた。杏奈だけでなく、ファンの方にも、常にはない緊張があるようだ。
(ああ…、とうとう始まっちゃった…、どうしよう…)
 杏奈は心の中で、そう叫んでいた。

 それは3か月前のことだった。トップアイドルグループ、アプリコット・ビューティ・クラブ、略して「A
BC」の人気投票のイベントが行われた。
 この日は「公示日」と称し、1か月後の「投票日」に向けて、メンバーがステージ上で立候補を表明するも
のだった。昨年の順位が下位のメンバーから始まって、最後に登場したのは、人気投票が始まってから4年間
負けなし、不動のエース、早川杏奈だ。
 華奢で小柄だが、プロポーションのとれたスタイルなので、ステージに立つと小さく見えず、見栄えがす
る。ほっそりした首にのった顔は、小ぢんまりした美人顔だ。二重まぶたの大きくて黒目がちの目、小さく整
った鼻、キュッと締まった小ぶりの唇は、誰もが好きになってしまう愛らしさをもっている。眉毛のところで
切りそろえられた前髪は、少女っぽい印象を強め、背中まである髪はあくまで黒く輝き、頭に天使の環を作っ
ている。
「早川杏奈ちゃん、今年も優勝間違いないでしょ?」
 MC役のタレントが、立候補を表明した杏奈にインタビューする。
「いえいえ、そんな…、木島ななせちゃんとか、坂上由依ちゃんとか可愛くて、人気がありますし…」
 はにかんだ表情の杏奈が、右手を左右に振るようにして答える。それは、単なる謙遜というわけではなかっ
た。杏奈は依然としてルックスも抜群で、人気も相変わらず高かったが、若い新人を次々に加入させるのがア
プリコットのやり方だ。売り出し方も、セクシーさを強調したり、元気で親しみやすさをアピールしてくる娘
もいる。浮気なファン心理を考えると、いつか他のメンバーに追い抜かれるのではないかという思いは、追わ
れる者に常につきまとう不安であった。
「じゃあ、トップを取る自信はないのかな?」
「…はい、えーと…とりたいですけど…」
 そう言いながら、杏奈が小首を傾げるようにした。彼女の場合、本来の人見知りの性格をごまかすために、
演技ではなく自然にこういう仕草をしてしまうのだが、それがファンの心をがっちりと掴んでいる。
「奥ゆかしいですね。そこが、杏奈ちゃんの良いところですが、同時に芸能界を生き抜いていくには物足りな
いところだという声もあります…」
 MCの言葉に、杏奈が少し傷ついたような表情を見せた。完璧な美少女と称えられ、「100年に一人のア
イドル」と褒められる一方、「個性がない」とか「可愛いだけのお人形」といった悪口がネットで溢れている
ことは、彼女自身よく目にしていた。
「そこで、そんな杏奈ちゃんに、プロデューサーの安元さんからビデオレターが届いています」
 MCの合図とともに、ステージ上のモニターにプロデューサーを務める元放送作家が映し出される。ひとし
きり、最近の杏奈について論評した後、彼はこう続けた。
「早川には、今年もトップだろうという油断があると思います。16歳でデビューした彼女も20歳になりま
した。ここで、真のトップアイドルを目指し、危機感を持ってもらうために、杏奈に試練を与えようと思いま
す。今年の人気投票でトップが取れなかった時には、杏奈にやってもらうこと、それは…」
 安元がタップリ言葉をためた後、効果音とともに画面に大映しされた文字を見て、会場は騒然となった。
「AV出演!」

「それじゃあ、杏奈ちゃん」
 200人のファンが見守る中、スタッフが杏奈に声をかける。
「はい…」
 返事をした杏奈の声が少しかすれている。見るからに緊張している様子だ。唇をギュッと結び、不安げに胸
の前で組んだ手の指先が小さく震えている。
「覚悟はできてますね…」
「………はい…」
 心の中の葛藤を示すように、数秒間の沈黙があった後、杏奈は小さく返事をした。数え切れないほどマネー
ジャーたちと話し合い、納得しきれないまま、結局、押し切られるように撮影の日を迎えた。しかし、ここに
立ってしまった以上、後戻りはできない。
「まず、ファンのみなさんの前で、生まれたままの姿になっていただきます」
「あ…」
 杏奈の表情が強張り、何か言おうと口を開いたものの、言葉が出てこない様子で、そのまま黙り込む。俯い
た彼女に、心配そうな表情でスタッフが尋ねた。
「大丈夫ですね…」
「は…、はい…」
 スタッフがはけると、杏奈の周りにカメラが寄って来た。
(ああ…、始まっちゃった…)
 泣きたい気持ちをグッとこらえた杏奈は、軽く目を閉じた後、衣装の胸についたリボンに手を掛けた。赤い
リボンの端を思い切って引っ張る。リボンが杏奈の指を離れ、はらりと床に落ちた。カメラのフラッシュが一
斉に瞬く。
 イベントに参加したファンたちは、固唾を飲んで杏奈の仕草を見つめていた。トップアイドルとして多くの
ファンに愛され、連日のようにテレビに登場し、雑誌のグラビアを飾っているアプリコットのエース早川杏奈
が、今、自分たちの目の前で裸になろうとしているのだ。歴史的な瞬間を目撃するかのように、集まった20
0人もまた、緊張した面持ちで目を凝らしている。
 杏奈は、細い指をブラウスのボタンに掛けた。震える指でボタンを外していく。三つ目のボタンが外され、
胸の谷間と双乳を覆い隠すブラジャーが顔を覗かせた。杏奈は、ファンやスタッフの視線が胸に集まるのを感
じ、頬を朱に染めた。
(見られてる…、私…、見られるために脱いでるのね…)
 覚悟したはずなのに、指が思うように動かない。杏奈は、四つ目のボタンを強く握り締める。少し顔を上げ
て上目遣いで見ると、スタジオに集まったファンたちが目に入った。彼女の動作をじっと見つめる視線に圧倒
された杏奈は、すぐに恥ずかしそうに目を伏せる。
(がんばれ、私…、ここで頑張らなきゃ…)
 杏奈は自分に言い聞かせて、握り締めた指を解きブラウスのボタンを外していった。白いブラジャーに包ま
れたバストが見えてくる。中央に水色のリボンが付いた、可愛いブラジャーが杏奈の清純さを引き立てる。カ
メラマンがぐっと彼女の近くに寄って来て、シャッターを切り続けていた。
 小さなため息をついてホックを外し、チャックを下ろすと、スカートが床に滑り落ちた。ダンスの時に着け
るアンダースコートは、今日はつけておらず、穿いているのは、ブラジャーとお揃いの白いショーツだけだ。
(ああ…、恥ずかしい…)
 下着姿の撮影が続き、杏奈の頬が火照ってくる。いつも、ステージ後半にはセパレートタイプの衣装を身に
つけるし、ビキニの撮影は何度も経験している。むしろ今着ている下着よりも肌の露出は多いぐらいなのだ
が、不思議なもので、下着姿だと思うことで気持ちが全然違うのだ。しかし、問題はこれから…である。
「さあ、脱ごうか」
 スタッフがそう合図した。
(ああ、いよいよなんだわ…)
 もう一度目を閉じ、ごくんと唾を呑み込んだあと、杏奈はブラジャーの背中に手を回した。指先が震えてホ
ックがうまく外せない。パチンと音がしてホックがはじけ、ズレそうになったカップを慌てて押さえる。ファ
ンたちのため息がスタジオに広がった。
 手で胸を隠すようにしながら、杏奈が肩紐を下ろしていく。服を着ているときにはわからなかったが、十分
に発育した隆起が、恥ずかしげに交差した腕の下で谷間を作っていた。
「オッパイを見せて」
 スタッフが声をかけた。
「…はい…」
 決意を示すようにキュッと唇を噛むと、杏奈は胸の前で交差していた両手を後ろに回した。持ち上げられ谷
間を作っていたバストがプルンと震え、瑞々しい膨らみが露わになった。さほど大きくはないが、お椀型に整
ったきれいな形をし、柔らかな肌の色は抜けるように白い。隆起の先端には、ピンク色に色づいた乳頭がツン
と飛出している。
「さあ、パンティも脱いでね」
 言い聞かせるように指示するスタッフの声に杏奈は諦めの表情を浮かべ、両手を腰にやる。身体を守ってい
た最後の白い布がくびれたウエストから降ろされ、キュッと締まった双臀が現れた。プリッとした肉感が可愛
らしい。
 杏奈が片手で股間を隠しながら、片足づつパンティを抜いていく。片足を持ち上げるたびに、股間を彩る繊
毛がチラチラと見え隠れし、ファンの視線を釘付けにした。
 全裸になった杏奈に、カメラが近づいていく。思わず手で下腹部を隠し、杏奈はたじろいだように俯いた。
顔が耳まで赤くなり、細い肩が細かく震えている。なにしろ、生まれて初めて人前で裸になったのだ。
(ああ…、お願い…そんなに見ないで…)
 タレントとして見せるために裸になったことは百も承知をしていながら、素の20歳の乙女が心の中で涙を
流し、羞恥の悲鳴をあげた。
 胸に、お腹に、太腿に、そして下腹部に、集まった200人のファンのギラギラした視線が突き刺さった。
それを意識するほど、杏奈は全身を犯されていくような思いがした。

「AV、アダルトビデオです。早川、わかりますか?」
 「公示日」の会場でモニターに登場した安元プロデューサーは、カメラに向かってそう尋ねた。
 呆然とした表情の杏奈が、思わずモニターに向かって首を横に振る。恋愛禁止のルールをきちんと守ってき
たネンネではあっても、現代っ子である、もちろんアダルトビデオとは何かということは知っている。それと
自分が結びつかないのだ。
「裸になって、男の人とセックスしているところを撮影するわけですね。早川ももう20歳ですから、将来の
ことを考えていかなければいけません。芸能界で生き残っていくためには、もっと強くなる必要もあります。
そこで、これからもアイドルとして勝ち抜いていけるようなら、今年も人気投票でトップが取れるでしょう。
しかし、もしトップが取れなければ、今後は大人の女性として演技の仕事などもやっていくことになります
…」
 会場が水を打ったようにシーンとなる中で、安元のコメントは続く。
「そこで、今年、トップを取れなければ、脱アイドルを目指すけじめとして、杏奈にはAVに出てもらいま
す」
 会場が一斉にざわめき始めた。最初は、「仕掛け人」安元らしいハッタリだと思っていたが、運営が本気だ
ということが伝わったのだ。
「もし、それが嫌なら、頑張って人気投票でトップを取りましょう。選ぶのはファンのみなさんです。杏奈を
AVに出させたくなければ、CDをたくさん買って、彼女をトップに押し上げてやってください。逆に、大人
になった杏奈のセックスを見たい人は、他のメンバーに投票してください。以上、プロデューサーの安元でし
た」
 安元の言葉を聞きながら、杏奈はショックのあまり、呆然とした表情で立ちすくんでいた。
「いやあ、大変なことになりましたね。杏奈ちゃん、AVに出たいですか?」
 MCが意地悪そうな口調で尋ねた。その表情はニヤニヤと卑猥な笑みを浮かべている。
「い…、いやですっ!」
 杏奈は激しく首を振り、すがりつくような視線でマネージャーをはじめ、周りのスタッフの顔を見た。しか
し、どうやら既に筋書きは聞いているようで、みんな平然とした視線を彼女に返してくるだけだ。
「じゃあ、ファンのみなさんにお願いしましょう!」
「お願いします。みなさん、私に…、早川杏奈に投票してください…」
 杏奈の声は、最後は涙声になっていた。これまで、むしろ人気投票には淡泊だと言われてきたエースメンバ
ーが今年、初めて必死になってファンに投票をお願いすることになった。

(…でも、ダメだった)
 唇を噛んだ杏奈の表情をカメラが捉えた。連続してシャッターが切られる。カメラマンが注文する様々なポ
ーズで、杏奈はヌード撮影をしていく。美しい20歳の裸体が写真や映像に余すところなく記録されていく。
 撮影の途中から、集まったファンはスタジオの中にぐるっと蜷局を巻くようにして列を作っていた。この後
はファンとのチェキ会なのだ。
 撮影を終えてスタッフが準備をする間、杏奈は、身体を隠さないように言われ、美しい裸身を晒したまま、
ファンの前で立っていた。所在無げな手は、恥ずかしさを紛らすかのように、しきりに前髪をいじっている。
顔は耳までピンクに染まり、時折、天を仰ぐ目は完全に涙目だ。
「そこのイスに座って」
 スタッフにそう指示されて、杏奈はセットの中にあった木製の肘掛椅子におずおずと座った。膝をきゅっと
締め、太股を擦り合わせ、少しでも股間を覗かれないように努力している。胸と下腹部は手で必死に隠してい
た。
「肘掛けに両脚をかけて」
「えっ…」
 スタッフの指示に、杏奈は一瞬、耳を疑った。そんなことをしたら、女の子の恥ずかしい部分がすべて丸見
えになってしまう。
「…そんな…、ムリです…」
 何度か押し問答があった末、今にも泣き出しそうな顔で激しくイヤイヤする杏奈を、数人のスタッフが取り
囲んだ。
「ワガママ言っちゃだめだろ!」
「ほら、ちゃんと脚を開いて」
 必死で抵抗する杏奈の両脚を、スタッフたちが掴んで左右に開かせていく。すでに打ち合わせ済みだったの
だろう。手にした革ベルトのようなもので足首を手際よく椅子に固定していく。
「きゃあっ、ダメっ!」
 悲鳴をあげ、慌てて秘部を隠そうとした杏奈の両手は、すぐに掴まれて、椅子の背に回して縛られた。
「おおぉぉぉ…」
 列を作っていたファンの中から低いどよめきが湧き起った。M字開脚で椅子に固定された杏奈の股間があま
すところなく晒されたのだ。
 艶のある黒い繊毛に彩られた恥丘の下に、くすみのない肌色をした柔らかな膨らみがあり、しっかりと閉じ
合わされた割れ目からは薄桃色の花びらの先端が少しはみ出している。清楚な色と形をした少女らしい性器だ
った。もちろん、市販の写真や映像ではモザイクがかけられる。剥き出しになった杏奈の秘部をじっくり鑑賞
できるのは、ここに集まったファンだけの特権だ。
「いや…、恥ずかしい…見ないで」
 杏奈が半べそをかいて、消え入りそうな声で呟いた。両脚をなんとか閉じようと力が入り、小刻みに震えて
いる。目に涙を浮かべて羞恥に耐えるその表情はたまらなく愛らしく、男の嗜虐心を刺激した。
「杏奈ちゃんには、このポーズでみなさんと一緒に写真を撮ってもらいます」
「おおっ!」
 説明に立ったスタッフの言葉に、興奮した男たちの歓声があがる。
「ただし、みなさんに一つお願いがあります。このまま撮影すると、杏奈ちゃんのアソコが丸見えの、とても
マズイ写真になってしまいます。ネットなんかで流出したら大変ですよね。そこで…」
 そこまで言うと、スタッフは意味ありげな表情で、ファンたちを見渡した。
「撮影する時は必ず、みなさんの手で杏奈ちゃんのアソコをしっかり隠してあげてください」
「おおーっ!」
 スタジオに驚きを含んだ歓声があがる。それは、集まった200人のファンが、かわるがわる順番に杏奈の
女陰に直接手を触れるということだ。
(…そ、そんなのムリ…)
 あまりのショックに杏奈の顔からサーっと血の気が引き、身体が小刻みに震えた。彼女の前にできた長い列
から、先頭の男が緊張した表情を浮かべて、ゆっくりと近づいてくる。デビュー当時からイベントや握手会に
やってくる顔なじみで、彼女の両親と同世代の頭が薄くなった中年男だ。
「いやあっ…」
 杏奈が小さく叫んで、身体を硬くした。背後に立った男の手が股間に伸びてきたのだ。男が慌てて手を引っ
込める。
「遠慮せずに、触ってください」
 スタッフに言われて、男が再び手を伸ばし、大陰唇の膨らみを掌ですっぽりと包み込んだ。
「ああ…」
 杏奈が哀しげな声を漏らす。女の子の一番恥ずかしい部分を、生まれて初めて男に触れられているのだ。そ
れは、口では言い表せないほどのショックだった。
「チェキの間、そこを撫でていただいても結構ですよ」
 スタッフに言われて、男は土手の形を確かめるようにおずおずと手を動かした。陰毛のシャリシャリした感
触が掌に伝わってきた。
「あっ…」
 杏奈が反射的に腰を振ったが、そのしぐさがやけに色っぽい。
(柔らかい…)
 掌の中のクニュクニュした感触が官能的で、男は有頂天になった。今、自分は憧れのアイドルの秘密の場所
を掌で包み込んでいるのだ。まるで、夢のような時間だ。
 デビュー以来、「いい年をして…」という自虐の気持ちもありながら、どちらかと言えば、娘を見守るよう
な気持ちで杏奈のことを応援してきた。このイベントに応募した時も、彼女の裸やセックスする姿は「見たく
ない」という気持ちがありながら、「見届けなければ」という半ば義務のようなファン心理で参加した。
 しかし、今、杏奈の股間に手を触れた途端、彼の中でタガが外れ、彼女のことが性欲の対象として見えてき
た。
「もう一方の手でオッパイを隠してあげてはどうですか」
 スタッフの声に、興奮した男は杏奈の乳房をギュッと強く揉んだ。
「痛いっ!」
 杏奈が思わず悲鳴をあげる。
「ごめん、ごめん…」
 そう言いながら、男が慌てて手を離す。
「ダメですよ、強く揉んじゃあ。優しく触ってあげてください」
 スタッフに言われて、男の手が再び乳房に触れた。今度は、胸の柔らかさを確かめるように、人差し指と中
指で乳頭を挟むようにして、ゆっくりとも揉みしだいた。
「あぁぁ…」
 杏奈の口から吐息が漏れる。頬が真っ赤になり、耳の後ろから胸のあたりまで桜色に染まっている。
「杏奈ちゃん、こっち向いて」
 思わずギュッと目を閉じた杏奈に、カメラマンが声をかける。フラッシュが光り、流れ作業のように、チェ
キの相手が次のファンに交替した。一人当たりの撮影時間は数十秒だが、200人全員と撮影すると、手際よ
くやっても2時間ぐらいはかかってしまう。
「スゴイ…」
 写真を渡されたファンの一人が思わず呟いた。その顔は、自然に緩んでいる。全裸でM字開脚になった杏奈
とのツーショット。しかも彼の左右の手が、杏奈の股間と片方の乳房を包み込んでいるのだ。柔らかな肌の感
触が、掌によみがえってくる。
「濡れてる…」
 自分の順番がきて、杏奈の股間に手を当てたファンの一人が、掌にぬめりを感じて思わずそう呟いた。
(言わないで…)
 真っ赤になった杏奈が俯いて、イヤイヤするように首を振った。大勢のファンに乳房や性器を触られている
うちに、本人の意思とは関係なく、杏奈の身体は女の反応を示しているのだ。思わず指先を滑り込ませると、
ヌルヌルした愛液が粘膜を濡らしているのがわかる。
(乳首も立ってるぞ…)
 ファンの男は、乳首の硬さを確かめるようにコリコリと動かした。杏奈は、身体の反応を見透かされたこと
に気が付き、顔を真っ赤にして首を横に振った。
「これ部屋に飾って、毎日見るよ」
「俺、家宝にするよ」
 そう言い合うファンがいる横で、若いグループがお互いに写真を見せあっていた。
「次のファン・ミーティングでみんなに見せびらかしてやろう」
「アダルトサイトなら、きっと、アップしてもOKだよな」
 そんな会話が耳に飛び込んできて、杏奈は泣きたくなってきた。今日の夜にはネット上で、彼女の裸の写真
が世界中を駆け回っているだろう。 




トップへ
トップへ
戻る
戻る



動画 アダルト動画 ライブチャット