国防省附属「星園・癒しの館」
 
外伝・7 女生徒たちの休日(幕間)



「来週一週間、慰安業務を休止する。館長・諸藤宗光。」
 掲示板にその紙が張り出された時、星園の女生徒たちは、思わず歓声をあげた。中には泣き出してしまった娘もい
る。
 家に帰ることは許されなかったが、館に行く必要はないし、いやらしいことをさせられる心配もない。館や基地がある
港特別区から出ず、点呼の時間までに寮に戻ってさえいれば、どこに行っても構わないと言う。
 実は、徴兵法の成立による新たな慰安嬢を迎えるための準備、施設の拡充、フサイン派遣部隊の帰還受け入れなど
に館のスタッフが総がかりで当たっていたため、やむなく業務を休止することになったのだが、女生徒たちはそんなこと
は知らない。たまたま訪れた自由な時間を、思い思いに満喫することとなった。
 由香、琴美、茉莉の三人は気分転換に街に出掛けることにした。三人とも制服のままなのは、癒しの館の慰安嬢で
あることが誰にでもわかるよう、外出の際には着用が義務づけられているからだ。
 寮を出てしばらく行くと、向こうの方で手を振る人影が見えた。亜弓だ。
「生徒会の用事が、今終わったのよ。」
 駆け寄ってきた亜弓が息を切らして言う。
「一緒にブラブラしよっか。」
 琴美がニコニコ笑いかけながら亜弓を誘い、亜弓も笑顔で頷いた。



「…どうだった?」
 由香が小さな声で尋ねた。亜弓が怪訝そうな顔で首を傾げる。
「…えっ?」
「私には隠し事なしよ。」
 由香が言った。三人と亜弓はもとから仲が良かったが、今のような境遇になって以来、由香と亜弓とはしっかり者同
士、特別な連帯感ができている。
「そうね…、『箱根の関所は、入り鉄砲に、出女』」
「やっぱり、厳しいのね。」
 生徒会の活動を理由に比較的自由に動ける亜弓は、このチャンスに脱出できるかどうか、こっそり調べていたのだ。
しかし、どうやら結果は芳しくないらしい。
「こうやって歩いてると、街の様子は変わらないのにね…。」
 亜弓は話題を変えた。街はすっかり秋の装いだ。街路樹が紅葉した通りは人が行き交い、以前と全く変わらない。有
事が宣言されているなど、嘘のようだ。
「もしもし、ちょっとよろしいですかな?」
 四人が歩いていると、一人の老人が声をかけてきた。年齢は七十歳以上だろう。白髪の頭は薄くなっているが、着て
いる物はなかなかお洒落だ。痩せて上品な顔立ちは、鶴のような印象を与える。
「駅前商店街と言うのは、どう行けばよろしいのかな?」
「それでしたら、この通りを真っすぐ行って、二つ目の信号を左に…」
 茉莉が丁寧に道筋を説明する。しかし、老人は何度も聞き返しては首を捻っている。
「実は、昨日こちらに引っ越してきましてな。あまり土地鑑がないので、よくわかりません。一緒に来て案内してくれませ
んかな?」
 茉莉がどうしよう?という顔で他の三人を見る。特に目当てがあって歩いているわけではないし、できるだけ寮の近く
のコンビニで買い物をするようにしていることもあって、商店街の方には行っていない。この機会に行ってみたいという
気もする。
「いいですよ。ねぇ?」
 由香がそう言い、亜弓も頷いた。「地域住民に礼儀正しく、親切に」というのは「癒しの館」の規則でもある。



 駅前商店街は、星園高校の生徒たちが、学校帰りによく寄り道した商店街である。星園高校は自由な校風で、校則
も緩やかだったし、店主たちと先生との連絡もよく取れていたので、この商店街に行くことは、学校もうるさく言わなかっ
たのだ。
「見て、全然変わってないよ。」
 琴美がはしゃいだ様子で言う。
「でも、お店の人はずいぶん変わっているようよ…」
 亜弓が周囲に視線を走らせて答えた。多くが店の構えはそのままに、経営者が変わっている。中には、広山文具の
ように、防衛隊に協力することで前の店主がそのまま経営している店もあるが、そういう店はごく稀なのだ。
「あそこはどうなったかな…、『ほしのおうじさま』…」
 由香がポツリと言った。そこは、女生徒たちが学校帰りによく寄っていた小さな喫茶店で、駅前商店街の外れにあっ
た。
「お皿とかカップとかが、すっごく可愛いのよね。」
 茉莉がニコニコしながら言った。
「メニューも趣向を凝らしたのがいっぱいあって、いつもうちの生徒で賑わってたね。」
 琴美が言うと、亜弓も楽しそうな表情になった。 
「そうね、行くと必ず学校の生徒が誰かしらいるし、いつ誰が作ったのか、お店に星園高校生徒用の伝言掲示板まで出
来てて。」
 普通の女子高生に戻り、盛り上がる四人。その横で、老人はニコニコ頷きながら彼女たちの話を聞いている。
「琴美は、『ほしのおうじさま』のアイスクリームが大好きだったよね。」
 茉莉が言う。店では、テイクアウトでアイスクリームも売っていた。
「うん。」
 琴美が元気良く頷く。
「ね、知ってた?星園公園に噴水があったでしょ?『ほしのおうじさま』でアイスクリームを買って、噴水のベンチで好き
な人と一緒に食べると必ずうまくいくんだってさ!」
「あんたはいつも公園に着く前に全部食べてたけどね。」
 琴美が言うと、由香がつっこみを入れて、みんなで笑う。こうしていると、この数か月の地獄の生活が嘘のようだ。
「そこじゃ、そこ。」
 老人がいきなり声をあげた。
「その『ほしのおうじさま』に行きたかったんじゃ。お嬢さん方、案内してくれるかね。」
 驚いた顔で老人を見た少女たちに、老人はそう言った。
 ここまで来たら、乗り掛かった船である。女生徒たちは、老人を案内して行くことにした。
「私、部活が休みの日でも毎朝、星園公園までジョギングしてから登校してたんだ。そういえば、亜弓はよく公園のベン
チで本を読んでたよね。」
 由香が懐かしそうな表情で言う。半年ほどしか経っていないのに、もうずいぶん昔のような気がする。
「公園の隣にある本屋さんには、文芸部の文集を置かせてもらってたの。店長には親切にしてもらって、格安の製本所
も紹介してもらってたし。小さいくて素朴なつくりの店のわりに、文集とか揃ってたからよく顔を出してたわ。その帰りに
公園で本を読んでたのよ。」
「あ、知ってるその文集。中学の友達が家に遊びに来るたび買ってた、すごく評判良かったよ。」
 茉莉が言った。中学時代、彼女は有名な私立のお嬢様学校に通っていた。
「亜弓ちゃんも、小説とか書いてたの?スゴーイ!」
 琴美が感心したような声をあげると、亜弓が照れ笑いを浮かべる。
「そんなちゃんとした小説じゃないわ。文芸部だって、生徒会の方が忙しかったから、半分ユーレイ部員だったし…」
 彼女たちの会話を聞いていた老人が言った。
「そう言えば、欲しい本があったんじゃ。まず、その本屋に連れて行ってくれんかね。」
 老人に頼まれて、一行は本屋を目指した。



 本屋は今もあった。しかし、その様子は、以前とはずいぶん変わってしまっていた。
 店の前には派手な電飾の看板が掛けられ、店頭のマガジンラックに入っているのは、肌も露わな女性を表紙にした
エロ雑誌やエロマンガの類いだ。亜弓は唖然とし、他の三人も入るのをためらって後込みする。
「なんとも派手な店じゃなぁ…」
 そう言いながら、老人は店に入っていく。後を追って中に入った女生徒たちは、声を失い、目のやり場に困って赤面す
る。
 まともな本はほとんど置いていない。ほとんどの棚がアダルト写真集やDVD、官能小説、エロマンガなどで占められ
ていた。店内にはヌードのポスターが所狭しと貼られている。
「ここが、お嬢さんがよく来ていた本屋かね?」
 老人が意味ありげな視線で、亜弓を探るように見て尋ねる。
「こんな…、こんな店じゃあなかったんです…」
 亜弓が耳まで真っ赤になって言う。
「おやっ?こんな本、おおっぴらに売って良いのかのう?」
 老人が眉をひそめ、手にした写真集を開いて、茉莉に見せた。美少女が全裸でM字開脚のポーズをとり、自ら陰部
を開いている。陰部の修正は全くされておらず、小判型に生えた恥毛、小陰唇の襞、割れ目の中まではっきり写ってい
た。
「!!!」
 茉莉は息が止まりそうになった。それは紛れもなく、茉莉自身の姿だった。
「最近の娘は何を考えておるのかのう…、可愛らしい顔をして、平気でこんな写真を撮らせるなんて、信じられんわ
い。」
 そう言いながら、老人は一頁一頁丹念に眺めている。ヌードだけでなく、男に身体を弄られ、セックスしている様子が
何ページにもわたって続き、バスルームで放尿している姿までが載っていた。茉莉は老人に顔を確認されないよう由香
の後ろに隠れ、あまりのショックに涙ぐんでいた。
 店の奥から人が現れた。亜弓が「あっ」と声をあげる。この店の店長だった。店長の方も亜弓を見て、驚いた表情を
浮かべている。
「ねえ、おじいさん、必要な本を買って、早く行きましょう!」
 たまりかねた由香が言うと、老人は思い出したように、うんうんと頷き、店長に尋ねた。
「人に頼まれたんじゃが、『星の園』とか言う雑誌は置いとるかね。」
 女生徒たちが冷水を浴びせられたような表情で顔を見合わせた。『星の園』のことはよく知っている。それは、癒しの
館の広報誌だ。慰安錠たちの恥ずかしい写真がふんだんに載り、風俗情報誌ですらもっと上品だと思えるくらい下品な
単語が並んだ、読むに耐えないものだった。
「こちらです…」
 店長がけばけばしい表紙の雑誌を老人に渡す。
「行きましょう、さあ!」
 支払いを済ますと、由香が老人の背中を押すようにして店を出た。
「亜弓ちゃん…」
 最後に店を出ようとした亜弓に、店長が声をかけた。
「…がんばりなよ…」
「はい…」
 振り返らずに返事をすると、涙が溢れそうになるのをグッと堪えながら、亜弓は店を出た。





「あっ、ちゃんとあった、『ほしのおうじさま』!」
 琴美がうれしそうな声をあげた。南欧の家を思わせる白い壁も、赤い屋根も以前と全く変わっていない。派手な電飾
看板もなかったし、テイクアウトのアイスクリームもなくなっていないようだ。
「ホント。久しぶりに入ってみたいわね。」
 由香はそう言ったが、入るには躊躇があった。彼女たちは現金を一円も持っていない。もちろん、身分証明書を見せ
れば、どこでも何でも買えるのだが、そのためには、自分のヌードや陰部が写った写真を店員に見せなければならな
い。
「お嬢さんたちも一緒においで。ここまで案内してくれたお礼に、何かご馳走しよう。」
 老人はそう言うと、遠慮をする由香の手を握って、店の中に引っ張って行く。結局、四人は中に入ることにした。
「えっ!何よ、これ!」
 店に入るなり、琴美が叫び声をあげた。
 星園高校生徒用の伝言掲示板に、胸を捲り、パンティを手にした、チア姿の琴美の写真がポスターになって貼られて
いるのだ。
「おおっ、なんと!これは、こちらのお嬢さんかね。しかし、見事なおっぱいをしておるのう。」
 老人はポスターと琴美を見比べて言った。琴美はポスターの前で凍りついたようになっている。
「おや?こちらは何じゃ。」
 ひょこひょこ店の中に進みながら、老人が壁に掛けられた写真パネルを指さした。
「えっ?きゃあっ、いやっ!」
 今度は由香が悲鳴をあげた。
 以前はお洒落な絵が掛けられていた壁。そこに掛かっていたのは、体育祭の時の写真だった。『優勝出来たのは、
応援してくださった皆さんのおかげです。代表して、市長と防衛隊幹部の方にお礼の慰安をさせてください。それが私に
とって最高の優勝記念になります。』由香の言葉として、そんなキャプションがつけられたパネルに写っているのは、四
つん這いになって市長のペニスを咥え、防衛隊の将校にバックで犯されている由香の姿だった。
「これはお嬢さんかね。二人いっぺんに相手をするなんぞ、なかなかの好きもんじゃな。」
 由香はとっさにパネルを外そうとして、壁際に駆け寄る。それを遮るようにしながら写真を見ていた老人が、ぽつりと
呟いた。
「稲見の奴、気持ち良さそうな顔をしとるわい…」
「えっ?!」
 亜弓が聞きとがめた。稲見というのは、市長の名前だ。
「橋爪さん、遅いじゃないか。」
 50歳代ぐらいの背広姿の男が、店の奥の席から老人に声を掛けた。見ると、そこには四人の男が座っている。背広
を着た男が二人、防衛隊の制服姿が二人だ。
「これでお揃いですね。」
 そう言った陰気な声には、女生徒たちも聞き覚えがあった。彼女たちに背を向けていてもすぐにわかる。癒しの館館
長、諸藤宗光だ。
「じゃあ、私たちはこれで…。」
 そう言って店を出ようとした少女たちを、老人が呼び止める。
「まだ、ご馳走しとらんじゃないか。アイスクリームが好きだと言っておったじゃろう。ちょっと待っていなさい。」
「こちらは、新しく港特別区の自治会長になられる橋爪源一郎さんだ。ご指示に従いなさい。」
 女生徒たちに背を向けていた諸藤が振り向いて、ピシリと言う。四人は仕方なく、黙って空いているテーブルに座っ
た。
「これまで、癒しの館での慰安は、館の敷地内で行うものだけでした。今回、徴兵法が施行され、慰安嬢の補充が可能
になった機会に、港特別区内全域で慰安を可能にします。そのために、防衛隊OBの橋爪さんに、自治会長をお願い
することにしたのです。」
 背広姿の男が説明をすると、諸藤がそれに続いた。 
「女子高校生の放課後も、慰安のプログラムに組み込みたいと考えております。この喫茶店を残したのも、その計画の
一部で…」
「ああ、女子高生の放課後なら、さっきも、このお嬢さん方に楽しませてもらったわい。」
 橋爪がニヤニヤ笑いながら言う。それは、ここに来るまで見せていた好々爺然とした笑みではなく、もっとギラギラし
た卑猥な男の笑いであった。
「お待たせしました。」
 見知らぬウエイターが、女生徒たちのテーブルにアイスクリームを運んで来た。
「えっ?」
「こんなぁ…」
 四人が悲しげな顔を見せた。コーンに入ったアイスクリームは、男のペニスそっくりの形をしていたのだ。
「さあ、なめてみてくれんかね。」
 橋爪がいやらしく笑いながら言う。女生徒たちは、仕方なくアイスクリームをなめ始めた。
「ふふふ、なんとなく、いやらしいのう。」
「フェラチオしてるみたいだなぁ。」
「ほら、もっと舌を出して…」
 男たちが卑猥な言葉を投げかけてくる。
 せっかくのアイスクリームなのに、男たちがいやらしい目でじっと見つめるのが気になって、甘いというのはわかって
も、味も香りもほとんどわからない。
「そうじゃ…、確か、公園の噴水の所のベンチで食べれば、恋が実るんじゃったな。これからみんなでそこに行って、一
緒にアイスクリームを食べよう。のう、館長、会議はそれからじゃ。」
 橋爪が、年齢に似合わないはしゃいだ口調でそう言った。



 四人の女生徒は、男たちに連れられて公園の噴水まで来た。見ると、ベンチの数が減り、東屋や遊具のようなものが
噴水の周りにできている。
「あれは、なんじゃ?」
 橋爪が尋ね、一行は馬の形をした遊具のような物の所に行く。
「柴崎、スカートと下着を脱いで、木馬を跨いでみなさい。」
 昼下がりの公園には、散歩をする人や、ベンチで休憩している人がいる。それにもかかわらず、諸藤は当然のことの
ように由香に命じた。
「ちょっと、待ってください!」
 亜弓が声をあげた。
「今週一週間は、慰安業務は休止のはずです。」
 必死の表情で、諸藤の目を見て亜弓が言う。
「なるほど‥、そのとおりだ。確かに私は、そう指示をした。よくわかった、森脇。」
 諸藤がそう言うのを聞いて、亜弓も他の三人もホッとした表情を浮かべる。しかし、期待は一瞬で打ち砕かれた。
「では、館長として指示する。この場で、業務休止を解除する。」
 亜弓はがっくりと力を落とした。
 由香が下半身裸になって、木馬に乗った。諸藤の指示で体を前に倒すと、セックスするのに適した位置で由香の性器
が剥き出しになった。背広姿の男が、由香の形の良いヒップを両手でがっちり抱え込み、太い肉棒を割れ目に当てた。
「あ、ああ…」
 男は下半身を少しずつ送り込む。由香は身体をのけぞらせた。身体の奥深くに肉棒が侵入してくる。
「どーれ、喫茶店に貼ってた写真みたいに、3Pといくか。」
 防衛隊の制服を着た男がそう言うと、由香の前に立つ。男はズボンのチャックを開けてペニスを取り出し、彼女の目
の前へ突き付けた。由香に抵抗する術はなく、男のなすがままに肉棒を咥える。
 その横にあった吊り輪のような物は、手足を拘束し女の子を責めるための器具であった。琴美が全裸にされ、赤ちゃ
んがおしっこをする時のような格好で手足を括られ、宙づりにされる。
「い、いやっ。お願い、解いて…」
 恥ずかしさに身を捩る琴美の周りに、何事かとばかりに人が集まってきた。 
 諸藤と一緒にいた男のうち、残りの一人が琴美の乳房をゆっくりとこね始める。ボリュームたっぷりの巨乳がムニュ
ムニュと揉まれて形を変える様子は、表現しようのない艶めかしさだった。
「東屋には避妊具の販売機や簡易ベットを置き、慰安嬢たちとセックスできるようにしております。」
 諸藤が説明する。
「試しに使わせてもらおうか。相手は、茉莉じゃな。さっきの裏本、オ××コもきれいじゃったし、イク時の顔がなかなか
色っぽかったからのう。」
 茉莉の顔が見る見る真っ赤になる。橋爪は彼女がモデルだと承知のうえで、あの写真集を楽しんでいたのだ。
「それと、これは、こういう時に見せればいいんじゃな。」
 橋爪は思い出したように懐からなにやら取り出す。それは、癒しの館のエンブレムを象った金色のバッチだった。
「それは…」
 見せられた茉莉がキョトンとしている横で、亜弓が顔を強ばらせる。
「今回新たに作ったものですから、まだ生徒たちには趣旨が行き届いていないのですよ。生徒会長、説明しなさい。」
 諸藤に言われて、亜弓は改定された「癒しの館規定集」の該当箇所を暗誦する。
「金バッチは、癒しの館に登録されたVIPにだけ渡され、これを持っている者は、いついかなる場合であっても慰安嬢か
ら希望どおりのサービスを受けることができる。また、定期的な性病検査を受けることを条件に、慰安を受ける際の避
妊具の着用を免除される。」
 それを聞いて、茉莉が泣き出しそうな表情を浮かべた。今ここで老人に犯され、精液を体の中に出されることになる
のだ。
「さあ、いくぞ。久しぶりの回春じゃ、たっぷり楽しませてもらおう!」
 長い睫を伏せ、悲しい諦めの表情を浮かべた茉莉の手を引いて、老人は意気揚々と東屋に向かった。
 木馬では、由香を犯している男が激しく腰を打ちつけている。男の卑猥な腰の動きに合わせて、由香のヒップも前後
に動いている。
「うっ、うぐうぅ…」
 咥えさせられたペニスが猿轡のようで、由香は呻き声を漏らすのが精一杯だ。
「いやぁ…、やめて…、だめぇぇ…」
 琴美の身体は、集まった通行人たちの玩具にされていた。前と後ろから露わにされた陰部を弄られて、宙づりにされ
た身体を激しく捩る。その間も、別の二人の男の手が豊かな乳房を左右から揉みしだいていた。
 東屋の中では、全裸になった茉莉が仰向けに横たわり、膝を立てた姿勢で、老人に組み敷かれていた。
「さあ、入れるぞ。」
 橋爪も裸になっている。膣口にあてがわれた肉塊は、老人の物とは思えない勃起を示していた。
「………。」
 茉莉は悲しげな表情で目を閉じていた。しばらく慰安から解放されると思っていた分だけ、落胆が大きい。閉じた睫の
間から大粒の涙がひとしずく流れ落ちた。
「はうぅ…」
 ゆっくりと肉棒が胎内に入ってくる。茉莉は吐息まじりの喘ぎ声を漏らした。根元まですっかり茉莉に埋め込むと、橋
爪はそのまま茉莉を抱き締めた。老人の痩せて乾いた肌が、少女の瑞々しい肌を渇望しているのだ。皺だらけの手が
スベスベした少女の滑らかな肌を飽くことなく撫で回している。
 橋爪は茉莉の唇を奪った。少女の口を開かせると、自分の唾液を少しずつ流し込みながら、いやらしく舌と舌を絡ま
せる。同時に、柔らかな乳房の感触を楽しむように揉みほぐす。
「ここ、固くなっとるぞ…」
 男が乳首を指で摘み上げ、擂り潰すような動きをする。
「ぃやぁ…」
 否応なく湧き上がる快感に。茉莉が身悶えした。愛らしい桜色の乳頭が極限まで尖りきっている。
 やがて、老人は腰を振り始めた。
「あっ…、あっ…、あんっ…」
 茉莉が喘ぎ声をあげる。刺し貫かれるたびに、眉毛が切なげにたわみ、閉じた目元がボウッと色づく。半開きになっ
た唇の間から、真珠色に輝く綺麗な歯並びが見えた。
「おうっ、これはいい具合じゃ…」
 老人が気持ち良さそうな声をあげた。暖かく、幾重にも折り畳まれた濡れた粘膜が陰茎に絡みつき、動かすたびにキ
ュウッ、キュウッと締め付ける。
「これは噂どおりの名器じゃわい…」
 橋爪が彼女たちに道を尋ねたのは偶然ではない。港特別区の自治会長就任にあたっての接待サービスとして、諸藤
が用意したシナリオに従って、ここに至ったのだ。もちろん、女生徒たちは、そんなことは知る由もなかった。
 由香、琴美、茉莉のすすり泣きや喘ぎ声が聞こえる中、亜弓はなす術もなく、呆然と佇んでいた。その肩に諸藤が手
を置く。
「間もなく、癒しの館の新たな一ページが始まる。よろしく頼むぞ、生徒会長。」 



 
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