逃亡
 
第3章−3
 
 緋村はコンビニの前に車を停車させた。
「ここらでちょっと買い出しに行く必要があるなぁ。」
 緋村が釈放になってから、ほぼ丸一日が経っていた。
「そこのコンビニに行こうじゃないか。」
「えっ、まさか、この格好で…」
 思わず両腕で裸の胸を抱き、両脚を閉じて瑞紀が言った。彼女は昨日から全裸のままである。
「もちろんだよ、さあ。」
「お客さんもいるわ…」
 瑞紀の声が震えている。お昼前とあって、コンビニにはかなりのお客が入っている。ざっと数えただけでも十人以上は
いるようだ。
「ストリップをして、身体の隅々までテレビ中継したんだ。しかもアナルセックスでイクところまで全国に放送されたんだ
ぞ。何を今さら恥ずかしがることがある。」
 緋村の残酷な言い方に、瑞紀はうつむいて下唇を噛んだ。
 緋村が助手席のドアを開けて、言った。
「それに、原発の爆破装置はまだ撤去していないのだよ。」
 緋村が瑞紀の腕を掴んでドアから押し出した。ひんやりとした風が吹いて、瑞紀の肌を撫でていく。

「いらっしゃいませ…」
 国道沿いのコンビニエンスストアでフランチャイズ店長をやっている桜田孝行は、チャイムの音で入り口の方を振り向
き、そう言いかけて、思わず言葉を飲み込んだ。とびっきりの美人が何も身につけない全裸で店に入ってきたからだ。
 夢かと思って目を擦ってみたが、間違いない。
 入り口の買い物かごを手にした彼女は、露わになった身体を手で隠そうともしない。真っ白な胸の膨らみも、セクシー
な曲線を描くヒップも、黒い絨毛に包まれた下腹部も露わにしたまま、店内で買い物を始めた。
 横を見ると、アルバイト雇っている大学生の今井が、バーコード読みとり機を手に持ったまま、ポカンと口を開けて美
女の姿を見つめていた。彼の前に立っている中年のサラリーマン風の客も同じように呆けた顔で、生まれたままの姿で
店に入ってきた美女を眺めている。
 美女は、手にしたメモを見ながら、乳房も股間の絨毛も晒したままで店内を回り、食料品や日用品を買い込んでい
る。低い棚にある物を取るために腰を曲げ、お尻を突き出すような姿勢をとると、ピンクに割れた肉襞までがチラリと見
えた。
 今や、店にいる全員が動きを止めて全裸の美女を見つめていた。彼女は自分の身体に視線が集まっているのを感じ
て、胸や股間を手で隠そうとするが、すぐに泣き出しそうな表情を浮かべて手を離す。おろおろした様子で、耳まで真っ
赤になり、目も潤んでいるところを見ると、頭がおかしいわけでも、好きで裸でいるわけではなく、裸を見られることを恥
ずかしがっているのはあきらかであった。
(そうだ、あの早瀬瑞紀とか言う婦人警官だ!)
 最初の衝撃が去ると、桜田はすぐに美女の素性に思い当たった。昨日は店を今井に任せてテレビにかじりついてい
た桜田は、高坂サービスエリアでの恥辱の中継をずっと見ていた。しかも、途中からはビデオに録画し、夜中には妻に
隠れて再生し、マスターベーションまでしていたのだった。
 その時、再び店の自動ドアが開いて、背の高い男が入ってきた。「怜悧」という表現がピッタリの男だ。
(やっぱり、そうだ!)
 桜田は、二人が瑞紀と緋村であることに確信を持った。
 店内での買い物を終えたらしい瑞紀が桜田の目の前に立った。
 近くで見ると、胸の膨らみは十分なボリュームを持っているが、桜色の乳首の初々しさと相俟って、少女の乳房のよう
な清純さを感じさせる。大理石のように白くまばゆい下腹部を黒々とした艶やかな茂みが彩っている。
 華奢でありながら柔らかな丸みを持ち、清楚でありながらセクシー、思わず抱きしめたくなる身体だ。そして、耳まで
真っ赤になって、今にも泣き出しそうな表情を浮かべた顔は可憐で、美女というよりは、美少女と呼んだ方がふさわしい
ように思えた。
(恥ずかしい、お願いだからそんなに見ないで!)
 瑞紀の目がそう訴えかけていた。長いまつげには涙がにじんでいる。しかし、桜田の目はどうしても美しい隆起を見せ
る乳房と黒い繊毛の生えている股間に集中してしまう。
 瑞紀は、何か言いかけたが、言葉にできないまま真っ赤になって俯いている。
「さあ、何が欲しいのか、早く言わないと、他のお客さんも待ってるぞ。」
 たしかに瑞紀の後ろにも客がおり、セクシーなラインを描くヒップに見とれている。緋村に促されて、やっとのことで瑞
紀は言った。
「コ、コンドームありますか…」
「あ、はい、コンドームですね。」
 桜田にしてみれば緊張のあまり大声になってしまったのだが、シーンとした店内にその声が異様に大きく響いた。一
層恥ずかしくなったらしく、瑞紀はますます顔を赤らめる。
 桜田がレジカウンターの下からコンドームを一箱取り出すと、緋村が瑞紀の耳元で何か囁いた。瑞紀が意を決したよ
うに桜田に向かって言う。
「それと、イ、イチジク浣腸ありますか。」
「はい、イチジク浣腸も置いてますよ。」
 桜田がまた大声で復唱するのを恨めしそうな目で見てから、瑞紀は蚊の鳴くような声で言った。
「コンドームとイチジク浣腸…、お店にあるだけ全部ください…」
 桜田の脳裏に昨日テレビで見た瑞紀の陵辱シーンがくっきりと浮かんだ。中継を見ていた者は、それらがどう使われ
るか、容易に想像できる。他の客も同様だった。
「全部で五万三千円です。」
 コンドームと浣腸の詰まった大きな段ボール箱をカウンターの上に乗せて、桜田が言う。緋村が瑞紀に黒い革製の財
布を渡した。
「おや、一万円足りないようだ。」
 瑞紀が財布の中身を数えるのを見て、緋村が言った。
「PFFTは政治団体だ。強盗のまねごとをするわけにはいかない。」
 そこで、少し間を置いた。わざと困ったような顔をして見せる。そして、ニヤリと笑って、店の客たちに向かって言った。
「そうだ。ここにいる誰かに、瑞紀の身体を触ってもらい、その料金をいただいて、足りない分を払うことにしよう。」
「えっ!」
 瑞紀が絶句する。
 晒したままの白い乳房が揺れるのが桜田の目に入った。瑞紀が身体をいじられ、身悶えする姿を想像し、桜田は思
わず生唾を飲み込んだ。いつの間にかズボンの前が痛いほどふくらんでいる。
「誰か、触ってくれる者はいないか?」
 しかし、誰も名乗りでない。二、三人いた女性客は俯き、男性客はお互いに顔を見合わせている。
「誰もいないとなればしかたない。店長に触ってもらって、代金をまけてもらうしかないな。店長、そういうことでいいか
な?」
 口調こそ柔らかいものの、これは脅迫である。嫌だと言ってみてもしかたない。それに、正直言うと、瑞紀の肌に触れ
てみたいという欲望が、桜田の中にムラムラとわき起こっている。他の男達も自らは名乗りでなかったが、指名されれ
ば断らなかったに違いない。
「それで結構です。」
 桜田が答えると、緋村はニヤリと笑った。冷酷で、そして卑猥な笑みだ。
「よし決まった。瑞紀、店長に胸を触ってもらうんだ。」
 緋村に指示されて、瑞紀は震える手で桜田の両手を掴み、自分の乳房に導いた。 裾野から膨らみを持ち上げるよ
うにして、乳房の弾力を味ってみる。掌の中に柔らかな感触と胸の鼓動が伝わってくる。桜田も興奮し、心臓の鼓動が
速まってきた。乳房を揉んでいると、ピンクの乳首が硬くなってきた。
「おやおや、瑞紀、もう乳首が立ってるぞ。」
 緋村が恥ずかしい指摘をすると、瑞紀は黙ったまま目を閉じてキュウと唇を噛みしめた。羞恥に耐えるその表情にそ
そられた桜田は、乳暈から持ち上がったピンクの突起をさらに指先で転がし、クニクニと揉み込んだ。
「ああぁ…」
 執拗に乳肌を愛撫され、乳首をいじられて、耐えきれなくなった瑞紀が声を洩らした。ヒップが誘うように自然に揺れ
動く。
「おや、もうよがってるのか。昨日一晩モーテルで可愛がってやっただけで、すっかりいやらしい身体になったようだ
な。」
 緋村が追い打ちをかける。肩にかかるサラサラの髪を乱し、瑞紀は羞じらうように横を向いた。緋村は瑞紀の手を掴
んで、彼女の股間を触らせた。
「どうだ。ここも濡れてるんじゃないか。」
 桜田の愛撫のせいか、それとも恥ずかしい買い物が彼女の身体に微妙な影響を与えたのか、そこはしっとりと潤って
いた。
 その間、桜田は乳房を揉んでいた手を背中に回して撫でていた。瑞紀の肌は暖かくなめらかで、シルクのような感触
だった。なだらかな曲線に沿って丸みを帯びた臀部にたどり着き、夢中でそこを撫で回している。
「店長も触ってみたまえ。」
 桜田は腕を滑らせ、瑞紀の下腹部を股間をさぐった。反射的に両腿をよじり合わせようとした彼女の尻を、緋村がピ
シリと叩いた。
「きゃっ!」
「お金が足りないんだぞ。ちゃんと触ってもらわないとダメじゃないか。」
 あたかもそれが瑞紀の責任であるかのように緋村が言う。
 桜田の指が陰裂に入ってきた。瑞紀はじっと我慢して、されるがままになっている。
「どうだ。恥ずかしい汁でヌルヌルしてるんじゃないか。」
 桜田の指が花弁を押し広げては、トロトロと溢れる愛液をすくっている。
「はい。ビショビショに濡れてます。」
 正直に答える桜田の返事に、瑞紀は消えて無くなりたいくらいの恥ずかしさを感じた。
「他の諸君も触りたくなってきたんじゃないかね?」
 桜田が瑞紀の身体を愛撫する様子を見せつけられ、男性客たちの間に、最初にためらったのとは違う空気が流れて
いる。
「俺も触っていいか?」
「ああ、いいとも。」
 最初に言い出したのは、作業服姿でエロ雑誌の立ち読みをしていた青年だった。
 緋村の了解を得ると、青年は瑞紀の背後に回り、さっきまで桜田が揉みしだいていた乳房に手を伸ばした。それに、
レジの前にいた中年のサラリーマン風の客が続き、工員風の男と左右の乳房を分け合って揉み始めた。後は雪崩の
ように、店にいた客たちが次々と瑞紀の身体に殺到し、何本もの手がその柔肌を這い回った。ふと桜田が見ると、アル
バイトの今井が足下にしゃがみ込んで、美しい曲線を示す脹ら脛を撫でていた。
「い、いやぁ!もうやめてくださいっ!」
 さすがに瑞紀が全身を強張らせて、悲鳴をあげた。しかし、誰も愛撫の手を緩めようとしない。美しい双乳をすくいあ
げては揉みつぶし、乳首をこねくりまわし、陰裂に指を入れて掻き回していく。
 群をなす肉食獣が、獲物に群がるような光景を、緋村は楽しげに眺めていた。
「はうっ!」
 誰かの指が敏感な肉芽の鞘を剥いた。赤く膨らんだクリトリスを撫で、指先でこねくりまわす。激しい快感が沸き上が
り、全身がビクッと震えた。その間も、荒い息が首筋や胸元にかかり、じっとり汗ばんだ掌が無防備な身体を徘徊して
いる。
「はぁ、はぁ、はァ…」
 瑞紀の呼吸がせわしなく乱れてきた。全身に玉のような汗が浮かび、ピンク色に上気してくる。男たちに寄ってたかっ
て嬲られ、鳥肌が立つほどの嫌悪感を感じているはずなのに、刺激に反応してしまう自分の身体が瑞紀には信じられ
なかった。
「ああゥゥ…はぁッ、はッ…」
 桜田の指がクリトリスを撫でていく。泣くような喘ぎ声が、次々に瑞紀の喉からあふれ出てくる。
「ン、ン、ン、ん、んーっ!…」
 ガクンと頭を後ろに投げ出し、いっぱいに反らした白い喉がうめき声に合わせて震える。とうとう、瑞紀は昇りつめてし
まったのだ。男達が手を放すと、床に額を押しつけて丸くなり、余韻の波を堪えるように背中を震わせている。
「一、二、三…、十」
 緋村は、瑞紀の身体に群がっていた男の数を数えた。
「ちょうど十人か。これじゃあ、むしろお金をもらわないといけないな。」
 そう言うと、レジの中に入り、一万円札を数枚掴んで出てきた。その行動を見ても、もはや誰も何も言えなくなってい
た。桜田も呆けたような顔で瑞紀の白い背中を見つめていた。
 その背中が引きずられるようにして立ち上がる。
「それじゃあ、このあたりで失礼しよう。」
 瑞紀の腕を掴み、段ボール箱を抱えた緋村は、堂々と店を出ていった。


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