逃亡
 
第4章−1
 
「うっ、あぁぁ…うっ…」
 夜のパトロールを終えて交番に入ろうとした松本巡査の耳に、女の啜り泣くような声が聞こえてきた。
 ぎょっとして立ち止まり、思わず右手を腰の警棒に添える。音を立てないよう、息を殺して中を覗いた松本巡査の目に
飛び込んできたのは、信じられないような光景だった。
「し…、進藤巡査!」
 交番の中では、若い女性が一糸まとわぬ姿で椅子に縛り付けられていた。松本の同期で、県警一の美人だと囁かれ
ている進藤奈津子巡査だった。その彼女が、大きく脚を開かされ、陰部まで露出している。しかも、そこには太いバイブ
レーターが押し込まれ、淫猥なモーター音を響かせていた。

「その婦人警官の着衣が、全て盗まれたということですね。」
 場末の寂れた喫茶店のテーブルで、西岡が几帳面に取ったメモを見ながら、松本巡査の証言を確認する。
「それを早瀬警部補に着せたんだな。」
 野上が頷く。
 これまで警察が掴んでいる緋村達の足取りに関する情報は、この松本巡査の証言が最後であり、その後の情報は
ぷっつりと途絶えてしまっている。進藤奈津子から盗んだ婦人警官の服を瑞紀に着せたために、これまでのように目を
引かなくなったのだろう。
 その時、西岡の携帯電話が鳴った。野上宛の電話だったらしく、西岡が携帯電話を野上に渡す。野上は携帯を持た
ない主義だった。
「あっ、親爺さん。」
 電話はPFFT対策本部の最年長、内藤警部補からだった。彼は、ボスの細井警視に嫌味を言われながらも、いろい
ろと野上に協力してくれている。
「お前の言うとおり、早瀬警部補の身辺を調べていてわかったんだが、彼女、セクハラで悩んでいたようだな。」
 内藤の話では、瑞紀は同僚か上司の誰かから執拗に交際を迫られていたらしく、近々、職員のためのセクハラ相談
窓口に相談に行くことを考えていたらしい。
「それで、相手はわからないんですか。」
「ああ、相談に行こうとしていた矢先に、今回の一件があったからな。」
 野上は少し黙って考え込んでいたが、意を決したように言った。
「俺、ちょっと東京に戻って調べたいことがあるんですけど。親爺さんこっちに来てもらえませんか。西岡と一緒に調べ
て欲しい場所があるんですが。」
「調べて欲しい所ってのは、どこだい?」
「新潟港ですよ。」

 ここはどこかの倉庫の中らしい。コンクリート打ちっ放しの壁には窓がなく、天井は鉄骨が剥き出しになっている。あち
こちに大型のコンテナや段ボール箱が積み上げられていた。
 瑞紀が着ているのは婦人警官の制服だ。しかし、サイズが一回り小さいのか、制服はピッチリと彼女の身体を締め付
け、豊かな胸の隆起、くびれたウエスト、張り出した腰と、セクシーなボディラインを強調している。胸のボタンなどは今
にもはじけ飛びそうだ。丈夫な生地で作られているせいで、瑞紀には拘束具で身体を縛られているように感じられる。し
かも、両手は後ろ手で手錠をかけられて、自由を奪われているのだ。
 身長二メートル、体重も百五十キロは超すだろうという巨漢が、瑞紀が逃げられないように肩を掴んで押さえつけてい
る。瑞紀が立っている前には、黒い革張りのソファが置かれ、二人の男が腰掛けていた。その横で長身の男が構えて
いるカメラのフラッシュが光った。
 ソファに座った二人は瑞紀のスカートを捲り上げ、中を覗き込んでいた。彼女はパンティを穿いておらず、引き締まっ
た太腿とその付け根の淡い茂みが男たちの前にさらされていた。
 ソファに座っていた五十歳ぐらいの、目の細い太った男が、右手を瑞紀の股間へと伸ばした。男の指がふっくらした
大陰唇を押し開き、サーモンピンクの秘貝が覗いた。
「あっ、いやっ!」
 瑞紀が悲鳴をあげる。
 男は小陰唇の襞の一本一本を指でなぞり、包皮を剥いてクリトリスを刺激し、丸く開いた膣に指を入れて、瑞紀の秘
所を隅々まで丹念に調べていく。
「きれいなオ××コしてるあるね。」
 男はクリトリスを弄びながら言った。イントネーションに独特の訛りがある。どうやら中国人らしい。
「や、やめて…」
 瑞紀が首をうなだれたまま、消え入りそうな声で言った。その顔は、男達に陰裂をじっくり見られる恥ずかしさで、耳ま
で真っ赤に染まっている。
「どうです、王さん。」
 ソファに座っているもう一人の男が言った。他の者から東條と呼ばれている男で、PFFTの幹部の一人らしい。今、こ
こに緋村はいない。
「これは上玉、良い娘、高く売れるね。」
 王は、PFFTが誘拐してきた娘を売っている人身売買組織のブローカーである。
「あ…、ううぅ…」
 瑞紀の喘ぎ声が、コンクリートの壁に響く。王は中指を秘孔の中に入れ、親指でクリトリスを愛撫している。彼女が身
悶えするのに合わせて、男達の鼻先で、甘く初々しい体臭が匂った。その部分はすでに蜜で潤い、溢れた愛液が太腿
の内側にまで垂れている。
「わたし、オ××コの具合、試してみるね。」
 そう言うと王は立ち上がり、ズボンとパンツを脱き捨てた。そして、瑞紀の太腿をぐっと引き上げると、立ったままの格
好で、いきなり犯しはじめる。王の肉棒は狭い膣壁を押し広げながら突き進んでいった。
「ああっ、やめてぇ…」
 打ちっ放しのコンクリート壁に、エコーがかかった瑞紀の声が響いた。
 王は、はじけそうになっている胸のボタンを一つ外し、手を滑り込ませる。制服の下には何も着けていないため、柔ら
かな乳房に直接指を触れることができた。硬く勃起している乳首をキュッとひねってやる。
 王は瑞紀の背中を巨漢に支えさせ、肉棒を陰毛の根元まで思いっきり埋没させると、自分の恥骨と瑞紀の恥骨の接
点を中心に、グリグリと淫らな襞々を上に下に、メチャクチャにかきまわし始めた。
「はーっ、はっ、んっ、んっ、はあーっ」
 緋村に開発されてしまった瑞紀の身体は、嫌がる心とは裏腹に男の愛撫に応え始める。襞が王の亀頭にからみつい
てくる。
 既に制服の胸のボタンはほとんど千切れるか、外れるかしてしまい、裸の胸元がすっかりはだけて、双乳が露わにな
っている。
「少女みたいなオッパイね。男性ホルモンを注がれたら、もっと、もっと熟してくるね。」
 王は飛び出した乳房をミルクを絞るように揉み込み、指で乳の張り具合を確かめて、そうつぶやいた。そして、ツンと
尖った乳首を分厚い唇に含んで吸っていく。
「あ、あ、あっ…」
 王は、濡れそぼった膣に抽送を繰り返しながら、胸を揉みしだく。黒い繊毛の茂みを赤黒く長めの肉棒が忙しげに出
入りする。
「う、ううっ!」
 王が瑞紀の腰を抱いて身体に密着させ、うなり声を上げていく。肉茎がビクンビクンと瑞紀の体内に精液を注ぎ込
み、膣の中が熱くなるのを感じた。
 瑞紀の身体から萎えた陰茎を抜いた王は、長身の男と巨漢が羨ましそうな目で見ているのに気がついた。
「お前達、犯りたそうね。」
「へへへ…。」
「そりゃあ、なぁ…」
 二人が顔を見合わせる。それを見て、王が鷹揚に頷いた。
「この娘、処女ない。商品価値同じね、犯って良いあるよ。」
 二人は小躍りした。
「もう、許して!」
 見ず知らずの男達に次々に身体を汚される恐怖に、瑞紀が涙声で叫ぶ。しかし、男達は、彼女の哀願など、一向に
意に介する様子はなかった。
「よし、俺はバックだ。四つん這いになって、尻を突き出せ。」
 巨漢が瑞紀の腰を掴み、無理矢理、四つん這いにさせた。王と瑞紀とのセックスを見て既に大きく勃起している肉竿
を陰裂に押しつけ、腰を前に突き出す。
「あうっ!」
 男のモノが瑞紀の膣をぐいっと押し広げ、深く入っていった。
「あ、あん!」
 巨漢がピストンを始めた。肉棒が子宮の奥まで突いてくる。
 長身の男が言った。
「じゃあ、俺は上の口をもらうぜ。」
 順番を待ちきれない巨漢が、ズボンのチャックを開け、特大のサラミソーセージほどもある長大な男根を剥き出しにし
た。
「ほら、くわえるんだ!」
 バルトリン氏腺液で先端をぬめらせた肉棒を瑞紀の顔の前に突き出す。
 人並みはずれた極太の肉棒は、瑞紀の小さな口にはおさまりきれないほどである。唇の付け根が痛くなるほどに口
を開いてやっと亀頭部をくわえることができた。
「どうだ?顎がはずれそうだろう?」
 得意満面の巨漢が声をかける。つらそうに眉を折った瑞紀は、上目づかいに見てうなずいた。
「そうか、人の二倍はあるからな。だがな、ザーメンを絞りとるまでは許してやらないぞ。」
 そう言って、巨漢は腰を突き出した。
「うぐっ!」
 巨根が喉の奥をつつく。
 その間も、長身の男が乳房を掴みながらピストン運動を続ている。肌と肌がぶつかる音が響く。
「くうっ…、くうっ…」
 乳房をきつく握られ、バックから荒々しく貫かれ、瑞紀の呻き声が次第にせっぱ詰まってきた。柔らかな丸みを帯びた
臀部がうねり、サラサラの髪が紺の制服の上で乱れる。
「いいぞっ!」
 潤んだ膣肉の快美感に、長身の男が腰を激しく動かしながら、高揚した呻き声を放つ。
 巨漢が唇一杯に肉竿を頬張った瑞紀の頭を掴み、腰のストロークに合わせて激しく前後に揺さぶる。
「出る、出る!」
「お、俺もだっ!」
 膣の中で、長身の男の肉茎が脈動し、子宮口から溢れそうな勢いで粘液を噴射し始めたのと、口の中で巨根が爆発
し、熱い精液を注ぎ込んだのはほぼ同時だった。
「うっ…、うーっ!」
 瑞紀がひときわ大きなうめき声を上げ、身体をブルブルと麻痺させた。ふっと意識が遠くなるのを感じた。


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