橙実庵の秘茶事
 


 放課後、部室に作られた三畳の畳にセーラー服姿の美少女が正座している。手にした茶杓が、優雅な動作で茶碗に
白湯を注ぐ。
(ホント、可愛い子だわ…)
 心の中でそう呟いて、茶道部の顧問になっている古田璃姫は、じっとその様子を見つめていた。
 女生徒は、2年生の野上桜。整った顔立ちの美少女だが、睫毛の長いつぶらな瞳と、幼さの残る頬の輪郭のおかげ
で、「美しい」というよりは「可愛い」印象を与える。小柄な体つきも、そんなイメージを強くしていた。
 ほっそりした指の先で、茶筅が動く。
 幼い印象を見せる桜だったが、点茶の座につかせれば、その腕前は、師範の免状を持つ璃姫ですら感嘆させた。一
挙一動に気品があって、凛として端正。茶の旨みを極限まで引き出し、茶室を飾る感性にも際立ったものがある。
 彼女が座るだけで、高校の教室を改造したにわか仕立ての空間が、静謐な茶室に変わる。
 しかし、今日の動きは、桜には珍しく、少し乱れがあった。表情もどこか哀しげだ。不審に思った璃姫は、無言でお茶
を立てている桜に尋ねた。
「どうしたの?」
 茶筅の動きを止め、しばらくの間、黙って俯いていた桜の目に、みるみるうちに涙が溜まってくる。
「先生にできることなら、力になるわ。何でも言ってちょうだい」
 璃姫が優しく促すと、桜は涙を浮かべた目を彼女に向けた。
「わたし…、私…、学校をやめなきゃいけないんです…」
 そう言うと、桜は璃姫に抱きついて、シクシク泣き出した。
 桜の父は、老舗の製陶会社を経営していたが、不況のあおりで経営不振に陥り、とうとう倒産してしまった。負債は経
営者として連帯保証していた桜の父に圧し掛かり、父も破産。一人娘の桜を学校に通わせる余裕すらなくなってしまっ
たという。
(これは、神様のお導きかもしれない…)
 璃姫はそう感じた。
「ねえ、私に任せてちょうだい」
 璃姫はそう言って、泣きじゃくる桜の身体を抱きしめた。

 橙実庵と呼ばれる自らの屋敷に桜を招いての茶事を終えた家元、千宗観は、彼女を送り出すと、再び璃姫を茶室に
呼び入れ、自ら茶を立てながら、話しかけた。
「確かに、天性のもんがある子や。それに、容姿にも華がある。隠千家の養子として、文句なし。さすが、璃姫さんやな」
 年老いてなお大男といえる身体に似て、大きく骨太な手が、ひとたび点茶の座につくと、別物のように繊細に動く。
「ありがとうございます」
 璃姫が深々と頭を下げた。
 隠千家は、千利休を祖とする茶道の流派の一つだが、表・裏・武者小路の三家と違って、歴史の闇に消え、存在すら
抹消された分家である。本家から分かれた初代家元が、江戸幕府が邪教として禁教にした真言密教立川流に帰依し、
立川流の教義と茶道との融合を図ったことが、その原因だと伝えられている。
 表舞台から消えた隠千家だが、流派は連綿と続き、現在は第14代宗観が家元となっている。西洋の「フリーメイソ
ン」に似た秘密結社の趣きがあり、弟子の中には政財界の有力者も少なくないために、社会的には抹殺されていなが
ら、隠然たる勢力を誇っていた。
 ところが、ここで流派の危機が訪れる。今年七十歳になる家元の後継者が、途絶えてしまったのだ。親族の中には茶
道の才があるものがおらず、弟子にも適任者がいなかった。
「それで、向こうの親御はんは、どう言うてはるんや」
「家元の養子にすること、了解していただきました」
 宗観の側近と言ってよい弟子の璃姫は、教え子の桜に、隠千家を継ぐ才能を見出したのだ。他の流派と違い、女家
元を認めるのが、隠千家の特徴である。
「桜ちゃんの学費も、当面のご家族の生活も全てこちらで持ち、お稽古がない時期には実家に帰ることも認めています
から、お母様などは大喜びで。…お父様は少し寂しそうでいらっしゃいましたが、そもそもはご自分の事業の失敗が原
因ですから…」
「よろしい。一月ほど稽古をしてもろたら、『女教授』の許状を授ける茶事が開けますやろ」
 宗観が満足げに頷き、璃姫に向けて茶碗を置いた。



 橙実庵に案内の銅鑼が鳴り、客たちが躙り口から茶室に戻ってくる。いよいよ客たちに茶をふるまう「後席」の始まり
だ。家元の継嗣となった桜に許状を授けるための茶事とあって、客の4人は、いずれも隠千家一門の幹部である。正
客はもちろん、家元の宗観だ。
 末客が最後に躙り口の戸を、音を立てて閉め、客全員が席入りした事を知らせる。末客は、特別に立会いを認めら
れた璃姫である。
 客が入席すると、亭主役を務める桜が障子の外にかけられていた簾を取り外す。オレンジ色の光が茶室に入り、茶
室が一転して明るくなる。これが「橙実庵」の由来だ。
 桜の頬の産毛がキラキラと光っている。名前そのままに桜の花の着物に身を包み、長い髪をふんわりしたお団子に
まとめた髪型が、その可憐さをいっそう引き立てていた。
 客たちが床の間に目をやると、さっきまであった掛け軸は、亭主の名にちなんだ桜の花に変えられていた。まだ花の
季節には早いのだが、今日のために、早咲きの桜を南国から取り寄せたのだ。
 客たちが席に着き、炉の前に座った桜が無言で濃茶を練る。懐石がふるまわれた「初座」からここまで、16歳の少女
とは思えない完璧な気配りと所作を見せてきた桜に、客たちも正直、舌を巻いていた。
 濃茶を立てた桜が、その場に立ち上がった。
(いよいよだわ…)
 緊張した雰囲気の中、桜は着物の帯に手をやった。4人の客の視線が、痛いほどに突き刺さる。
(でも…、ああ…、やっぱり、ムリだわ…)
 途端に、これまで一分の隙もなく茶事を取り仕切ってきた桜の心が大きく揺らいだ。
「あ、あの、先生…」
 桜が、躊躇いがちに璃姫に話しかけ、そして、口を閉ざした。
「なに?」
「ど…、どうしても、脱がなくちゃいけないんですか?」
 そう言った桜は、今にも泣き出しそうに眉根を寄せている。
「言ったでしょう、女性が隠千家流の教授になるには、必要な儀式なのよ」
 師匠の璃姫が、必死で説き伏せるように言う。
「嫌なら、やめて、実家に帰ればいいじゃないか。無理をすることはないさ」
 次客の男が口を挟んだ。荒観と号する30歳台前半のこの男は、いわば隠千家の親族代表である。宗観の甥で、血
統だけを言えば、後継の家元になっておかしくない立場にある。そのため、心の中では桜の養子を喜んでおらず、冷笑
気味の表情が、それを物語っていた。
「あなた、それでもいいの?」
 あわよくば桜を追い出そうとする荒観の意図を感じて、璃姫が桜に詰め寄る。
「…でも…」
 桜が視線を落とした。
「私は、あなたに家元になって欲しいの。お父様もお母様も、期待していらっしゃるはずよ」
「わ、わかりました…、脱ぎます…」
 彼女を家元の養子にしたいという璃姫の強い思いに押されて、桜が答えた。それに、ここでの彼女の覚悟に、自分の
進路や実家の両親の生活がかかっている。もはや後戻りはできない。
(がんばらなくちゃ…)
 そう心を決めたものの、帯を解く指が震える。どうしても脱がなくちゃだめなのだと、桜は何度も自分に言い聞かせ
る。
 華やかな桜模様の着物が畳に落ちた。
「ほう…」
 客たちがため息をつき、宗観が目を細めた。露出度は低いが、美少女の長襦袢姿は、なんとも言えず艶かしい。顔
をあげた桜と宗観の視線がぶつかり、少女の頬がぽおっと染まった。
 伊達締めを解いて、長襦袢を脱ぎ、ワンピースタイプの肌着になる。これを脱ぐと、いよいよ本当の下着姿だ。
 思い切って肌着を脱ぐ。上は、胸を平らに押さえるための和装ブラジャーだが、下は普通の白いパンティを穿いてい
た。
「パンティはいただけんなぁ。着物に線が出てしまう。今後、和装の時は、下は何も穿かないようにしなさい」
 そう言ったのは、三客となった綴観と名乗る中年男である。隠千家の事務的なことを一手に担う責任者であり、いわ
ば団体としての「隠千家流」代表だ。
「申し訳ありません。私の指導が悪かったようでございます」
 綴観に謝罪した璃姫は、桜を振り返った。
「さあ、下着もすべて脱ぎなさい」
 璃姫に促されて、桜はおずおずと和装ブラジャーを取り、慌てて両腕で胸を庇う。
「早くしなさい!」
 荒観がニヤニヤ笑うのを見て、璃姫が少し苛立ったような声で言う。
 桜が意を決して、両手をパンティの裾にかけた。一瞬、初々しい乳房が見えてしまうが、こうなったらサッと脱いで、男
たちの視線に身体を晒す時間を短くしたかった。
 桜は腰をかがめるようにして、パンティを足もとから抜き取ると、両手で股間と胸を隠した。頬から火が出るような羞
恥に襲われ、もじもじと裸身をくねらせる。
 客たちは、美少女が恥ずかしさに身悶えしながら、裸になる様子を楽しんでいた。
 しかし、それは、これからの儀式の準備に過ぎない。
 桜はその場に正座すると、目を閉じ、両手をおろして膝に乗せた。こぼれ出た双乳の若々しい張り詰めぐあいに、客
たちはため息を漏らす。小柄で華奢な身体と比較するとやや大き目の膨らみは、きれいなお椀形をし、乳首がツンと上
を向いている。
 次に、桜はさっき立てた濃茶を、下腹部と太腿が作る三角形のくぼみに流し込んだ。とろみのある濃茶が、陰毛を鮮
やかな緑色に染め、柔らかな肉の茶碗に溜まっていく。
 自らを「擬人化した茶碗」と化し、茶道具の心を自らのものとすることが、隠千家の茶の奥義である。
「では、お先に」
 他の客に声をかけ、正客の宗観が桜に躙り寄った。
 深々とお辞儀をした後、間近で相対して、可憐な裸身を鑑賞する。開祖利休から受け継がれた二重の大きな丸い目
が、ひたと桜に注がれた。
「見C淨句是菩薩位…」
 「欲心を持って異性を見ることも、清浄なる菩薩の境地である」と言う意味の『理趣経』の言葉を、宗観が口の中で唱
える。立川流が経典とした、人間の営みが本来は清浄なものであると述べるお経だ。その教えを背景に、欲情を肯定
し、肉体の美しさを認め、茶の湯を快楽として、それを愛でるのが隠千家の教えである。
「仏法も茶湯の中にあり…」
 年老いてカサカサになった宗観の両手が、桜の首筋から胸元にかけて、なめらかで瑞々しい肌をゆっくりと撫でおろ
す。さらに膨らみを持ち上げるようにして、乳房の弾力を味わう。
「………」
 桜は唇を噛んでうつむいていた。羞恥のあまり、耳まで真っ赤にそまっている。手が胸元にあがりかけるのを、懸命
に我慢しているのがわかった。
 桜の乳房が柔らかく鷲づかみにされた。揉みしだいていると、可憐な乳頭がコリコリと突起してくる。
「觸C淨句是菩薩位(男女の触れ合いも、清浄なる菩薩の境地である)…」
 そう唱えながら、宗観は、乳暈を指先でなぞり、持ち上がったピンクの突起を転がす。桜は羞じらうように横を向い
た。
「ああ…」
 桜が思わず身体を震わせる。ゾクゾクする感覚が背筋を走り、桜の唇から悩ましい吐息が漏れた。
「お手前、頂戴いたします」
 宗観がお辞儀をするような姿勢で、太腿に顔を近づける。年頃の少女が漂わせる甘い匂いが鼻をくすぐる。
「香C淨句是菩薩位(この世の香りも、清浄なる菩薩の境地である)…」
 その香りを楽しみながら、宗観は柔らかな太腿に顔を埋め、濃茶を一口、そして二口と、口に含んだ。
 その間、桜はギュっと目を閉じ、唇を何度も噛みなおしている。緊張に喘ぐような呼吸のせいで、胸が膨らんではしぼ
み、柔らかな乳房を揺らしている。
「味C淨句是菩薩位(口にする味も、清浄なる菩薩の境地である)…、結構なお手前でした」
 宗観が深々と頭を下げ、するすると後退する。
 正客に続いて次客と、客たちは順番に、桜の乳房に触れ、股間に溜まった濃茶を味わっていく。
 末客の璃姫が残った濃茶を全て吸い取ると、茶を立てた乳白色の茶碗を、宗が手に取った。内側に小豆より少し大
き目の窪みがある。
「見た目より大きいですな。それに、なんと言うても形がよろしい」
 宗観が桜に声をかける。
「ありがとうございます」
 答えた桜の耳たぶがまっ赤に染まった。これは、今日の日のために特別に製作されたもので、桜の乳房の型をとっ
て作られた茶碗なのである。したがって、形も大きさもそのまま、違いと言えば、冴え冴えと乳白色に輝く茶碗と異なり、
実際の乳房は羞恥に薄桃色に染まっていることぐらいだろう。
 客たちは、順番に茶碗を手にとると、桜の乳房と見比べるようにして、しげしげと眺め、その形を確かめるように手で
撫で回す。自分の乳房を愛撫されているような感覚を覚えて、桜は思わず目を伏せた。
 宗観が桜に茶碗を戻した。
「お終いにさせていただきます…」
 そう言うと、桜は茶杓で茶碗に水を注ぎ、股間にもそれを流して、小茶巾で下腹部を清める。



 桜が一旦退席して、茶道口から客前まで薄茶用のお菓子を運ぶ。これも、桜を象った干菓子、今日は桜づくしの趣向
だ。
 その間も、桜は一糸まとわぬ姿のままだった。昼下がりのオレンジ色の光がきめ細かな肌を照らす。やはり恥ずかし
いのか、桜は時折、手を胸にあてたり、お尻を隠したり、下腹に置いたりしていた。そんな初々しい羞じらいの姿が、客
たちの目を楽しませる。
 そして、薄茶点前に入った。
 桜は薄茶を立てると、今度は畳の上に仰向けになり、再び自ら茶碗となって、薄茶を股間にあけた。
 仰臥した桜に正客の宗観が近づく。覗き込むと、緑色した薄茶の池の中で、陰毛が水草のように漂っている。
「頂戴いたします」
 宗観がそう言うと、桜の太腿に顔を埋め、薄茶を飲む。桜は思わず、両手で顔を覆った。
 半分ほど飲んだところで、宗観の手が桜の両膝にかかる。
 思わず力を入れる桜の膝を、宗観がポンポンと叩く。
「力を抜きなさい」
 ぴっちりと締めつけられていた両腿から力が抜けた。
 宗観がゆっくりと桜の両膝を開かせていく。残った薄茶が、陰部の割れ目を伝って流れていく。割れ目から、会陰部、
肛門へと、流れを追うように宗観が舌を這わせて、舌先で茶を舐め取る。
「いやっ!」
 桜が必死に両腿をよじりあわせ、股間を手で隠した。そんなところを他人に舐められるなんて、想像したことすらなか
ったのだ。璃姫からも、自ら茶器になるのだとしか聞かされていなかった。
「まだ、飲み終わってませんで」
 穏やかだが有無を言わさぬ口調で宗観が言う。
「だめっ、だめですっ!」
 桜がうろたえた声をあげる。
「あんたは今、茶碗なんやで。口をつけて、茶を飲まれるのはあたりまえやろ」
(いや…、そんなこと…)
 泣きそうな顔でイヤイヤする桜の脚を、有無を言わせず押し開くと、宗観は太腿を抱えこみ、再び股間に顔を埋め
た。
「あっ…、ああっ!」
 背筋を電流が走ったような感じがした。宗観がチュッチュッと音を立てて包皮の間に溜まった薄茶を吸い上げ、顔を
覗かせたクリトリスの先を舌で舐め上げる。
「ああ…、だめっ、だめっ…」
 舌の動きに耐え切れず、桜が苦しそうな喘ぎ声をもらしている。
 もはや茶は残っていなかったが、宗観は構うことなく、桜の陰部を舐め続ける。陰毛を口に含み、小陰唇の裏側にま
で丹念に舌を這わせ、愛液をなめとっては口に運んだ。
「くっ、くうっ…んっ…」
 桜はこみあげてくる快感を必死でこらえていた。ときどきビビッと背中に電気が走り、自分の意志とは関係なく声が漏
れ、身体が仰け反る。その感覚が徐々に短くなってきた。
「んんんっ…」
 宗観が内側の膣壁まで外に吸い出す勢いで、ジュルッと音を立てて吸い上げる。腰ごと吸い上げられるような心地良
さに、頭が真っ白になった。
「んああぁーっ…」
 桜が眉根を寄せ、苦痛に耐えるような表情を見せた。太腿がピクピク痙攣し、次の瞬間、全身の力が抜けたようにな
る。とうとう絶頂を迎えてしまったのだ。
「慾箭C淨句是菩薩位(欲望が矢の飛ぶように速く激しく働くのも、清浄なる菩薩の境地である)…、結構なお手前でし
た」
 快楽の余韻がおさまらない桜が、ゆっくり身体を起こすと、宗観がお辞儀をした。
 桜は白湯で茶碗と股間を洗い、呼吸を整えながら、次の茶を立て始めた。その様子を、次客の荒観が粘りつくような
視線で見つめている。次は彼の番だ。
 仰向けになって薄茶を股間にあけると、荒観が「頂戴いたします」と声をかけて躙り寄り、茶を味わった。
 いや、彼が味わっているのは、茶ではなく、桜の女陰そのものであった。
 若いだけあって、直截的な荒観は、茶を飲むのも早々に、両手で小陰唇を押し開き、ピンクの肉襞を舐めまわす。尿
道をツンツンと舌先で突いては舐め、クリトリス甘噛みし、膣口からあふれる愛液を音を立てて吸い上げる。
「あっ、あっ、あぁん…」
 桜の身体が仰け反った。スラリと伸びた脚が、不規則にブルブルと震えて、荒観の頭を挟みつけるような痙攣を見せ
た。既に一度オルガスムスを迎えていることもあって、心とは裏腹に身体は一気に燃え上がり、男の愛撫に応えてしま
う。
 荒観が唾液のしたたる舌でペロペロと小陰唇を舐め上げた。
「あぁん、あうん…、ああぁーっ!」
 とうとう、茶室いっぱいに響くよがり声をあげて、桜が激しく身悶えする。
 次客から三客、そして末客と一人ひとり、イクまで客の全員に味わわれて、やっと薄茶が終わるのだ。
 末客の璃姫も例外ではなかった。むしろ、同性ならではの、身体の仕組みを知り尽くした舌の動きで、桜を責める。
「やめ…、て、せん…せい…」
 せつなげた喘ぎ声が茶室いっぱいに響いた。それに、ペチョペチョという水っぽい音が重なる。桜はイヤイヤするよう
に首を左右に激しく振った。
「おお、また、いきそうですな」
「気持ちよさそうな声を出して…」
「見てみなはれ、眉をキュッと寄せて、ええ顔してますで…」
 三人の男たちは、桜の身体を取り囲むようにして、桜が悶絶する様子を鑑賞していた。
「んああっ…」
 桜が思わず畳に爪を立てる。次の瞬間、全身をピクピク痙攣させ、4度目の絶頂を迎えた。
「お道具の拝見をお願いいたします」
 なんとか身体を起こしたものの、立て続けにイカされて、肩で息をしている桜に向かって、宗観が声をかけた。
「四つん這いになりなさい」
 璃姫はそう言うと、ぼんやりしている桜に近寄り、客たちの方にお尻を向けて、桜を四つん這いにさせた。
 桜の顔に不安そうな表情が浮かぶ。ここから先の流れについては、事前には聞かされていない。
「両腕を畳について頭を低くして、それから、お尻を高く上げて。そう、もうちょっと後ろに突き出して」
 璃姫は桜の背中を押さえつけてヒップをいっそう突き出させる。染み一つない卵のようなお尻が、宗観の目の前に突
き出された。宗観はきれいな曲線を描くお尻に掌を這わせながら目を細める。
「あっ…」
 思わず声をあげ、少しでも羞恥の源泉を隠そうと、桜が尻たぶを引き締める。
「駄目よ、ほらっ、もっと腰をあげて。膝を開いて…、もっとよ…、肩幅以上に開くの…」
 太腿の間から、大陰唇の膨らみが覗いている。露わになった花肉に客たちの視線が集まる。
「ふっくらして、気持ちよさそうな盛り上がりやな」
 宗観が手を伸ばし、大陰唇を包むように愛撫しながら言った。
 荒観が手を伸ばし、両手でムニュッと小陰唇をつまんで引っ張る。ハート型のそれは、生き生きしたピンク色をしてい
た。その奥で、さらにきれいなピンクの肉襞が見えた。
(そんなに…、触らないで…)
 客たちが代わる代わる、柔らかな肉の合わせ目に指を這わせていると、ヌルヌルした液体が溢れてきた。
「おや、濡れてきたぞ…」
 荒観が笑いを含んだ声で指摘する。
「は、恥ずかしい…」
 思わず、桜の力ない呟きが漏れる。
「ふふっ、そりゃあ恥ずかしいだろう、こんなにアソコをヌルヌルにしてるんだから」
 荒観がいたぶるように言う。
 敏感な芽が柔らかい皮に大事そうに包まれている。その皮を剥くように、璃姫はクリクリと指先を動かした。汗ばみは
じめた裸身が、ピクッとしなる。
「あッ、ああっ!」
 思いのままに弄っていると、ピンク色の真珠が顔を出した。
「ああん…、あぁ…」
 肉粒を恥骨にこすりつけるように転がすと、桜がサラサラの髪を揺らして、首筋を逸らす。
 綴観が蜜をたくわえた膣口に中指を挿入した。
「いたいっ…」
 桜が小さく悲鳴をあげた。リング状の筋肉が中指の第二間接あたりをキュっと締め付ける。
「どうやら、このお道具には、まだ男は入れていないようです」
 そう言いながら、綴観が何度も指を抜き差しして、内部の感触を楽しむ。
「よっしゃ合格や。荒観、これでよろしいな…」
 宗観が甥に厳しい表情を向けると、さすがの不満分子も頷かざるをえなかった。
「…家元のご随意に…」



 宗観が膝立ちになり、桜のお尻を持ち上げた。
 オレンジ色の光の中で、客たちに弄りまわされた秘花は、一挙に満開となり、充血した肉びらが左右に割れて、ヌメヌ
メした内部を覗かせていた。瑞々しい鮭紅色の肉孔が、震えている。
「何をするんですか…」
 不安になった桜が、璃姫に尋ねた。
「家元と媾って、隠千家の一員となるのですよ」
「えっ?」
「家元とセックスするのよ」
「ええっ…、そんな、そんなこと…、ムリ、無理ですっ…」
 戸惑い、慌てる桜の背後で朗々とした宗観の声が聞こえる。
「適スC淨句是菩薩位(男女交合して、悦なる快感を味わうことも、清浄なる菩薩の境地である)…」
 宗観が厳粛な表情を浮かべると、勃起した亀頭を桜の入り口にあてがい、ゆるゆると擦りつけた。ゆっくりと腰を進め
ると、狭いとば口が少しずつ押しひろげられていく。
「あうっ!」
 桜の背中が仰け反った。未通の膣を無理やり拡張される感触に、身体の奥から痛みが湧き起こる。
「いっ、痛いっ!」
 思わず逃げようとする桜の身体に、宗観が覆いかぶさるようにして押さえ、その動きを封じ込め、腰を前に突き出し
た。
「ああっ!」
 桜が悲鳴に近い声をあげた。亀頭の挿入を阻んでいたゴム輪のような感触がプッンと途切れたかと思うと、暖かく濡
れた感触に包まれながら肉棒が奥まで押し込まれる。
(もうダメ…、こんなに痛いなんて…)
 桜が苦痛に眉根を寄せ、イヤイヤするように首を振る。涙が溢れ出て畳のうえにポタポタと落ちた。
 そんな桜を背中から抱きしめるようにして、宗観が胸に手を伸ばした。豊かな弾力を伝えてくる双乳を揉みしだきなが
ら、うなじに顔を埋める。少女らしい、清楚な甘い香りがした。
 宗観は顔をおしつけるようにして、それを嗅ぐ。胸にまわした手は、せり出した乳首を巧みな指づかいえこね回す。
「あぁ、ダメっ、ああん…」
 色っぽい声とともに、揺らした双臀が股間に押し付けられる。宗観は、満足げに自分の恥骨を桜の恥骨にグリグリ擦
りつけてみた
「痛い!お願い、動かないで!動かないでください!」
 途端に桜が悲鳴をあげて、必死に哀願した。肉棒が破瓜で傷ついた肉襞をかきまわして、暴れているのだ。
 しかし、それはかえって宗観の興奮をそそった。開通したばかりの狭隘な肉路がピクピクッと痙攣して、剛直を締め付
けてくる。より深い快楽を求め、宗観は、自然と抽送運動をはじめた。
「いたいっ、いたっ、いたっ…」
 下唇を血が滲むほど噛み締めながら、桜は生まれてはじめて味わう痛みに耐えていた。
 宗観は次第にストロークのピッチを速めていった。からみついてくる幾重もの肉襞を押し広げるように、剛直を叩き込
む。
「うッ、うッ、うッ…」
 桜の髪が乱れ、押し出されるように声を漏らした。宗観はリズミカルに肉路を突く。桜は泣きベソをかきながら、打ち
込みに耐えている。
 宗観が覆いかぶさるようにして、律動を速めた。
「妙適C淨句是菩薩位(男女交合の妙なる恍惚は、清浄なる菩薩の境地である)!」
 弾む声で『理趣経』を唱えた次の瞬間、ビクンビクンと長い射精が、桜の膣内で何度も何度も繰り返された。
 最後の一滴まで胎内に注ぎ込んだと感じた宗観は、ゆっくりと肉棒を抜いた。
「一切自在主C淨句是菩薩位(男女が抱き合って満足し、すべてに自由、すべての主、天にも登るような心持ちになる
のも、清浄なる菩薩の境地である)」
 そう言うと、宗観は古びた茶碗を取り出して桜の股間にあてがい、立川流本尊の荼枳尼天のマントラを唱え、桜の割
れ目のいじりながら、中に溜まった精液を指で掻き出していく。
「ああッ、しないで…あうぅぅ…」
 敏感な肉芽の鞘を剥かれ、ルビーのように充血したクリットを繊細なタッチで転がされる。精液をローションがわりにし
たヌルヌルの指の動きに、鋭い快美感が湧き上がり、全身がわなないた。
「処女では、性交の時に出る愛液も少ないからな。こうして足しておかんと、十分な和合水にならへん」
 宗観はくいくいと指の関節を曲げて、肉壁をひっかきながら、そう言った。立川流では、精液と愛液が混じったものを
和合水と呼び、大きな宗教的意義を与えているのだ。
「はァ、はァ、はァ…」
 せわしなく桜の呼吸が乱れる。玉のような汗が浮かんだ額には、切り揃えられた前髪がベッタリと張りつき、顔全体が
ピンク色に上気している。
「ああッ、ああぁ、はぅ、ううぅ…」
 泣くような喘ぐような声が、喉を衝いて溢れ出る。
「はうぅ、うぅん!ああぁ…」
 昇りつめた証しの痙攣が走りぬけ、糸が切れた人形のように動きを止めた。茶碗の中には、さっきの濃茶と同じ量の
白濁液が溜まっていた。

 茶事が終った。
 客たちは、煙草盆・座ぶとんなど整理して返し、茶室を出る。全裸のままの桜が躙り口で一同を見送る。客たちは一
礼をすませ、露地を歩いて行った。
「おめでとう、これであなたは、晴れて隠千家の養子となり、教授となったのよ」
 着物を着て母屋に戻ってきた桜に、待っていた璃姫が声をかけた。
「ほら、おまえの号やで」
 そう言うと、宗観は「桜観」と墨書した和紙を示した。いよいよ、家元の後継者としての生活が始まる。
「さあ、次はお披露目の大茶会よ。ご一門、ご高弟あわせて千人の皆さん方があなたのお茶を待っていらっしゃるわ。
もちろん、『あなたのお茶碗』でね」
 璃姫の言葉で、大広間にずらりと居並ぶ老若男女の列が桜の脳裏に浮かぶ。彼女はその前で全裸になり、彼ら、彼
女らに股間に注いだ茶を供するのだ。
 想像しただけで、あまりの恥ずかしさに、桜は全身から冷や汗とも脂汗ともつかないものが、ドッと噴き出てくるのを感
じた。
「………」
 それでも、もはや後戻りはできない。桜は、覚悟を込めて答えた。
「承知いたしました。桜観、これから、いっそう精進してまいります」
 顔をあげた桜を見て、璃姫はハッと息を飲んだ。その印象は、可愛らしい少女から、美しい女へと、はっきり変わって
いた。




 
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