第4章 痴漢電車・体当たりレポート

「ホントにムカツクわっ!」
 ATプロのタレント控え室で汐理が本を読んでいると、プンプン怒りながら朱美が入って来た。
「どうしたの?」
 本をテーブルに置いて、汐理が尋ねる。
「痴漢よ、チカン!」
 学校から直接事務所にやってきた朱美は、地下鉄日の丸線に乗って来たのだが、その電車の中で痴漢にあったの
だと言う。もともと都内で一番混雑している日の丸線だが、ここのところ痴漢が頻発して、ちょっとしたニュースになって
いた。複数の痴漢グループがあるのだとか、「痴漢をしやすい電車」としてネット上で話題になっているとか、様々な噂
が飛び交っている。
「それで、どうしたの?」
「もちろん、その手を捕まえて、『チカンっ!』って思いっきり叫んでやったわ。」
「すごいわ。さすが朱美ちゃんね。」
 さすがは気の強い朱美だけのことはある、と本当に感心しながら汐理が言う。



「何言ってるの。チカンにあったら、そうしないとダメよ。もじもじしてたら、つけあがらせるだけなんだから。ね、汐理もわ
かった?」
 そう言いながら、朱美はブラを外した。同性の汐理でさえほれぼしてしまう、大きくて形の良い乳房が現れた。朱美
は、楽屋や控え室では一糸まとわぬ姿でいるよう、マネージャーの炭谷に言われているのだ。下着のラインを体に残さ
ないためだと説明されているが、朱美も汐理も、それが本当かどうかは怪しいと思っている。
 その時、ドアが開いた。入って来たのは汐理のマネージャー池尻美津子である。
「おはようございます。」
 立ち上がってあいさつする朱美は全裸で、胸と下腹部を手で隠している。
「あら、朱美ちゃんもいたの。でも、相変わらず恥ずかしい格好ね。こんな所で裸になって…。」
 美津子が嘲笑を浮かべて言った。これまで見下していた炭谷が担当している朱美が順調に売れていることに焦りを
感じているせいか、彼女はことさら朱美にきつく当たる傾向がある。それがわかっている朱美は、美津子に何か言い返
そうとしたが、思い止どまった。
「さあ汐理、行くわよ。」
 美津子は朱美に一瞥を投げて、汐理に手招きをする。汐理は「じゃあね」と朱美に手を振って、タレント控え室を後に
した。
「汐理、すごいわよ。」
 控え室を出るなり、美津子が興奮した口調で汐理に言った。
「今度の『ニュース・タイム』の特集コーナー、あなたのレポートでいくことになったのよ。」
「ホントですか?」
 汐理の表情が輝く。「ニュース・タイム」は、なんと言ってもニュース番組だ。汐理のコーナーが話題になっているとは
言っても、良く言えばデザート、悪く言えば添え物でしかない。それに比べて「特集コーナー」は、話題の事件や社会の
動きを取り上げ、独自の取材で掘り下げたレポートをする、この番組のメインのコーナーである。以前、警察が解決で
きずにいた事件を取り上げた時に、犯人逮捕につながる特ダネを掴んだことは、報道の世界で伝説になっている。
「それで、何をレポートするんですか?」
「今、問題になっている、地下鉄日の丸線の痴漢についての、一週間連続、体当たりレポートよ。」
 美津子はニッコリ笑って答えた。汐理の顔に複雑な表情が浮かぶ。

「さあ、特集コーナーです。今週は、最近多発している地下鉄日の丸線の痴漢についてです。」
 栃尾アナに続いて、島津キャスターが言った。
「水沢汐理ちゃんに、レポートしていただきましょう。」
 画面が切り替わった。高校の制服を着た汐理が、満員電車の中で吊り革に掴まって揺られている。いかにも隠し録り
といった映像は、電車の天井付近に設置されたカメラが車内の様子を映し出しているものだ。
 通学・通勤が重なったラッシュの電車の中は、学生やサラリーマン、OLでぎゅうぎゅう詰めになっており、身動もまま
ならない。
 少しして、電車の揺れに合わせるように、若い男が汐理の後ろに移動していく様子をカメラが捉える。
 今度は、汐理の正面からの映像だ。背後にぴったりとさっきの男の顔が見える。
 しばらくして、汐理がハッとした表情を浮かべる。
「ホントに体当たりレポートだったね。」
 スタジオに画面が切り替わると、横に座っている汐理に島津が言った。
「え、ええ…」
「この時は、どこを触られたの?」
「えっ…、あっ…、お尻です。」
 答えて汐理は真っ赤になる。緊張していたせいで、反射的に答えたものの、放送で「お尻」と言ってしまったことが、恥
ずかしかった。狼狽しているのを何とか取り繕おうと、汐理はフリップを取り出す。
「今日まで3日間の被害状況をまとめてありますので、ご覧いただきましょう。」
 フリップがアップになる。そこには、被害に遭った駅、痴漢の年齢や職業、そして、被害の内容が書かれていた。可憐
で、どことなく男の嗜虐心をくすぐる汐理が朝夕の満員電車に乗っていると、必ずと言って良いほど、お尻を撫でられた
り、肘で胸をつつかれたり、太腿に触られたりするのだ。
 再び電車の中の映像になった。ギューギュー詰めの状態をいいことに、背の高い男が身体全体を汐理に密着させて
いる。映像の中の汐理は、頬を赤らめた顔で俯いていた。
「これは、どういう状態?」
 島津の質問が飛ぶ。
「え…、いえ、別に…」
 汐理は耳まで真っ赤になって、口ごもった。それに対して、島津が厳しい視線を投げる。
「きちんとレポートして!」
「す、すみません…。」
 本番で島津に叱責された汐理は、涙目になりながら、その時の様子を努めて正確に描写する。
「痴漢の片手が私のスカートを捲り、もう一方の手がその中に入っています。」
 画面の中で、汐理がしきりに身をよじっている。
「男から逃げようとしているね。何があったのかな。」
「男の人の…、大きくなっているものを、私のお尻に擦りつけながら、はあ、はあ、と息を首筋に吐きかけてくるんで
す。」
「これは?」
「胸を…、揉まれたところです…」
 しかし、痴漢の行動がそれ以上エスカレートすることはなかった。今回の中継は警察とタイアップしており、痴漢行為
がはっきりした段階ですみやかに現行犯逮捕されるからである。
 この取材は、おとり捜査に協力するという意味も持っており、嫌がる汐理を、美津子はそれで説得したのだ。
 汐理はさらに、関係各方面から聞き取り調査した内容や痴漢に遭った女の子たちのインタビューを交えながら、被害
を受けた状況を事細かに報告した。
「…ということで、私は今週一週間、日の丸線に乗って、レポートを続けることにしています。」
「それじゃあ、後半のレポート、期待しています。ぜひ、がんばってください。」
 島津がそう言って締めくくった。 

 そして、いよいよ最後の取材日がやってきた。
 通勤ラッシュの日の丸線に乗り込み、しばらくした頃、お尻のあたりで何かもぞもぞする気配を感じた。
(あっ、来た!)
 身を硬くする汐理のスカートの上から、大きな手がいやらしく尻を撫で回している。
(ホントに嫌だわ、早く捕まえて…)
 これまでなら、このあたりで刑事が出てくるのだが、今日に限って、何の動きもなかった。痴漢の手は円を描いて尻を
愛撫する手にぐっと力を込めつつ、指を肉丘の谷間に入れて、アヌスのあたりをまさぐる。
(どうして…、どうして、誰も助けに来ないの!)
 異変を感じた汐理は、どっと冷や汗が出てくるのを感じた。内心パニック状態になりながら、喉が貼りついたような気
がして、悲鳴も助けを求める声も出せない。朱美が言っていたように、もし、本当に痴漢にあったら睨みつけて、叫んで
やろう等と気丈に考えていたものの、実際こういう場面になると、恐くて振り返ることすらできなかった。
 痴漢の手がスカートの裾から中に忍び込んだ。その手はどんどん大胆になって、スカートの下で内股からヒップにか
けてを何度も何度も撫でさすり、パンティの布地をねちっこく触っていた。
 一つ目の駅についた。乗り降りする客の合間を縫って、汐理は必死で撮影に同行しているはずの警察官の姿を探し
た。しかし、いくら探しても、見つからない。せめて、痴漢から逃れようとしたが、乗ってくる乗客に押され、身動きもまま
ならないうちにドアが閉った。
(いやだ…、どうしよう…)
 汐理は既に泣きべそをかいている。下手に身動きしたせいで、これまでより痴漢とくっついてしまったようだ。その手
は尻を離れて、制服の胸に触ってきた。腰骨のあたりに、何か棒のような物が押し当てられている。その正体に思い至
って、汐理の顔一面にみるみる朱がひろがる。
 指先だけ動かしていた手が、掌全体を円を描くようにゆっくり動かし、胸を撫で始めた。
(いや、いやっ…やめて!しないで…)
 心の中でそう叫び、身体を揺すっても、逃れることはできない。相手が抵抗できないと見たのか、痴漢の手は大胆に
もボタンに手をかけ、いちばん上のボタンから順にはずしていく。
 痴漢がはだけたブラウスの胸元に手を突っ込み、ブラジャー越しに乳房を揉み始めた。
(いやっ!誰か助けて!)
 警察官以外にも、ADやカメラマン、音声など数名のスタッフが近くに乗っているはずなのに、誰も異変に気が付かな
いのだろうか。スタッフを探して助けを求めようとした瞬間、フッと胸元が緩む感覚を覚えた。痴漢の手がブラジャーの
ホックを外してしまったらしい。
 痴漢がブラジャーの中に手を突っ込んだ。ブラジャーがずり上がる。
「あっ!」
 直接乳房に触れられて、汐理が思わず声をあげると、周囲の乗客の視線が彼女に集まった。
 しかし、誰も痴漢行為をやめさせる者はいなかった。知らん顔を決め込む者はまだ良いほうで、好奇の目を汐理に向
けてくる者がほとんどだった。見ると、スタッフたちは汐理が痴漢される様子を、何事もなかったかのように撮影してお
り、それで、他の乗客もAVか何かの撮影だと思っているのだ。汐理は目の前が真っ暗になるのを感じた。 
 二つ目の駅で停車すると、痴漢は汐理を逃がさないように彼女の体を抱きすくめる。同じ方向を向いて二人の身体が
重なった。男の勃起したペニスが背中あたってくる。吊り革を掴むのをやめた両手が、汐理の双乳を掴む。両方の乳
首がキュッとつままれた。
「いや、やめて…」
 反射的に叫んだが、その声は小さく、かすれてしまっていた。
 痴漢の攻めは執拗であった。数か所の駅を通り過ぎる間、ずっと汐理の胸を揉み、指先で乳首を転がしている。乳首
は次第にが固さを増し、勃起していった。
 汐理の身体の反応に満足したかのように、痴漢の右手が、服の上から身体を撫でさするように下へ下へと降りてい
く。
「あっ…!いやっ!」
 汐理が悲鳴をあげて身をよじった。痴漢の右手が再びスカートの中に侵入し、とうとうパンティの中に入って来たの
だ。双臀をじかに撫でまわし、深い亀裂へも指を走らせる。
 泣き出しそうになるのを、汐理はぐっと堪えた。
「ああっ!」
 汐理は小さな叫びをもらした。痴漢の手が固く閉じた太腿の間に押し入り、乙女の秘所をまさぐってきたのだ。ずっと
体を弄られていた生理現象で、そこは、じっとりと濡れていた。
 汐理は泣き顔になって、スカートの上から男の手を押さえ込もうとする。
「だいぶ気持ち良くなってきたようだね。汐理クンは、痴漢されるのが好きなのかな…?」
 耳たぶに唇をつけながら、男が語りかけてきた。それは聞き覚えのある声だった。
「し…、島津さんっ!」
 汐理が驚きの声をあげる。さっきから自分の体に痴漢行為をしていたのは、キャスターの島津だったのだ。
「すごく濡れてるよ…」
 そう耳元で囁きながら、耳たぶを甘噛みし、ふぅっと息を吹きかけると、汐理は腰をがくがく震わせて身をよじった。
 島津はブラウスのボタンを全部外してしまった。ブラジャーがずれて、はだけたブラウスの間から形の良い乳房が剥
き出しになる。周囲の乗客のたちの目が、汐理の胸元に集中した。
「や、やめてください…、こんなところで…。みんな見てます…」
「大丈夫さ。テレビカメラがあるからな。かえって、誰も止めに入るものはない。現代人の面白い心理だね。」
 島津はそう言って、ククッと笑い声をたてた。
(いや…、見ないで…)
 好奇心に満ちた乗客たちの視線に、汐理は身をよじった。実際、誰ひとり助けてくれる様子はなく、まるで、みんなで
汐理を犯そうとしているかのようだ。
 島津の指が、固くなった乳首を指の腹で確かめるようにコリコリと転がす。
「いや…、いやぁ…」
 パンティの中をうごめいていた島津の指先がふいにアヌスに触れ、汐理は悲鳴をあげた。
 男は中指の先だけを使って、アヌスの周りをなぞり、揉みほぐすように緩く押してくる。
(そ…、そんなとこ…触っちゃ、だめぇ…)
 ショックで声も出せないまま、汐理はなんとか攻撃から逃れようと腰を振る。正体を明かしてからの島津の痴漢行為
は、いっそう過激になっていった。
「あっ…」
 汐理のスカートが足元に落ちた。乗客の目前に、すらりと伸びた白い肌の太股が露わになる。
「あん…、あああ…」
 島津がパンティに手をかけ、ゆっくり手を下ろしていく。汐理の前に座っていた乗客たちが身を乗り出し、息をのんで
見守っている。その視線は、一点に集中していた。
「いや、いや…」
 汐理は太腿を閉ざして、腰を左右に振った。それでも下着はぐいぐいと下ろされていく。とうとう、太股の合わせ目を飾
る淡い翳りが露わになった。男になすがままにされている美少女に、周囲の乗客が視線を向けている。
「いやっ、み、見ないで…」
 絶望的な声を漏らす汐理。島津が手触りを楽しむように繊毛を撫で上げた。
「イメージどおり、ヘアは薄い方だな。」
 そう言って、島津は汐理の秘部に指を滑らせ、花びらをかき分けた。
「ああっ!」
 汐理の腰が、ビクンと跳ねた。
「いやっ、だ、だめ…。そこは…」
「今日、ここは私のものになるんだ。池尻君とも話はできている。」
 言いながら島津は割れ目に指をこじ入れ、粘膜をまさぐりつつ、背後から思い切り強く汐理を抱き締めた。



 乗客が大勢乗っている電車の中で、パンティを膝までずり下ろされ、ブラウスの前もはだけてしまっている。そして背
後から抱きすくめるようにして、島津が彼女の胸や股間をまさぐっている。汐理は死ぬほど恥ずかしい思いに身を震わ
せていた。
 島津は二本の指を使い、器用にクリトリスの包皮を捲ると、最も敏感な部分に直接に指を這わせた。
「だっ、だめえ…、あっ、ああ…」
 汐理が人目を気にする余裕もなく喘ぎ声をあげる。
「さて、記念すべきロスト・ヴァージンだが…」
 汐理の秘孔を指でかき回し、耳に息を吹きかけながら、島津が尋ねた。
「ここで、このまましたいかね。それとも、スタジオに戻ってからにしようか?」
 


 
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