「夏だ!!芸能人スポーツ大会」 NO.1
 
スケジュール
 
「ねえ、マネージャー、8月18日と19日の2日間、「終日、水泳大会」になってるんですね。」
 炭谷から渡されたスケジュール表を見て、朱美が尋ねた。ここはATプロモーションの事務所である。
「ああ、FNCの特番で放送する『夏だ!! 芸能人スポーツ大会』の収録だよ。場所は小笠原だから、前日の17日から
出発しないといけないな。」
「小笠原ですか?」
「ATプロモーションが所有している無人島さ。これはウチの事務所が企画全体をプロデュースするイベントなんだ。とは
言っても、各プロダクションの協力はとりつけてあるから、参加者は結構豪華メンバーになるぜ。そうだ、もう企画書が
できてたな。」
 そう言うと、炭谷は机の中からコピー用紙十数枚をホッチキスで留めた企画書を取り出して、朱美に渡した。
「ホントですね。特に男性はベテランから若い人まで、スターがずらりと並んでるって感じだわ。女性は新人とか、結構
いろいろだけど。あっ、汐理ちゃん、清香ちゃんも出るんだ…」
 そう言いながら、朱美が企画書をめくっていく。すると、おかしなことに気が付いた。スケジュール表の初日と2日目の
両方に開会式と閉会式があるようになっている。そして、2日目スケジュールは開会式と閉会式以外が全く空白になっ
ていたのだ。
 空白の企画書を見て、とっさにデビューイベントのことが頭をよぎった朱美は、不安そうな顔で炭谷に声をかけた。
「あの、マネージャー、これ…」
 しかし、その時、炭谷のデスクの電話が鳴ったため、朱美の質問は投げかけられないままになった。
「あっ、朱美ちゃん。おはようございます。」
 背中で聞こえた柔らかく澄んだ声で、振り返るまでもなく、誰に呼びかけられたか朱美にはすぐにわかった。
「おはようございます、汐理ちゃん。」
 予想どおり、淡いブルーのワンピースを着た汐理がニッコリ笑って立っていた。同じスターハント21の準グランプリ受
賞者で、同じATプロモーションに入った2人は、今では大の親友になっている。恥ずかしく辛い目に遭っても、がんばっ
て続けられるのは、お互いに励まし合っているからだと、2人とも心からそう思っている。
「何見てるの?」
「今度の水泳大会の企画書。汐理ちゃんも出るんだね。」
 そう答えてから朱美は、さっきの疑問を汐理にぶつけてみることにした。
「ウーン、よくわからないけど、取り直し用か、天候が悪かった時のための予備日じゃないかしら。」
 汐理のように考えるのが普通だと、朱美は一応納得してみたが、やはりどこかにひっかかる物があるのを拭い去れ
ないでいた。
 
 


 
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