「降りるぞ」
見ると、駐車場の隅が作業場になっているらしく、数人の従業員が金属部品を加
工したり、道具を洗浄したりしている。
(人がいる…。どうしよう)
途端に、由依の心臓がバクバクと激しく鼓動を打つ。
「さっさと降りろ」
躊躇う由依を見て、先に車を降りた柴田が怒鳴りつける。
「でも、あの人たちに見られてしまいます…」
「それがどうした、さあ、行くぞ」
由依は、おそるおそる車から降りた。少し背中を丸め気味にして、早足で駐車場
を歩く。
(気づかれないかしら…)
そう思うと気が気ではなく、チラチラと従業員たちの方に視線を走らせる。
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