織露府(オルロフ)家の花嫁
 

 
 新郎新婦の先輩や同級生たちは、尋常ならぬ処女検査が目の前で展開されるのを、ただ呆然と眺めていた。とりわ
け、礼服のズボンの前を膨らませて見入っている男たちの心情は複雑なものがあった。
 千夏が入学してきた日のことは、それぞれが鮮烈に覚えていた。極端に男子の比率が高い学部のため、ただでさえ
女子学生はみんなからちやほやされる傾向があるのに、その年に入って来たのは、とびっきりの美少女だったのだか
ら…。
 ネイビーブルーのスーツを清楚に着こなした彼女が学部の新入生歓迎行事に参加した時には、学生はもちろんのこ
と、教授たちですら完全に舞い上がっていたものだ。
 それ以降、誰が彼女を射止めるかということが学部の重大な関心事となった。多少なりとも自信のある男はいろいろ
とアタックし、そうでない者は「高嶺の花」とあきらめながらも、絶え間なく憧れの視線を投げていた。
 その千夏が、大勢の人が見守る中で全裸になって陰部を露わにし、そのうえ、嫁ぎ先の男たちにその部分を弄られ
てアクメに達する姿を見せたのだ。
(畜生ッ!)
 千夏の同級生、川原豊は心の中でそう呟いた。彼の心を占めていたものは、千夏に対する憐れみや不条理な結婚
式への怒りもないわけではなかったが、むしろ嫉妬と性的興奮の方が強かった。
 大広間の中央のベッドの上では、千夏が気を失ったかのように、裸のままぐったりと横たわっていた。激しい愛撫の
せいで意識が朦朧としているのだろう。両手両脚を押さえていた男達の手はすでに離されていたのだが、ピンク色に染
めた白い肌を隠そうともせず、あお向けに大の字になっている。サクランボのような乳首を乗せた胸の膨らみが大きく
上下し、脚も開いたままで、性器が露わになっていた。
 川原はそこに駆け寄って、開かれた女体にむしゃぶりつき、滅茶苦茶に凌辱したい衝動に駆られた。
 ルックスに自信のない川原は、積極的に千夏にアタックすることなど考えもしなかったが、「もしかしたら」という一抹の
期待を込めて、なにくれとなく彼女に親切にしてきた。そうした時に彼女が自分に向けてくれるとびっきりの笑顔は、い
つも川原を有頂天にさせた。確かに彼女は、川原と親しくつきあってくれたのだが、それはあくまで、同級生として、友
人として、という域を超えるものではなかった。そして、彼女が選んだのは川原をはじめ学部生達が最も尊敬する先
輩、織露府淳哉だった。
(そうだ。淳哉先輩から写真を頼まれていたんだ。)
 川原は手にした一眼レフを見た。写真が趣味の彼の自慢のカメラだが、披露宴が異様な第二幕に入ってから、目の
前で展開される出来事を呆然と眺めていた彼は一枚も写真を撮っていないことに気がついた。そして、花嫁を凌辱する
かわりに自分がすべきことを思いついた。
(千夏の写真を撮ろう。オッパイも、オ××コも、あの身体の隅々までカメラに収めて、俺の宝物にするんだ!)
「オレ、写真撮ってくるよ。」
 そう言って、席を立った川原を女学生の一人が睨み付けた。
「やめてよ。あんな姿撮ったら、千夏、可哀想じゃない!」
 他の女学生も厳しい視線で見ている。一瞬ひるんだ川原だったが、それで決意が変わることはなく、彼女たちに向か
って、ムキになって反論した。
「何言ってんだよ。これは旧家のしきたりに則った結婚式なんだ。神聖な儀式なんだぞ!それにオレ、淳哉先輩に写真
を頼まれたんだ!」
 そう言い放ち、女学生達の非難の目を振り切ると、川原は千夏が横たわるベッドの側に駆け寄って、ファインダーを
覗いた。
 小さく四角に切り取られた視界に、艶やかな茂みの下で息づくきれいなピンク色をした秘花が見えた。
(これが、千夏のアソコか…)
 一旦カメラから目を離し、ずっと憧れていた千夏の秘部を見つめながら、川原は心の中で呟いた。それは、彼が下宿
に隠し持っている裏ビデオに映っている赤紫に腫れあがった軟体動物のような代物とはまったくかけ離れた美しさだっ
た。柔らかそうな舟形の膨らみの間からピンク色の肉細工が少しはみ出している。それは、織露府家の男達にかわる
がわる弄られたため、愛液に濡れてつやつやと光っていた。真っ白なシーツには、水をこぼしたような大きな染みがで
きている。
 目を閉じ上気した可愛らしい顔を、可憐な乳首を乗せた乳房を、なだらかなお腹と腰のラインを、黒々とした恥毛を、
股間に息づく秘部を、そして全身を…、川原は千夏の全てをカメラに収めてようと、夢中でシャッターを切った。
 ふと気がつくと、千夏の両親が川原の横に立っていた。
 両親がベッドの側に来たのを感じた千夏は、慌てて、両手で身体を抱きかかえるようにして丸くし、顔をそむけた。
 その一瞬の千夏の顔をカメラがとらえる。
「!」
 川原の心臓が大きく脈打った。羞恥心で今にも泣き出しそうな表情を浮かべた千夏の顔はこのうえなく可憐で、美し
く、扇情的だった。
「…だ、大事にして…、いただきなさい…」
 千夏の父がそう声をかけた瞬間、バッという強い光が視界を包んだ。一部始終を撮影しているプロのカメラマンだ。
気がつくと、自分以外にも数名が近寄ってきて、千夏と痛ましい顔つきでそれを見やる両親の姿をカメラやビデオに収
めている。
 両親が自分たちの席に戻ると、淳哉の父の旋太郎が大広間じゅうに宣言するように、淳哉に向かって言った。
「さあ、この場で夫婦睦み合い、結婚を完成させなさい。」
「はい。」
 新郎の淳哉はおごそかに返事をすると、タキシードを脱ぎ始めた。ズボンを脱ぐと、ビキニタイプの下着の股間は既
に大きく勃起していた。
 川原のカメラはその間も千夏をとらえていた。ベッドの上で身体を丸くしたまま、不安そうな表情を浮かべ、下唇を噛
んでじっと耐えている。なだらかな肩が小刻みに震えていた。
 全裸になった淳哉がベッドに身体を横たえ、千夏の乳房を背後から両手でそっと押し包む。
「あっ…」
 千夏は小さな声をあげて、反射的に淳哉の手を掴み、胸から離そうとする様子を見せた。しかし、淳哉に耳元で何か
囁かれると、コクンと頷いて目を閉じる。
(畜生、いいなぁ…)
 淳哉は美しい隆起全体を思いのままにこね回している。シャッターを切る川原の心の中では淳哉に対する妬みが大
きく膨らんでいく。
 親指と人指し指がキュッと千夏の乳首を摘まみ、指先でクリクリと転がす。
「あぁン…」
 千夏が眉根を寄せ、色っぽい声を洩らした。ベッドを取り囲むカメラのフラッシュが一斉に光る。
(そうだ、もっと感じろ!)
 思いっきりアップで撮った乳首が勃起している。川原は撮影するうちに、いつしか、千夏の身体を愛撫している手が自
分の手のように錯覚し始めていた。
(よーし、つぎはオ××コを弄ってやるぞ!)
 愛撫する手は、千夏のお腹を滑り、すでに十分濡れた股間に潜り込んだ。
 


 
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