織露府(オルロフ)家の花嫁
 


「さあ、この場で夫婦睦み合い、結婚を完成させなさい。」
 織露府家当主の旋太郎の声が響く。
(ああ…、とうとう…)
 まどかは、ベッドの上で身体を固くした。なだらかな肩が小刻みに震えている。 結婚式の二次会などで、よく、みんな
で囃したてて新郎に、新婦の頬にキスさせるという企画がある。友達の結婚式に参加して、そういう企画を目にし、自分
ならとてもできないと思っていた千夏だったが、これからすることは、それどころの話ではない。
 両家の親族や友人知人、みんなの見ている前で淳哉とセックスしなければならないのだ。
 姑になる真貴子から聞いたところによると、このしきたりは、ルネサンス時代に遡ると言う。当時、王侯貴族の結婚の
大半は政略結婚であり、結婚が成立することは政治的な意味合いを持った。そこで、初夜にはカーテンをへだてただけ
の隣室に証人が待機して、無事に初夜が実施されたかどうかを見届けたのだ。ローマ法王の息子でルネサンス君主
のチェーザレ・ボルジアが結婚した時には、フランス国王ルイ12世が控えの間で立ち会っている。
 織露府家では、この伝統がまだ生きているのだ。しかも、時代を経るにしたがって、カーテンの向こう側で不正が行わ
れないよう、初夜の営みが行われる部屋に直接証人を入れるようになり、その後、証人が不正な報告をしたという疑惑
が起きてからは、結婚式に参加した全員が見届ける中で、新郎新婦に性交させるようになったのだと言う。
 ベッドに横たわった淳哉の両手が背中から抱きしめるように千夏の乳房を掴んだ。
「あっ…」
 千夏はとっさに淳哉の手を掴み、胸から引き離そうとする。
「ダメだよ、がんばらなきゃ…、僕の奥さんになるんだよ。」
「で…、でも…」
 千夏は淳哉を振り返り、哀願するような視線を向けた。
(そんなこと言ったって…)
 千夏は泣き出したくなった。いくら淳哉に言われても、人前でセックスするなど、とてもできそうにない。しかし…。
「愛してるよ、千夏…」
 淳哉の殺し文句が耳元で囁く。その甘い響きの前に、ついに千夏はコクンと頷いて目を閉じた。
 淳哉の手が胸の膨らみを揉みしだく。千夏のバストは横たわることで少し左右に流れてはいたが、ふっくらとして心地
よい弾力を持っていた。乳首を弄んでいると、乳首が固く屹立してくる。
「うっ…、うぅ…」
「感じてきたんだね。可愛いよ…」
 目を閉じ、周りに聞かれないように必死で喘ぎ声を押し殺す千夏に、淳哉は満足そうな笑みを浮かべて言った。
 淳哉の手が千夏の身体を滑り、脚の付け根に密生する茂みを愛撫した。処女検査でたっぷり弄られたせいか、指先
に触れた陰唇は既にヌルヌルになっている。
「あふぅ…」
 濡れた性器に触られて、とうとう千夏は熱い吐息をつき、身を震わせた。自分たちの恥態をみつめている人々に、感
じていることを知られたくなくて、こみあげてくる性感に耐えていたが、もう限界だった。
 淳哉は順調に感じている千夏に更なる快楽を与えようと、濡れた粘膜にそっと中指を挿入した。続いて、肉芽を探り
当て指先で転がしてみる。
「あぁん…」
 千夏が敏感に反応する。既に男を受け入れる体勢が整っていた。淳哉の股間の肉竿も大きく勃起している。淳哉は
千夏の身体をあお向けにし、正常位の姿勢になった。
「千夏、いくよ…」
 そう声をかけた淳哉だったが、しかし、いよいよという段になって、千夏が泣きべそをかいて抵抗し始めた。
「いや…、いやっ!」
 体位を変えた時に、自分たちのセックスを固唾を飲んで見守っている人々の姿が千夏の目に入ってしまったのだ。
 織露府家の男達は裸でからみあう自分たちを指さして笑い合っている。悲しそうな顔で見守っている千夏の両親がい
る。親戚や友人達。あちこちでフラッシュが光り、かぶりつきでカメラを構えてシャッターを切りまくっている川原も目に入
った。いくら愛する男性が相手でも、こんなに大勢に注目される中で処女を捧げるのは、やはり耐えられなかった。
「わがまま言うなよ!」
 めずらしく厳しい口調でそう言うと、淳哉は右手で片方の乳房をわし掴みにし、有無を言わせず、ゆっくりと千夏の中
に押し入ってきた。
「うっ!」
 千夏が眉根を寄せて、呻き声を洩らした。勃起した肉竿が陰裂に入り込んでいく。千夏は両手で淳哉の腕をつかみ、
きゅっと力を込める。
「うぅ…、痛いっ…」
 肉竿の根本まで淫裂の奧に突き刺すと、千夏は処女喪失の痛みに顔を歪めた。そんな彼女を愛おしそうな目で見る
と、淳哉は舌で千夏の唇をこじ開け、舌を入れながら唇を吸い続けた。
 千夏の膣内は熱かった。肉棒を粘膜が包み込み、とろけてしまいそうな感触だった。興奮した淳哉は、激しくピストン
運動を始めた。
「痛いっ!動かないで…」
 千夏が悲鳴をあげた。
「淳哉、結合部分を皆様に見ていただきなさい。」
 突然、旋太郎が新郎新婦にそう声をかけた。
「はい…」
 そう答えると淳哉は一旦、ペニスを抜き、ベッドに腰掛けた。そして、千夏の身体を抱き起こし、後ろから抱きしめる形
のまま引き寄せ、再び女陰を貫いた。
「ううっ!」
 千夏は呻き声をあげたが、今度は最初ほどの痛みは感じなかった。
「おおっ!」
 広間のあちこちで声が上がる。招待客の前に、座位でつながった二人の局部が露わになったのだ。
「いやっ!」
 あまりの恥ずかしさに逃げ出そうとする千夏だったが、淳哉がしっかり抱きしめて離さない。
(すげえ…、はまってる、はまってるぞ!)
 開かれた脚の間に顔を突っ込みそうな勢いで川原が近づき、心の中でそう叫びながら、夢中でシャッターを切った。フ
ラッシュが光る度に、千夏はギュッと切なく眉を歪めて追いつめられた表情になる。それが、川原の嗜虐心と興奮をか
き立てた。
「恥ずかしいか?恥ずかしいだろう?」
 思わず呟いた川原の言葉が耳に入り、千夏はハッと顔を上げた。すっかり我を忘れた川原の卑猥な笑みが目に入
る。
(ひどいわ!川原君…)
 千夏が目に涙をため、怒りの表情で川原を睨んだ時、川原の肩を叩く者がいる。
「君、ちょっとどいてもらおう」
「は…?」
 振り向いた川原の背後に、旋太郎が立っていた。その横には、結婚式に参加している二人の大学教授が立ってい
た。一人は淳哉の直接の指導教授、もう一人は学部長である。それぞれ新郎側、新婦側の主賓として出席していた
が、目の前で展開される異様な儀式にあっけにとられている様子だ。
「それでは先生方、新郎新婦の結合部分を触って、きちんとはまっていることを確かめてやってください。」
「えっ!」
「は?」
 旋太郎の依頼に、二人の教授は一様に驚いた表情を浮かべた。
「当家では、新郎新婦の初めての性交にあたって、ご出席いただいた皆様を代表して主賓の方に結合部分を触って、
祝福していただくことになっております。」
「しかし…」
「そう言われましても…」
 当惑する教授達に向かって、淳哉が頼んだ。
「お願いします。そうしていただかなければ、真に結婚したと認められないしきたりなんです。」
 続けて、淳哉は千夏に言った。
「千夏からも、アソコを触っていただくようお願いしなさい。」
「え…、あ…」
 二人の教授が同情の視線を彼女に向ける。千夏は真っ赤になってうつむいてしまった。これは真貴子からも聞いてい
ない話だったのだ。陰茎を受け入れた秘部を見られるだけで、死ぬほど恥ずかしいのに、教授たちにその部分を触っ
てくれと頼むことなど、とても口にできない。
「ちゃんとお願いしなさい。」
「さあ、きちんとお願いしないと…」
 旋太郎と淳哉から何度も責め立てられ、千夏は消え入りそうな声で言った。
「さ…、触ってください…、お願い…、します…」
「花嫁もそう言っていますので。」
 旋太郎が教授達を見た。こちらも引けなくなってしまった教授が、「結婚おめでとう」と祝福の言葉を口にしながら、二
人交互に、旋太郎の言うとおり、肉棒をくわえ込んだ女陰の結合部分を指先でゆっくりなぞるように触っていく。
「うっ!」
「あ…」
 淳哉も千夏も切なげな声をあげた。遠慮がちに触る指先がかえって二人の性器に強い刺激をあたえるのだ。しかも
千夏にとっては、教授達の指の動きで、淳哉の一部が体内に入っていることを意識せざるを得ない。それが、激しい羞
恥心とともに、肉体を一層敏感にしているようだ。
 耐えきれなくなった淳哉が巧みに腰を動かして千夏の身体を突き上げながら、左手で彼女の肉芽をぐりぐりと弄る。
「あ…、あんっ!」
 破瓜の痛みがおさまったらしく、淳哉の動きは彼女に甘美な性感をもたらしてくる。千夏は体を反らせ、甘い喘ぎ声を
あげ始めた。陰茎をくわえ込んだ秘部から愛液が滲み出て、教授達の指を汚していく。
 


 
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