国防省附属「星園・癒しの館」第2部
 
第1章 それぞれの出発 1

 青い空、白い砂浜、そして、エメラルドブルーに透き通った海…、朱礼町は南の島にある小さな町だ。
 エキゾチックな歴史と美しい自然で有名なこの島は、同時に「基地の島」としても知られている。さほど広くない島の、
最も利用価値の高い土地に多くのアルメイア軍基地が作られ、その面積は島の総面積の約20パーセントを占めてい
る。これは、全国のアルメイア基地の約75パーセントにあたっており、アルメイアとの同盟が、この島の犠牲の上に成
り立っていると言われる理由である。
 昼下がりの明るい日差しの下、この島最大のアルメイア軍基地のすぐ近くに建つ朱礼公民館に、黒塗りのセダンが
入って来た。特殊なナンバーから、防衛隊の車だということがわかる。
「ようこそいらっしゃいました。」
 町長をはじめ、町役場の幹部たちが、土下座せんばかりの丁重さで出迎える中、3人の人物が車を降りて来た。いか
にも尊大なエリート官僚らしき男が2人、そして、もう一人は防衛隊の制服を着た地味な印象を与える男だ。事前の情
報収集を怠らなかった町長は、助役たちに2人の官僚の機嫌を取らせながら、自らは最も重要な人物のもとに駆け寄
った。
「諸藤大尉、遠路はるばるお越しいただきましたこと、町民を代表いたしまして、心より感謝を申し上げます。」
「どうも…」
 諸藤宗光は町長の愛想に全く興味を示さない様子で、ボソッとした口調でそれだけを言うと、急ぎ足で公民館の中に
入って行った。町長は慌ててその後を追って行く。
 その日、朱礼公民館では、徴兵法施行令にもとづく面接審査が行われる。
 前の国会で成立した徴兵法により、15歳以上の男女は、25歳までの10年の間に3年間、兵役あるいは奉仕活動
に参加することが義務づけられた。参加場所と時期を定めるのが面接審査の目的で、徴兵法が施行されてから、全国
各地で連日のように行われている。しかし、今日は普通の面接審査とは少し様子が違っていた。
 集まっているのは、女子高校生ばかりなのだ。しかも、朱礼町民だけでなく、付近の市町村からも集められて面接を
受けることになっている。
 今日ここで行われるのは、首都に近い横木市にある国防省附属施設で、奉仕活動に参加する者を選ぶ面接である。
施設の名前は「星園癒しの館」。容貌の特に優れた女子高校生だけが集められ、防衛隊の広報活動、部隊を海外派
兵する際のレセプションや隊員の心身のケアを手伝うというのが、業務内容だと伝えられていた。
 年頃の娘たちが100人ほどずらっと並んだ様子は、ちょっとした見物だった。実際、今日の面接は公開されており、
付近の住民が大勢集まっている。中には自分の娘が面接の対象になっている心配顔の親たちも見えるが、美人コンテ
ストの見物に来たつもりの気楽な男たちもいる。
 面接を受ける少女たちは、不安そうではあったが、どこか期待に胸を膨らませているようでもあった。何しろ、容姿が
特に優れた者だけが選ばれるというのだ。そこに何が待っているかということを深く考えるよりも、選ばれた満足感に酔
えるところがある。
 政府から派遣された3人の面接官と、この会場での面接官に選ばれた地元の有力者数人が審査席に着くと、進行役
のスタッフの声が会場に響いた。
「それでは、これより、面接審査を開始いたします。」
 少女たちは一人ずつ前に進み出て、面接官の審査を受ける。その様子は、まるでアイドルとして芸能界デビューする
少女を選ぶオーディションのようだった。
 ニヤニヤしながら品定めをしている2人の官僚の間で、諸藤は真剣な表情で少女たちを見つめていた。この会場で
選ばれるのは、たった一人なのだ。
(どうも、これだという娘がいないな…)
 審査も終わりに差しかかり、諸藤がそう思った時、一人の少女が面接官たちの前に進み出た。
 官僚の目が丸くなり、ぽかーんと口を開けている。他の面接官も、少女にみとれていた。
 長い睫毛と大きな黒目がちの美しい目、目鼻立ちのくっきりした彫りの深い顔立ちに、小麦色の肌。髪は肩までのナ
チュラルなセミロング。いかにも南国の明るい日差しのもとで健康的に育った美少女である。
「決まりだな…」
 ギラギラ光る目で少女を見つめていた諸藤が言う。他にも美少女はいたが、段違いで、比べ物にならなかった。
「こっちに来なさい。」
 諸藤が手招きをして、少女を近寄らせた。
「名前は?」
「平良ミキです。」
 少女はハキハキした口調で答えた。少し緊張した表情が初々しい。面接官たちが満足げに顔を見合わせて頷き合っ
た時、中年の女が一人、彼らの前に飛び出して訴えた。
「この子の母でございます。申し訳ございませんが、辞退させてください。」
「辞退は認めない。」
 諸藤は即座に、感情のこもらない声で答える。場内に緊張した空気が流れる。
「他の娘さんたちと一緒に、朱礼基地で奉仕活動に参加させていただきますので、どうか…。」
 女は思いつめた表情で、深々と頭を下げた。
「お母さん…」
 母の側にミキが駆け寄り、気遣わしげにその肩を抱く。
「夫が亡くなって以来、その子だけが私の生き甲斐なんです。」
 彼女の夫、即ちミキの父は2年前に自殺した。名のある会社で事務関係の仕事をしていたのだが、ホワイトカラーが
労働時間規制の適用から外れて以来、連日十数時間の残業が続く中で、過労自殺したのだ。「死ぬまで働けとは言っ
ていない。自殺したのは、本人の自己管理ができていなかったせいだ」とうそぶく会社は、遺族に対して一銭の補償もし
なかった。
 母子家庭となった親子の生活は、想像を絶するほど厳しかった。有事態勢が整えられる中で、軍事費やアルメイア軍
のためには何兆円単位の予算が湯水のようにつぎ込まれる一方で、この国の社会保障は急速に貧弱になった。怪
我、病気、失業…、何らかの理由で一旦つまづいた国民は、人並みの生活を送ることさえ難しくなっている。
「お願いします…。」
 母親が顔を上げた。ミキに面差しの良く似た顔立ちは、もともとは相当な美人だったことをうかがわせる。しかし、疲
れが年齢以上にその顔を老け込ませていた。昼と夜、2つのパートをかけもちし、睡眠時間は四、五時間という働きづ
めの生活の中、自分の体がボロボロになってもかまわない覚悟で、子供を育てて来た母親の顔であった。
「まあ、家に官憲がやってきて、首に縄をつけて引っ張っていくような強制をするわけじゃないからな。どうしても来なけ
れば、過料を支払ってもらうことになるが…」
 官僚の一人が言う。親切心からというよりは、あとで責任を問われないよう「逃げ」を打っておくことが、習い性になっ
ているのだ。
「お金を払えば、行かなくていいんですね。お幾らですか!」
「そういうものではないが…、過料は500万円だがね。ただ、すぐに払ってもらわないといかんし…、分割はできないし
…」
 諸藤にジロリと睨まれた官僚が、バツが悪そうに口ごもりながら言う。
「500万…」
 母が絶句する。彼女が必死で働いて得られる年収を上回る額だ。夫が健在な時ならともかく、今の母子には、どうし
て工面すればいいか困惑するしかない。
「平良さん、おやめなさい。あんたには無理な額だろう。」
 そう言いながら女の肩に手を置いたのは、朱礼町長であった。
「それに、そもそも、ミキちゃんが選ばれて、名誉なことじゃないか。」
 町長は優しげな笑みを作って言う。面接審査の開催を受け入れ、合格者が出ると、その自治体に補助金が出され
る。多額の予算をつぎ込んだあげく、リゾート計画に失敗し、財政破綻に苦しむ朱礼町の財政にいくばくかの潤いがあ
るのだ。
「それに、支度金も相当もらえるのだよ。それで、あんたも少しは楽な暮らしができるんじゃないか?」
「要りません!そんなもの!」
 母が凄まじい形相で町長を睨んだ時、娘が二人の間に割って入った。
「本当ですか?お金がもらえるって?」
「…ああ、そうだとも。そうですね、大尉。」
 町長が諸藤を振り返る。
「家族に支払われる支度金と年間報酬で、君のお母さん一人なら、楽に生活していくことができるだろう。他の施設で奉
仕活動をした場合は無償だから、そこが大きな違いだ。」
 諸藤が淡々と告げる。
「わかりました。私、星園に行きます。」
 ミキはしっかりとした口調で申し出た。苦労して自分を育ててくれた母に、少しでも楽な生活をさせてあげたい。その思
いが彼女を決断させたのだ。
 しかし、ミキも母親も知らなかった。「星園癒しの館」、それは表向き伝えられているのとは違って、少女たちに性的サ
ービスを提供させる国防省附属の慰安所であることを…。

「確かに、あの娘がピカ一だったのは認めるが、他の娘たちを全員帰すことはなかったのじゃないかね?」
 控え室に戻ると、官僚の一人が不満げに言った。
 徴兵法成立と同時に、「癒しの館」は国家的プロジェクトに格上げされた。彼はそれをサポートするために文部教育省
から送られた審議官で、名前を富士善三と言う。文教省の中ではなかなかの実力者で、次は局長になるだろうと言わ
れていた。
「そうだとも、他にも可愛い娘はいたのに…。」
 もう一人もそれに同調した。こちらは、国防省の官僚だ。しかし、諸藤はまったく意に介さない。
「良いのです。今回、私が選ぶのは47人なのですから。」
「各県代表ってやつかね?」
 富士が呆れたように言った。
「そうです。」
 諸藤が澄ました顔で答える。各都道府県から一人ずつ、その地のイメージにぴったりの美少女を選ぶというのだ。
「そんなことをしていては、慰安嬢の補充はなかなか進まんのじゃないかね。」
 そんな富士のイヤミもまったく気にならなかった。そもそも「癒しの館」の実態が広く知られることになれば、さすがに
国民から強い反対の声が沸き起こるだろう。いくら徴兵法ができ、その枠組みを利用したとしても、大量の補充をしよう
とすれば、そのリスクが高くなる。ここは焦らず、「癒しの館」での奉仕活動にプレミアムをつけることを目指す。それ
は、諸藤の後ろ盾になっている防衛隊情報部の将校、滝川少佐とも一致した意見であった。
「必要最小限の補充は、フサイン派遣部隊の帰還には間に合うでしょう。」
 諸藤はお世辞にも愛嬌があるとは言い難い笑みを浮かべて、官僚たちをゾッとさせた。

 美少女コンテストを思わせる華やかな面接審査が終わり、他の娘たちや一般市民が退場した公民館に、ミキは一人
で残された。その表情は憂いに満ちている。これから先のことに対する不安もあるが、心配そうに何度も彼女の方を振
り返りながら、追い立てられるように外に出て行った母の表情がミキの頭から離れなかった。
 しばらくして、一旦控え室に戻っていた面接官たちが再びやってきた。
「それでは、これから身体検査を行う。着ている物を、すべて脱ぎなさい。」
「えっ?!」
 諸藤の言葉に、ミキは何かの聞き間違えだろうと思った。しかし、そうではなかった。ためらう彼女に、諸藤は再び強
い口調で命じた。
「聞こえなかったのか?着ている物を脱いで全裸になるんだ!」
「こ…、ここでですか?」
「そうだ。お前はさっき、自分から星園に来ると約束しただろう。」
「それは…、そう、ですけど…」
「星園で奉仕活動をするには、健康な身体が必要なのだ。正式な検診は、あちらに行ってから行うが、候補者に選ばれ
た段階で、最低限の検査をしておく必要がある。」
 厳格な表情で言う諸藤の横で、他の面接官の表情は期待に輝き、好色に緩んでいる。諸藤がどう言おうと、彼らが興
味本位でミキの身体を見ようとしているのは明らかだ。
「で…、でも…」
「国との約束に違反することは、反愛国的行為になる。お前だけでなく、母親の監督責任も問われることになるぞ!」
 それが決め手だった。ミキは目を伏せ、「はい…」と小さな声で返事をすると、歯を食いしばって、ブラウスのボタンを
はずし始めた。薄いピンクのブラジャーが胸元からのぞく。
 男たちは、食い入るような視線でミキを見た。顔を真っ赤にした美少女が、スカートを落とし、ブラウスを脱ぎ、そして
靴下を脱ぎ捨てる。羞恥と屈辱に震えながら一枚一枚脱ぐその姿は、男たちの興奮を煽るたまらない眺めであった。
 ミキの手がブラジャーにかかって止まる。
「………。」
 何か言いたげに顔をあげるミキ。それを、富士の粘っこい声が制した。
「お母さんに楽な生活をさせてあげるんじゃなかったのかね?」
 そう言われてミキは、自分が置かれた立場に思い至った。
(私は…、お金で…、身体を売ってしまったんだ…)
 そして、観念したかのようにブラジャーを取り去った。
「隠さずに、よく見せるんだ。」
 両手を降ろし、胸を露わにするミキ。おわん型の小ぶりな乳房は、男たちに見られる緊張感と恥辱からうっすらと朱に
染まり、硬くなった乳首もツンと上を向いている。
「形は良いが、少し、小さめだな。」
「星園に行けば、そのうち大きくなるんじゃないか。それより、乳首がピンク色で可愛らしいじゃないか。」
 自分の身体について批評される恥ずかしさに耐えながら、ミキは腰に手をやった。いよいよ最後の一枚だ。下着に手
をかけたミキの手は震えていた。
 ミキはパンティを少しずつずらしてゆく。下腹部の白い肌の真ん中に黒い繊毛が顔を出す。パンティは丸められ、細い
紐になって足首までおし下げられた。言われたとおりに服を脱いだものの、さすがに恥ずかしく、逃げ出したい衝動に
駆られた。しかし、もう逃げるわけにはいかない。
「その机の上に乗りなさい。」
 諸藤が指さした所に、学校で使うような机が一つ置いてある。ミキが机に上ると、面接官たちがその周りに集まって来
た。
「脚を広げろ…」
 しっかりと閉じられていた両足をゆっくりと開くと、茂みに守られたミキの秘部が姿を見せた。机に立っているせいで、
ちょうど股の位置が、男たちの視線の高さにくる。黒々とした陰毛に縁取られ、ぷっくりと膨らんだ大陰唇と、薄桃色の
割れ目が、彼らの目の前にあった。
「陰毛は少し濃い目だな。」
「日に焼けた肌に、濃いマン毛、南国の娘らしくていいじゃないか。」
 ニヤニヤ笑いながら言い合う官僚たちの横で、諸藤は軽くミキの腿を叩く。
「もっとだ。毛深くてよく見えんぞ。もっと開いて、股間を見せろ。」
 ミキは思いきって、肩幅より広く脚を開いた。男たちのあからさまな欲望の視線を感じ、彼女は羞恥に震えた。しか
し、諸藤の命令はさらに続く。
「オ××コを開いて見せろ。」
「えっ…」
「オ××コの中が良く見えるように、両手の指を大陰唇に当てて、開くんだ。」
 ミキはおずおずと両手を股間にあて、自分の性器をまさぐった。柔らかい肉が指にふれた。眉根を寄せて目を閉じる
と、両手の人差し指を中指を使い、思い切って大陰唇をグイッと広げた。
「おお!いいねー」
 審査員の一人が興奮した声をあげた。ピンク色の唇の裏側と、さらに濃い肉色の奥がはっきり見える。
「まだよく見えないぞ。上半身を起こしたまま腰をぐっと落とし、ガニ股になって中を見せろ。」
 言われるままの体勢をとると、ミキの陰部はパックリと口を開けた状態になった。
「ふふふ…、いい格好だな。」
 富士がそう言いながら、大陰唇を指先でつついた。フワフワのマシュマロのような感触だ。
「いやっ!」
 耐え切れず、その場にしゃがみこむミキに、諸藤が怒鳴った。
「立ってろ!」
 ミキは唇を噛むと、震える足に力をこめて立ち上がり、再びガニ股の姿勢をとった。
「どれ、中までよーく調べておかないとな。」
 富士は小陰唇を指先でつまみ、そのピラピラを両側に伸ばした。ピンクのハート型の上部に包皮をかぶったクリトリス
が顔を覗かせ、下には濃い肉色をした膣口がある。
「痛いっ…」
 ミキが小さな悲鳴をあげた。男が指先で膣口を広げたのだ。
「おや、これは処女膜のようだ。まだセックスの経験はないようだな。」
 富士が他の男たちに示しながらそう言うと、別の面接官が「次は、私が検査しましょう。」と言いながら手を伸ばしてき
た。
「おっ、見える見える!」
 面接官たちは、交替で美少女の性器に指を触れ、その隅々まで鑑賞しては、口々にうれしそうな声を上げる。その
間、ミキは自らの手で陰部を開いていなければならなかった。彼女の目から涙がボロボロ零れ落ちる。こんな屈辱はな
かった。
「次は肛門を見せてもらおう。後ろを向いて、尻を広げるんだ。」
「ああ…、もう許して…」
 ミキが涙混じりに訴えるが、諸藤の表情は全く変わらない。その一方で、他の面接官の表情は完全に緩みきってい
る。
「さあ、早くしなさい。」
 容赦のない諸藤の指示に従って、ミキは男たちに向かって、真っ白な形のいい尻を差し出した。
「いい尻だ…、たまらんよ…」
「さあ、尻たぶを開いて、肛門を見せろ。」
 ミキは悲痛な覚悟を決めて、両手で尻を開いた。桃のような尻の割れ目が開き、肌の色が濃くなった襞が、丸く窄ま
っているのが露わになる。
「へへへ、ケツの穴が丸見えだな。」
 面接官の一人が卑猥な言い回しで、わざと大声で言う。
「あっ、イヤッ!」
 男の指先が肛門をなぞる感触がして、ミキは声をあげ、身体を仰け反らせる。それでも、潜り込んでくる指を拒むこと
は許されない。むしろ男たちの指を迎え入れるように、菊座を露わにしていなければならなかった。
「よし、最後は検尿だ。」
 諸藤がそういうと、スタッフとして動いている町役場の職員が洗面器と紙コップをミキに手渡した。
「さあ、洗面器を跨いで、紙コップに尿を採りなさい。」
 ミキの体から血の気が引いていった。男たちが見ている前で、放尿してみせろと言うのだ。
「そ、そんな…、そんなことできません!」
「検尿は重要な検査だ。是が非でも受けてもらう。」
「…じゃあ、トイレで採ってきます。それでいいでしょう。」
「ダメだ。間違いなく、お前が出した尿だということを確認する必要があるのだ。さあ、さっさと洗面器を跨ぎたまえ。」
 長い間ためらった後、ミキはとうとう洗面器の上にしゃがんだ。お腹に力を入れてみるが、心理的な抵抗があるため
か、なかなか尿が出てこない。
「さあ早く、出しなさい。」
「出るまで、ずっとそうしていなけりゃならんぞ!」
「さっさとしろ!」
 面接官たちが口々に責め立てる。ミキは思いっきり下腹に力を込めた。
「み…、見ないで…」
 哀しげな声でそう言った途端、ミキの股間から薄黄色の液体がチョロチョロと出てきた。ミキは急いで股間に紙コップ
をあてがう。ほのかな暖かさが手のひらに伝わり、すぐに決められた量を満たす。
 あとは、洗面器の中に排尿するしかない。男たちの視線がその一部始終を見つめている中、ミキの股間から出た黄
金色の液体が、音を立てて洗面器に迸る。
「いやぁ…、恥ずかしいっ…」
 ミキがうわごとのように言う。ぶるぶるっと尻が震え、放尿の終わりを告げると同時に、ミキは激しく泣きじゃくった。
「よし、見せてみろ。」
 諸藤はそう言うと、紙コップを手に取って面接官たちに回していく。男たちはコップの中を覗き込み、ニヤニヤ笑いな
がら匂いを嗅ぐ。
(まるで家畜…)
 自分を品定めする男たちの様子を見ていて、ふと、そんな言葉がミキの脳裏に浮かんだ。彼女が売り渡してしまった
もの、それは身体ではなく、人間としての尊厳そのものではないか、そんな不安と恐怖が沸き上がる。
 その先にあるのは、少女には想像もできない世界であった。
 


 
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