国防省附属「星園・癒しの館」第3部
 
第1章 第二世代  2

 たっぷり1時間半をかけた入浴の後、優里はメイク室と呼ばれる部屋に連れて来られた。フロアの広い美容室のよう
な部屋だ。既に数人の女子が来ていて、髪をセットしたり、マッサージを受けていた。
 椅子に腰をかけると、正面の鏡にポウッと朱に火照った優里の顔が映った。浴室を出たそのままの、一糸まとわぬ姿
だ。優里は、思わず手で胸を隠した。
「身体を隠しちゃダメよ」
 優里の洗い髪を備え付けのドライヤーで乾かしながら、女がピシャリと言った。彼女は優里の「担当」と呼ばれてい
る。名前も個人的なプロフィールも聞かされていないが、会話の端々から、美容師の資格を持ち、一流サロンでエステ
ティックの仕事をしていたことがわかる。
 研修所にいる新入生たちは、優里たちのグループ以外にもおり、全体で100名程いる。その一人ひとりにこうした
「担当」がついている。それだけでも、ここが、相当大掛かりな組織であることがわかる。
 研修所に連れて来られたのが今週の月曜日、それから金曜日までの5日間は、地獄のような日々が続いた。ずっと
全裸のまま、朝も昼も夜も、休む間もなく、ひたすら性の手ほどきをされ、男に奉仕する術を身体に叩き込まれた。そ
れだけではない、若いスタッフたちが目の前で精液を注いだ食事を食べさせられ、排泄は見世物にされた。夜は体内
にバイブを埋め込まれ、クタクタになるまで身悶えした末に、気を失うようにして眠った。
 ところが、この土日は、その生活が一変した。土曜日の朝、入浴後に体操服とブルマを与えられ、それを身につける
と、ずっと全裸だった少女たちは、それだけで人心地がついた。食事も普通のものになり、就眠時のバイブ装着もなく
なった。セックス・テクニックの教育は続いたが、知識を付与する授業のようなものに変わった。
 かわって始まったのが、行儀作法や姿勢の矯正といった訓練、そして、全身に対する美容法の施術だった。研修所
最後の2日間、一流モデルさながらのカリキュラムで、少女たちは文字どおり、珠のように磨き上げられていった。
 そして、月曜日の今日、新入生たちは朝5時に起きて、浴室に連れて行かれた。そこでは、自分で身体を洗うことな
く、スタッフが次々にやってきて、体の隅々までマッサージをしながら洗っていった。そして、じっくり時間をかけたメイク
…。とは言っても、化粧をするわけではない、入念なヘアメイクとマッサージが行われていく。
「できたわ、さあ、これを着なさい」
 「担当」が取り出したのは、純白の下着、そして、セーラー・カラーのブラウスにブレザーという制服だった。
「見てごらんなさい」
 制服を着た優里に、「担当」が声をかけた。
「………」
 鏡の中の優里の表情が、躊躇いから驚きに変わる。確かに、そこには自分が写っている。しかし、それは初めて目に
するような、目を見張る程の美少女の姿だった。

 メイクと朝食を終えた新入生たちは、研修所のロビーに集められた。そこには、研修所の若いスタッフが学生服を着
て待っていた。彼らは「男子」と呼ばれていたが、こうして制服を着た姿を見ると、確かに同世代の少年たちである。
「さあ、これから入学式だ。沙希、一緒に登校しよう」
 馴れ馴れしく肩に手を回し、声をかけてきたのは、町田だった。陰険な優等生を絵に描いたような彼は、沙希が気に
入ったらしく、この一週間、機会あるごとに彼女の調教役に回った。執拗に苛められた沙希にしてみれば、憎悪の対象
でしかないが、町田の方は恋人気分でいる。
「ちょっとぉ…、離してください!」
 腕を振り払って、沙希が町田を睨む。
「別にいいだろう。マ×コの奥まで曝け出して、毎日何度もセックスした仲じゃないか」
 部厚い眼鏡の奥でニヤニヤ笑いながら町田が言い、沙希の白い頬が怒りと恥辱でピンクに染まる。これ以上、会話
を続けると自分を抑える自信がなくなった沙希の目に、優里の姿が映った。これ幸いと町田の横をすり抜け、彼女に声
をかける。
「おはよう!」
 こちらを向いた優里が目を見張り、沙希の顔をしげしげと見つめる。
「沙希、今日はすごい可愛い!」
 そう言う優里自身も、凛とした美貌にさらに磨きがかけられている。もともとの素材の良さがあることはもちろんだが、
ここの美容術の確かさは、嫌でも認めざるを得なかった。
 出発の時間が来て、沙希と優里は一緒に研修所を出た。その後ろから、町田がぴったりとついてくる。
 研修所から癒しの館への道のりは20分程度。可愛いデザインの制服に身を包み、普通の街並みを歩いていると、こ
の一週間の出来事が嘘のように思えた。三々五々、数人のグループを作りながら歩いていく生徒たちの姿は、ごく当た
り前の通学風景だ。
 しかし、一旦、隙をうかがって逃げようとすると、その視線は男子学生や、通学路の所々にいる監視役の視線にぶつ
かる。彼女たちの「軟禁状態」は何ら変わっていない。
 歩いていて気がついたのは、沙希たちと一緒に研修所から来たグループ以外にも新入生がいるということだった。そ
の全員が、あの淫辱地獄を経験したのかどうかは、わからない。思い出した途端、沙希の心臓がギュッと縮む思いがし
た。それほどに、恥辱と恐怖に満ちた経験だった。
「えっ、なんやろ?普通の学校やん…」
 やがて、目的地に着いた沙希は、思わずそう呟いた。
「そうね…」
 優里が頷く。確かに、そこは学校だった。城跡を利用した建物は、優里が通う予定だった高校より重厚で趣きがある
ものの、一見して、ごく普通の学校である。
 校門には「国防省付属星園癒しの館 入学式」と墨書された看板が立てかけられている。「新入生のみなさん、こちら
に集まってください」
 正門を入ったところに一人の女生徒が立って、新入生たちに声をかけていた。もちろん、例に漏れず、美少女であ
る。
 美人ばかりいると、特徴がなくて、みんな同じに見えると言う人がいるが、そうではない。実際に美少女を集めてみる
と、一人一人タイプが違い、それぞれの美しさがある。そこにいたのは、和風のキリっとした顔立ちで、立ち居振る舞い
が、どことなく時代劇の武家の娘をイメージさせる女子高生だった。
「みなさんのお世話役になった、2年生の工藤真澄です。生徒会の役員をやってます。よろしくお願いします」
 集まった新入生たちに向かって、キビキビした口調で女生徒が挨拶をした。彼女の胸のリボンは黄色。新入生が赤な
ので、学年によってリボンの色を変えていることがわかる。
「掲示板にクラス分けが張ってありますから、それを見て、クラスごとに2列に並んでください」
 真澄の説明を聞いて、新入生たちが掲示板で名前を探す。沙希と優里は二人ともA組になった。

 午前10時、星園癒しの館が設置されて初めての入学式が始まった。
 式場に当てられた体育館のセッティングは、星園高校当時の入学式と全く変わらない。飾り気のないパイプ椅子が並
べられた会場に、正面に掲げられた国旗だけがわずかに式典の晴れがましさを感じさせる。これもすべて、諸藤館長
のこだわりであった。
 すでに参列者たちは席につき、入学式の開始を今か今かと待つ。右側のブロックには在校生を代表して新2年生が
座っている。新入生が座るのは、今は空席の左側のブロックだ。生徒たちの前後を挟むように座っているのは、入学
式に招待された横木基地の防衛隊員や、特別区内の住民だ。数十倍の競争率を勝ち抜いて、「プラチナ・チケット」を
手に入れた当選者である。そして、最前列には、来賓席がズラリと並んでいる。
「いやあ、先日はどうも…、市長のおかげで、盛飯原発を再稼動させることができました」
 財界のドンと呼ばれる電力会社会長がそう言って頭を下げる相手は、横木市長の稲見久である。物理学者出身で
「改革派市長」として名高い稲見は最初、再稼動反対の立場でコメントをし続けていた。ところが、ギリギリの場面で「電
力不足になったら市民生活が危機に陥る。苦渋の決断で、一時的な再稼動は認めざるを得ない」と言い出し、それが
決定打になったのだ。
「いやいや、私はもともと原発推進論ですからな。まあ、ああいうパフォーマンスがあった方が、政府が決断しやすいで
しょうから、会長のおっしゃるとおり、一芝居打たせていただいたわけですよ。マスコミ各社もきちんと舞台を作ってくれ
ましたしね」
「さすが、中央政界の様子をお見通しですな。原発なしでやっていけることがバレてしまいそうな難しい局面を乗り切っ
て、決断できる政治家、須崎晋次の面目躍如という姿をお見せできて、オヤジも喜んでましたよ」
 須崎首相の秘書である岸上も、稲見に謝意を示す。
「これで、政・財・官・学・マスコミの原子力利権ペンタゴンは将来も安泰だ。原発事故などは、永遠に起こるはずがな
い」
 上機嫌で軽口をたたく電力会社会長に、来賓で来ている他の面々も頷いて笑い合う。
「これより、本年度の星園癒しの館、入学式を開催いたします」
 涼やかな声がして、来賓たちが舞台を見上げる。壇上に立ったのは、星園高校時代に美人教師として知られた篠原
美咲だ。着ているのは、清楚な白いツーピースだが。タイトなデザインのために、体のラインがくっきりと浮かび、乳房
の膨らみやウエストのくびれ、太腿の見事さが強調されている。ハイヒールをはいた細い足首がキュッと締まって魅力
的だ。館の常連の中には、女生徒に混じって、館のカリキュラムの中で成熟した美しい裸身を披露し、淫らなサービス
を提供する彼女のファンも少なくない。
「いよいよ始まりますよ。オヤジも来たがっていたんだが、他ならぬアルメイアに呼ばれては仕方がない。まあ、オヤジ
の分までみんなで楽しみましょう」
 岸上がそう言うと、来賓の面々が頷いた。このメンバーはまさに、この館の仕組みを作った面々でもある。
「新入生、入場!」
 拍手が響く中、新入生たちが参列者の間を通って入ってきた。
 セーラー・カラーの白いブラウスに襟なしブレザーの制服、胸には赤いリボン、上品にデザインされたプリーツの入っ
たチェックのミニスカート。清楚な女子高生のイメージそのままである。
 いずれ劣らぬ美少女の中で、最初に参列者の注目を集めたのは、長い睫毛を伏しがちに歩く沙希だった。清楚、可
憐を絵に描いたような姿に、式に出席している男たちがため息をつき、食い入るように見入っている。
「ほう、この子もなかなか…」
 そんな声に迎えられて登場したのは、優里だった。ショートカットに濃い直線的な眉、キッと結ばれた口もと。勝気そう
な優里の美貌が、緊張のせいか少し強ばって見える。それがまた、参列した男たちの目を惹きつける。
 新入生が席についたところで、美咲の声が響いた。
「国家斉唱」
 全員が起立し、重々しい伴奏が流れる。教師たちが一斉に生徒たちの間をまわり、歌っているかどうか入念に口元を
チェックして回る。
「きちんと声を出して歌え、国家を歌わない者は反愛国者だぞ」
 安達が、沙希の太腿をピシャリと叩いた。沙希がキッとした顔で安達を睨んだ後、わざと大きな声で歌い始めた。安
達の顔に満足気な表情が浮かぶ。気の強い沙希は、既にサディストの安達にマークされているのだ。
「館長先生から、ご祝辞を頂戴します」
 そうアナウンスされて、防衛隊の制服を着た諸藤館長が登壇した。中肉中背で眼鏡をかけ、特徴のない顔立ちという
ところまでは、以前の彼と変わらない。しかし、この1年で身にまとう空気は完全に変わっていた。
(たいした風格だ…)
 来賓として列席した文教省の官僚、富士善三が感慨深げに諸藤を見た。富士が知り合った当時、輜重部隊の下士
官にすぎなかった彼は、影が薄く、どちらかと言うと冴えない男だったが、こうして目の前に立つ諸藤を見ると、まるで別
人のようだ。
(まるで王様だな…)
 その感想は当然であった。今や、諸藤は、この館の主として、国防省・防衛隊はもとより、政財官のトップたちとの人
脈を手にし、絶対的な権勢を誇っているのだ。
「新入生の諸君」
 諸藤が言葉を発すると、会場がシーンと静まり返った。もとから、魔術的な声と称されていた男だが、朗々とした喋り
方に一層、迫力が増している。
「諸君は今日から、星園の慰安嬢として生活することになる」
 勿体ぶったところのない諸藤は、前置きも何もなく、いきなり核心に入る。
「今日この日から、諸君たちの身体は国有財産となった。その唇も、乳房も、性器も、肛門も、身体のいかなる部分も
諸君らが自由にしてよいところはない。全て国の指示に従って、ひたすら男の性欲を満たすために用いられる。このこ
とは、しっかり肝に銘じておくように」
 一人一人の顔を睨めつけるようにして言う諸藤の言葉に、新入生たちの顔が強ばる。十五、六歳の少女たちにとっ
て、それは悪夢の世界に紛れ込んだ恐怖そのものだった、
「しかし、諸君たちは売春婦ではない。あくまで清純な乙女であり、教養溢れ、淑やかな大和撫子でなければならない。
したがって、ここでは礼儀作法も厳しく躾けられ、魅力的な淑女として育つためのあらゆるカリキュラムが組まれてい
る」
 優里は研修所での最後の二日間を思い出していた。諸藤の言葉はけっして、誇張ではなく、女性を磨き上げる技術
は相当高いレベルにある。しかし、少女たちにとって、それはけっして幸福なことではないだろう。
「もちろん、諸君らのためではない。諸君らの身体を楽しむ方々の、趣向をそそり、気分を高揚させるためであること
は、言うまでもない。羞恥心を失わない諸君らが、恥ずかしい思いに耐えながら、身体を捧げ尽くすことに意味がある
のだ」
「勝手なことを言わんでよ…」
 ポツリと呟く小さな声が聞こえた、優里が視線を送ると、沙希が壇上の諸藤を燃えるような目で睨みつけている。
「最後に、この式典が『入学式』となっていることでもわかるとおり、ここは学校でもある。諸君がここで3年間を過ごせ
ば、高校卒業の資格が与えられるから、安心して、日々の慰安に勤しみなさい」
 諸藤が来賓席に目をやると、この4月に文教省の局長に昇任した富士が頷く。これが諸藤のこだわりでもあった。彼
は、あくまで学園を作りたかったのだ。
「次は、在校生からの歓迎の言葉です。生徒会長、普通科3年の森脇亜弓さん」
 会場全体から割れんばかりの拍手が起きる。登壇したのは、背中までまっすぐ伸びた黒髪が印象的な女生徒だっ
た。それほど背が高くはないのに、マイクに向かって立っただけで、存在感を感じさせる。端正な顔立ちに眼鏡がよく似
合い、知的な印象を強めていた。
「新入生のみなさん…」
 憂いと熱情をたたえた切れ長の目が新入生たちを見つめ、祝辞が始まった。
「あの人、素敵だわ…」
 優里がそう呟いて、憧れの目で亜弓を見つめる。変な意味ではなく、思春期の少女にありがちな傾向で、異性よりも
同性の美しさ、可愛らしさに目がいくタイプのようだ。その横で、沙希は警戒心を浮かべた表情を壇上に向けている。
「…たいへんなこともあると思いますが、みんなで力を合わせていきましょう」
 拍手が会場を包む。とりわけ、在校生の女子たちが、ひときわ大きな拍手を送っているのが沙希の印象に残った。
「続いて、私から、ここで生活していくうえでの、諸注意をお話します」
 亜弓が言葉を続け、壇上に設置されたスクリーンに、横木港特別区の概略図が映し出される。
「みなさんが移動できるのはこのエリア内です。この癒しの館と寮、及びその周辺です。これ以外の場所に行く必要は
ありませんし、行く事は出来ません」
 館と周辺の施設などを紹介した後、亜弓が表情を改めてそう言った。
「最悪、侵入者と間違って銃殺されてしまう可能性もあるので、近づかないように注意してください」
 銃殺という言葉を聞いて、新入生たちの表情に緊張が走る。やはり、ここは尋常な所ではなさそうだ。
「それでは、みなさんの椅子の下に置いてあるサブバッグを開けてください。これから、中身について、説明しますから、
一つずつ取り出して、確認してください。…まず、この錠剤です」
 亜弓は持ってきた自分のバッグを開けて、小さなピルケースを示す。
「これは慰安嬢にとって大切なお薬です。これを飲んでいれば、膣内射精されても妊娠しません。それだけではなく、生
理も止まって、毎日でもセックスすることが可能になります。衛生部が技術の粋を集めて開発したもので、通常のピル
より効果が高く、副作用の危険性も小さくなっています。これは毎日支給されますので、必ず飲んでください」
 新入生たちに不安げな表情が広がった。避妊薬を常用して、毎日男性とセックスする…、ここで待っている生活の異
常さに慄然とする。
「なに言いよると、あの人?同じ女の子に、ようあんなこと言えるっちゃね!」
 憤慨した口調で沙希が呟く。その目は、怒りに燃えて壇上の亜弓を睨んでいた。
「そうは言っても、膣内に射精できるのは性病検査を受け、登録されたお客様だけです。それ以外の人たちとセックス
するために…」
 そう言うと、亜弓はコンドームの箱を示した。
「一箱に10個入っていますが、だいたい二、三日で無くなってしまいます。館で支給はされませんので、各自、エリア内
のお店で買ってください」
「買い物をする時は、この身分証明書を見せれば、お金は要りません」
 配布された身分証明書を見て、優里が愕然とした。使われている写真は、朝のメイクの時に撮影されたもので、乳房
を露わにした裸のバストショットだ。中を開くと、陰部をアップで写した写真が印刷されている。買い物をする度に、これ
を店員に見せなければならないらしい。考えただけでも、冷や汗が出て、顔が赤くなってくる。
「そして、これも入っていますね」
 亜弓が示した物を見て、優里の顔が強ばった。見ると、サブバッグの中に卑猥な淫具が入っている。それは、研修所
での5日間、彼女の身体を虐めた擬似男根だった。
「一つ一つ、みなさんの身体に合わせて作られた特注品です。フェラチオの練習やオ××コの訓練、公開オナニーなど
でしょっちゅう使うことになりますから、大切に扱ってください…」
 恥ずかしそうに言った後、さらにいくつかの注意事項を説明して、亜弓が降壇した。司会の美咲が、かわって壇上に
戻る。
「今年度の新入生は普通科120名、体育科80名の合計200名です。それでは、入学生を呼び上げます。呼ばれた
ら、壇上に上がってください」
 そう言うと、美咲は手にした名簿を読み上げる。
「武口優里」
 名前を呼ばれた優里が壇上に上がる。50音順ではない、優里が最初に呼ばれたのは、新入生のレベルの高さを参
列者に印象づけたいという、館側の思惑によるものだ。事前のリサーチ段階から、彼女は新入生の中でも指折りの玉
だという評価がついている。もちろん、本人はそんなことは知らない。
「1年A組、武口優里です。よろしくお願いします」
 会場から拍手が起きる。最初から期待以上の美少女の登場に、参列者の視線が彼女に釘付けになっている。
「………」
 事前に指示されたとおり、参列者に深々と一礼した後、優里は舞台のギリギリまで前に来た。躊躇いがちにスカート
の中に手を入れ、パンティを脱ぐ。顔一面にカーッと朱色がきざしていく。
「おおっ!」
 期せずして会場内から一斉に声が上がった。
 下から見ると、ミニスカートから、むっちりした太腿がほぼ付け根までのぞいている。下腹部を飾る繊毛がチラチラと
見えているのだ。最前列に陣取る来賓たちの熱に浮かされたような顔に気づき、優里は思わず手でスカートの裾を押
さえた。無意識のうちに、足がガクガク震えている。
(恥ずかしい…)
 思った途端、スカートの裾に手をかけた指が強ばる。
「さあ、がんばって…」
 哀しげな表情を見せながら、美咲がそう促した。優里はため息を一つつくと、おずおずと裾を捲り上げた。逆三角形
の恥毛に飾られた白い下腹部が露わになる。
「ほう、アソコの毛は、思ったより濃いんだな…」
 最前列に陣取った来賓の一人が、覗き込むようにして呟く。キリッとした優里の眉がギュッと歪み、顔面からは今にも
火を噴かんばかりに赤くなる。
 顔を伏せたまま、優里が太腿を開いてガニ股になった。見上げる参列者の視線に、白い太腿の狭間のプックリした
大陰唇が露出した。
「おっ、見えた!」
「すごいなぁ…」
 そんな声が会場のあちこちから見える。
「私のお…、オ××コ、見てください」
 優里はそう言うと、左手でスカートを持ち上げたまま、右手の指で割れ目を押し開く。肉扉が開かれ、ピンクの粘膜が
現れる。
「おー!」
 会場を揺るがすような男たちの歓声が上がり、露わになった陰部に視線が集中する。目を見張るような制服姿の美
少女が、まるで客席に向かって立ちションするような格好で、女の子の最も恥ずかしい部分を剥き出しにしているのだ。
(ああ…、恥ずかしいよぉ…)
 強烈な羞恥に優里はぐっと唇を噛み、悲しげに首を振った。実際に性器を見せるのは数十秒なのだが、そのわずか
な時間が永遠に続くように感じる。
「色は桜色ですかね…、さすがに、若い娘のアソコはきれいな色ですな」
「ビラビラの形も崩れてなくてキレイだね、じっくり触ったり、舐めたりしてみたいね」
「大陰唇もふっくらしていて、気持ち良さそうだ」
 男たちが声高に優里の性器を品評する声が聞こえる。
『君たちの体はもはや君たちの物ではない、国の共有財産である』
 さっき聞かされた館長の挨拶の言葉が耳に甦る。それは、セックス奴隷になるための儀式だった。消え入りたくなる
ような恥ずかしさとともに、言いようのない屈辱と、これから自分の身に起こる事への不安が、込み上げてくる。
「後ろ…」
 美咲の声が聞こえた。次は参列者に肛門を晒すのだ。
 ギュッと唇を噛み、くるりと後ろを剥いた優里は、剥き出しのお尻を突き出し、両手を尻たぶに掛けて割れ目を開い
た。やや褐色がかった肌色の中心に、おちょぼ口のような菊座が見える。
「私は、このオ××コも…、お尻の穴も、すべてお国のために捧げます。どうぞ、よろしくお願いします…」
 屈辱で泣き出しそうになるのをこらえて、決められた口上を述べると、拍手と歓声が起こる。優里は壇上から降り、来
賓席の正面に座る稲見の前に立った。
稲見が照れくさそうに笑って、他の来賓の顔を見た。盛飯原発再稼動の功労者が、今日の主賓になる約束だ。
「失礼します」
 目を伏せた優里は、床に両膝をつき、パイプ椅子に腰掛けた稲見のズボンのチャックを、しなやかな指使いでおろし
た。
 いきり立った肉棒を取り出して、握り締め、繊細な指先でキュッキュッと優しくしごく。指の中で、反りの効いた肉棒が
ますます膨れあがった。周囲の来賓がその様子をじっと見ている。
「どうした?」
 優里の動きが止まったのを感じて、稲見が声をかけた。
「いえ…」
 ごまかしたものの、優里の躊躇いは明らかだった。衆人監視の中で、男のペニスを舐めしゃぶる淫らな姿を晒すの
だ。さっきの自ら性器を見せた時と変わらないぐらいに恥ずかしくて、屈辱的である。
「早くやりなさい」
 わざと厳しい声を作って、稲見が言った。初心な娘にフェラチオを強制する興奮に、内心は心躍らせている。
「は…い…」
優里は覚悟を決めて、肉棒の先端に軽いキスをする。周囲の男たちが固唾を飲んで、それを凝視している。
 思い切りよくやることで恥ずかしさを追い払おうと、優里はキュッキュッとしごきながら、そのリズムに合わせ、怒張を
頬張った。肉の急所をツンツンと舌で突いては、竿全体を唾液とともに緩やかに舐めあげ、そして唇全体で締めつけ
る。この一週間で叩き込まれた、男を悦ばせるテクニックだ。
「よし、うまいぞ…、いい気持ちだ…」
 稲見が満足げそう言った。温かく甘美な唾液にヌルヌルに包まれて、下半身を痺れさせる感覚を味わっている。
 優里は目元を真っ赤に上気させ、ドス黒く勃起した肉棒をクチュクチュと唇でしごきたてる。そうして時折、口腔から出
しては、亀頭全体や縫い目あたりへ舌を擦りつけるのも怠らない。研修所で教えられた口技を駆使すると、男はたちま
ち追い込まれていく。
「うぅっ、いいぞっ…」
 稲見が呻き声を漏らした。そろそろ射精が近づいている。
 優里は、柔らかな唇をぴっちり巻きつかせて、とどめのストロークに入った。指先は根元に絡めて強くしごき、片手で
は玉袋の底をすっぽり包んで巧みにマッサージする。
「うっ、おおう…」
 稲見がブルッと身震いした。肉棒がビクビクと痙攣し、優里の口の中が男の精液で満たされていった。

 入学式が終わり、参列客が外に出ると、先に退場した新入生たちが、体育館の出口から花道を作るように一列に並
んでいた。
「さあ、入学祝いに皆さんのオ×ン×ンを入れてあげてください。どの子でも、好きな子を選んでいただいて結構です
し、何人かに入れて比べてみても、結構ですよ」
 先頭に立っていた亜弓がそう言うと、新入生全員が後ろ向きになって上半身を倒し、剥き出しのお尻を突き出した。
 待ってましたとばかりに、一群の男たちが思い思いに新入生に近づき、気に入った娘を物色し始めた。彼らは横木基
地の司令部や政財界の面々で、いわばこの館の常連と言ってよいグループだ。
 男たちは最初から挿入したりはしなかった。少女たちに近づいては、ゆで卵のようなお尻やむっちりした太腿を撫でさ
すり、ブラウスの中に手を入れ、ブラジャーをずらして、乳房を鷲掴みにする。
「あ、ああ…いや…」
「あうっ…」
 身体を弄られ、身を捩らせる少女たち。しかし、淫らな態勢を崩すことは許されない。男たちに玩具にされながら、新
入生たちは、ひたすら耐えるしかなかった。
「おい…」
「そうだな…、俺たちも…」
 たまたまプラチナ・チケットを手に入れた若い防衛隊員たちが頷きあう。躊躇いがちに常連たちの様子を見ていた他
の男たちも、我慢しきれず、新入生たちの方へ進んでいった。
 いずれ劣らぬ美少女とは言っても、こうして並べてみると、様々なタイプの子がいる。参列者たちは、その中で好みの
タイプを探すのだが、中でも際立って人気を集め、男たちが群がる娘が随所にいた。
 そんな一人が沙季だった。彼女の周りは、あっという間に黒山の人だかりになっている。新入生紹介で、最初の順番
に当たった優里が女陰を披露した時、会場は大いに盛り上がったが、クライマックスの沙希の時には、逆に会場はシ
ーンと静まり返った。
 あまりに清楚で可憐、人形のような美少女ぶりに、みんなが圧倒され、固唾を飲んで見入っていたのだ。そんな沙希
が目の前で、染み一つ無い白い柔尻を掲げている。
 男たちは夢中で、その身体に触れ、柔らかな感触を楽しんでいた。
「う…う、ああっ」
 男たちの指が割れ目をなぞり、二枚の花弁に触れ、膣内にまで侵入する。半ば観念し、諦めもしたはずだが、それで
も見知らぬ男に秘所をまさぐられるたびに、涙がこぼれてくる。その様子が、男たちの嗜虐心をくすぐり、さらに興奮を
高めていく。
 ついに最初の男がのしかかり、沙希の中心部に肉棒が突きたてられた。財政省を代表して来賓として参列していた
中年男だ。須崎首相の耳元で消費税増税を囁き続け、省内の有力者にのし上がった。館の予算確保のキーマンでも
ある。
「キャアアッ!」
 沙希の悲鳴があがった。抵抗する身体を押さえ込み、男はヘラヘラ薄笑いを浮かべ、乱暴に埋め込んでいく。
「これは、気持ち良い…」
 潤みに満ちた柔肉の蠕動を感じて、男はいかにもうれしそうに言い、夢中になって沙希を犯し続ける。
「あッ、あッ、あン…」
 悩ましい声でスタッカートさせ、沙希が妖しくヒップをうねらせる。
 沙季に負けず劣らず人が集まっているのは、やはり優里の周りだった。
「ああっ!」
 防衛隊の制服を着た男が、優里の後ろに立ち、白い双臀をグイとばかり押し広げた。滑らかな光沢を放つ尻たぶが
大きく割れ、柔らかい繊毛の翳りとともに羞恥の源泉が丸見えになる。優里の花芯は処女のように楚々としたままだ。
ぴったりと口を閉じ、小陰唇がキスをする時の唇のようにわずかに突き出ている。
 男は反りの効いた肉棒で愛液にぬめる肉孔をさぐりあて、ゆっくりと腰を進めた。
「あはン…」
 制服の背中が弓なりに反った。狭いとば口を突破した硬直が、からみつく肉襞を押し広げて、柔らかい内部に潜り込
む。
「へっへ、いい感じだな。こんなに気持ちいいの、初めてだぜ」
 男はペニスの根元までぴっちり埋め込んで、粘膜が包み込む快感に酔いしれるように、ゆっくり反復運動に入った。
 一列に並んだ新入生たちは、次々に男に犯されていく。もはや参列者たちに遠慮など微塵もなく、ひたすら若い娘の
身体を貪り、欲望を解放していった。
「あ…、ああ…っ、あ…あ……っ」
 男根で肉孔をえぐられる度に、沙季の喘ぎ声はどんどん高まり、やがて悩ましいよがり泣きへと変わった。セクシーな
くびれを見せる細腰も、うねりを見せている。
 溢れる愛液を迸らせながら怒張が、ネチャッネチャッと音を立て、柔肉の淫裂を出入りする。男が腰の動きに強弱を
つけると、狭い肉路が痙攣を起こしたみたいに、肉竿を絞り込んできた。
「あっ…あン、ああァ」
 沙希の喘ぎ声が一足飛びに高まっていく。同時に、自らも積極的に腰を振り、男の肉棒を粘膜で擦り上げる。
 星園の慰安嬢が生身のダッチワイフであることは、許されない。しかも、機械的に男の性欲を処理するのではなく、自
らも男と性感を共有し、喘ぎ、悶え、昇り詰めることが求められる。研修所での淫辱地獄の日々は、少女たちの身体を
徹底的に開発し、淫らに造り変えるためのものであった。
「ううっ、はあぁ…、いやっ、イッちゃう…ううッ!」
 沙希は男の動きに合わせて下半身をうねらせ、ぴったり呼吸を合わせたように昇りつめてゆく。ミニスカートから出た
双臀が、ストロークを浴びるたびに、プルプル揺れる。
「うっ、ううっ…」
 呻き声を漏らして、ついに男は快楽の頂上へ達した。沙季の胎内で男の肉棒がビクンビクンと痙攣を繰り返す。
「い、いいっ、あウウ…いい」
 同時にピンク色に上気した沙季の美貌が艶っぽく歪み、見物人たちの前で昇りつめる。光沢のある黒髪がハラリハラ
リと乱れる。
 一方、優里に抱きついていた男はラスト・スパートに入り、力強く腰を打ち据えていた。
「ううあぁっ…」
 優里の首がカクカクっと揺れ、絶頂を告げる声が噴きこぼれた。その直後、背中が反り返り、黒髪がザワっと乱れ踊
って、肩口に散った。男が果てるのと同時だった。
「よし、次は俺だ!」
 そんな声が聞こえたかと思うと、休む間もなく、次の男が優里の腰を抱え込み、肉棒を押し込んだ。
「もう…許して…」
 優里が振り返り、小さくいやいやする。しかし、それは男のサディズムを掻き立てるだけだった。
「思いっきり感じていいぞ。そらっ、そらっ、そらっ……」
 男は卑猥に腰をグラインドさせては、優里の身体を荒々しく前後に揺さぶる。その手は、はだけた胸からこぼれ出た
乳房を、思いきりいやらしくこねくりまわしている。
「うぅ…、ううぅぅ…」
 優里のくぐもった呻きがこぼれ、目にしみるように白い双臀がうねり始めた。双乳の揉み心地を堪能しながら、男は
背後からズブリズブリ突きまくる。打ち込まれた肉棒が膣内を擦るたび、優里の身体の奥から快感が湧き起る。
「あっあうっ、うう…」
 バックから容赦なく犯し抜かれる快感に、優里は白く美しい歯をカチカチ鳴らして悶え泣いた。見知らぬ男とのセック
スを嫌悪していても、感じたくなくても、調教された性感はますます燃えさかり、形のいいヒップを悩ましくグラインドさせ、
反応してしまう。
「見ろよ、この子、感じまくってるぞ」
「可愛い顔して、スケベな体だな」
 周りで見物している男たちの卑猥な会話が聞こえてきて、思わず耳を塞ぎたくなる。
「時間はたっぷりありますので、みなさん漏れなく、挿入していただけます。慌てないで、ゆっくり、新入生たちの身体を
試してあげてください」
 亜弓の言葉が、新入生たちの耳に無情に響いた。



 
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