M.Oの物語
 
第1章 「城館」の恋人たち 1
 
 今日は大城まどかの18歳の誕生日。ちょうど秋晴れの日曜日だったので、ボーイフレンドの亮に誘われてデートに
出かけた。
 ウインドウショッピングをしながら、にぎわう休日の街を歩いている二人は、人の目を集めるカップルだった。
 白いブラウスの上にブラウン系のジャケット、膝より少し短めのチェックのスカートという、秋らしい清楚でシックな装い
のまどかは、モデルにしてはちょっと小柄ではあるが、まるでファッション雑誌から抜け出したようだ。アーモンド型のパ
ッチリした目、小さく整った鼻が可愛らしく、キュッと締まった小ぶりだが厚めの唇はちょっとセクシーである。ふっくら丸
みを帯びた輪郭を肩まである黒髪が飾り、表情豊かにおしゃべりをする仕草に合わせてサラサラと揺れる。擦れ違う男
を振り返らせるだけの美少女だ。
 一方、グレーの上下に身を包んでまどかの隣を歩く亮も、背が高く、キリッとした端正な顔立ちの青年で、周囲の娘達
の熱い視線を集めていた。彼はまどかの高校の先輩で、今は都内の有名私立大学に通っている。先月、高校の文化
祭に亮が遊びに来た時に二人は再会し、それからつきあい始めたのだ。
 映画に行ったり、買い物を楽しんだりしているうちに、いつのまにか日暮れ近くになり、二人はゆっくりと夕焼けの公園
を散歩していた。
 公園の中を歩き回ったり、芝生の縁に肩を並べて腰をおろしたりしてから、二人がブラブラと公園の出口に向かって
歩くと、そこには一台の黒いタクシーが停まっていた。
「乗れよ。」
 前を歩いていた亮がタクシーの横で立ち止まって、まどかの顔を見た。
「えっ?どこに行くの?」
「それは、行ってからのお楽しみだよ。」
 二人が乗り込むと、亮が運転手に一言も口をきかないうちに、タクシーは静かにスタートした。
(あら…、行き先を言ってないのに…)
 そう不審に思いながら、車内を見渡したまどかは少し妙な印象を受けた。運転席には確かにメーターもついているの
だが、どこにもタクシー会社の名前がない。まどかは、ちょっと不安になった。再び行き先を尋ねようとした時、亮がまど
かの方を見て言った。
「ジャケットを脱いでこちらへ渡せよ。それにバッグもだ。」
 厳しい声の調子に驚いて見たその表情は、これまでまどかが見たことのない冷たいものだった。恐くなった彼女がジ
ャケットを脱ぎ、バッグとともに黙ってそれを渡すと、亮は彼女の手が届かないところへ置いて、また言った。
「ストッキングとパンティを脱げよ。」
「えっ!」
 いきなりそう言われて、まどかは思わず聞き返した。
 亮が自分の身体を欲しがっていると思ったまどかは、表情も身も固くした。もちろん、彼女も思春期の少女である。恋
人に求められたらどうしようという、ときめきとためらいがない交ぜになった思いは持っていないわけではない。しかし、
亮とまだキスさえしていなかったし、男性に抱かれる決意はまだできていなかった。ましてや、こんなところでは、タクシ
ーがスピードをあげているので外から覗かれることはないにしても、運転手が振り向きはしないかという心配もある。
「私、まだ…、いや…」
 うつむいて消え入りそうな声で、まどかがそう答えたのを聞いて、
「じゃあ、仕方ないな。」
と言ったのは、意外にも亮ではなくて、運転手だった。それに応えるように、亮がまどかの手首を掴む。
「やめてっ!いやっ!」
 亮は悲鳴をあげて抵抗するまどかの両手を、どこからか出してきたロープで後ろ手に縛った。続いて、ストッキングと
パンティを脱がせると、彼女から受け取ったバッグを開いて中へ押し込んだ。
「スカートの上に腰をおろさないように、シートにじかに腰をおろすように座らせるんだ。脚を組んだり、両方の膝をしめ
合わせたりさせるなよ。」
 運転手の命令で亮がスカートの裾を持ち上げる。まどかは、レザー張りのシートが腿にぴったりはりつく感触に、なに
かゾッとするような感じを受けた。
「動くんじゃないよ。」
 そう言う亮の手には小さなナイフが握られていた。
「きれいな肌に傷がついちゃうといけないからね。ぜったいに動いちゃあいけない。」
 そう言いながら、彼はまどかのブラウスのボタンを外し、ブラジャーのつり紐を探り出すと、小さなナイフで切って、そ
れを外した。
(レイプされちゃうっ!)
 まどかは、そう心の中で悲鳴をあげたが、しかし、不思議なことに、それ以上男達に乱暴されることはなかった。タク
シーは相変わらず走り続けており、亮は腕を組んでまどかの横に座ったまま、口をきかず黙りこくっている。
 やがて自動車は山道を登っていき、両手の自由を奪われているまどかの身体が左右に揺れた。ブラウスのボタンは
外されたままで、開いた胸元から瑞々しい胸の膨らみが露わになっている。どこへ行くかもわからない車の中で服をむ
しり取られ、まるで生け贄に捧げられるような格好にされて、不安は募っていくのだが、男達が自分をどうするつもりな
のか、彼女にはあえて訊ねるだけの勇気がなかった。
「着いたよ」
 とつぜん亮が言った。
 その言葉どおり、タクシーは山間の駐車場に停まった。目の前には、ヨーロッパの校外にでも建っていそうな邸宅が、
森の木々に囲まれて夕闇の中に浮かび上がっている。その他に建物はなかった。
「いいかい、よく聞くんだ。」
 亮が言った。
「車から降りて、あの山荘のドアの前に立っているんだ。そのうち誰かが出てくるから、ドアを開けてくれた人について行
き、その命令どおりにするんだ。もし君が逃げようとしたり、抵抗しようとしたら、相手は嫌でも言うことを聞くようにする
からね。恐い目や痛い目に遭いたくなかったら、大人しく言うことを聞くんだ。」
 まどかは恐怖に目を見開き、身体をガクガク震わせてうなずいた。
「さあ、行くんだ。」
 運転手の声を合図にドアが開いた。
「僕の役割は君をここに連れてくるところで終わりだ。君のバッグはもう必要ないから、このまま僕が持って行くよ。」 
 そう言う亮に押し出されるようにして、まどかはよろけるように車を降りた。
「そのうち、僕も行くよ。」
 背中で亮の声がそう言うと、バタンと音を立てて車のドアが閉まり、ゆっくりと発進して行った。
「待って!」
 心細くなってまどかが追いかけたが、車はどんどんスピードを上げていき、すぐにあきらめざるを得なくなった。立ち止
まって振り返った彼女の前にそびえ立つ洋館は、車中で見たよりもずっと大きく、ずっと禍々しく彼女の目に映った。

 まどかが重々しいドアの前に立っていると、ふいにドアが開き、二人の女が出てきた。いずれも20歳前後の美しい女
だったが、その服装は少し変わっていた。
 足まで隠すような裾の長い、花のようにふくらんだスカートをはき、胸をぐっと突き出させるようなコルセットを閉め、襟
と肱までの長さの袖にはレースの飾りがついている。まどかが『フランス人形みたい…』と思ったそれは、18世紀フラン
スの小間使いが着ていた服装だった。そして、首のまわりには革でできた首輪を、手首には同様の腕輪をきゅっとしめ
ているのが目についた。
「いらっしゃい。」
「待っていたわよ。」
 女たちは口々にそう言いながら、まどかをドアの中に招き入れた。まどかは両側から抱えられるようにして、数段の階
段をのぼると、赤い絨毯を引いた広い廊下を歩いて行った。そして、廊下に面したドアをくぐって、一つの部屋に入る
と、女たちは彼女を一人残して出ていった。
 そこは20畳ほどの部屋だった。見たところ普通の洋室で、居心地も悪くなかったが、どこか奇妙な感じがする部屋だ
った。床には厚い絨毯が敷き詰められているが、家具は一つもなく、あたりはすっかり作りつけの棚で囲まれていた。
 まどかは相変わらず後ろ手のまま両手を縛られ、立ったままで、ここに30分か、1時間か、それとも2時間かわから
なかったが、とにかく彼女にとっては一世紀とも思えるほど長い間放っておかれていた。
 やっとドアが開いて、さっきの女たちが戻ってきた。
 一人の女がまどかの両手を縛るロープをほどき、もう一人の女が彼女に向かって言った。
「さあ、着ているものを脱いで。これからバスに入って、お化粧をしなければならないのよ。」
 そこで彼女はすっかり裸にされ、衣類は棚の中にしまい込まれた。
 バスは隣の部屋にあった。まどかは温かいお湯で満たされたバスタブに浸かったが、しかし、ひとりで自由にバスを
使えるわけではなかった。自分で身体を洗うことは許されなかったのだ。
 女たちはバスタブの中でまどかを立たせると、ボディソープを泡立てて彼女の体に塗っていく。一人の女が泡立てた
ボディソープをつけた両手で、背後から胸の膨らみを揉むようにして洗い、その間に、もう一人の掌が腹から下腹部、
背中、尻、太股と這い回る。ヌルヌルする手で全身を撫で回され、ゾクゾクするような感触が何度も背中を駆け抜けて
いく。
「ひゃっ!そ、そこは…」
 まどかがいきなり悲鳴をあげた。背中から乳房を揉み洗いしていた女の指先が彼女の肛門に触れたのだ。同時に、
もう一人の女の指が陰裂に侵入した。
「あっ、ダメっ、あぁ…」
 なんとか逃れようともがいたが、さほど力を入れている様子はないのに、女たちは完全にまどかの動きを抑え込んで
いた。
「あっ…、うっ…、くうぅ…」
 二人の女のほっそりした指先が、前と後ろの敏感な部分を、襞一本一本なぞるように洗っていく。まどかはあまりの刺
激に洩れそうになる喘ぎ声を、必死で押し殺していた。
 女たちに身体の隅々まで洗われた後、まどかは全裸のまま大きな肘掛けのついた椅子に座らされた。彼女の真正面
には、壁の上から下までを占める大きな鏡があった。
「両手は肘掛けに乗せて。脚を組んだり、膝をぴっちり締めてはダメよ。そうでないと、また縛らなきゃいけなくなるわ
よ。」
 ロープで縛られていた両手はまだヒリヒリする。このうえまた縛られたくなかったまどかは、素直に女の言うことに従っ
た。彼女の視線が鏡にぶつかるたびに、体を開いた自分のあられもない姿が映って見え、頬が熱くなった。
 椅子は美容院のように、背もたれが後ろに倒れた。二人の女たちは、まどかの頭を洗い、ドライヤーをかけ、髪をセ
ットしていった。それは、少なくとも一時間ぐらいは続く作業だった。
 次に女たちは、まどかに化粧を施していった。まぶたには軽くシャドウがはかれ、ピンクのルージュが唇に塗られる。
彼女の顔が少しだけ大人び、ハッと息を呑むほど美しくなった。
 しかし、「化粧」はそれでは終わらなかった。
「あっ!」
 思わぬ刺激にまどかは声をあげ、両手で胸を庇った。女たちが手にした刷毛で、まどかの乳房の先端にルージュを
塗り始めたのだ。
「じっとしてなさい!」
 厳しい表情で女に睨まれたまどかは、おずおずと両手を下げた。女は彼女の乳首と乳暈をバラ色に染めていった。
刷毛が這う度に、背中にピッと電流が流れるように感じ、みるみる乳首が硬く勃起していった。
 さらに女たちは、彼女の両脚の膝を椅子の肘掛けに乗せ、露わになった陰唇の周囲を頬紅で彩った。股間はパフで
撫で回されて熱くなり、まどかは自分の秘めた肉襞がぬめりを帯びてくるのを感じた。
 最後に腋の下、恥毛、尻の間の溝、乳房の下と手のひらに甘い香りのする香水がふりまかれて、やっと彼女のメイク
が終わった。
 バス・ルームを出たまどかは相変わらず全裸のまま、ある小部屋に連れて来られた。この部屋には大きな三面鏡と、
壁にとりつけた四つ目の鏡があって、彼女の一糸まとわぬ全身をくまなく映し出していた。
「その椅子に座って、待っているのよ。」
 彼女を連れて来た女が、鏡に囲まれて置いてあるクッションつきの椅子を指さして言った。その椅子は黒い毛皮で覆
われていて、座ると、その毛皮が裸の体にチクチクと当たった。
「一人でいる時も、身体を隠しちゃあだめよ。」
 そう言って女たちが出ていくと、まどかは部屋の中を見渡した。フローリングの床に黒い絨毯が敷かれ、四方の壁は
赤色に塗られていた。一方の壁には大きな窓があって、そこからは、立派な洋風の庭園が見える。夜の闇の中で庭の
木々が風にゆれ、輝く月が雲間を走っていた。
 それからしばらく、彼女はこの部屋に放っておかれた。部屋には彼女一人しかいないはずだったが、時折、誰かにじ
っと見つめられているような感じがして、思わず身体を隠したくなった。しかし、その度に、身体を隠さないようにきつく言
われていたことを思い出して、グッと堪えた。
 再び、二人の女が戻って来た。一人は裁縫用の巻き尺を手にもち、もうひとりの女は籠を持っている。そして、男が一
人、女たちといっしょに部屋に入って来た。
「キャッ!」
 まどかが叫んでとっさに小さく丸まり、椅子の上で膝を抱えて、男の視線から逃れようとする。
「動くなっ!」
 鋭い声で男が怒鳴った。布製の黒い手袋をはめたその手が、腰のベルトにはさんだ革の鞭にかかっている。言うこと
を聞かなければ、男は鞭で自分を打つつもりだろう。まどかはその恐怖心から身を硬くして、膝を床に下ろし、おずおず
と両手を椅子に乗せた。プルンと白い乳房が露わになる。
 おそるおそる男を見ると、女たちと同様、男も奇妙な服装をしていた。
 袖つけのところはゆったりとしていて、手首のところで袖がキュッとしまり、足を運ぶたびにウエストから下が開くように
なっている紫色の長いガウンをまとっている。ガウンの下に穿いているタイツのような物は、両脚と腰は覆っているが、
勃起した陰茎だけがむき出しになっていた。グロテスクな男性自身を目の当たりにしたまどかは、思わず目を背けた。
「いいか、作業が済むまで動いてはいけないぞ。」
 そう言う男は、目と口しか穴のあいていない頭巾で顔を覆っていた。
「急いで用事をすませろ。」
 男にそう言われて、巻き尺を持った女がまどかの首まわりと手首の寸法をはかった。ちょっと小さめではあったが、標
準のサイズだった。もう一人の女が持っていた籠の中から、自分たちがしているような革の首輪と腕輪を取り出した。
それは、革をいく枚か張り合わせたベルトのようなもので、全体で指一本分に足りないほどの厚みを持っていた。
 男はそれを受け取ると、肌に少しの傷もつけないように、また、ごく細い紐を通せる程度のすき間を作ったうえで、腕
をきっちり締めつけ、首輪をしっかりとはめた。それは、歯止め式に南京錠のように自動的に閉まるようになっており、
歯止めのちょうど反対側の部分には金属のリングが一つついていた。
「これで、この鍵を使わなければ開かない。」
 男はそう言って、女の籠に入っている小さな金の鍵をまどかに見せた。
「さあ、立ちなさい。」
 男はそう命令してまどかを立たせると、自分がかわって毛皮のクッションの上に腰を下ろし、自分の膝近くまで彼女を
引き寄せた。
「あ…」
 まどかが身じろぎした。男が手袋をはめた手で彼女の乳房を掴んだのだ。とっさに男の手から逃れようとする彼女
を、背後から女たちが押さえる。
「や、やめて…」
 男は丸い膨らみにゆっくりと指を這わせながら言った。
「おまえはひとりで夕食をしたあとで、今夜のうちに紹介してもらえるだろう。」
 そして男は、確かめるようにまどかの乳房や股間をまさぐった。見知らぬ男に身体を触られる嫌悪感と恥辱で、まど
かの閉じた睫毛の間から涙がにじむ。
 その後、まどかは小さな船室のような狭い部屋に連れて行かれ、相変わらず裸のまま、たったひとりで夕食をした。
 この部屋の壁には覗き窓があいていて、そこから見えない手がまどかの方に料理を差し出すのだった。それは相当
高級な料理のようだったが、まるで牢獄の食事のような気がして、ほとんど喉を通らなかった。
 


 
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