サッカー部マネージャー物語
 
エピローグ

 瞬は、資料を全て警察に渡した。
 香川産業は、女子社員を使った淫らな接待の件で強制捜査を受けたが、それを契機に、株の不正取引や政治家へ
の贈賄などが明るみに出て、香川家は会社組織から追放されることになった。その後は、それまで商品開発を担当し
ていた部長が抜擢され、社長として経営していくことになった。新社長の秘書を勤めるのは奥田奈々子である。
 春日は強姦等の罪で十数年の懲役刑を受けることになった。高校時代の事件も明らかになり、「稀代の破廉恥教師」
として、おおいにマスコミをにぎわすことになった。
 少年たちの処分は様々だったが、おおむね、キャプテンの座を賭けた試合で香川チームにいた者は、少年院に送ら
れた香川、橋本、白井、三芳をはじめ厳しい処分となり、黒坂と瞬のチームにいたメンバーは寛大な処分で済む傾向
があった。池辺から渡された資料を警察に渡したことで、瞬自身はもとより、彼と行動を共にした者は、反省の情が明
らかだということで、情状酌量されたのである。「正しい資料の使い方をしたわけや。」とは、瞬から処分結果の報告を
受けた池辺の言である。
 サッカー部は1年間の謹慎ということで、自主的に公式試合への出場を見送ることを決めた。その間、黒坂がキャプ
テン、京子がマネージャーとして、部員のモチベーションを維持し、翌年の名門チーム復活の基盤を作ったことは、銘記
されてよい。
 弥生はサッカー部のマネージャーをやめたが、瞬のチームでたたかった1年生とつきあい始めた。もちろん、理恵子
とはずっと仲の良い親友である。
 聖賀高校サッカー部のコーチとして迎えられることになった池辺は、麻美の卒業を待って、彼女と結婚することになっ
た。サッカー部のメンバーは、2人のために盛大なパーティを企画している。
 しかし、あの試合の日以来、聡子の姿を見た者は誰もいなかった。

 そして、瞬は学校を中退し、働きながら、クラブチームでサッカーを続けている。もちろん、学校にもサッカー部にも残
ることは可能だったし、周りの仲間も残るように勧めたのだが、これが自分のけじめのつけ方だと思ったのだ。
「次の試合は、東京ディアーズの若手を中心ちしたチームよ。スカウトの人も結構来るようだから、みんな頑張ってアピ
ールしようね。」
「瞬、いよいよカムバックのチャンスだぜ。」
「瞬だけじゃないわ。チャンスはみんなにあるのよ。」
「ラッキーガールのマネージャーが応援してくれるんだ。みんな、がんばろうぜ!」
「よし!」
 選手たちを見渡して、マネージャーの理恵子はニッコリと微笑んだ。
 五月の青い空の下、彼女のクラブは、次の目標に向かって練習を再開した。

(了)




 
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