聖処女真璃亜1 好色と覚醒のエチュード
 
第6章 恥辱の実況中継
 
 眠りから目覚めるように、真璃亜はベッドの中で目を開いた。そこは真璃亜が最も見慣れた場所、自分の家の自分
の部屋だった。
 すると、今までのことは全て悪夢だったのだろうか。
「気がついた?」
 ベッドの横で椅子に腰掛け、優しい声でそう言ったのは、父でも母でもなく、クラスメートの統智百合だ。
 反射的にバッと起きあがると、掛け布団が捲れる。形の良い乳房がプルンと露わになる。
「キャッ!」
 真璃亜は思わず小さく悲鳴を上げて、再びベッドに潜り込んだ。どうやら全裸で寝ているらしい。
「苦しそうだったから、服を脱がせたの。そのほうが楽でしょう。」
 百合は、布団から顔をのぞかせる真璃亜に優しい眼差しを投げかけ、静かに言った。
「ご両親も連れて帰ってきてあるわ…、リビングに…、『あのまま』だけど…。」
「そう…」
 百合の口調から、これまでのことが夢ではなかったことがうかがえる。リビングに確かめに行く必要もないだろう。両
親は白い透明な彫刻、塩の柱になってしまったのだ。
「あなた、一体、何者なの?」
 真璃亜は静かにそう聞いた。泣いたり叫んだりしてもしかたないと覚悟を決めたせいか、不思議と落ち着いた気分に
なっていた。
「私はメッセンジャー。あなたにメッセージを伝えるために来たの。」
「どういうこと?」
「信じられないかもしれないけど。最後まで聞いてね。」
 そう言うと、百合は静かに語り始めた。
「シュメール文明が栄えるよりも1000年程前のこと。今はメソポタミアと呼ばれている地に7体の悪魔が現れ、人間の
王に代わって、その地に君臨したの。悪魔は人々を奴隷か家畜のように支配しただけではなく、人間の欲望につけ込
み、奴らが放つ波動に共鳴する者達を操って社会を堕落させ、人々を恐怖のどん底に陥れたわ。」
 悪魔に支配された7つの都市国家は、謀略と殺戮、犯罪と退廃がはびこる、この世の地獄になったと言う。
「心ある人々は、悪魔の支配を断ち切るため、一心に神に祈った。そしてついに、祈りを聞き入れた大地母神の霊力を
身につけて、巫女イナンナが悪魔を封印したの。イナンナは封印した悪魔を大地母神の霊力で護られた黄金の箱に閉
じこめた…。」
 百合は言葉を切って、真璃亜の机を指さした。そこには、父章人が研究していた黄金の箱があった。
「あなたのお父様が研究していたその箱は、イナンナが悪魔を封印していた箱なのよ。」
 真璃亜は金色に輝く箱を見つめた。よく見ると、不思議なことに、割れていたはずの蓋は完全に修復され、ひび一つ
残っていない。
「ところが、砂漠の戦争で米軍の爆撃機が空爆をした時、ちょうど地下に眠る大地母神の神殿の遺跡に爆弾が落ち、
箱に命中して蓋が壊れてしまったの。そして、大地母神の霊力が弱まり、悪魔が再び地上に解き放たれたのよ。」
「まさか…」
 さすがに信じられないという表情を浮かべる真璃亜を、百合は真剣な顔つきで見つめた。彼女の様子からは、冗談を
言っているのではないことがわかる。これまでであれば、彼女の正気を疑ったかもしれない話だが、両親を襲った凶事
や、壁から伸びた手が聖羅をさらっていくのを目撃した後では、どんな不思議な話であっても、頭から否定をすることは
できない。いや、むしろ、百合の言葉や態度から伝わってくるのは、それが真実だという確信だ。百合は強い眼差しで
真璃亜の目をじっと見て、言葉を続けた。
「悪魔を封印しなければ、世界は滅びてしまうわ。それができるのは、真璃亜、あなただけなのよ!」
「えっ、私?どうして?」
「あなたは、巫女イナンナのDNAパターンを完璧に受け継いだ、彼女の生まれ変わりなの。あなたの力でしか、悪魔は
封じることができないのよ。」
「信じられない…」
「信じて!あなたが悪魔を封印しないと、酷いことになってしまうわ。ねえ、これを見ていて。」
 百合はそう言って、テレビのスイッチをつけた。
 何か事件があったらしく、生中継でニュースを放送している。繁華街のビルの屋上に若い女性が立てこもっているらし
い。
 
『よし、このビルにしよう…』
 黄昏時の繁華街。有名なファッションビルの前を通った時、「声」が響いた。
「えっ?」
 梨緒は思わずそう聞き返すと、自分に話しかける者があたりにいないことを確認して、不安げな表情を浮かべた。
『どうしよう、まただわ…』
 さっき、電車で痴漢にあって以来、時折、頭の中で男の「声」が聞こえるようになった。痴漢に遭ったショックで、おかし
くなってしまったのではないかと不安に思い、とにかく家に帰ろうと思ったのだが、頭の中で話しかけて来る「声」が行き
先を指図し、そのまま街を歩き続けることを命じると、どうしても逆えないのだ。
『そうだ…、ここの屋上がいい…』
 利緒は不思議な「声」に命じられるままに、エレベーターと階段を使って屋上まで上がった。お洒落なブティックやレス
トランなどが数多く入っているビルだが、屋上は商用には利用されておらず、空調設備の室外機や給水塔が並んでい
るだけだった。打ちっ放しのコンクリートを突き当たりまで歩くと、落下防止の鉄柵が設置されている。
『柵を乗り越えて、向こう側に立つんだ。』
「イヤッ!恐いっ…」
 柵の前に立って手をかけた梨緒は、強張った表情でイヤイヤをした。柵の向こうには、1メートルほどのスペースがあ
るので、そこに立ったり座ったりすることは可能ではある。しかし、ここは5階建てのビルの屋上なのだ。地上に落ちれ
ば即死か、よほどうまく落ちても大けがは免れない。高所恐怖症気味の彼女にとっては、想像するだけで足がすくむ。
『さあ、早く…』
 男の「声」がすると、梨緒の体は彼女の意思とは関係なく、鉄柵に手をかけ、それを乗り越えていく。
「きゃあっ、いやっ、落ちるっ…」
 悲鳴をあげ、顔面蒼白になっている梨緒だったが、その体は、信じられないくらいスムーズに柵を乗り越え、椅子に腰
掛けるように自然にビルの縁に腰掛けた。
「なんだ?飛び降りるつもりか?」
「若い女の子らしいぞ!」
 下の方でワイワイ声がする。通行人たちが、ビルの屋上に腰掛けた梨緒の姿を見つけて集まって来ているのだ。
『さあ、観客も集まってきたことだし、そろそろショータイムといくか…』
「えっ、なにっ!」
 梨緒があせった声を出す。彼女のほっそりした指先が、ブラウスのボタンを一つ、また一つと、はずしていくのだ。
「ちょっと、どういうことなの!?」
『わからないのかね。ここで、裸になってもらうんだよ。』
 淡いグリーンのブラウスが木の葉のようにヒラヒラと舞い落ちる。ビルの下で人々のどよめきが起きた。
「イヤッ、だめっ!」
 そう言いながらスカートを投げ捨てた梨緒は、ブラジャーとビキニ・ショーツだけになった。ミルク色の肌を純白の二枚
の下着が飾っている。
「い、いやっ!こんなところで裸になるなんてっ!」
 梨緒の声は震え、今にも泣き出しそうになっている。しかし、「声」は容赦しなかった。」
『ブラジャーを外せ。外したら両手は背中で組むんだ。』
「ああ…、助けてぇ…」
 「声」が命じるままにブラジャーが外され、梨緒の胸が露わになって揺れた。両手を後ろで組んで、胸を突き出す格好
になったため、もともと小さい方ではない乳房がより大きなサイズに見えている。張りのある膨らみの頂上の乳暈は標
準より少し大きめだが、それがセクシーで愛らしい。
「ああ…、恥ずかしい…」
 ビルの下には大勢の人が集まって梨緒を見上げ、口々にワイワイと騒いでいる。既に梨緒が身につけているもの
は、白いショーツ一枚だけだ。この一枚を脱いだら、もうフルヌードになるしかない。
 その時、彼女の視線が群衆の中に、一人の男をとらえた。
 中年の太った男、明日茂大である。梨緒は知らないことであるが、彼女の前に現れた明日茂は、魔王が顕現する前
の彼とは別人のように威風堂々とした雰囲気を見せている。
(あっ、あの男だ!)
 梨緒は直感的にそう思った。彼こそが、自分の頭の中で囁き、卑猥な行動を命じる「声」の主だ。
『ふふふ、私を見つけたようだな。抵抗しても無駄だということは、十分わかっているだろう。さあ、最後の一枚を脱ぐん
だ。』
『いやっ、脱ぎたくない。ショーツは許してっ!』
 心の叫びに反して、梨緒の体は屋上の縁に座ったまま、腰からショーツをずらし、微妙にお尻を左右に揺らしてスル
スルと足首まで下ろすと、最後に抜き取って、地上に投げ捨ててしまった。
『よし、見物人たちにオ××コを見せてやろう。梨緒、そこでM字開脚だ。』
『お願い!それだけは…、それだけは許して!』
 梨緒の表情が羞恥に染まる。しかし、体の方は、まるで自らの意思で露出するかのように、両手を後ろにつき、コンク
リートの上で脚をM字に大きく開いた。柔らかな恥毛に覆われた女の秘所が、固唾を飲んで見ている警察官や通行
人、野次馬の前にすっかり露わになった。
『さあ、奥までよく見えるように、オ××コを広げるんだ。』
「見て。私のオ××コ、奥まで!」
 自分の意思に関係なく声が出て、指でワレメを目一杯広げてしまう。
『恥ずかしいなあ、梨緒。いい格好になっているぜ。』
 卑猥な響きを帯びた「声」が嘲るように言う。体の自由がきかない梨緒は、心の中でじっと恥辱に耐えるしかなかっ
た。その梨緒に、「声」はさらに恥ずかしく、屈辱的な命令を下した。
『よし、そのままオナニーするんだ。』
『だめっ!そ、そんなこと…、できないわ…』
 羞恥に全身を染め、心では強く拒みながらも、梨緒は両手を胸に当て、掌で乳房を寄せた。柔らかな膨らみをこね回
すと、身体の中央で豊かな双乳がせめぎ合う。
『ほうら、いやらしい女だな。もう乳首が立ってるぞ…』
 梨緒の体の変化を「声」が羞恥心を煽るように指摘する。
『いやっ、言わないでっ!』
 そう言ったはずなのに、梨緒の口からは別の言葉が飛び出す。
「ああん…、乳首が立っちゃったぁ…」
 悩ましげに身をくねらせた梨緒の両手が双乳を交互に揉み、乳首を親指と人差し指で挟んでクリクリとこね回す。身
体の中を電気が走ったように、梨緒の身体がビクッと跳ねる。
『そろそろ、下も弄ってみろ…』
 「声」の命じるままに、梨緒の右手が股間に下りていき、剥き出しになった花唇をそっと撫でる。
「あはぁん…、くふぅ…」
 梨緒の口から切なそうな喘ぎ声がもれる。その部分はすでに熱くなり、ビショビショに濡れていた。
 
「なに?あの人、何?クスリか何かやってるの?」
 思わず画面に見入っていた真璃亜は、そんな自分にハッと気がつき、慌てて百合にそう話しかけた。声が幾分うわず
っている。
「彼女は薬物中毒でも精神異常でもないの。奴の操り人形にされてしまっているんだわ。」
「奴?」
「さっき話した悪魔の1人よ。」
 画面に女性器が大きく映し出された。考えてみれば妙だ。さっきからテレビ局は、全く画面を修正することなく、つぎつ
ぎに服を脱ぎ捨て、自分の身体を弄ぶ女性の痴態を放送し続けている。まるでアダルトビデオだ。いくらニュースの実
況中継だからと言って、公共の電波に乗せることが許される映像ではない。しかも、外はまだ明るく、子どももテレビを
見る時間帯なのだ。
「こんなの放送していいの?」
 真璃亜が眉をひそめて言った。
「どうやら、カメラマンもディレクターも、奴に感応しちゃったみたいね。」
 百合がそう言って、ため息をつく。
「そして、奴の狙いはこれね。」
 言うなり、百合はベッドの中に手を突っ込み、真璃亜の下腹部に触れた。ベッドの中の彼女は何も身につけていな
い。
「キャアッ!」
 真璃亜が悲鳴をあげ、掛け布団を体に巻きつけて、ベッドから起き上がる。
「あら、びっくりした。ごめんね。でも、これであなたは大丈夫…」
 抗議の目で見つめる真璃亜に、百合が平然と言う。
「いきなり、何するのよ!」
 憤慨する真璃亜の目の前に、百合がほっそりした指をつきだした。その指先が濡れている。放送を見入っていた真
璃亜は、恥ずかしい行為に耽る画面の中の女性に自らを重ね合わせ、いつの間にか興奮してしまったらしく、乙女の
秘所をじっとりと濡らしていたのだ。
「放送を見ている者を興奮させ、自らの磁場に引き寄せること。それが、奴の狙いなんだわ。」
 
「あ、ああ…、感じちゃうぅ…」
 梨緒はクリトリスを摘んで、中指を自分の蜜壷に入れてかき回し始めた。激しいオナニーに、ピチャクチャと淫らな音
が響く。その間も片手は乳房を揉んでいる。
 屋上を吹き抜ける風が、官能の波の中に漂っている梨緒の火照った頬を撫でた。濡れた女陰にヒンヤリとした空気
の流れを受けて、梨緒は理不尽な力によって、自分がさせられている、あまりにも恥ずかしい行為を意識する。快楽に
溺れているかと思えば、何かのきっかけで、ふと正気にかえって激しい羞恥心が襲ってくる。さっきからその繰り返し
だ。いっそ、ほとんど思考が停止して快感に浸りきってしまえば楽なのだが、どうやらそれは許されないらしい。
 ビルの下にはパトカーや救急車が何台も停まり、黒山の人だかりができている。テレビの中継車も数台止まり、記者
やカメラマンの姿が野次馬に入り混じっている。オナニーする梨緒の姿が全国に生中継されているのだ。頭上にヘリコ
プターが飛ぶ音もしてきた。
「あっ…、あっ、あうっ…」
 梨緒の声が1オクターブ高くなる。
 小指を立てた右手が、二本の指で小刻みに突起を圧迫する様子がカメラに映し出された。陰唇の内側全体は、透明
な密にヌルヌルと覆われ、蠢くピンク色の柔肉が何とも妖しく艶めかしい。全裸になり、一心に自慰に耽る梨緒の様子
を、集まった報道陣のカメラがズームレンズであますところなく映していく。
『い、いやよっ!こ、こんなの…、見られてる…、ああ、いやあーっ!』
 時折正気にかえる心の中では、拒否と羞恥の叫び声を上げているのに、口をついて出てくるのは、まったく違う言葉
だった。
「見てぇ、オ××コ、ビショビショなのぉ…、ああっ…、いいっ…、イキそうっ!」
 信じられないぐらい淫らな叫び声を、中継マイクが拾って電波に乗せる。
「ああっ!…イイっ、はぅ、あはん…、オ、オ××コイイ…」
 梨緒は狂ったように悶えながら、片手で乳房をこね回し、グチュグチュと音をさせて二本の指を蜜壷の中に入れ掻き
混ぜている。その間も親指は敏感な芽を圧迫し、刺激し続ける。
『夢を見せてやろう。至上の快楽を…』
 梨緒の頭の中で、圧倒的な重量を持った声が響き渡った。激しい快感が湧き起こり、梨緒は切羽詰まった声をあげ
る。
「ああん!もうダメ…、あはぁっ!イクッ、イッちゃうっ!」 
『そうだ、思いっきりイクんだっ!』
「いくっ…、いくぅーーッ!」
 ビクンビクンと身体を痙攣させて、梨緒は絶頂を迎えた。そして、ゆっくりと動きを止めると、コンクリートにグッタリと横
たわった。
 とたんに、息を詰めて見入っていた全ての者たちが動き始めた。ビルの下は、大声で指図をする声が飛び交い、中
継のアナウンサーが早口でまくしたてる。野次馬達は蜂の巣をつついたように騒ぎ出した。そんな騒ぎの中で、屋上に
いた数人の警官が鉄柵を乗り越えて、梨緒の白い柔らかな体を抱え上げる。
 そんな喧噪の中、ニヤリと笑い、踵を返してビルを背にした明日茂の前に黒いベンツが止まる。部下らしき男を両脇
に従えて、一人の男が車から降りてきた。黒いサングラスをかけ、黒いスーツを着た恰幅の良い男だ。
「ここにいらっしゃいましたか。お探ししておりました。アスモデウス公。」
 男は明日茂に対して、恭しく頭を下げた。
 


 
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